Veronica   作:つな*

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ヴェロニカは思った。

まるで母のようだと

ヴェロニカは気付かない。

最後まで


Veronicaの帰省と疑惑

 

「ヴェラさんおはよう」

「おはようヴェロニカちゃん」

 

ヴェロニカです。

そろそろ並盛の方ではチョイスが始まる頃だと思う。

なので、そろそろ並盛に帰ります。

約三週間程、ヴェラさんにお世話になりました。

お世話になったお礼にヴェラさんにプレゼントを買ったのです。

 

「ヴェロニカちゃんいなくて寂しくなるわ…」

「ヴェラさん、これ」

「なぁに?これ」

「こっちがヴェラさんに、そっちがヴェロニカちゃんに…」

「あら、開けてもいいかしら?」

「うん」

 

フフフ、少し値段は張ったが安心しろ、全て九代目の金だ。

 

「きゃー!これブランドもののネックレスじゃない!」

「似合うと思って」

「こんな高価なものっ」

「いいの、私の気持ち…それとヴェロニカちゃんにもお揃いのネックレス…」

「嬉しいわ…何かⅤって彫ってあるけどなぁに?」

「ヴェロニカちゃんのⅤとヴェラのⅤ」

「あら、とっても嬉しいわ」

「よかった」

「…ヴェロニカちゃん…本当にこの3週間ありがとね」

「こちらこそ、ありがとう」

 

ヴェラは、ヴェロニカを抱きしめる。

 

「あなたは娘のように思っているわ…何かあったらここに逃げてきてもいいのよ」

「……ありがとう…短い間だったけれど、お母さんが出来たみたいで嬉しかった」

「あら嬉しいこと言ってくれるわね」

 

ヴェロニカは荷物を肩にかけ、ヴェラに最後に挨拶をして空港へ向かった。

飛行機の中、ヴェロニカは窓から雲を見下ろしていた。

 

私がこの時代でパパを助けたとして、未来にはどう変化が起こるのだろうか。

そして、そのヴェロニカは私なのだろうか。

パパが生きているという可能性の未来へ辿り着くとしたら、恐らく分岐点は私の14歳の誕生日…

あの日から私の時間は進んでいない。

戻る未来は、今私のいる過去の延長線上。

白蘭との決戦直後に乱入者が現れたという事実のある未来。

この延長線上の未来に、私はいるのだろうか。

仲田夏美という名のヴェロニカはいるのだろうか。

 

ヴェロニカは窓に頭を付けたまま瞼を閉じて、日本への到着を待ちわびた。

 

飛行機が日本に着くと、すぐさま変装を施し、並盛へ急いだ。

最終決戦は森の中…

今はチョイスをやっている時期だと思うので確認したいが、手段がなかったので、川平不動産の方へ足を向けた。

ヴェロニカが目的地へ着くと、周りを見渡す。

交戦の跡がない。

一応、幻術で一時補強されている可能性を考え、周りに流れる波長を探すが、見つからず。

まだここで交戦がなかったことが分かった。

で、あれば明日にはここで交戦があるはず…

そして明後日に森での最終決戦が始まる。

ヴェロニカは森の方へ行き、原作でユニが逃げ込んだ場所を探していた。

あれかなぁ?あ、あれっぽいな…。

ヴェロニカは場所を確認すると、もう一つ遠くにある森まで移動する。

森の中で誰もいない、センサーもないことを確認して、両手剣を抜いて構えた。

ヴェロニカにはとある作戦があった。

それは単純に、ザンザスとそれ以外を離すことである。

その手段にも色々あるが、ザンザスとその他を離し、かつ他の人らが近寄れないようにしなければならないのだ。

そして考え付いた方法はあったけれども、あまりにも強力かつ広範囲に及ぶため最大火力を出すのは本番ぶっつけになるのだ。

マーモンにはザンザスとの正面から戦うなと言われていた。

だがこの作戦以外、この悪い頭では思いつかなかったのだ。

失敗は許されない。

これが実質のラストチャンスなのだ。

ヴェロニカは両手剣を構え、力いっぱい振り下ろした。

 

