BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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予定通りに投稿できました。
よかったです…

それでは今回も最後まで読んでいただけると嬉しいです

アルフレット


第三十九話

「さて、次の話に移ろうか

 次は敵のことについて話そう

 まずはそうだな…薫たちについて話そうか

 三人は知っていると思うけど界人はオレと同じで父さんに師事していた

 薫と伊織は母さんに師事していてオレたちは幼馴染であり、好敵手(ライバル)だった

 葵は天の唯一の友達と言ったところかな」

 

皆でバカやっていたころが懐かしい

あの頃はオレたちの後ろを天がついてきて、それを止めるために葵が追いかけてきたっけ…

そんな楽しい思い出に浸っていると喜助さんがオレを現実に引き戻すように声をかけてきた

 

「そんな薫サンたちがどうしてアナタたちを?」

「あいつらに何が起こったのか正確なことはわかりません

 これから話すことはあくまでもオレの考えとして聞いてください

 一族の村が襲われたとき、父さんと母さん以外誰一人として村にいなかった

 たしかに結界師(オレたち)は死ねば何も残らない

 だから全員が死んでいれば何もおかしなことはない

 でも全員殺すことは無理だろうね

 それにオレが見た限り、感じた限り襲撃者はたった一人だった

 そいつの衣服には血がついていなかった

 このことの意味がわかるかい?」

「ケガひとつせず村を制圧…」

 

さすが、喜助さんだ

一護くんと日番谷に訊いたつもりだったけど、まぁいいや

話、進めやすくなったし

 

「その通りです

 そんなこと一族の皆の戦い方や性格を知っているオレですら無理な話

 それなのにたった一人の襲撃者はそれをやってのけた

 どうしてそんなことが出来たのか…

 考えられる理由はふたつ

 ひとつ目、ただ単に襲撃者が誰も傷ひとつつけられないくらい強かった

 ふたつ目はその襲撃者が結界師であった

 薫たちが生きている時点で前者はあり得ない

 つまり、必然的に後者の“襲撃者が結界師だった”ことになる」

「でも、それでもあいつらが村にいなかったのなら襲ったやつが結界師とは限らねぇんじゃねぇか?

 それにケガしてねぇ理由にならねぇんじゃ…」

「あいつらがいなかったらね

 でも実際、そんなことはなかった

 あの日は特別な日でね

 村にいなかったのはオレと天だけなんだ

 それにケガをしてない理由は…」

「記憶を操作したんですか?」

 

喜助さんに先を越された

それしか考えられない

あの日は村で天に関する大切な会議が開かれた日だった

天に聞かれるとまずかったから監視役としてオレだけ天のそばにいた

他の皆はこれからの天の扱いに関して話し合いをしていたはずだ

 

「おそらく…

 襲撃者が結界師であれば一族の皆の記憶をいじれば無駄な戦闘を行わなくてすむ」

「じゃあ…仲間を殺したってことかよ…」

「まぁ…そうなるね」

 

信じたくない

オレの知っている皆は仲間想いでケンカはしても仲間を手にかけることなんて出来ない人ばかりだ

少なくとも薫たちはそんなことを出来る奴らではなかった

 

「薫サンたちにどのような記憶の操作があったと思いますか?」

「まず、薫たちはオレたちのことを知ってはいるが覚えてはいない

 そのことから考えるとどこかの忍の世界で言う“抜け忍”のような認識なんだろうね

 つまり、オレたちは一族から抜けた犯罪者、離脱者と言うところかな

 天が名前を呼んだとき驚いていたんじゃないかい?」

「うむ…驚いていたと言っておった

 そのせいで、引き上げたようだしの」

「そうなんですか…オレのときはそんなことなかったな

 オレの場合、界人だったけど」

「天サンは薫サン相手でしたね」

 

界人のときは怖かったっけ

何時もよりも速さと力が増して、より凶暴になった

薫ならそんなに動じることないかと思っていたけどそうでもなかったみたいだな

 

「薫か…まだ当たりだったかな

 おっと少し話が逸れてしまったかな

 話を戻そう…どこまで話したかな…襲撃者が結界師の可能性が高いというところまでだったよね

 襲撃者の正体に心当たりがあるかと言えばある」

「なっ!!誰なんだよ!?」

「父さんの弟、オレたちから見れば叔父にあたる院殿(まさる)

