ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~ 作:月下の案内人
ついに闘う意思を見せたアスイはダガーを取り出し魔理沙たち四人を冷たい視線で見つめた。異変の元凶であるアスイを倒そうと四人はより一層力を込めて構えた。
「貴方を倒してこの幻想郷の平和を取り戻してみせます!たあ!」 大奇跡『八坂の神風』
早苗がスペルカードを発動するとアスイの周りに凄まじい風が起こり、更に周りを弾幕が覆った。
だが弾幕はアスイの周りを回るだけで攻撃はしてこなかった。
「……目くらましか。甘い……!」
アスイは気配を察知して後ろの弾幕に向けてダガーを振り、斬撃を飛ばした。そこにはアスイを後ろから狙っていた鈴仙がいたが鈴仙はその斬撃を紙一重でかわした。
「あ…あぶなかった~!まさかあの弾幕の中からでもこっちの動きが読めるなんて……!」
「こっちは四人とはいえあの男の力はまだ未知数です!油断していたらすぐに氷漬けですよ!」
「なるほど……!だったら小細工なしの全力でいくぜ!」
魔理沙は箒に乗ってアスイの上空に回り、八卦炉に魔力を溜める。
「くらいやがれ!」 星符『ドラゴンメテオ』
そのまま真下のアスイを岩山と弾幕ごと広範囲のレーザーで撃ちぬいた。アスイはそれをダガーで受け止めるが足元の岩山が砕けてしまいそのまま地面に押し付けられた。
「……ハア!」
アスイはダガーに力を籠めるとそのまま魔理沙のドラゴンメテオを真っ二つに切り裂いた。
そして上空にいる魔理沙を見ると魔理沙はすでに次のスペルを用意していた。
「これならどうだ!!」 恋符『マシンガンスパーク』
魔理沙はアスイ目掛けて大量のマスタースパークを放った。一発一発を全力で放ったその破壊力は並大抵のものではない。
さすがのアスイもその攻撃を回避しなくてはダメージを受けると判断した。
「させません!!」
その行動をすかさず妖夢が斬撃による弾幕をいくつも張り巡らせてアスイの動きを止めることによってアスイは降り注ぐマシンガンスパークを全て体で受け止めることになった。
激しい爆音。舞い上がる土煙。魔理沙はとにかくたくさんマスタースパークを撃ち終えると疲れ果ててフラフラと妖夢の元へ降りたった。
「……妖夢。サポート助かったぜ……。」
「お役に立ててなによりです。それより大丈夫ですか?」
「ああ……随分魔力を使っちまったけど、まだ闘える。」
「……無茶しすぎです。」
二人の元へ鈴仙と早苗が駆けつけてくる。
「魔理沙さん!ご無事ですか!?」
「あんなにたくさんマスタースパークを撃って……それじゃあ最後まで魔力が持ちませんよ?」
「構わないさ。その前にあいつを倒してやる……!」
「……今の連携はなかなかだったぞ。」
「「「!!」」」
土煙の中からアスイの声が聞こえてくる。今の攻撃で倒してはいないと分かってはいたものの、いざその声を聞いて四人は息を飲んだ。
それぞれが本当は心のどこかで今の攻撃で倒れて欲しいと思っていたのだろう。
だが土煙の中からアスイはゆっくりと歩いて出てきた。それどころか服が若干破れて口から少しだけ血を垂らしている程度のダメージだった。
「ちぇっ、私の全力のスペルでその程度かよ……。」
「……少しは諦める気になったか?」
「冗談じゃない、諦めるわけないだろ!」
「そうです!貴方はなんとしてでもここで倒してみせます!」
「……そうか。……ならばそろそろ俺からも攻撃させてもらうとしよう!」
「__っ!?げふっ……!!」
アスイは瞬きの瞬間に早苗の懐に入り込んでその腹に掌底突きを当てて早苗を後方に吹き飛ばした。
「早苗!?」
「……よそ見をしている余裕があるのか?」
「っ!くそっ!!」
魔理沙は後ろから聞こえてきたアスイの声に反応して箒を振り回した。だがアスイはそれを軽く避けると魔理沙に回し蹴りを当てて早苗とは別の方向に吹き飛ばし、更にすぐ隣の妖夢をダガーで狙った。
「くっ!やあー!!」
妖夢はそのダガーを片方の刀で受け止めてもう片方の刀でアスイを斬りつける。アスイはそれを飛び上がって回避し、そのまま妖夢の顔を蹴りつけた。
たまらず妖夢はその場でよろけて更にもう一発蹴りをくらって地面に滑り込む。
「これ以上好き勝手はさせない!」 狂夢『風狂の夢(ドリームワールド)』
鈴仙は大量の弾幕を放ってアスイを完全に包囲した。
「少しでも動けば弾幕の餌食!貴方は動けないわ!」
「……動く必要はない。」
そう言ってアスイは目を見開いて全体に気を放出した。するとアスイを囲っていた弾幕が一瞬にしてすべて凍り付き、そのまま砕け散った。
「!!」
「……吹き飛べ。」
アスイは鈴仙に向けて手を伸ばして強い衝撃波を放った。衝撃をくらった鈴仙は踏ん張ったものの耐えきれずに地面を転がった。
「うう……ちょっと強すぎじゃないの?」
「……おまえたちでは俺に勝つことはできない。諦めて降伏するなら逃がしてやってもいいが?」
「あ…諦めるわけにはいきません……!私は絶対にホウレンさんたちを救って見せます!」
「妖夢の言うとおりだぜ。だいたい降伏したところで幻想郷が支配されちまうなら凍っちまったほうがましってもんだ!」
「……ならば望みどおりにしてやろう……!」
アスイは目を鋭くしてより一層体から放つ凍気を強めた。
~永遠亭~
闘いが激しさを増す中、永遠亭で凍り付いたホウレンは意識だけが戻り始めていた。
(……俺はどうなったんだ?)
