ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~ 作:月下の案内人
「カカロット…!まずおまえから血祭りにあげてやる!」
ブロリーはそう言って悟空を指さし、悟空に急接近してきた。悟空は何とかそれに反応して攻撃をかわし超サイヤ人の状態で気を最大まで高める。
「ホウレン!おめえはパラガスを頼む!悟飯!トランクス!オラたちも全開で行くぞ!!」
「「はい!!」」
悟飯とトランクスは超サイヤ人に変身して気を最大に高めブロリーへと向かっていった。そして残ったホウレンはパラガスと対峙する。するとベジータの様子が何かおかしいことに気が付いた。
「伝説の…超サイヤ人…。」
「ベジータ、どうしたんだ!伝説の超サイヤ人がいるんだぞ!闘いにいかねえのか!?」
「殺される…みんな殺される…!やつは伝説の…超サイヤ人なんだ…!」
「ベジータ!?どうしたんだ、らしくないぞ!」
明らかに様子がおかしいベジータにパラガスは小さく笑った。
「純粋なサイヤ人であるベジータ、お前だけが本能的にブロリーの強大さと極悪さを理解できたようだな。だがもう遅い!ブロリーがオレのコントロールから外れ伝説の超サイヤ人となってしまった以上…。ブロリーと二人で全宇宙を支配しようとしたオレの計画も…何もかもおしまいだ…!」
「コントロールだと…!?おまえブロリーに何かしてやがったのか!」
「そうだ!私は科学者にブロリーを自在にコントロールする装置を作らせ、それによってブロリーの力を制御していたのだ!」
「ふざけんな!自分の息子だろ!そんなことして…あんたそれでも親かよ!!」
「だまれ!オレたち親子がこいつの父ベジータ王をどれだけ憎んでいたか貴様にはわかるまい!その昔、驚異的なブロリーの戦闘力をしったベジータ王はブロリーが将来ベジータの地位を脅かすと思い、オレたち親子の抹殺を謀ったのだ!そして、オレたち親子はゴミのように捨てられた。だがオレたちは助かった!ブロリーの偉大な潜在パワーが、死の淵からおのれの身を守ってくれたのだ!オレは…それ以来ベジータ!お前たち親子に復讐することだけを思って生きてきたのだ!」
「黙って聞いてりゃ、なんだそりゃ!?結局悪いのはベジータじゃなくてそのベジータ王ってやつだろーが!それどころか復讐を名目に自分の息子まで利用して恥ずかしくねえのか!」
「……ブロリーの力は強大すぎた。成長するにつれて親のオレが恐怖を感じるほどにな。このまま行けば宇宙はブロリーの手によって破壊しつくされてしまう。仕方がなかったのだ!」
「何が仕方がなかっただ!あんた少しでもブロリーを説得したのかよ!もっと他に方法があったはずだろ!?」
「問答はここまでだ貴様もサイヤ人だろう?来い!オレが直々に始末してやろう!」
「上等だよ…あんたは俺がこの手で倒す!」
二人はへたり込むベジータを置いてその場を離れ街の中に降りて行った。
一方そのころブロリーと闘っている悟空たちは三対一という状況ですら意味がないというほどの力の差があり、闘いは困難を極めていた。
「ハハハハ!どうしたカカロット貴様の力はその程度か!」
「おでれえたぞ!ブロリー、おめえほんとつええな…!だけどよ、オラたちもまだまだこっからだぞ!でりゃあああ!!」
悟空はブロリーに突進し頭に左足で回し蹴りを食らわせ、即座に右足で追撃を与える。
だがブロリーはビクともせず悟空の右足を掴みビルの壁へ投げつける。悟空はそのままいくつもビルを貫通して吹き飛んでいった。
「バーニングアタック!」
「む!?」
悟空を投げ飛ばしたブロリーを狙って上空からトランクスが巨大な気弾を放った。放たれた気弾はそのままブロリーに直撃し、その周囲をすべて巻き込んで大爆発を起こした。
「……っ!」
だがブロリーはその攻撃も特にダメージはなく、煙の中からトランクス目掛けて緑色の気弾を大量に撃ってきた。トランクスは両手を構えその気弾を防ぎ続けるがだんだんと後ろに押されていった。そこに悟飯がトランクスを助けるためにブロリーを横から狙った。
「魔閃光!!」
悟飯に気づいたブロリーは気弾を撃つ手を止めて、悟飯の魔閃光を左手で受け止め、消滅させてしまった。そして悟飯に向かって走り出し、気弾で悟飯を吹き飛ばす。吹き飛ばされた悟飯はそのまま建物に激突し突き出していた鉄筋に引っかかり気を失う。
「悟飯さん!」
「次はお前だ……!!」
「うわああああ!」
飛び上がったブロリーはトランクスの頭を鷲掴みにして地面へ投げ飛ばし、トランクスは地面に叩きつけられた。さらに追い打ちの巨大な気弾が落とされるがそこに悟空がトランクスの前に現れ、ブロリーの気弾を弾き飛ばした。
「大丈夫か!トランクス!」
「く…っ!大丈夫です!それより悟飯さんが!」
ブロリーは悟空たちから目をそらして気を失った悟飯を見てにやりと笑った。
「カカロット、息子がかわいいか?」
「!!おめえ、何する気だ!」
「フハハハハハ!」
ブロリーは高笑いしながら右手を構え、悟飯に向けて巨大な気弾を放った。
「やべえ!悟飯ー!!」
悟飯に気弾が当たるその瞬間、別の方向から放たれた気弾によってブロリーの気弾は悟飯をそれて隣の建物を破壊した。
