ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~   作:月下の案内人

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このセルゲームで序章はおしまいです。


セルの奥の手 セルゲームの結末

 ついにやってきたセルゲームの日、ホウレンは闘いを見届けるべく悟空たちに同行する。

 始まったセルゲームで最初に悟空が闘おうとするがさきに世界チャンピオンのミスターサタンが闘いに出てしまう。だがサタンはあっさり場外に落とされて敗北してしまうのだった。

 そして悟空とセルの試合が始まり、闘いは苛烈を極めたがなんと悟空は降参してしまう。

 そこで悟空が次に闘う戦士として指名した者は孫悟飯だった。

 

 動揺を隠せない悟飯であったが地球の未来を守るために闘うことを決意する。

 その時悟飯が見せた気は先の悟空に匹敵するほどのものであった。セルとの闘いの中で悟飯は『この闘いに意味がない』『ほんとは闘いたくない』と言い出した。それを聞いたセルはそれを笑い飛ばす。だが悟飯はそんなセルのことですら殺したくないという気持ちがあり、自身の隠された力のことをセルに話してしまう。

 

 それを聞いたセルは悟飯の真の力に興味を持ち、逆に悟飯を怒らせてその力を解放させようと考えて悟飯を一方的にいたぶり始める。

 だが悟飯は自身が傷つけられることに怒りがこみあげてくることがなかった。そこでセルは悟飯の仲間たちを傷つければ悟飯が怒ると考え、悟空たちの元へ飛び立ち仙豆を奪い取る。

 仙豆を奪い戻ってきたセルに背後から16号が飛びつき自爆してセルもろとも命を絶とうとするがすでに爆弾はブルマたちの手によって取り除かれており、16号はセルに粉々にされてしまったのであった。

 

「しょせん貴様はドクターゲロの失敗作だったようだな。」

 

 セルは転がった16号の頭を蹴り飛ばし悟空たちを見た。

 

「今度は貴様たちの番だ。1…2…3…4……8人か。…よし。」

 

 そういうとセルの尻尾が大きく開き中から八体の小さなセルに似た生物が出てきた。

 

「さあ行け!セルジュニアたちよ。あの岩の上にいる8人が相手だ。痛めつけてやれ、なんなら殺しても構わんぞ。」

 

「「「キーー!!」」」

 

 セルの言葉に反応し、セルジュニアたちは一斉に岩の上にいるホウレンたちを狙って飛んできた。

 

「気を付けろ!こいつら恐ろしく強いぞ!」

 

 悟空の言うとおりセルジュニアたちの強さは単純に今のベジータやトランクスに匹敵するほどの力を持っていた。飛んでくるセルジュニアに対して全員が戦闘態勢に入るが、ホウレンはなぜか超サイヤ人になっていなかった。

 

「ホウレン、貴様何をしている!さっさと超サイヤ人になりやがれ!あいつらは手を抜いて勝てる相手ではないぞ!」

 

「手を抜いてるわけじゃねえんだ!俺はまだ悟空たちみてえに自由に超サイヤ人に変身できねえんだよ!」

 

「チィッ…!少しは戦力になるかと思ったがしかたない、貴様は仲間と協力しながら闘え!でないと死ぬぞ!」

 

「ああ、わかってる!」

 

 身構えるホウレンたち一人一人の元にセルジュニアがそれぞれ襲い掛かってきた。

 ホウレンたちはなんとかそれに応戦するがセルジュニアの力に圧倒され押され気味になってしまう。そして悟飯はセルがいることによって皆を助けられず、ただ見ることしかできなかった。

 

「や、やめろ…!トランクスさんとホウレンさん以外はも、もう二度と生き返ることはできないんだ……!」

 

「お?僅かに気が膨らみ始めたな。いいぞ、やっと怒りを感じ始めたようだ……。早く真価を見せんと取り返しのつかんことになるぞ。よく見るがいい、ベジータやトランクスでやっと互角の闘いだ。体力を失っている孫悟空も危ない……。」

 

 セルの言うとおりすでに先の闘いで体力を消費した悟空ではセルジュニアとの闘いはきついものであった。それでも悟空はなんとかセルジュニアと闘っているとそこにホウレンがやってきて背中合わせに立った。

 

「悟空、無理すんな!俺も一緒に闘うぞ!」

 