 この人は父さんと次期長の座を争っていた

 でも、なれなかった

 実を言うと実力で言えば二人とも同じぐらいだった

 村の長を院殿家の中で一番強い人を選んできた結界師の一族だから父さんでも叔父さんでもどちらがついてもよかったんだ

 二人とも同じぐらい強かったからね

 実力だけを見ればね

 でも、性格は正反対

 父さんは誰に対しても優しく、曲がったことが大嫌いな人だった

 それに対して叔父さんは表面上は誰にでも優しいけど心の中では自分さえよければそれでいい、自己中な人だった

 村民が二人のうちどちらを選ぶか、目に見えて分かっていた

 当然のことながら父さんが次期長に選ばれた」

「その腹いせに実の兄を殺したと?」

 

日番谷の顔が恐い

オレは無関係なのに

 

「それは少し違う

 少なくとも父さんは叔父さんが苛められたりしたときは庇っていたと聞くし、父さんが長に選ばれたことも一応納得していたしね

 オレが知っている限り、叔父さんも殺すほど父さんのことを憎んでいるわけではなかった」

「たしかにそうでしたね…

 仲がいいとはとてもじゃありませんが言えませんでしたけど」

 

浦原さんの言う通り仲がいいとは言えなかったけどそれでも二人はちゃんと兄弟だった

互いに認めあってはいた

たったひとつを除いて

 

「二人の仲が悪かった理由…それは考え方の違いだ」

「考え方?」

「父さんはいまこの時をこの世界を自分らしく生きていこう、そう考えていた

 つまり“世界を創り変える必要はない派”だったんだ

 でも、叔父さんは違った

 叔父さんはこんな理不尽が溢れた世界を終わらせて皆が幸せに暮らせる世界を創るべきだ、そう考えていた

 つまり“世界を創り変える必要がある派”だったんだ

 そして天が産まれたとき、その考え方の違いから二人の仲は完全に決裂した」

「今まで手段がなく、実現出来ないと思っていたところにお前の妹が産まれたことで実現するために最も必要なものが手に入った…」

 

日番谷の言葉に頷く

本当に理解が早くて助かる

さすが、天才少年日番谷冬獅郎だ

 

「天が産まれてからの二人の仲は本当に最悪だった

 天を力ずくで奪おうとはしないものの近づこうとはしていたからね

 天は特別な力を持っているせいで一族の長の娘であるにも関わらず周りからは疎まれていたから、そんな自分に優しくしてくれる叔父さんに懐くのに時間はかからなかった

 それに対してだけは父さんは厳しくしていたから父さんを怒らせないために会うのは控えていたけどね

 一方の叔父さんはなかなか道具が手に入らないことにずいぶん焦っているようだった」

「そこで、強行手段に出たと?」

「おそらく…

 爆弾、つまり《創造主になれる器を持つ人》はいた

 叔父さんの娘、オレたちから見れば従妹の院殿愛梨」

「その人が爆弾となり得る人物ですか…」

「天とは正反対だったよ

 こう言うと何だけど…性格はわがままで自分の思い通りにならないのをひどく嫌う子だったよ

 それでも媚び売っておかないと、もし、世界を創り変えたときに守ってもらえないからいつも周りにはたくさんの人がいた

 機嫌を損ねないように気をつけながらね

 娘同士も仲が悪くてよくケンカになってたよ

 二人がケンカしたときは叔父さんまでも天の味方をするから機嫌は最悪だったね」

 

二人の仲は父親同士よりも悪かった

というより、天は相手にせず愛梨の方が一方的に突っかかっていただけだけど

天も天で正論で返すから余計にヒートアップして手をつけれなくなって…

 

「あの人の娘だから考え方も同じで、しかも自分が世界の王になれる

 よく天に止水を渡すように言っていたよ

 その彼女は今…」

「既に相手側にいる…と?」

 

新たに産まれていなければ彼女しか、愛梨しかいない

愛梨が薫たちのそばにいる可能性はかなり高い

 

「おそらくね」

 

襲撃者は叔父さんで爆弾は彼女(あいり)

たしかにそうだ…そう考えないと納得出来ないことはたくさんある

それでも、一族全員の記憶置換をするには叔父さんでは力が足りないし、愛梨にはそんなこと出来る技術はない

他の何かが…別の何かがまだ関係しているはず…

でないと少しずつおかしい

オレが急に考え込んだのを首を傾げながら一護くんが口を開く

 

「おい、どうしたんだよ?」

「ん?何でもないよ…

 さて、とりあえずここまでの話で爆弾については話したよね

 じゃあ、次の話に移ろうか」




最後までお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それではこの辺で失礼します

アルフレット

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