ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~   作:月下の案内人

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今回はベジータ回です。


情報を求めて 竹林に住む者たち

 皆がバラバラに幻想郷に入ったとき、ベジータは広い竹林の中に落ちていた。

 その竹林は深い霧がかかっており、更にまるで迷路のように複雑な場所だった。

 ベジータは竹林の中を飛び回り仲間たちを探すがそこには誰も見当たらず、探し続けること数十分の時間が経過した。

 

「くそっ、あいつらどこに行きやがったんだ?」

 

 苛立つベジータは皆を探すことをやめ、行動を変えることを考えた。

 

「……仕方ない。先に博麗の巫女とやらを探しに行くか。目的は一緒だ、あいつらもそこに必ず来るはず……よし、そうと決まればまずは情報収集だ。」

 

 ベジータは情報を集めるために竹林から出ようと空へ飛びあがるがなぜか上がっても上がっても竹の上に出ない、変に思ったベジータは一度地面に降りた。

 

「妙な力がかかってるみたいだな。くそっ、歩いて出口を探すしかないか。」

 

 ベジータは仕方なく竹林の中を歩き出した。そこからさらに数時間が過ぎた。だが一向に竹林から出られないベジータは苛立ちが限界近くに達していた。

 

「ええい!こうなったらこの竹林を妙な力ごとぶっ壊してやる!ギャリック……!!」

 

「ちょっと待った!あんたなにやってんだ?」

 

「!?」

 

 竹林に向けてギャリック砲を放とうとしたその時、後ろから誰かがベジータを呼び止めた。

 ベジータはそれに気が付き、技を放つのをやめて後ろを向いた。するとそこには白い長髪で頭のてっぺんに大きなリボンをひとつ、髪の先に小さなリボンをいくつかつけている女性がいつの間にかそこに立っていた。

 

「……なんだ貴様。いつからそこにいやがった。」

 

「いま来たばっかだよ。私は藤原妹紅、この竹林に住んでる人間さ。まあちょっと普通と違うがね。」

 

「何が違うのかわからんがちょうどいい。ここに住んでいる者なら出口もわかるんだろう?オレをそこに案内しろ。」

 

「それは構わないが、おまえこんな竹林の奥深くまでどうやって来たんだ?ここには妖怪とかもたくさんいるはずだけど……。」

 

「フン、そんなもの聞くまでもないだろう。全員ぶっ飛ばしてやっただけだ。」

 

「……あんたほんとに人間か?じつは妖怪とかじゃないよな?」

 

「そんなわけないだろう、オレをそんなものと一緒にするな!」

 

「ふーん。まあいいか。あんた名前は?」

 

「わざわざ教える必要はない。とっとと道を教えろ。」

 

「そんなこと言ってると教えてあげねえぞ?教えてほしけりゃ素直に言うこと聞くんだね。」

 

「ちっ。……オレはベジータ。戦闘民族サイヤ人だ。」

 

「なんだ、やっぱり人間じゃないんじゃないか。」

 

「貴様らから言うと正確には宇宙人といったところだ。」

 

「へえ、宇宙人か。また珍しいお客さんだ。」

 

「さあもういいだろう!さっさと道を教えやがれ!」

 

「はいはい。じゃあどちらに向かわれますか、お客様?」

 

 少しからかったような態度の妹紅に苛立ちを感じながらもベジータは面倒になってきてそれを無視することにした。

 

「……今は情報を集めたい。どこか人がいる場所に連れていけ。」

 

「はいよ。じゃあひとまず永遠亭にでも連れてってやるよ。あそこならいい情報も入るかもね。」

 

「永遠亭?」

 

「ああ。まあこの竹林に隠された病院みたいなところかな?そこには頭がいいやつもいるしそれに里までの道案内が出来るやつもいるから、そこまで連れて行けばあとはなんとかなるだろ。」

 

「そうか、わかった。案内してくれ。」

 

「じゃあ、私についてきな。」

 

