ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~   作:月下の案内人

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巫女の誘い 神々が住まう神社

 ここは幻想郷のとある山、そこを飛び回りながら大声で叫ぶ者がいた。それは仲間を探し回るピッコロであった。

 ピッコロは幻想郷に落ちるとすぐに周りの状況を把握し、あちこちで情報収集を行っていた。仲間を探し回ること数時間、ピッコロはとにかく広範囲に捜索を続けていたが今だ誰一人見つけることが出来ていなかった。

 

「……ここにも気を感じないか。あいつら一体どこに飛ばされやがったんだ?……早く合流せねばなるまい。……先を急ぐか。」

 

 ピッコロがその場から飛び立とうとしたその時、遠くから何者かがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。

 

「待ちなさい!」

 

 飛んできたのは緑色の長髪で頭に蛙と白蛇のアクセサリーをつけた巫女装束の少女だった。

 少女は勢いよく飛んでくるとピッコロから少し離れた場所で急停止した。

 

「なんだ貴様。このオレに用でもあるのか?」

 

「貴方ですね!幻想郷のあちこちを徘徊している妖怪というのは!」

 

「誰が妖怪だ!誰が!!」

 

「貴方のような人間がいるはずありません!緑色だし!」

 

「ほっとけ!人を見かけで判断するんじゃない!」

 

「じゃあ、人間なんですか?」

 

「……いや、人間ではないが。」

 

「じゃあ、やっぱり妖怪ですね!貴方は私が退治します!」

 

「なぜそうなる!」

 

「問答無用です!」        奇跡『客星の明るい夜』

 

 ピッコロの話も聞かずに少女は左右に二つの光源を創り、きらきらと輝くレーザーを放った。

 

「チッ、仕方ない。少し黙らせてやろう。」

 

 ピッコロは少女のレーザーが当たる寸前にその場から消えた。

 

「消えた!?ど、どこに!!」

 

「馬鹿め、後ろだ。」

 

「え!?」

 

「カァア!!」

 

 ピッコロは少女の手を掴み地面に向けて投げ飛ばした。投げ飛ばされた少女はなんとか体制を立て直して地面を滑るように着地する。

 

「くっ!な、ならばこれはどうです!」        秘術『グレイソーマタージ』

 

 少女を中心に星形の弾幕が形成され、ピッコロに向けて弾けるように飛んできた。

 

「ジュエリャアアア!!」

 

 ピッコロは飛び交う星型の弾幕を全て素手で粉砕した。

 

「そんな!?弾幕を素手で打ち消すなんて……!」

 

 驚く少女をよそにピッコロは少女から数メートル離れた位置に降りてきた。

 

「面白い技だが、まだまだ無駄が多いな。」

 

「ま、まだ!」

 

 少女が胸元から札を取り出そうとすると、瞬く間にピッコロは間合いを詰め、少女の首元に爪を突き付けた。

 

「うっ!」

 

「……貴様の負けだ。降参しろ。」

 

「ううっ……参りました。私の負けです……。」

 

「よぉし、それでいい。」

 

 ピッコロは突き付けていた爪を下ろした。

 

「……貴方は何者なんですか?こんなに強い妖怪は初めて見ました。」

 

「違うと言っているだろう!オレはナメック星人だ!」

 

「ナメック星人…え?う、宇宙人ですか!?」

 

「ああそうだ。妖怪ではない。」

 

「凄い!宇宙人ってこんなに強いんですね!」

 

「いや、別に宇宙人が全員強いわけでは__」

 

「やっぱりここでは常識に囚われてはいけないようです!」

 

「聞けよ……。」

 

「私は東風谷早苗っていいます!貴方は?」

 

「……ピッコロだ。」

 

 早苗は先ほどからなぜか興奮した様子で鼻息を荒くしてピッコロに詰め寄った。

 

「ピッコロさんですね!是非うちの神社に来てください!」

 

「先ほどまでオレを退治すると言っていたやつについて行けと?」

 

「それは……えっと……。」

 

 ピッコロの言葉に早苗は口ごもり、ばつが悪そうに顔をそらした。

 

「まあいい、今回は見逃してやる。だが神社には行かん。」

 

「そ、そうですか、残念です……ちなみに本当に悪い妖怪じゃないんですよね?」

 

「安心しろ。オレは別れてしまった仲間たちを探しているだけだ。」

 

「え?そうだったんですか…!?わ、私ったらなんて失礼なことを…!す、すみませんでした!」

 

 勘違いと知った早苗はピッコロに深々と頭を下げて謝罪した。

 

「分かればいいんだ。オレはもういくぞ。」

 

「あ…待ってください!私の神社に来れば何かわかるかもしれませんよ!」

 

 早苗はその場から立ち去ろうとするピッコロを呼び止めた。ピッコロは早苗の言葉に反応し、もう一度早苗の顔を見た。

 

「ほう?どういうことだ……。」

 

「えっと、私の住む守矢神社には二人の神様がおられます。」

 

「神だと……?」

 

「はい、あのお二人なら何か知っているかもしれません。どうですか?一緒に来ていただけませんか?」

 

「……(なぜこの娘がこうもオレを神社に連れて行きたいかはわからんが…二人の神…か…。)」

 

 ピッコロは少し考えた結果、今は少しでも情報を得たいと考えた。

 

「……よし、いいだろう。案内しろ。」

 

 ピッコロがそう言うと早苗はとても嬉しそうな笑顔でピッコロの顔を見上げた。

 

「やった!来てくれるんですね!ありがとうございます!」

 