「すまねえホウレン…!まさかこんなことになるなんて思わなかったんだ……!」

 

「俺に謝ってどうすんだ、おまえが一番謝んなきゃなんねえのは悟飯にだ。だからそれまで死ぬんじゃねえぞ!」

 

 お互いの正面にのセルジュニアが襲い来る。二人はその攻撃を同時にかわすとセルジュニア同士が互いに顔を打ち付けて目を回す。

 そこを二人は同時に攻撃しセルジュニアを吹き飛ばした。

 

「ホウレン、なんとか超サイヤ人になれねえんか!?」

 

「なれんならとっくになってるよ!」

 

 セルは悟空とホウレンがともに闘う姿を見てにやりと笑った。

 

「誰だか知らんがなかなかやるではないか、だがもうここまでだ。セルジュニアたちよ!お遊びはそこまでだ!やれ!殺してしまえ!」

 

 するとセルと悟飯の間に何かが投げ込まれる。それは先ほどバラバラにされた16号の頭だった。

 

「ん?」

 

「じ…人造人間……。」

 

「孫…悟飯…。正しいことのために闘うのは罪ではない…。話し合いなど通用しない相手もいるのだ。せ…精神を怒りのまま解放してやれ…気持ちはわかるがもう我慢することはない…。オ…オレの好きだった自然や動物たちを…守ってやってくれ…。」

 

「……。」

 

 セルは16号に近づくとそのまま頭を踏みつぶしてしまった。つぶされた頭はぐしゃりと音を立ててバラバラになった。

 

「……!!」

 

「余計なお世話だ。出来損ないめ。」

 

 その時、セルの言葉に悟飯の中の何かが切れた。

 

「うぉああああああーーー!!!!」

 

 轟音と共に悟飯の周りにとてつもない気の嵐が吹き荒れ爆風が起こり地面にひびが入る。

 そして悟飯の髪が通常の超サイヤ人よりも更に逆上がり、体の周りにプラズマのようなオーラが漂っていた。その変身に周りだけではなくセルすらも驚いていた。

 

「…か、変わった…。」

 

「もう許さないぞ…おまえたち……!」

 

 そう言って悟飯はセルを睨みつけるとゆっくりとセルに歩み寄る。圧倒的な気がびりびりとセルの肌に突き刺さる。

 

「や…やっと真の姿を見せたか。こ、これで面白くなってきたぞ……!」

 

 強がるセルの手元に悟飯が素早く手を出しセルが持っていた仙豆を奪い返した。

 

「き、きさま仙豆を…!」

 

 そして悟飯はセルの横を通り過ぎて悟空とホウレンの元に飛んで行った。

 

「ご、悟飯……。」

 

「ホウレンさん、仙豆です。これでお父さんやみんなを。」

 

「あ、ああ。」

 

 悟飯がホウレンに仙豆を渡すと悟空とホウレンを襲っていたセルジュニアたちが悟飯を挟み込むようにたった。

 

「っ!悟飯、あぶねえ!」

 

「キキッ!キー!」

 

 悟飯を一斉に襲うセルジュニアだったがなんと悟飯は一瞬でセルジュニアたちを粉々に粉砕してしまった。バラバラになったセルジュニアたちはぐちゃりと生々しい音を立てて地面に落ちる。

 

「な…!?」

 

 驚くホウレンをよそに悟飯は別のセルジュニアたちを睨んだ。するとセルジュニアたちは殺された仲間を見て、残った全員で悟飯に襲い掛かった。

 

「「「キャアーーー!!!」」」

 

「はああああーーー!!」

 

 悟飯は襲い来るセルジュニアたちを一撃で葬り去ってしまった。それを見た仲間たちは驚きと同時に信じられないようなものを見る目で悟飯を見た。

 

「悟飯…その姿は一体……?」

 

「へ…へへ…悟飯。ついに出せたんだなおめえの本当の力を……!」

 

「…お父さん。ホウレンさん。もう少し離れていてください。もしかしたら巻き込んでしまうかもしれないから……。」

 

 悟飯はそう告げると再びセルの元へと戻っていった。

 

「いい気になるなよ小僧…。まさか本気でこのわたしを倒せると思っているんじゃないだろうな?」

 

「…倒せるさ。」

 

「…フン、大きく出たな…。では見せてやるぞ、このセルの恐ろしい真のパワーを!かぁあああ!」

 