 道案内をしてくれる妹紅にベジータは素直に従い、妹紅のあとについていった。

 竹林の中を歩いている途中で妹紅が何度か話しかけてきたがベジータはあまり話に乗ろうとしなかった。だが妹紅はそれでもまるで気にせずにベジータに話を振った。

 

「そういえば、ベジータ。あんたが欲しがっている情報ってのはなんのことなんだ?」

 

「……オレの仲間たちの居場所と博麗の巫女についての情報だ。」

 

「博麗の巫女ねえ…。そんなことなんで知りたがってんだ?」

 

「貴様には関係ない。」

 

「はいはい、そうですか。…ちなみにその仲間ってのはどんなやつらなんだ?」

 

「……オレの仲間は全部で四人で山吹色の道着をきた男とその息子の紫色の道着を着たガキ、そしてオレの息子で青いインナーの上に防護ジャケットを着ている男と緑色の肌をした紫色の道着に白いマントをつけている男だ。」

 

「随分と変わった格好をしている連中だな。…そういや、数時間前に慧音のやつが見つけた迷子の子供がそんあ服装だったような……?」

 

「なんだと?ということは悟飯のやつはその慧音とかいうやつのところにいるのか……。よぉし、これで次の行先も決まったぜ。そいつはどこにいやがるんだ?」

 

「慧音は人里に住んでるよ。おまえだって人里くらい知ってるだろ?」

 

「知らん。そもそもオレはこの世界の住人じゃないからな。と言っても通じんか……。」

 

「……いいや、わかったよ。あんた外の世界から来たんだろ?」

 

「!……わかるのか?」

 

「そりゃね。どうりで見たことのない服装だと思ったよ。外来人ってんなら納得さ。」

 

「その外来人というのはオレのことか?」

 

「そうだよ。外の世界から来た人間のことはみんな外来人って呼ばれてんだ。ま、そんなに珍しいものでもないってことだ。……さて、もうすぐ着くぞ。」

 

「む?」

 

 ベジータが前を見てみると竹林の奥に建物が見えてきた。

 

「じゃあ、あとは一人で大丈夫だよな?」

 

「ああ、助かったぜ。礼を言う。」

 

「はいよ。それじゃあまたな。ベジータ。」

 

 そうして妹紅は竹林の奥に消えて行った。それを見送ったベジータは永遠亭へと足を進めた。

 すると入口の近くに誰かが隠れてベジータを見ていた。その姿は幼い少女のようで黒髪の頭には白い兔の耳がついていた。

 

「おい。貴様はここの人間か?」

 

「……そうだけど。あんたは?」

 

「オレはベジータだ。ここの住人に用がある。入れてくれ。」

 

 少女は少し考えた後に扉を開けてくれた。

 

「入っていいよ。私についてきて。」

 

 ベジータは少女に案内されるがままに屋敷の中へと足を踏み入れた。

 案内されるがままに奥へと進んでいくと少女は一つの部屋の前で足を止めた。

 

「お師匠様、お客さんだよ。」

 

 少女が扉を開けるとそこには長い銀髪を三つ編みのようにしている女性が椅子に座っており、その隣には薄紫色の長髪で兔の耳が生えている女性が立っていた。

 

「あら?急患かしら?」

 

「オレは病人じゃない、貴様らに聞きたいことがあってきた。」

 

「聞きたいこと?何かしら。」

 

 ベジータは妹紅に話した時と同じように仲間たちのことと博麗の巫女についてのことを説明した。

 

「うーん。そのお仲間さんたちだけど。私は見ていないわね……ウドンゲは?」

 

「すみません。私も見ていませんね。」

 

「そうか…では博麗の巫女についてはどうだ?何か知っていることはないか?」

 

「博麗の巫女については誰だって知ってるわ。博麗神社に住んでいる巫女で妖怪退治や異変解決とかを仕事にしているわ。」

 

「異変というのはなんだ?」

 

「異変っていうのはね、この幻想郷で起こる怪事件や怪現象のことを言うのよ。といってもたまにしか起こらないんだけどね。」

 

「なるほど、わかった。さっき言ってた博麗神社と言うのはどこにある?」

 