「そうなんでも思い通りになると思わないことだ。」
「……誰だ?お前は。また一匹虫ケラが死にに来たのか?」
「フン、バケモノめ。好きにしろ。」
悟飯を助けたのは地球にいるはずのピッコロであった。
「オレがバケモノ…?違う、オレは悪魔だ!ハハハハハハ!!」
ピッコロは高笑いするブロリーを無視して気絶した悟飯を抱きかかえ地面に下した。
「悟飯、仙豆だ食え。」
ピッコロは気絶した悟飯に何とか仙豆を食べさせると、悟飯は意識を取り戻した。
「う…うう…ピッコロさん?ピッコロさん!どうしてここに!?」
「悟空と界王様の通信を聞いてな。瞬間移動できないのが悔しかったぜ。」
「ピッコロ!」
ピッコロと悟飯がいる場所に悟空とトランクスも合流する。
「ピッコロ、よく来てくれたな!悟飯を助けてくれてありがとな!」
「……今まで感じたことのない何か…身震いのするような凄い気を感じた。おまえたち、すげえバケモノ相手にしてたんだな。」
「ああ。ピッコロも手ぇ貸してくれ!」
「無論だ。さあ行くぞ!!」
~街はずれ 広場~
ここではホウレンとパラガスが一対一で闘っていた。状況はホウレンが遥かに優勢である。
「うぉりゃああ!」
「ぐうっ…!」
ホウレンは右足の蹴りでパラガスを蹴り飛ばした。飛ばされたパラガスは地面を転がりながらもすぐに体制を取り直す。
「はぁ…はぁ…くそっ!貴様のような見ず知らずのサイヤ人にこうも押されるとは……!」
「あんたも随分タフだな……!いい加減倒れとけよ!」
「フフ…ここでオレを倒したとてもう間に合わん。彗星の衝突に巻き込まれ貴様らは全員死ぬのだ!…かわいそうだがブロリーも一緒にな。」
「……あんたにも子供を死なせたくないって思いはあんのか?」
「……当たり前だ。もともとベジータ王に抹殺を命じられたのはブロリーだけだ。だがオレはそれを助けようと必死に説得した。だがベジータ王にはオレの声は届かずこのオレも息子と共に葬られたのだ…。」
「……必死に王を説得しようとしたあんたが復讐のためとはいえ、どうしてその大事な息子を利用なんかしてんだよ。」
「言ったはずだ!仕方がなかったと!オレにはあのやり方しかなかったのだ!それに今更何を言ったところで結果は変わらん!ここでブロリーに全員殺されるか、彗星の爆発によって死ぬかのたった二つしかないのだ!それがなぜわからん!」
「二つじゃねえ、まだもう一つ残ってんだろうが。」
「なんだと…!?」
ホウレンはにやりと不敵な笑みを浮かべてパラガスの胸元を掴み顔を近づけた。
「あんたもブロリーも含めて全部丸く収めて地球に帰る、それが最後の一つだ!」
パラガスはあまりにも自信満々に無茶を言うホウレンに一瞬呆けた。
「馬鹿を言うな!貴様はブロリーを倒して地球に帰るというのか!?そんなこと貴様らにできるわけがない!」
「やるしかねえだろ。それと一つ勘違いしてるぜパラガス。」
「勘違いだと…?」
「そうだ。確かにブロリーを倒さない限りブロリーは止まらない。だけど殺す必要はねえ。俺はあんたもブロリーも連れて地球に帰るんだ。あいつの力なら破壊だけじゃなく、守ることにだって使えるはずだ。」
「なんだと……!?貴様何を言っているのかわかっているのか!?ブロリーは破壊を楽しむ凶悪な性格をしている。だからオレが制御装置でコントロールしてきたのだ!それを連れて帰るなどと、そんなことしたら地球はおろか、北の銀河一帯はブロリーの手によって破壊しつくされてしまう!それにオレはベジータ親子に復讐することを生きがいとしてきたのだ!今更これを変えることはでき__」
「__馬鹿野郎が!!」
気が付くとホウレンはパラガスをぶん殴っていた。突然のことにパラガスは呆然とホウレンを見上げる。
「親のあんたが息子を信じてあげらんねえでどうすんだ!それに王はとっくに死んだんだろ!?いい加減あんたも後ろばっか見てねえで前見て生きやがれ!!」
「……オレは!」
「ホウレン!!あぶねえ避けろ!!」
パラガスに説教をしていると遠くから悟空の切羽詰まった声が聞こえてきた。すると上空にはブロリーが立っており、ホウレン達目掛けて超巨大な気弾を放ってきたのだった。
「ハッハッハ!消えろ!!」
「パラガス避けるぞ!」
しかしパラガスは倒れた状態から一切動こうとせず、うなだれていた。
「くそっ!こうなったら……!」
ホウレンは上空から迫りくる気弾を両手で抑え、ギリギリの状態で気弾を抑え込み、全力で踏ん張った。限界まで気を上げていても徐々に気弾に押されはじめ、ホウレンの顔は険しくなっていく。
「ぐぬぬう……!!俺は…諦めねえぞ…!あんたら二人ともぜってーに仲間にしてやるかんな…!そのためにもここで…負けてられるかぁああ!!」
その時ホウレンの髪が金色に輝いた。極限の状況で超サイヤ人のパワーが目覚めたのだ。だが不思議とホウレンは変身に動揺はなく、どこか懐かしい感覚になっていた。
「だらああああああ!!」
「なんだと!?ぐぁああああああ!!」
そしてホウレンはそのまま、気を更に限界以上に引き出しブロリーの気弾をブロリーにはじき返した。予想外の出来事にブロリーは動揺し、自らの気弾に直撃し後方へ吹き飛んだ。
次回ちょっと長くなります。