BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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黒崎家第二話です
コンを登場させたくて少々強引ではありますが
話を持ってきました
では、今回も楽しんでいただけると幸いです

アルフレット


第七話

ご飯を食べ終わり、黒崎家では食後すぐに歯を磨かないと

自動的に次の食事が抜かれるというシステムがあった

私も一護さんに急かされて歯を磨く

 

磨き終わり、リビングに戻ると一護さんはソファに座って新聞を読んでいた

手持ちぶさたになり、とりあえず一護さんの隣に座ってみる

一護さんはチラッとこっちを見たが、すぐに新聞に視線を戻した

そうしていると遊子ちゃんがやってきた

 

「天さん、お風呂入ったからお先にどうぞ」

「あぁ、入ってこいよ」

「でも…」

「私も遊子もこれから宿題するから入ってきたら?」

 

皆からそう言われ、私はお風呂を先にいただくことにした

お風呂に入ろうと立ち上がると遊子ちゃんがこっちと手を引いてくれた

 

「遠慮せずにゆっくり入ってくるといい」

 

いつの間にかいた一心さんが優しく言ってくれた

軽くうなずき、遊子ちゃんに手を引かれながらお風呂場へと向かった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

遊子に手を引かれて風呂へと向かう天を見送る

うちに来てから落ち着かない様子で

本当に連れてきてよかったのかと心配になる

新聞を読んでも内容があまり入ってこない

そうしているとソファに座っていた親父が俺に話しかけていた

 

「なぁ、一護…天ちゃんのことなんだがな…」

「何だよ?」

 

珍しく真剣な声で話しかけてくるから俺は親父の方を見た

 

「お兄さんはなくなったと言っていたが、もしかして…」

「あぁ…親も小さいときに亡くしたって言ってたな」

 

勝手に答えていいものかわからなかったが、

親父なら大丈夫だろう思い、話すことにした

 

「そうか…大変だっただろうな」

「そうだろうな」

 

天はあまり表情を表に出すことがないし、

付き合いも短いからまだあいつのことがまだよくわからない

俺はおふくろを亡くした時を思い出して、

きっとあいつの方が大変な思いをしたのだろうと思った

 

そんなしんみりした雰囲気に似合わない遊子の明るい声が聞こえてきた

 

「ねぇ!お兄ちゃん、天さんの着替えがないんだけどどうしよ?

 私とか夏梨ちゃんの服じゃやっぱり小さいよね?」

「手ぶらで連れてきてしまったからな…

 俺の服で今日は我慢してもらうか…」

 

そう言って俺は服を取りに自室に向かった

ドアを開けるとベッドの上に汚いライオンのぬいぐるみが見えたがスルーだ

自分の服の中からなるべく小さいTシャツとジャージを選んでいると

 

「おい‼無視すんな‼」

 

声が聞こえたがスルー

 

「いい加減にしろ‼」

「っ‼何すんだよコン‼」

「おめーが無視するからだろ」

 

思いっきり頭を蹴られた

 

「何だよ⁉」

「女の子の声が聞こえたぞ‼

俺にも会わせろ‼」

「そのうちな」

 

小さめの服を見つけて、それを持って部屋を出た

後ろで何か言ってるが無視だ

そしてその服を遊子に渡した

 

(明日、浦原さんのところに行くついでに

 あいつの着替えを取りに行かないとな…)

 

と思いながらリビングに戻り、また新聞を読み始めた

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

お言葉に甘えて、ゆっくり入った

久しぶりにのんびりと入った風呂はとても気持ちよかった

お風呂から上がると着替えと書き置きが置いてあった

 

『これ、着替えです

 お兄ちゃんのでごめんなさい』

 

(そういえばパジャマは持って来てなかった…

 明日、取りに行かせてもらおう)

 

一護さんの服を着ると、大きくてTシャツがミニワンピースみたいになり、

ズボンはすそを引きずってしまう

状態だったので、Tシャツの袖をまくり上げ、

ズボンはすそを折り返して何とか引きずらないようにした

そんな姿のままリビングに戻ると、一護さんは私を見て苦笑いした

 

「やっぱり大きかったな…大丈夫か?」

「うん…大丈夫」

 

一護さんと話していると遊子ちゃんと夏梨ちゃんが入ってきた

遊子ちゃんと夏梨ちゃんはノートを抱えていた

 

