婀嗟烬我愛瑠〜assassin girl〜魁!!男塾異空伝 作:大岡 ひじき
王大人の台詞書いてたら段々ハラ立ってきたww
てゆーか、原作通りの部分は非常に書きにくい。幕間の方が好き勝手に書ける分気楽www
そしてこの回、光は脳内ツッコミしかしていないというねwwwwww
1・it's Alright
「
霊柩車を模したバスから降りてきた一号生達に、
私は王先生のスタッフである白装束組の中に混じって聞いていたのだが、たまたま隣にいたやっぱり白装束のスタッフが小声で、
「あれ、飽きたら普通に喋り出すんで気にしなくていいから。」
と教えてくれた。
いやそれ、やり始めたなら統一しようよ
ちょっと吹きそうになって堪えたら咳き込んでしまい、慌てて後ろの列に飛び込んだ。
何せこの白装束の一団の中で、ちっこいの私だけで目立つし、ってやかましいわ。
「
託生石の儀式。簡単に言えばタッグの組み合わせと順番を決めるくじ引きである。
岩(まあ、どう見てもコンクリートなんだけど)から出ている8本に見えて実は4本の鎖を闘士達がそれぞれ握り、それから岩を砕いて、同じ鎖の端と端を握る同士がタッグを組む。
更にその鎖に番号札が付いていて、それが闘う順番となる。
そうして出来上がった組み合わせは次の通り。
一番手、雷電とJ。
二番手、飛燕と富樫。
三番手、月光と虎丸。
四番手、伊達と桃。
…うん、見事に『驚邏大四凶殺』で戦った同士という組み合わせになった。
「
因果応報。
…独眼鉄が言ってたのはこういう事か。
『この大威震八連制覇の組み合わせってな、直前に決まるんだが、運命っていうか縁ってやつが、本当に見事にハマっちまうんだ。
不思議なくらいな。』
ハッとして富樫と飛燕の鎖の番号札をもう一度見る。
何度見てもそれは間違いなく『二』だ。
『富樫源吉という因縁が、その富樫源次と俺の間に横たわる以上、奴は俺の待つ第二闘場に、間違いなくやってくるだろう。』
…確かに、独眼鉄が言ってた通りになった。
この縁のお陰で三年前、独眼鉄と富樫源吉は闘わねばならなかった。
そして同じ縁が、今度はその弟を独眼鉄のもとに向かわせる。
富樫自身は、未だそれと知らぬまま。
神様が居てこの運命を操作してるとすれば、その神様は相当性格悪いと思う。
まあいい。その件は後だ。まずは第一闘場。
Jと雷電を待ち受けるのは、確か卍丸と蝙翔鬼の筈。
てゆーか、確か鎮守直廊で蝙翔鬼と戦ったのがJだという。
こんな僅かな縁も拾っちゃうのかよ 、神様。
☆☆☆
大威震八連制覇第一闘場・磁冠百柱林。
塩鉄鋼で作られた無数の背の高い柱の上で
そのままでは10万ガウスの磁力により足場に固定されてしまう磁靴の、踵に遮鉛板を差し込む事で磁力が遮断され、その間だけ動く事が可能。
そして双方に与えられた遮鉛板は一枚ずつ。
つまり戦闘可能なのは双方一名ずつ、遮鉛板は選手交代の為の鍵というわけだ。
「Jとかいったな。鎮守直廊では油断した。
貴様とまたやれるなんてこんな嬉しいことはねえぜ…。」
三号生側から、まずは蝙翔鬼が出るようだ。
空気を読むならこの流れ的にまずJが行くっぽいけど、このステージって『驚邏大四凶殺』の時に、Jが雷電に苦戦したあの闘場と感じが似てる。
足場に不安があるという点で。
だとするとあの『灼脈硫黄関』で雷電が見せた、足場の悪さを逆に利用するくらいの卓越した体術。
あれこそが今必要ではなかろうか。
できたらここは、雷電で行って欲しいところなのだけれど…。
「先にやらせてもらうぜ。
どうしても俺とやりたくてウズウズしている奴がいる。」
「さあ来い!!