ホウレンは意識がぼんやりとしたまま体を動かそうとするが凍ってしまっているため何も動かない。仕方なくそのまま自分の状況を頭の中で整理し始めた。
(俺は確か……アスイとかいう男と闘ってそれで……。)
アスイと闘った時のことをゆっくりと思い出す。そして最後に自分がどうなったのかを思い出して意識がはっきりと戻った。
(そうだ、俺は妖夢を庇ってアスイに氷漬けにされちまったのか……!あの後どうなったんだ?妖夢は無事なのか?くそっ!誰かいないのか!)
すると部屋の中に永琳が入ってきた。
(誰か入ってきた!頼む気づいてくれ!)
必死に自分が意識を取り戻したことを永琳に伝えようと体に気を込めると永琳はわずかな力の乱れに気づきホウレンのことを見た。
「……もしかして貴方!意識が戻ってるの!?」
(よし!気づいてくれたか!頼む、氷を何とかしてくれ!)
「……話すことは出来ない……か。でもなんとなく言いたいことはわかるわ。ごめんなさい。私の力では貴方を覆っている氷を解かすことは出来ないの。」
(そ、そんな!ちくしょう、俺はここから動くこともできねえのか!!)
「貴方に状況を説明しておいてあげたほうがいいかもね。貴方はアスイという男に凍らされてここに運び込まれたの。ベジータたちにね。それと妖夢はそのベジータたちに助けられたから無事よ。」
(ベジータが助けてくれたのか……!よかった!)
「……でもね。それから魔人たちが人里に向けて一斉に行動を始めたの。それから人間たちを助けるために妖夢もウドンゲも人里に向かったわ。」
(な、なんだと!?ってことは妖夢たちはあの魔人たちのところにいるってのか!!)
「そしてベジータとトランクスもまた敵の策略で地底に閉じ込められてしまって助けに行くことが出来ない。幻想郷はかつてないほどの大ピンチかもしれないわ……。」
話を聞き終えたホウレンは自分も人里に向かいたいという気持ちでいっぱいになり、なんとか氷を砕こうと気を高め始めた。
(壊れろ!壊れてくれ!俺はこんなところで凍ってる場合じゃねえだろ!!)
ホウレンは凍り付いたままで超サイヤ人に変身して更に気を上げ続けるが氷はまったく壊れてくれない。
「もしかして中から氷を砕こうとしているの?危険よ!下手したら貴方まで粉々になってしまうかもしれないわ!」
永琳の制止を声を聞きながらホウレンはそれでも気を高め続けた。そして限界まで気を高め終えてもなお、氷は壊れてはくれなかった。
(駄目なのか……?俺はあいつらを助けに行けないのか?くそ……くそっ……!!)
ホウレンは激しく怒りを覚えた。アスイに対して、魔人たちに対して、そして何よりも負けたことによってで妖夢たちを危険な場所に行かせてしまった不甲斐ない自分に対して……。
怒りが頂点に達したとき、ホウレンの気が急激に膨らみ始めた。激しい気の上昇によって大気が震え始める。
「なに?この大気の震え……もしかして貴方の力なの?」
(俺は……絶対にあいつらを助けに行くんだ!!だぁあああーー!!)
その時ホウレンの体が激しく光るとホウレンを覆ってた氷がすべてはじけ飛んだ。
驚いた永琳はすぐにホウレンを見るとそこに髪の毛が更に激しく逆立ち、体の周りに電撃のようなものを纏ったホウレンが息を切らして立っていた。
「はぁ……はぁ……っ!!」
「あ…貴方、あの氷を無理やり壊して出てきたっていうの!?そんな無茶して下手したら死んでいたかもしれないのよ!」
「……人里への方角を教えてくれ。」
「……貴方まさか助けに向かうつもりなの?」
「そうだ。頼む。」
ホウレンは真剣な眼差しで永琳を見つめた。少しの間考えた永琳だったがホウレンから激しい怒りを感じて、止めるのは無駄と判断した。
「はぁ……。医者としては止めたいところだけど、何を言っても駄目そうね。……いいわ。私が竹林の出口まで案内してあげましょう。でも私はここを守らなくてはいけないからそこまでしか行けないわ。」
「ああ。それで充分だ。」
「じゃあついて来なさい。急ぐわよ。」
(今行くぞ妖夢。今度は絶対に守りきってみせる!)
ホウレンは怒りのパワーによってついに自らを覆っていた氷を砕き復活を遂げた。
果たしてホウレンはみんなを助けることが出来るのであろうか。
そして悟空とフランは魔人たちからレミリアたちを救うことが出来るのであろうか……。
ちょっとリアルの方が忙しくなってきたので少しだけ更新ペースを落とします。