時を 再び
ヴェロニカは出会う。
とある女性に
Veronicaの過去の未来
昨日、マーモンが未来に帰ってしまい、私は一人です。
パパの警護は昨日より厳しくなっていて、今日はもう諦めている。
明日にはイタリアの方の病院に移る予定なので、私への特定は難しいはず。
パパへのワクチンを打つチャンスは数回もないだろう…
今度こそ成功しなければ、本気でマズいことになりそうだし。
それよりも、いつから未来編に入るのだろうか。
もうチャンスが残ってるのは未来編のみだ。
こればかりは沢田綱吉達を見ておくしかないと思うんだが。
えーと、沢田綱吉達がいなくなったタイミングで私も小型10年バズーカを自身に打てばいいのか。
ていうか、私未来編での寝床とかどうすればいいんだろうか。
だって、九代目なんて10年後に死んでてそうだし…
今の九代目から貰ったカードから現金を出来るだけ引き下ろして、手元に持っておくのがベストなんだろうな、多分。
てなわけで、今からATM行っておこう。
ざっと数千万出しておこう。念の為。
ヴェロニカはその日、学校帰りにいくつかの銀行・ATMに寄ってお金を下ろし、その中の半分をユーロに変えていた。
数日後、沢田綱吉が私のマンションへ来た。
どうやって特定したのかは聞かなかった。
どうせリボーンが教えでもしたんだろ。
このマンションの敷居が彼には高かったのか、そわそわしながら中に入ってきた。
「ねぇ、ヴェロニカさん…」
「なに」
「あー…じゅ、10年バズーカって知ってる?」
「ああ」
「えーと……リボーンがバズーカに当たったきり消えちゃったんだけど…ヴェロニカさんのところに来てた?」
「知らない」
「そっか……」
「…」
「えっと……その、10年バズーカに当たったまま消えるってことあるのかな?……アハハ」
「ある」
「え、あるの⁉」
「簡単な話だ。10年後の未来ではリボーンは死んでいる…それしかないだろう」
「え……」
「あいつはあれでもヒットマンでしょ…なんら不思議でもない」
「じゃ、じゃあリボーンは……いやでも、5分以上経ってるのにリボーンが戻ってこないのはどうしてだろう…」
「さぁ?バズーカの故障か、それとも既に戻ってきていてあなたの前に現れていないだけかもしれない」
「……お、俺ちょっと…ランボに10年バズーカで未来に飛ばしてもらってくる」
「そう」
「あの、ありがとう!」
「別に」
沢田綱吉は、そのまま帰っていった。
始まった!
ヴェロニカはすぐさま金庫の中にあった現金をあるだけボストンバックに入れて、ベッドの下に隠してあったパパの銃と両手剣を手にする。
剣は腰に、銃は足に付けていたガンホルダーに差して、ワクチンを数本箱に入れマーモンから渡された小型10年バズーカを構える。
「ふぅ…」
息を吐き、バズーカを自身に向け引き金を引いた。
体全体に軽い衝撃と浮遊感が襲う。
足元に地面の感触と重力を感じると、うっすらと目を見開く。
目の前にはさきほどいた自身の部屋であった。
「まだ…私生まれてないから……そのままの位置座標で飛ばされたのか」
さて、この時代のボンゴレはどうなってるのかな…
確かミルフィオーレにほぼ占拠されてる状態じゃなかった?
ボンゴレは弱体化っていうか追い詰められてるはずだし。
沢田綱吉達はそろそろラル・ミルチと交戦する頃だろうか。
どちらにせよ、私が彼らに会うことはあるのだろうか?
どうせ私はメローネ基地行く予定ないし、うん。
つかヴァリアーの方行かなきゃいけないし。
私が日本にいるのはデメリットだらけだなぁ…
それにパパって最後の方以外はずっとイタリアにいるよね。
じゃ、イタリア行こうかなぁ
その前に、パパが傷を負う又は、体力消耗しているタイミングが分からない。
なんか敵の主戦力の古城を占拠してたとかマーモンから聞いたけど、多分それあれだよな、ベルのお兄さんと戦った場所。
超音波が云々…でもあれ相手にパパが体力使うわけないし。
じゃあゴーストのときかな?
確かに炎を結構吸われて体力を一気に消耗した感あったけど。
でもあれ皆集合してるから無理じゃね?
私フルボッコじゃね?
でも未来編の間しか私はいないわけだし、未来編のどこかでやらなきゃダメだし。
ううーん……ベルのお兄さんのところはパパめっちゃピンピンしてるし直ぐにスクアーロ達が来るから、危ないよな…。
くっそ、これ白蘭と皆が戦った後に私が乱入するしかないやん!
終わった私の人生…。
こうなったら自棄だよくそぉ!