貴様のマッハパンチか俺の天稟掌波か、今こそ決着をつけてやる。」
あ、駄目だ。男は、こうなったら止められない。
Jは他の塾生達より随分大人に見えていたのに、肝心な場面で簡単に相手の挑発に乗っちゃうとか、大人なのに、やっぱりどこか子供なんだ。
「
王先生の合図と同時に、動き出したのは蝙翔鬼。
「
襲いかかる蝙翔鬼に向けてJが一撃を繰り出すが、蝙翔鬼はそのJの腕に一瞬手を置いたかと思うと、そこを起点にして身体を捻り、Jの顔面に蹴りを入れた。
一瞬体制を崩したJに、まるで翼でも生えているかの如き身の軽さで、更に攻撃を加えてゆく。
対するJは最初に思った通り、一撃必殺を狙って攻撃を繰り出すも、足場の悪さに邪魔されて、得意のフットワークが使えない。
これでは完全に『驚邏大四凶殺』での、対雷電戦の再現だ。
ここは雷電と交代して、一旦体制を立て直すべき。
誰もがそう思い、Jに対してそれを促す。
だが、どうやら少し頭に血が上っているらしいJはそれに応じない。
「
蝙翔鬼が繰り出した技は、氣が巻き起こす、刃の如き鋭い風圧。
それがJの右肩を掠め、その肌を裂く。
それでもバランスを立て直し、一旦最初に登った柱まで戻ると、そこにいた雷電が無言で、Jの磁靴から素早く遮鉛板を抜き取った。
たちまちJの足が、磁力で柱の上に縫いつけられる。
驚いて振り返ったJに、雷電は静かに、だが強く言い放った。
「ここは拙者に任せてもらおう。
一人の力でこの大威震八連制覇、勝利できるものではござらん。
何よりも大切なのはチームワーク。
生死を共にする仲間として、お互いを信じ合うことでござる。」
Jが驚いた顔してるトコ見ると、この二人、出発前の三日間とか出発後の道中にも、特にコミュニケーション取るとかはしてなかったぽい。
腹割って話したら結構相性良さそうなんだけどな。
「しばらく休んでおるがいい……戦いはまだまだこれからだ。」
雷電は磁靴の踵に遮鉛板を差し込むと、独特の戦闘の構えを取った。
「大往生流殺体術の極意、ひさびさに見せるか、雷電…。
まさに、うってつけのステージよ。」
という伊達の言葉通り、満を持して。
…雷電・始動。
「フッ、大往生流…いまだその拳法を伝えるものがおったとは……。」
言って蝙翔鬼は、雷電への攻撃を開始する。
対して雷電はその攻撃を悉く避け、無数の足場の上を縦横無尽に飛び回る動きを見せた。
そのうちひとつに、桜の花びらの如くふわりと着地し、指先を『来い』というように動かして、蝙翔鬼を挑発さえする。
「逃げ回っているだけでは、俺を倒すことはできねえぜ。」
その挑発に乗らずにせせら笑う蝙翔鬼に、雷電が吐き捨てるように言い放った。
「すでにお前の動きは見切った!!」
蝙翔鬼の繰り出した手刀を雷電が両手の掌底で挟んで止め、下方から蝙翔鬼の顎に蹴りを放つ。
それから肘で一撃を加えて間合いを取ると、その爪先から刃を繰り出した。
その脚から、目にも止まらぬ無数の蹴りが放たれる。
「大往生流鶴足回拳!!」
これは『驚邏大四凶殺』でJと闘った時に使っていた技。
これには蝙翔鬼も、急所を避けるのが精一杯のようだ。
蝙翔鬼の肩の、刃の掠った箇所から血が吹き出す。
それが先ほど、Jが彼の天稟掌波で傷を受けた箇所と同じであったのは偶然か。
「フフフ、相変わらず凄まじい技の切れ味よ、雷電…。」
と、相変わらず無駄に色気のある声で解説とも独り言ともつかない言葉を伊達が呟き、
「どうやら拳法の使い手としては役者が違うようだな。」
それに桃が耳に心地いい深く落ち着いた声で応じる。
何だこの片隅で密かに行われてる美声対決。
いやそんな事より。
たまらず逃げた足場で体制を立て直しながら、蝙翔鬼は一瞬、卍丸の方に目をやった。
自身では雷電に敵わぬと見て、どうやら選手交代となるようだ。だが、
「己の始末は己でつけい。
奴を倒す以外に、貴様に生きる道はない。」
え?ちょ、卍丸冷たっ!