 

 

 

沢田綱吉side

 

「私は、ミルフィオーレを脱退します」

 

衝撃の言葉に俺は戸惑っていた。

ユニは俺の近くまできて、両手を胸の前に持ってきて言ったんだ。

 

「私を守ってください」

 

もう驚くこと以外することがなかった。

そのあと、色々あったけれどユニを守ることになった。

ユニを白蘭から逃がすために、並盛の地下にあるボンゴレアジトに避難していた。

皆疲れて直ぐに気絶するように眠っていたが、俺は不安であまり眠気が襲ってこなかった。

今回、あまりにも精神的疲労が多すぎた…

チョイスは無効になったとしても、実質俺たちは負けてしまったのだ。

これで本当にユニを守り切れるのだろうか。

不安で押しつぶされそうになって、眠れずにただ瞼を閉じていた時

 

「あ!ヴェロニカさん!」

 

ヴェロニカさんのことをすっかり忘れていたや、今から聞きに行こう。

俺はリボーンのいる場所へふらつく足で向かう。

 

「リ、リボーン」

「ツナか、なんだ?」

「いや、あのヴェロニカさんのことさっき思い出したんだけど…」

「確かにあいつのこともあるが、今はそんな余裕ねぇだろうが。おめーは休んで体力を戻しやがれ」

「でも、なんか違和感があるんだ……その、ヴェロニカさんのことを考えてると…」

「違和感?」

「その、なんていうか……彼女が近いうちに関わってきそうで…分からない、俺の思い過ごしかもしれないけど…」

「ふむ…」

「正一君にヴェロニカさんのこと聞きたかったけど、今聞ける状態じゃないし…」

「そうだな…ずっと一緒にいたスパナならなんか知ってるかもしれねぇぞ」

「そうだな…少しスパナのところに行ってくる」

「待て、俺も行く」

 

リボーンは俺の肩に乗り、俺はスパナのいるコントロール室へ向かう。

 

「スパナ…いる?」

「どうしたボンゴレ」

「あのさ…俺らが過去に戻ってるとき、正一君が何調べてたか分かる?」

「ああ、そういえばとある人物について調べていたな……確かヴェロニカだったか」

「そう、それ!あのさ!調べた内容とか残ってないかな?」

「あると思うぞ……少し待て、今だしてやる」

「あ、ありがとう」

「よかったなツナ」

「うん」

 

数分、スパナが画面を見ながら文字を打ち込んでいた。

 

「あったぞ、今コピーする」

「ありがとう!」

 

そのまま、入江の調べた内容が入っていたフォルダをコピーして沢田に渡す。

沢田はリボーンと共に、コントロール室を出た。

資料に目を通している限り、ヴェロニカという人物は存在していなかった。

 