未来編が終わるギリギリまで私は修行一択じゃないかぁぁぁぁあああ
どのみちイタリアには行かねば。
日本じゃミルフィオーレの人達が多すぎて修行する場所無さそうだし。
そう思い立ったヴェロニカは、手続きもろもろを済ませて、いざイタリアへ出発する。
その際、大空の炎で武器を石化して、検査を免れた。
十数時間の旅を終え、久々にイタリアの地を踏む。
イタリア語を耳にするのも久々で、懐かしかった。
いや元々の母国語は日本語だけど、一応ヴェロニカの人生ではイタリア語が母国語だもんな。
入国検査もボンゴレ関係者に任せ、そのまま空港を出る。
空港で捕まえたタクシーでヴァリアー本部の近くの宿の集中している地域まで向かう。
数時間ほど走ると、現地に着き金額を払うとタクシーを降りる。
ヴェロニカは取り合えずどこでもいいので、空いている宿を探し出す。
いきなりだったので、予約で満室の宿やホテルが沢山あり中々見つからない現状にヴェロニカは嘆息し、宿を探す。
数時間後…
見つからない!
マジか…野宿とか…涙出そうなんだけど。
ヴェロニカが涙目になりそうな時、後ろから声をかけられた。
「あの、先ほどからここら辺をうろうろしてますが、何かお困りですか?」
声の主は、黒髪の美女だった。
お腹が膨れているので妊婦だろうか。
いい人や…ていうか美人…
「えっと……急にイタリア来たから……宿なくて…」
「あら、最近ここは観光地指定されたから宿は満室が当たり前になってるんですよ…」
「……そうだったのか……」
知らんかった!
私の子供の頃とか外にも出なかったから観光地が近くにあったとか分からなかった!
「あの、どれくらいの滞在ですか…?」
「え…と、一か月ほど……」
「それなら私の家に来ませんか?」
「え?」
「私は見ての通り妊婦です。ですが一人暮らしで……そろそろ人手が欲しかったんですが……ダメでしょうか?」
「えっと……」
「あ、あの、別に断ってくれてもいいですよ、少し急いてしまいました…」
「いや嬉しい申し出なんですが…その……私日中は出かけますよ?」
「ああ、それなら大丈夫です。私も日中は病院の下の方でパートをしているので…」
「あ、えっと……それならお願いします……ヴェロニカといいます」
「ええ、こちらこそ…私はヴェラよ」
何て美味い話なんだろうか。
というよりこの人めっちゃ良い人……でも一応疑った方がいいのかな?
めっちゃ美人だけど、シングルマザーっぽいし…何か訳ありかな?
とりあえず住むとこ確保出来たけど、少し様子見した方がいいな。
ヴェロニカはその女性についていった。
「あの、こちらです」
女性が案内したのは、こじんまりとした小さな家だった。
中は少し古びていて、でも家具などは意外と新品のものばかりだった。
「私、ここに住み始めてまだ半年ほどなんです。」
「どうしてですか?」
「その……色々あって…この子を育てるための環境に適してなかったんです」
「はぁ…」
これ聞いちゃアカン奴だ。
にしても訳ありの女性だけど…なんかから追われてるのかな?
やっべ、厄介な人に捕まったかも?
でもまあ直ぐに判断するには早計か。
「これから一か月ほどよろしくお願いします」
女性が頭を下げてきたので、ヴェロニカも慌てて頭を下げる。
それから家の家事のことを一通り聞いていた。
家事なんていつぶりだ!
おもっくそ昔…十年以上前にやったきり…というよりヴェロニカの人生で一回もやったことがない。
出来るかなー…
ヴェロニカの不安を他所に、女性はお腹の子供について語り出す。
「この子、今妊娠7か月目なんですよ」
「じゃあ性別とかもう分かってるんですか?」
「ええ、女の子よ……とても可愛い子が生まれてくるわ……」
「元気に産まれるといいですね」
「ええ!もう、とても待ちきれなくて、名前も考えてあるの!」
「へぇ、どんな名前ですか?」
「ヴェロニカよ!あなたと同じ名前!なんて偶然かしら」
「そうですね」
なんと、同じ名前か。
何たる偶然…親近感沸くなぁ…
その日は、既に日が暮れていて、私は夕食をヴェラさんと一緒に作り親睦を深めた。
ベッドは子供が大きくなった時の為にと購入したらしい大きなベッドを使わせてもらうことにした。
私がやることと言ったら、定期的な掃除にゴミ出しのみだ。
夕食はまぁ時間が開けばやるくらいでいいらしい。
家賃は普通の宿と同じくらいだったが、食費込みで考えたら妥当か。
ヴェロニカは今日一日の出来事を思い返しながら、目を閉じた。
翌日、起きたら既にヴェラさんが朝食を作っていた。
「あらおはようございます」
「おはようございます……」
「朝ご飯作ったから、一緒に食べましょう」
「え、あ、ありがとうございます」
ルッスーリアが浮かんできた。
ごめんヴェラさん。
あのオカマと比べちゃアカン。
「今日からもう行くんですか?」
「え、ええ……あの、敬語要らない…です」
「そう?じゃあお言葉に甘えて…あなたも敬語は要らないわ。それで、いつ頃帰ってくるの?」
「多分夕方以降になる…でも暗くなる前には多分帰る」
「そう、分かったわ」
ヴェラさんを病院まで送り、私はヴァリアー本部の様子を見るべく、足を向ける。
数分歩くと、本部の屋敷が見えた。
全く外観が変わってないなぁ…
未来と変わらぬ姿で、本部がそこに建っていた。
警備が数人おり、私は少し離れたところで屋敷の中の様子を見ようとした。
屋敷の中の、比較的皆が集まる部屋を覗くと、案の定幹部の数人がそこにいた。
だが、一人見慣れない者もいた。
んんー?あの人…確か……骸の弟子の…えーと…フラン?