「天さんのベッドはもう用意しておいたから」

「天さんは私たちと同じ部屋だよ」

「…ありがとう」

 

ベッドを用意してくれたらしい

床でもよかったのにありがたい

そう言うと二人は一護さんに歩み寄った

 

「一兄、ここわからないんだけど」

「お兄ちゃん!教えて‼」

 

テキストを開き、わからない問題を指差していた

私も横から覗いて思わず言ってしまう

 

「この問題はここをこれとこれを使って求めればいい」

「「えっ」」

 

驚きで開かれた六つの目が私を見た

 

「何…?ごめん…」

「ううん!そうじゃなくて少しびっくりしただけだから」

 

横入りしたことを謝ると

遊子ちゃんは焦ったように首をぶんぶんと横に振っていた

一護さんはいいことを思いついたと言うように笑って二人に言った

 

「天がわかるなら天に教えてもらえよ

 俺もやることあるからな」

「…何で?二人は一護さんに…」

「イヤか?こいつらに教えるの」

「そんなことない」

 

なんとなく一護さんしたいことが分かった気がする

少しでも二人と仲良くさせようといったところだろう

二人からジッと見つめられて教えることにした

 

「わかった…

 じゃあそこに座って」

「ありがとう」

 

遊子ちゃんは嬉しそうに向かいの席に座った

夏梨ちゃんも遊子ちゃんの隣に腰かける

 

「白い紙、ある?」

「これでいい?」

「ありがとう」

 

白い紙をもらうとその紙に問題に書いてある情報を書き出す

それをまとめながら二人に説明をする

二人は真剣な表情で私の説明を聞いていた

そんな姿に昔の自分を重ね合わせる

 

(兄さんも私に教えてくれるときはこんな気持ちだったのかな)

 

そんなことを思いながら二人が分からないというところを解説していく

それらすべてを解説し終わると二人はスッキリした顔をしていた

 

「ありがとう!天さん‼」

「ありがとう、分かりやすかった」

「それならよかった」

 

そう言うと二人は宿題を置きに自室に戻っていった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

遊子たち二人を天に任せると俺は自分の部屋に戻って

学校で出された課題を始めた

 

(それにしても小さめの服を選んだつもりだったんだけどな

 思っていたより小さいんだな、あいつ)

 

テキストを開きながら考えることは天のことだった

 

(遊子たちと仲良くなって、少しでも気が紛れるといいんだけどな

 つい最近、兄貴をなくして心の傷も全然治っていないだろうときに

 わけのわからない仮面集団に狙われて…

 大変でも何も言わないんだよな、あいつ

 愚痴の一つもこぼさねぇし…もっと頼ればいいのによ

 俺はまだそこまであいつにとって頼れる相手じゃないんだろうな)

 

気がつけば考えることは天のことばかりで全く進まない

これ以上やっても仕方ないと思いベッドの上に寝転がり、

目を閉じる

すると今日あったことが頭の中を巡る

 

(あの仮面野郎、何者だ?

 だんだん速くなって…卍解をする暇さえなかった

 このままじゃあいつを守れない

 でも、あいつ死神とは違うような…)

 

少しの違和感があったが考えても埒が明かないと思い、

体を起こし、つい大きなため息をついてしまう

 

(あいつが話してくれる日を待つしかねぇか…)

 

結局その結論に落ち着き、リビングにいるであろう天の様子を見に行くことにした

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

二人が自室に戻った後、私はソファに膝を抱えて小さくなって座っていた

目を閉じて、膝に顔をうずめる

今、部屋には一人なのに何故か兄さんを待っているときに

感じていた孤独感を感じることはなかった

 

まだここにきて少ししかたってないけどこれくらいはわかる

この家は温かい

父さんと母さんがまだ生きていた時のことを思い出す

あの時は毎日が楽しかった

あの日、二人がいなくなってしまってからは

心のどこかに穴があいたような感じがずっとしていた

それから何をしても心から楽しいと思えることがなかった

心の穴がふさがることはなく、次は兄さんがいなくなった

それはさらに大きくなり、少しも小さくなる気配がない

でもここでなら…少しぐらいふさがるかな

浦原さんはこれが狙いだったのかな…

 

ソファの上で膝を抱えながらそんなことを考えていると眠気が襲ってきた

耳をすませば話し声が聞こえる

そんな空間に心が落ち着いた

眠気に逆らうことができずに眠りの中に落ちた

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の6月5日を予定しています。

アルフレット

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