「……あ」

「何かあったか?」

「ここ、ほら…飛行機の搭乗客の名前欄に❝仲田夏美❞ってあるよ」

「これは10年後、いわゆるこの時代のものだな」

「ってことはやっぱり、ヴェロニカさんも俺たちと同じ時期にこっちに飛ばされてたんだ…」

「そして並盛から離れた…行先はイタリアになってやがる」

「イタリア?……どうして」

「恐らく、自身の置かれた状況に疑問を抱いてボンゴレ本部の方に向かったんだろうな…」

「そっか、そうだよね…だっていきなり10年後に飛ばされちゃったわけだし…知り合いのところに行くのは当然か」

「だがやはり、理解できねぇ…あいつの飛ばされた理由は何だ?」

「そうだよね……白蘭を倒すためじゃ、なさそうだけど…」

「それにだ、イタリアに行ったとしてボンゴレ本部は壊滅している…この後あいつは今どこにいるんだ?」

「あ、そうか…じゃ、じゃあまだイタリアにいるのかなぁ…でもそんな連絡もないし…」

「連絡以前に、誰もあいつの存在を知らねぇがな。さっきのページを見ろ」

「ん?これ?」

「それには、九代目の関係者が書かれてるんだぞ」

「え?これが…まさかこれボンゴレ狩りの時使われてたやつじゃ…」

「多分そうだろうな、だがそこにもヴェロニカの名がねぇ」

「え、うん…」

「ヴェロニカに被害がいかねぇよう、九代目が存在を隠蔽した可能性も考えたが、他の奴らから記憶がなくなってることを考えるとその可能性もなくなる…」

「……ごめん、もっかいスパナのところに戻るよ」

「分かったぞ」

 

沢田は再び、スパナの元に戻った。

 

「ごめん、スパナ…また来たけど」

「ん?まだ何かあるのか?」

「あ、いや…その、この名前の人が最近日本に入国したか調べたいんだけど……分かるかな?」

「ああ、それならお安い御用だ」

 

スパナに資料を渡して数分経った頃、スパナが画面を拡大して沢田に見せる。

画面には空港の出入り口付近だった。

 

「ボンゴレ、このどこかにいるハズだ」

 

出入り口の方にある監視カメラをハッキングして、その時間を再生した。

すると、他の客に混じり出口から出てくる一人の女子がいた。

 

「あ!ヴェロニカさん!」

「おいスパナ、これはいつの日のものだ?」

「…今日の朝の便だな」

「きょ、今日⁉じゃあもうヴェロニカさんは並盛のどこかにいるのー⁉」

「そうらしいな……にしても一体何の理由で…」

「でも、白蘭を倒してヴェロニカさん探せば、一緒に過去に戻れるってことだろ?」

「そうだな、あいつも過去への戻り方が分からず困ってるハズだ」

「そう、だよね…」

「あとは俺らで調べておく。おめーはさっさと寝て体力の回復に専念しろ」

「分かった…スパナありがとう」

「どういたしまして、ボンゴレ」

 

そのまま獄寺君や山本がいた部屋まで行って仮眠をとる。

俺はヴェロニカさんの居場所が大まかではあるけれど、分かったことで安心したのか倒れる様に眠った。

起きると、京子ちゃんたちがオムライスを作ってくれていて、ユニの味付けは美味しかった。

でもユニはどこか辛そうにしていたのが、気がかりだった。

そのあと、真6弔花からの襲撃があり、俺たちはユニと共にアジトを脱出した。

脱出後不動産屋に逃げ込み、ザクロが過ぎ去るのを待っていた。

川平さんがなんとか追い返しが、トリカブト、ブルーベル、桔梗 (ききょう)が襲ってきた。

ユニを連れ去られそうになった時、ガンマ、野猿に太猿が応戦してくれて、なんとかユニを守り切る。

途中、雲雀さんがデイジーを倒したとの報告があり安堵した。

そのあと森に逃げ込み、一夜を過ごした。

朝になり、桔梗 (ききょう)、ブルーベル、ザクロ達がこちらへ向かっているのが分かり、ユニを守るため俺を残して、他の守護者は奴らを迎え撃った。

 

「……皆大丈夫かな…」

「心配すんな、おめーの守護者はそう簡単にはやられねーぞ」

「うん…分かってる……けど」

「ボスのお前が不安がってんじゃねぇ、部下を信じろ」

「し、信じてる…けど……さっきから違和感が…」

「なに?またか?」

「分からない…昨日から違和感が増していってる……」

「どういうことだ?」

「嫌な感じってわけじゃないんだ……でも…何か起こりそうで……」

「ふむ……それもヴェロニカのことか?」

「うん」

 

沢田とリボーンの会話にユニが入ってくる。

 