そういえば何で未来にあの人いなかったんだろ…
マーモンの代理だったのかなー?
この時代のマーモン死んじゃってるし。
双眼鏡の向こうでは、ベルとフランが言い争うのような乱闘をしていた。
そこにレヴィが参戦したが、二人から猛攻撃を受けてノックアウトした。
ここまで見ている分には、まだ作戦は開始してないな…
ヴェロニカはヴァリアー本部を後にして、人が全くいない空き地や森を探していた。
結構歩いた先に、誰もいなさそうな森があり、私はその森へ入っていった。
森自体の面積は思っていたよりも大きく、これなら色々騒音を出しても気付かれないだろうと思った。
とりあえず体力を増やしつつ、パパの銃を使い慣れねば。
ヴェロニカは大きく息を吸うと、ザンザスの銃を構えて、引き金を引いた。
沢田綱吉side
俺たちは、いきなり10年後の世界に飛ばされ、戻れないままでいた。
ラル・ミルチという人にリボーンの死を聞かされた時は頭が真っ白になった。
でも、アジトへ行くとリボーンがいて、俺は訳も分からないぐらい泣きたくなったんだ。
それと、俺たちのいる場所が日本であることに一番驚いた。
俺がアジトを見まわろうとした時、リボーンは俺を引き留める。
「おいツナ、おめーこっちに来るときに10年バズーカ使ってきたんだよな?」
「え?あ、うん……ヴェロニカさんにリボーンが死んでいる可能性があるって言われて…それでいてもたってもいられなくて」
「ヴェロニカの所へ行ったのか?」
「え、うん……バズーカに飛ばされて戻ってこないけどヴェロニカさんの所に行ったのかと思ってたんだ」
「あいつにこのことを話したのか…」
「ええと、ダメだった?」
「いや…」
リボーンが何やら考えているところ、隣にいた山本から声が掛かった。
「なぁ」
「え?な、何?」
「その、ヴェロニカって誰だ?」
「え⁉」
「おい山本、おめー覚えてねーのか?」
「…?中学の時の同級生か?」
「ヴェ、ヴェロニカさんだよ!イタリアからの留学生で……とっても強い子!」
「待て、そんな記憶どこにもないぞ…俺たちの中学に転入してきたのは獄寺だけだ」
「えええええ⁉どどどうなってるのーーー⁉」
「ふむ………それは妙だな、ヴェロニカは俺の生徒だ。山本にも何回か面識はあったハズだ」
「だが俺の記憶にはそんな女子はいなかった……これって…」
「あいつはいつも何かを隠してやがった……これも、それに関わってるのかも知れねえ…」
「ヴェロニカさんの記憶が皆の中から消えてるかもしれないの⁉」
「そうだな、おい獄寺。おめーは覚えてるか?」
「覚えてますよ、あのいけすかねぇ女…」
「これは他の奴らにも聞かなきゃならねぇようだな…」
「でも何でヴェロニカさんだけ……」
「ま、他の守護者を探してそいつらのヴェロニカに関する記憶を確かめてから、また話せばいい」
「そ、そうだな…」
そして俺たちはその日は、アジトで寝た。
そのあとも、山本が戦闘中に10年前の姿になったり、京子ちゃんが脱走してそれを追いかけたり、雲雀さんが助けてくれたりしていてずっと忙しかった。
雲雀さんにはリボーンがヴェロニカさんのことを聞くと、知らないと答えた。
やはり、10年後の人達の記憶に彼女はいなかった。
これが何を意味するのか俺にも、リボーンにも分からなかった。
まずヴェロニカさんがこの時代に存在しているのか、それともこの時代に飛ばされたかすら分からなかった。
けれど、俺は何故かふと思った。
彼女はこの時代のどこかにいる、と。
そして何か、何かが起こる予感が…彼女を思い出すと胸騒ぎがするのだ。
彼女が普通の人とは違う何かを知っている。
そして、何を目的として動いているのか、俺たちは未だ何も知らなかった――――…
その頃ヴェロニカは
「うおおお…やり過ぎたっ…しょ、消火ぁぁぁぁぁああああっ」
未来編スタートです。
私もまだこの小説の終着地点が分かりません。
矛盾点たくさんあると思うので、容赦なく指摘ください。
詳細を知ってるわけじゃないので、未来編が一番矛盾点ありそうで怖いです。
それと、コメントしてくださった方の中で、間違って削除してしまったコメントがあります。
覚えがある方は再度コメントしてくださると助かります。
なんか質問系というか疑問が残ったというコメントだったので、確認がしたいです。