「ああ、ただし襲ってくるなら容赦はせん、神だろうがなんだろうがオレがまとめて始末してやる。わかったな?」

 

「は、はい!わかりました!では、私についてきてください。」

 

 早苗が山の奥へ飛んでいき、ピッコロはそれを追っていった。飛んでいる最中に早苗はとある質問をしてきた。

 

「そういえばピッコロさんは外の世界の方ですか?」

 

「なに?貴様、なぜそのことを。」

 

「いえ、こちらの世界では見ない服装だったので。そうなのかな?……と。」

 

「なるほど……そうだ。確かにオレはこことは別の次元から来た。」

 

「何をしに?」

 

「……少し大事な用があってな。人を探しに仲間とやってきた。」

 

「へぇ…。あ、見えてきました。あそこが私が住む守矢神社です!」

 

 早苗が指さした先には立派な神社があった。だがどう考えても人が寄り付きそうにない所に建ててあり、ピッコロは少し疑問に思うも神様の神殿と同じようなものかと納得して何も言わなかった。 

 二人はそこまで飛ぶと境内の中に降りたった。

 

「……ここが二人の神が住まう神社というところか。」

 

「神奈子様~!諏訪子様~!ただいま戻りました!」

 

 早苗が呼ぶと神社の中から二人の女性が出てきた。

 先に出てきた女性は紫がかった青髪にしめ縄のような髪飾りをつけ、背中には更にしめ縄を大きな輪にしたようにつけている。

 

「おかえり、妖怪退治はどうだったんだい?」

 

「そ、それはその……。なんていうか…私の勘違いだったみたいで。」

 

 神奈子に続いて次に出てきたのは金髪の頭の上に市女笠に目玉のようなものがついた不思議な帽子を被った女性だった。

 

「おかえり。勘違いだったのはいいんだけど…あの人誰?」

 

 諏訪子がそう尋ねると早苗は気まずそうに顔をそらした。

 

「その…私が退治しようとしてしまった方です……。でもこの人凄いんですよ!私の弾幕がまるで歯が立たなかったこともありますが何より!なんと宇宙人らしいんですよ!」

 

「ふーん……。ようこそ、守矢神社へ。」

 

「……あんたたちがここの神か?」

 

「おほん!その通り、我がこの守矢神社の神である八坂神奈子だ。」

 

「またカッコつけちゃって……。同じく洩矢諏訪子だよ。よろしくね。」

 

「ああ、ここには聞きたいことがあって来た。」

 

「聞きたいこと?なんだい、それは。」

 

「オレはこの世界に来て間もない。どこかにオレのように仲間を探しまわる外来人とやらを見かけていないか?」

 

 ピッコロの問いかけに二人は考え込んだ。

 

「仲間を探す外来人かー。」

 

 思い当たる節がなさそうな諏訪子とは裏腹に神奈子はなにかを思い出そうとしていた。

 

「むぅ…。確か昼頃にどこかで見かけたような……?」

 

「あれ?神奈子様、お昼に出かけてらしたんですか?」

 

「ちょっと散歩にね。……そういえば、人里に見慣れない恰好の子供が一人いたな……。」

 

「……!悟飯か!」

 

「え?さすがに夕ご飯にはまだ早いですよ?」

 

「いや、飯のことじゃない。悟飯というのは仲間の名前だ。」

 

「へぇ、変わった名前だね。じゃあ、君はすぐに人里に行くの?」

 

「そうだな、今は一刻も早く仲間と合流するべきだ。」

 

「ええ~!もう行っちゃうんですか?……せっかく強さの秘密を聞こうと思ってたのに……。」

 

 早苗は周りに聞こえない程度の声で本音を漏らすが生憎ピッコロの聴覚は常人よりも遥かに優れていたため、ピッコロには丸聞こえであった。

 

「なるほど、それが貴様の真の目的だったか。」

 

 ピッコロにそう言われ、早苗はギクリとした。その様子を見てピッコロは面白そうに笑った。

 

「まあいい、またここに来る機会があればオレの強さの秘密を教えてやろう。」

 

「ほんとですか!?やったー!嘘じゃないですよね?」

 

「ああ。ちゃんとオレが『鍛えて』やろう。」

 

「ありがとうございます!またいらしてください!」

 

 踵を返すピッコロに神奈子と諏訪子が順々に話しかけてきた。

 

「もう行くのかい?」

 

「ああ。情報をありがとよ。」

 

「一応、人里の場所はわかるよね?」

 

「ああ、ここに来る前に何度か通った。」

 

「そっか、じゃあ大丈夫かな?また来なよ。」

 

 返事をするように片手をあげて、ピッコロは人里へ向かって飛び去った。

 

「……あの人も今回の異変に巻き込まれたのかな?」

 

「さあね。もしそうだとしたら、またすぐに会うことになりそうだ。」

 

「いや~楽しみです!ってあれ?『鍛える』……?」

 

 早苗と出会い仲間の情報を得たピッコロは次に人里に向かうことにした。ピッコロは無事に仲間と合流することが出来るのだろうか……。

 

~???~

 

「……やっぱりダメみたいね。」

 

「やはり外界との接触が不可能に?」

 

「ええ…そうみたいなの。向こうからは入ってこれるのに、こちらからは外界に干渉できないなんて……面倒なことになったわね。」

 

「では、いかがなさいますか?紫様。」

 

「そうね……。しばらく様子を見ましょう。迂闊に手は出せないわ……。」

 

「はい、わかりました。」

 

「それと…面白そうな連中が外界から入ってきたみたい……行ってみましょ?藍。」

 

「はい、紫様。」


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