 セルは急激に気を上げだし一気に爆発させた。その衝撃でセルを中心に爆風が起こり、瓦礫が吹き飛ばされる。

 

「つ、ついにセルがフルパワーの闘いを見せる……。」

 

「なんて気だよ…!こんなもんブロリーとたいして変わんねえじゃねえか……!」

 

「はああああ…!…どうだ。これが本気になったわたしだ…。」

 

「それがどうした。」

 

 そんなとてつもない気を放つセルに対しても悟飯は表情一つ変えることはなかった。

 それを見たセルは小さく笑い、一気に悟飯との距離を詰めて悟飯を殴りつけた。だが悟飯はそんな攻撃をものともせず、逆にセルの腹を思いっきり殴りつけた。

 

「あ…ぐぅ…!この……!」

 

 再びセルは悟飯に殴り掛かるが悟飯はそれを屈んでかわしそのまま立ち上がる勢いに任せてセルの顎を殴りつけ、セルを吹き飛ばした。

 吹き飛ばされたセルは空中で体制を取り直し、素早く着地した。だがダメージが大きくよろけてしまう。

 

「お、おのれ……!ではこれならどうだ!」

 

 セルは遥か上空まで飛び上がり両手に気を込め始めた。

 

「食らえ、全力のかめはめ波だ!避ければ地球が吹っ飛ぶ!受けざるを得んぞ!」

 

「な、なんだと!?」

 

「よしやがれ!冗談じゃねーぞ!!」

 

「かめはめ…波ぁああーーー!!」

 

 全員が慌てふためく中、セルは悟飯に向けて全力のかめはめ波を放った。

 その巨大なかめはめ波に誰もが死を覚悟した。そんな中、悟飯だけが微動だにせず空を見上げていた。

 

「か…め…は…め…波ぁあああーーー!!」

 

「お…おぉおおお!?ぐわぁあああ!!」

 

 悟飯はセルが放ったかめはめ波に対して更に巨大なかめはめ波を放った。そのかめはめ波はセルのかめはめ波をいとも簡単に押し返し、セルを飲み込んだ。

 セルはかめはめ波の威力に体のあちこちが吹き飛びズタズタな体になっていた。

 

「あ…あのガキ。セルのバカでかいかめはめ波を…も、もっとでかいかめはめ波で…!」

 

「す、すげえ!すげえぞ悟飯!」

 

「悟飯!なにをしている!とどめだ!早くとどめをさせ!」

 

「…もうとどめを?まだ早いよお父さん。あんな奴はもっと苦しめてやらなくちゃ…。」

 

「な…なんだと?」

 

「な、なにを言ってるんだ…あいつ。」

 

 セルは体を再生しようと力を込め始めた。悟空はそれを見て、焦って悟飯に訴えかける。

 

「悟飯!とどめを刺せるのはおまえだけだ!早くやれ!これ以上あいつを追い詰めんな!何をするかわかんねえぞ!!」

 

 だが悟飯は悟空の訴えに対して小さく笑みを浮かべてそれを受け流した。

 そしてセルは体を再生し終えるとわなわなと体を震わせて大きく叫びをあげた。

 

「ちくしょう…ちくしょう…!ちくしょぉおおおーー!!」

 

 するとセルの体形が大きく変わり始め巨大で筋肉質な体になり、悟飯の元に降りてきた。

 

「貴様なんかに…貴様なんかに負けるはずはないんだああ!!」

 

 逆上したセルは力に任せた攻撃を繰り返し悟飯を狙うも悟飯はそれを難なくかわし逆に強烈な一撃でセルの頭を蹴り飛ばした。

 

「あ…あぐ…うがああ!…うぷっ!?おごあ…っ!!」

 

 悟飯の強烈な蹴りを食らったセルは突然苦しみ始め、口から一人の女性を吐き出した。

 

「あ…!じゅ…18号だ!18号を吐き出した……!」

 

「あの吐き出された人のこと知ってるのか?クリリン。」

 

「あ、ああ。彼女は人造人間の一人でセルに吸収されてしまったんだ。で…でもなんでセルは18号を吐き出したんだ…?」

 

 18号を吐き出したセルはさらに苦しみ始め、だんだんその姿が変化していった。

 そして面影を残しつつもまったく別の人物へと姿を変えた。

 