天動宮で会った時は、一番紳士で優しかったのに冷たっ!!
『大威震八連制覇』の勝利の鍵は、チームワークなんじゃなかったの!?
当てが外れた蝙翔鬼の顔に絶望の色が浮かぶ。
それでも半ば破れかぶれといったていで繰り出した天稟掌波を、雷電はあろうことか足裏で受け止めた。
驚愕して一瞬動きが止まる蝙翔鬼。
その隙を見逃さず雷電は体制を整えると、飛び出して強烈な足技を繰り出し、足場から彼を蹴り出した。
蝙翔鬼は柱の縁に手をかけ、やっとの事で落下を免れたものの、このままでは落ちるのも時間の問題だ。
ここで落下に備えて、こちらでは救助組のスタッフが動き始める。だが、
「ま、負けた。
俺の負けを認める。手を貸してくれ。」
蝙翔鬼は情けない声でそう言って、頭上の雷電に右手を伸ばした。
その手をためらう事なく雷電は掴み、柱の上へ引き上げる。
…豪学連組が男塾に編入して三日の間、何度か話をして判ったのは、彼が博識なだけではなく本当に優しい男だという事だった。
その優しさ、敵にすら与えられるのか。
何だか心が洗われるようだ。と、
「危ない、雷電!!」
Jが叫ぶと同時に、雷電が掴んでいた蝙翔鬼の右手が…抜けた!?
「義手!!」
気付いた時には遅かった。
蝙翔鬼の義手の下には刃が仕込まれており、至近距離からその刃が、易々と雷電の背を貫いた。
「雷電──っ!!」
「馬鹿めが、まんまとかかりおったな!!
生か死か!命を賭けたこの大威震八連制覇の闘いの最中に、命乞いする者に情けをかけるなど、愚かなマネをしおって!!」
まじか。天動宮で会った時にも、正直あんまり得意なタイプじゃないなと思ってたんだけど、清々しいまでに卑怯モンだこいつ。
こういうの、邪鬼様はどう思ってるんだろう?
…単なるやんちゃとしか思ってない気がする。
あの人無自覚な非常識人だし。
柱の真下では、どうやら私と同じ事を思っていたらしい虎丸がそれを口にする。
だが、その虎丸を伊達が制した。
「…奴の言うとおりだ。
まだわからんのか、この大威震八連制覇…三号生と一号生の親善試合だとでも思っているのか。
生きるか死ぬかの闘いに、汚ねえもヘチマもありゃしねえ。
……しかし、これからが見ものだ。
あの雷電を怒らせたらどういう事になるか…。」
「かわれ。遮鉛板をよこすんだ雷電。」
「お断り申す。
勝手を言ってすまぬがこの畜人鬼…こやつだけはなんとしても拙者の手で…。」
深手は負ったものの、僅かに急所は外したらしい雷電が構えを取り直す。
それをせせら笑いながら蝙翔鬼はマントの下に左手を入れると、そこから金属製の風車のような形の刃を取り出した。
ってお前もかこの野郎。
だからそんな大きなもの、マントの下のどこに隠してた!
などと心の中で叫ぶ私の心中など知る筈もない蝙翔鬼が、その風車を義手の部分に装着する。
って外国製掃除機のオプションノズルかっ!