「この幻想郷の東の端っこ辺りにあるわ。なんならこの子を案内人に貸してあげてもいいけど?」

 

「え?お、お師匠様?」

 

 突然の指名にウドンゲと呼ばれる女性は戸惑い始めた。

 

「そいつは願ったりだ。丁度人里とやらへの道案内が欲しかったところでな。」

 

「ええ~?ま、まあいいですけど……。そうだ、あなたお名前はなんていうんですか?ちなみに私は鈴仙・優曇華院・イナバといいます。」

 

「私は八意永琳よ。ここで薬師をやってるわ。」

 

 ベジータは妹紅のこともあってか素直に名前を言った。

 

「……オレはベジータだ。」

 

「ではベジータさん。私が道案内をさせていただきます。えと、まずは人里でいいんですよね?」

 

「ああそうだ。頼んだぞ。」

 

 ベジータは永琳たちに背を向けて扉を開けようとすると鈴仙があ!と驚いた声を出した。ベジータは何かと思い鈴仙たちのほうを見る。

 

「……なんだ?」

 

「いや、あの…背中に。」

 

「背中?……なんだこの紙は。」

 

 ベジータが背中に手を伸ばすとそこには『変な頭』と書かれた紙が貼りつけられていた。

 

「おい…きさまら、これはどういうことだ?」

 

「えっと、たぶんてゐの仕業だと思います……。」

 

「てい?誰だそいつは。」

 

 ベジータの問いかけに永琳が答える。

 

「因幡てゐ。さっき貴方をここまで連れてきた女の子よ。」

 

「ちっ、あのガキ。下らんことをしやがって。まあいい、さっさと行くぞ鈴仙。」

 

「あ、はい。ではお師匠様、行ってきます。」

 

「いってらっしゃい。しっかり案内するのよ?」

 

「はい、任せてください。」

 

 ベジータたちは永琳と別れ部屋から出た。そして廊下を歩いていると鈴仙が話しかけてきた。

 

「あの…ベジータさん。さっきのてゐのことなんですけど。」

 

「……なんだ。あの程度オレは気になどしていないぞ?」

 

「いえ、そうじゃなくてですね。もしかしたらまだてゐに悪戯の対象として狙われているかもしれませんから少し注意したほうがいいかもしれませんよ?」

 

「ふん、所詮子供の悪戯だろう?そんなもの気にする必要はない。」

 

「でも……。」

 

「余計な心配はしなくていい。貴様はオレに道を教えていればそれでいいんだ。」

 

「……どうなっても知りませんからね?」

 

 ベジータたちは玄関の扉を開けて外に出た。そのままベジータが先に竹林へ足を伸ばすと突然地面に穴が開いた。

 

「うお!?」

 

 まさかの出来事にベジータは反応が出来ず穴の底に落ちてしまった。すると穴の上にてゐが現れた。

 

「やーい!引っかかったぁ!鈴仙と一緒でまぬけだな~?あっはははは!」

 

 てゐはベジータをバカにするだけして高笑いしながら走り去っていった。

 鈴仙は穴の底を見つめてベジータに声をかけた。

 

「……あの~。大丈夫ですか?」

 

「……。」

 

「ベジータさん?」

 

「あの…クソガキがぁああーー!!」

 

「ひゃあ!」

 

 ベジータは穴の底から勢いよく飛び出し、竹林をきょろきょろと見回す。

 

「おい、貴様!さっきのガキはどこにいった!」

 

「え?ええと、あっちのほうに行きましたけど……。」

 

「あっちだな!すぐにとっ捕まえてこのオレをバカにしたことを後悔させてやる!」

 

「ちょ、ちょっとまってください!貴方今から人里に__!……行っちゃった。」

 

 その後ベジータとてゐの竹林の追いかけっこは夜まで行われ、ベジータは反省したてゐとベジータを追いかけて疲れ切った鈴仙を連れて永遠亭へ戻ってくることになった。

 結局ベジータはその日のうちに人里へ向かうことが出来ず。永遠亭にて一晩泊めてもらうことになったそうだ。




次回はトランクス回になります。お楽しみに!

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