「お、おい。セルの姿が変わったぞ。それに気も大きく減っちまった。どうなってるんだ?」

 

「あれは…セルの完全体になるひとつ前の姿です…!」

 

「ってことは、セルは弱体化したってことか!」

 

「ええ、おそらくそうでしょう…!あの姿ならオレでも十分に倒せるレベルです!」

 

 まさかの出来事に周囲が喜ぶ中、悟飯はつまらなそうに顔をしかめた。

 

「ちぇ、つまらない。それじゃあもうおまえも終わりだな…。」

 

「うぐぐぐ…っ!ゆ…ゆるさん…ゆるさなぁああーーい!!」

 

 セルは雄たけびを上げるとさらに体形を変化させ始め、今度は風船のように大きく膨らみ始めた。

 

「な、なんだ?何をするつもりなんだ……?」

 

「き…貴様らはもう終わりだ!あ…あと一分でお、オレは自爆する…。オレも死ぬが貴様らも全部死ぬ!地球ごと全部だ……!!」

 

「な、なに!?」

 

「泣いて謝ってもダメだぞ!も…もうオレにだって止めることはできないんだ……!」

 

「そうはさせるか!!」

 

 なんとかセルを止めようとする悟飯をセルが手を前に出し制止する。

「おっと!攻撃しないほうがいい。このオレに衝撃を与えるとその瞬間に爆発するぞ?もっともほんのちょっと死ぬのが早くなるだけだがな……!」

 

「くっ……!(こんなことになるなんて…!お父さんの言った通りだ!)」

 

 悟飯は膝をつき地面を叩きつける。

 

「く…くそっ!ボ、ボクのせいだ…。は…はやくとどめを刺しておけば……!」

 

「お、おい。これまずいんじゃねえか!?なんとかなんねえのかよ!!」

 

「だめだ…もうどうしようもない…。ち…地球がなくなる……!」

 

「あーはっはっは!!さあ、あと十秒だ!この勝負引き分けに終わったようだな!!」

 

「残念だが、貴様の負けだ。」

 

 自爆寸前のセルを前に何もできない皆の元に誰かの声が響いた。

 

「な…貴様は…誰だ!?」

 

 そこに現れたのはパラガスとブロリーであった。

 

「カカロットはオレが殺す。だから今この星を破壊されてはこまるんだ……!」

 

「ブ、ブロリー!?それにパラガスも……!」

 

 ブロリーは伝説の超サイヤ人に変身するとそのままセルを持ち上げて自分ごとセルをバリアーで包み込んだ。

 

「ブロリー!な…なにをするつもりだ…!!」

 

「ブロリーはあのままやつをバリアーの中に閉じ込め、その中で爆発させようとしているのだ。」

 

「パラガス…!何言ってんだ!そんなことしたらブロリーが……!!」

 

 ブロリーはセルを持ち上げたまま遥か上空に飛びたった。それにセルは激しく動揺する。

 

「き…貴様、正気か!?こんなことをすれば貴様が死ぬだけだ!命を張ってまで地球を守るとでも言うのか!?」

 

 取り乱すセルにブロリーはにやりと笑った。

 

「このオレが星の爆発くらいで死ぬとおもっているのか?」

 

 ブロリーの顔は本気だった。そしてブロリーは大気圏近くまで飛ぶとそこで急停止してさらにバリアーを強くした。そしてついにセルは限界を迎える。

 

「ち…ちくしょぉおおーー!!」

 

 セルはそのままバリアーの中で眩い光を放ちながら大爆発を起こした。バリアーがありながらもその衝撃は凄まじく、ホウレンたちの元まで届くほどだった。そしてセルの気はそのまま消滅した。

 

「セ…セルの気が消えた……。」

 

「ブ…ブロリーはどうなったんだ!無事なのか!?」

 

 ホウレンは空を見上げたままブロリーの姿を探す。すると上空からゆっくりと傷だらけのブロリーが降りてくるのを見つけた。

 

「ブロリー!」

 

「まさかあの化け物に地球が救われるとはな…。おかしな話だぜ。」

 

「はは、ピッコロ!そういうなよ。あいつのおかげでオラたち助かったんだぞ?」

 

「ふっ。まあそうだな。今はとりあえず感謝しておこう。」

 

 ブロリーは真下にいた悟飯の元に降りてきて歩み寄った。

 