「沢田さん、ヴェロニカとは…誰ですか?」

「え、ああ…えーと、10年前のクラスメイトなんだけど…」

「そのヴェロニカさんが何かあったんですか?」

「ヴェロニカさんも俺たちと同じ頃にこの時代に飛ばされてるんだ。でも行方がわからないし、この時代で彼女の存在がないんだ…」

「え?」

「誰も彼女を覚えてないんだよ…それに彼女が並盛に転校していたという事実すらなかった」

「そんなことって…」

「俺たちは白蘭を倒す為にここに飛ばされてきた……けれど、ヴェロニカさんは…一体何の為に……」

「それで先ほどの違和感は彼女と関係しているんですか?」

「わかんないけど、ヴェロニカさんのことを考えれば考えるほど分かんなくて…違和感も大きくなってきてて……」

「不自然ですね…存在がなくなるというのは」

「ユニは何か思い当たることでもある?」

「いえ、ですが…視点を変えてみてはどうでしょう…」

「視点?」

「はい…おかしいのがこの時代ではなく、そちらの時代かもしれない、ということです」

「ええ?ど、どういう意味?」

「ヴェロニカは本来、10年前にいるハズのねぇ存在。ってことか、ユニ」

「そうですリボーンおじ様…あくまで別視点からの推測ですが、そうであればこの時代に存在しないのも辻褄が合います」

「そういう考え方もあるのか…でも、まだ決まったわけじゃないし…」

「そうですね、慎重に考えた方がいいと思います」

「う、うん」

「もし、そのヴェロニカさんという方が…今よりももっと未来の人であれば、どの行動も彼女の存在の有無に関わってくるのですから」

「そっか……もっと未来の人………」

「あくまで憶測です、本気に考えず、広い視野で彼女を捉えてみると何か分かるかもしれませんよ」

「うん、ありがとうユニ…少し整理出来そう」

「よかったです」

「ねぇツナ君」

「え、な、何?京子ちゃん」

 

ユニと沢田の会話に入ってきたのは京子だった。

 

「さっきから話してる、ヴェロニカさんって仲田さんのこと?」

「あ」

「だって転校生でしょ?仲田さんしかいないと思って……」

「えーと、その、仲田夏美は日本名で、イタリア名はヴェロニカらしいんだ…」

「そうだったんだ」

「あああ、でもこれ仲田さんに口止めされてるから、本人の前でその名前で呼ばないでね!」

「うん、分かった」

 

京子ちゃんは頷いてくれたのをみて、俺は安堵する。

その時、遠くの方で大きな爆発音がした。

俺たちは皆不安げな顔でその方角を眺めていた。

通信機では何やら交戦中の音ばかりで、状況が分からなかった。

俺は不安に駆られるも、皆を信じようとした。

再び爆発音が聞こえ、通信機では獄寺君やラル、ガンマのうめき声が聞こえてきた。

一気に心臓が冷えてくような感覚を覚えた。

京子ちゃんとハルも爆発音の方角を見て怖がっている。

ダメだ、ここで俺がへたれこんでちゃダメだ。

誰か、誰でもいいから応答を…。

 

ジジッ

 

『じゅっ、十代目…』

「⁉ご、獄寺君⁉」

『十代目、聞こえますか?』

「聞こえてるよ!みんな無事⁉」

『ええ…なんとか……俺たちヴァリアーに救われました…』

「ええ⁉ヴァリアー⁉」

 

獄寺君達の絶体絶命の時に、ヴァリアーの面々が助けてくれたのだと分かった。

今もなお、戦闘中のヴァリアーが俺にはとても頼もしかった。

あのザンザスが助けてくれるなんて…

 

―――――?

 

まただ。

また違和感が大きくなっていく……

どうしてこのタイミングで…

 

 

何が起こるっていうんだよ―――――

 

 

 

 

 

その頃ヴェロニカは…

 

「直ぐ近くに桔梗(ききょう)がいて下手に動けないんですが、これ如何(いか)に…」

 

 

 

 




ヴェロニカ、並盛へ帰ってきました。
んでもって最終決戦スタート。
次回で最終決戦は終わります。
いつもご指摘・コメントありがとうございます。

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