つっこんだら負けだと判っているのに脳内ツッコミが止まらねえわ!
「南朝寺教体拳・賭殺風車拳!!」
その風車のついた右手から、蝙翔鬼が拳を繰り出す。
「な、何──っ!!
あの風車、拳のスピードで回転しやがる!!」
「あれを食らったら肉も骨も引き裂かれるぞ──っ!!」
…はい、解説ありがとう、松尾、田沢。
彼らの言葉通り、風車型の刃が回転し、それが雷電に襲いかかる。
だがいかに負傷していようとも、雷電ほどの達人に、そのようなものは児戯に等しい。
捕まえようと手を伸ばした時の桜の花びらのように、腕の動きに従ってふわりふわりと避けられるのみ。
少し冷静さを失いつつある蝙翔鬼が追撃するも、その風車はとうとう、雷電の脚に捕らえられ、手刀に軸を砕かれる。
「人の情けを踏みにじり、男の戦いを汚した罪は重い。」
言うと雷電は再び、靴の先から刃を出す。
「大往生流・飛翔鶴足回拳!!」
…だが、次の瞬間雷電が、硬直してその場に膝をつく。
「フフフ、やっと効いてきたか。
危ねえところだったぜ。」
どうやらさっき傷を負った際の蝙翔鬼の刃に毒が塗られていたようだ。
蝙翔鬼は再びマントの下からオプションノズル…もとい刺突用の武器を取り出すと、やはり義手の部分に装着し、動けない雷電の胸板を、それで刺し貫いた。
「雷電────っ!!」
☆☆☆
私たち白装束スタッフは、救助組と救命組に別れ、それぞれの仕事にかかっていた。
私は勿論救命組の方に入っている。
とはいえ『驚邏大四凶殺』の時と違い、闘士たちの目を憚りながらの仕事ではない分かなり楽な筈だ。
救助組は現時点で落下者に備えて待機中。
救命組は生死確認の名目で直ちに応急処置を施し、
現時点で雷電の生死確認の為に、スタッフが数人、柱を登り始める事を検討しているのだが、現時点で柱の上は未だ戦闘中。
迂闊に近寄ると巻き添えを食う可能性がある。
とはいえ、雷電が本当に事切れてしまったら取り返しがつかない。
毒も回っている事だしここはできる限り早めに処置したいところ。
そうしているうちに柱の上では、遮鉛板を雷電から受け取れなかったJがその場から動けず、蝙翔鬼が「念には念を」と、そのJの背後に回る。
「てめえのような卑怯な野郎……どんなことがあっても生かしちゃおかねえ。」
Jがこんなに怒っている姿は初めて見る。
最初に会った時は人違いで笑顔だったし、その後桃と戦った時も、怖そうな表情だとは思ったが、それは怒りによるものじゃなかった筈だ。
それがここまでの気迫。
私ならば近寄るのも怖い。
けどどんなに怒ろうと、磁力に貼り付けられた脚はそこから動かせない。
蝙翔鬼が高笑いしながら襲いかかってきて、雷電を刺したのと同じ武器を振りかぶる。
と、その蝙翔鬼とJの間に影が飛来したかと思うと、蝙翔鬼の武器の前に身を晒した。
それは、倒されたと思っていた雷電。
驚愕するJに遮鉛板を差し出しながら、雷電は苦しい息の下で囁いた。
「おまえなら、必ず勝てる………。
足場の悪さなど気にするな……。
ここを、四角いリングの上だと思うのだ…。」
さらば、友よ。
どうして自分を助けたのか、そう問いかけたJに微笑んでから、そう言って雷電は目を閉じた。
三面拳・雷電、闘死……
於大威震八連制覇、磁冠百柱林闘
…ってなんだこのナレーション!
どっから出てきた!
絶対私たちが助けるから、余計な事を言うんじゃない!
これさ…
書いてる最中、ずっと思ってたんだけどさ…
うちのヒロイン、一体どこからこの光景見てるんだろう…?