「カカロットの息子…悟飯といったか?」

 

「は、はい。」

 

 ブロリーは悟飯の姿をじろじろと観察すると軽く舌打ちをした。

 

「貴様程度がそこまでの気を放つとは思わなかった。どうやらオレもうかうかしていられないらしい……。」

 

「あ…あの。ブロリーさん。ありがとうございました!ボ…ボクが調子に乗ったせいでもう少しで…ま…守れたはずの地球を壊されてしまうところでした…。本当にありがとうございます!」

 

「…フン。カカロットに伝えておけ。今回は助けたが次はない…。オレに殺されるまで負けることは許さんとな。…親父!行くぞ!」

 

「ああ、そうだな。ではさらばだ。ホウレンよ。」

 

「パラガス…ああ。またな!ブロリーによろしく伝えてくれ。」

 

 パラガスは片手をあげてそれに答え、ブロリーと共にその場から飛び去り見えなくなった。

 そして皆が悟飯の元に集まった。

 

「お父さん、ごめんなさい。ボクの油断のせいでみんなを危険な目に合わせてしまって……。」

 

「悟飯。相手だって何しでかすかわかんねんだ。次からは気を付けろ。それで充分だ。すごかったぞ、よく闘った。」

 

「…はいっ!ありがとうございます……っ!」

 

「今はとにかく帰って休もう!チチも心配してっかんな~!」

 

「そうだな。ククッ。悟空は悟飯を闘わせたから叱られるんじゃんねぇか?」

 

「ぃい!?オラもう、くたくただぞ…。」

 

 皆の笑い声に包まれてセルとの闘いは終わった。そして後日トランクスが元の時代に戻る日がやってきた。

 

「母さん、お元気で。」

 

「ええ。トランクスもね!未来の世界も平和にするのよ!」

 

「はい、必ず!」

 

「皆さん、本当にありがとうございました!さようなら!」

 

「元気でな!トランクス!」

 

「また遊びに来てください!」

 

 集まったみんなに見送られてトランクスは無事未来へと帰っていった。

 そしてホウレンは…。

 

「みんな、ちょっといいか?」

 

「なんだよ、ホウレン。どうかしたんか?」

 

「…俺さ。この星から少し離れてみようと思うんだ。」

 

 ホウレンの突然の言い出しに周りがざわめきだす。

 

「みんなには随分と世話になったけど、どうやらここでいくら時間をかけても俺の記憶は戻りそうにない。だから宇宙に出て、何か記憶を戻すきっかけを探してきたいんだ。頼む。俺に宇宙船を貸してくれないか!」

 

 静まり返る中、ブルマがホウレンの元にやってくる。

 

「いいわよ。私が造った宇宙船でよければ、持っていきなさい。」

 

「いいのか!?」

 

「ええもちろん!記憶を戻すの…手伝ってあげられなかったから、せめてそれくらいはさせて頂戴。」

 

「ブルマ…!ありがとう!」

 

「そっか…ホウレン。おめえともお別れか。寂しくなんな……。」

 

「悟空……。わりいな。でももう決めたことなんだ。いつかまた地球に帰ってくるよ。」

 

「…そうか。わかった。元気でやれよ!また会おうぜ!」

 

「ああ!悟空こそ元気でな!」

 

 そしてホウレンはブルマに宇宙船を用意してもらい宇宙船に乗り込んだ。

 

「みんな、またな!何年かしたら絶対に顔を見せに来るから、出迎えよろしく頼むぜ!」

 

「ホウレンさん、お元気で!」

 

「悟飯もな、勉強頑張れよ!」

 

「次はもっと強くなってこい、オレも相手になってやろう。」

 

「ベジータ、そんときはお手柔らかに頼むぜ?」

 

「じゃあなホウレン!ブロリーにはオラから伝えといてやっから、心配すんな!」

 

「お、おう。そっちのほうが心配な気が…。まあいいや、頼んだぜ悟空!いつかまた勝負しようぜ!」

 

 そしてホウレンは記憶を求めて宇宙へと旅立った。

 こうしてホウレンたちの闘いは終わった。だが、この闘いは数年後の長い闘いの序章に過ぎなかったことをホウレンたちはまだ知らない。

 果たして、これから先ホウレンたちのもとに何が起こるというのであろうか……。




次回から第一章が始まりますのでお楽しみに!

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