BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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お久しぶりです…
2月の上旬には投稿を再開しようと思っていました…
それからかれこれ2か月…本当にすいませんでした

それでは久しぶりの最新話…最後まで楽しんでいただけると幸いです。

アルフレット


第三十八話

そこには白髪の小学生ぐらいの男の子が立っていた

 

「やぁ、日番谷

 遅かったね」

「院殿…」

 

日番谷は今この状況を瞬時に理解してオレが死んだことを悟ったのだろう

さすが天才少年だ

しかし、今空気を重くしたいわけじゃない

そのためには日番谷の気持ちを変えるしかないか

 

「もっと早く寝ないと大きくなれないよ」

「うるさい!!余計なお世話だ」

 

作戦は成功したようだ

ホッと一息ついて周りを見回せば目を開いて固まっている人が三人いた

 

「あんたの血盟者って冬獅郎だったのか⁉」

「ん?黒崎か」

 

一護くんは日番谷が俺の血盟者だということに驚いているようだけど、日番谷はそんな風に見えない

あいつの驚く顔が見れるのではと期待していただけに少し残念だ

それより天はオレの血盟者について何も言わなかったのか

 

「あぁ、そうだよ

 皆はお互いのこと知ってるよね?」

「あ、あぁ」

 

未だに少し固まっている三人をほぐすために本題の前に何か別の話を挟もうか

 

「まぁ、一応紹介しておこうか

 まず、オレの血盟者の日番谷冬獅郎

 父の院殿勇の血盟者の浦原喜助さん

 母の院殿皐月の血盟者の四楓院夜一さん

 そして最後に妹の院殿天の血盟者の黒崎一護くん

 天は何も伝えていなかったのかい?」

「尸魂界にいるとは言っていましたが、誰かは知らないようでしたよ」

 

紹介が終わる頃には三人とも復活していた

オレが天に血盟者について伝えていた気になっていただけか

でも伝えた覚えは…ないな

 

「兄妹そろってどうしようもないの」

「ハハ…申し訳ない

 さて、紹介もすんだことだしそろそろ本題に入りましょうか」

「そうっスね

 アタシたちをここに呼んだ理由から話してもらえますか?」

 

すっかり伝えた気になっていた

天には申し訳ないことをした

とりあえず心の中で謝っておこう

 

「もちろんですよ

 簡単に言えば天のことを頼みたいからです」

「天…お前の妹だったか」

「そうだよ

 まず、天の力については三人は聞いたよね」

「あぁ、止水が説明してくれた」

 

意外だ

天のことだからそういう話は自分ですると思っていたけど、止水が説明したなら心配はなさそうだ

 

「止水が説明を…止水なら大丈夫だと思うけど念のために日番谷もいるからもう一度説明するよ

 天の力は今存在する全ての世界を破壊できる

 厳密に言えば天の中の止水がその力を持っている

 そして作り替えることができる

 ここまではいいかな?」

「ひとついいっスか?」

「どうぞ」

 

喜助さんが小さく手をあげて口を開く

 

「その止水さんを扱うのは誰でもできるんスか?」

「出来ませんよ

 天にしか扱えない

 もし、止水だけ奪われたとしても天がいなければ意味がない

 では、話を続けますね

 止水の力はただの起爆剤に過ぎない

 さっき、全ての世界を破壊できると言ったけど正確に言えばそれも違う

 破壊できるだけの大きな力、というよりも結界術を扱う力を溜めておく結界器(けっかいき)の大きさが十分ないとそれは爆弾にはならない

 つまり、止水とそれを扱える天、そして大きな結界器を持った者、これらが揃わないと世界を破壊することはできない」

 

天には重いものを背負わしてしまった

代わることができたらと何度思ったことか

そんなことを思っていると夜一さんが口を開いた

 

「それができるほどの力を持った者に心当たりはないのか?」

「あります

 そのことについてはまた後で詳しくお話しします」

「俺からもひとついいか?」

 

夜一さんの次は日番谷だ

 

「何だい?日番谷」

「なぜ世界を破壊するのに必要なことがわかっている?

 世界を破壊すれば何も残らないのではないのか?」

「それは簡単なことだよ

 今、君たちがいる世界が破壊された後に創造された世界だからさ」

「何⁉」

 

話し始めてからそれが一族の機密事項であることを思い出す

この四人なら大丈夫だろうと思いながらも冷や汗をかく

 

「このことは他言無用で頼む

 日番谷の言う通り、破壊すれば何も残らない

 でも爆弾になった者、今は創造主とでもしようか…

 そいつが次の世界を創るための面子を決め、自分の庇護下に置くことで創造主とその庇護下に置かれた者たちは次の世界で自分として生きることができる

 それに選ばれれば自分たちの好きなように世界を創れるんだ」

「つまり彼らの目的は『新たな世界の創造』ということっスか」

 

皆、難しい顔をしている

 

「その彼らっていうのが薫たちを指しているなら半分不正解ですね」

「どういうことだよ?あいつらが天を狙っているのは間違いないだろう⁉」

 

薫たちのことが納得出来ないのだろう

一護くんはスゴい剣幕でオレに突っかかってくる

あいつら、そんなに酷いことをしたのか

 

「それについても後で詳しく説明するよ

 最後にこれだけ言わせてくれるかな

 世界を破壊したあとのことだ

 世界を破壊しても皆死ぬというわけではないんだ」

「さっきは何も残らないって言わなかったか?」

 

日番谷の目が恐い

いい加減なことを言うなってことだろうけど

 

「言ったね

 世界を作り替えた痕跡は残らない」

「それだとおかしくねぇか?痕跡が残らないのに誰も死なねぇって」

「おかしくないさ

 日番谷はどうかしらないけど三人は知っていると思うよ、その方法を」

 

三人は考え込む

喜助さんと夜一さんはすぐにわかるかと思ったがそうでもないようだ

しばらく待っているとどうやら喜助さんはわかったようだ

 

「…まさか…‼」

「喜助さん、わかりましたか」

「はい…記憶の消去ですか」

「その通りです

 正確には記憶の置換といった方が正しいですけど」

 

一護くんはまだよくわからないらしく首を傾げている

 

「どういうことだ?」

「世界の破壊と創造の正体は今この時を生きている人々の記憶を置換すること、ということか?」

「正解‼さすがだね、日番谷は」

 

折角正解したんだからもっと嬉しそうな顔をすればいいのに

ますます仏頂面になってる

一護くんは日番谷のまとめで理解できたのだろうが、一護くんは首を傾げながら訊いてくる

 

「創造主たちもそうなのか?」

「違うよ

 言ったでしょ、創造主とその庇護下に置かれたものたちは自分(・・)として生きることが出来ると」

「つまり、創造主とその庇護下にいる者共は記憶を置換せずに新しい世界を生きるということか?」

「その通りです、夜一さん」

 

オレの説明だけでは理解できなかったのだろう

難しい顔をしていることに気づいた夜一さんが簡潔にまとめてくれた

 

「全員の記憶を書き換えることなく新たに世界を創り変えることはできないんスか?」

「不可能というわけではないですよ

 ただ、それをするにはこの世に生きている人の顔と名前は知っている必要がある

 一度聞いたとかそんなレベルではなくて名前と顔が一致しなければならない」

「それではほぼ不可能ですね」

「まぁ…そうですね」

 

まず見ず知らずの人のためにそんなことする人がいるとは思えない

息をついて周りを見ると難しい顔をした一護くんが目に入った

 

「ここまではついてこれてる?」

「あ、あぁ」

 

本当かどうか怪しいけど時間を無駄にするわけにもいかない

分からないのならばまた後で喜助さんたちに聞いてもらうことにしよう

 

「じゃあ、次に進むよ

 創造主は創り変えた世界の王になる

 庇護下に置かれた者は差し詰め官僚と言ったところかな

 それでも、寿命がのびるというわけではないから創造主たちはもう生きてはいない

 起爆剤になる者は…」

「起爆剤となるやつはどうなるんだ?」

 

オレが突然口ごもったのを不審に思ったのか日番谷が先を促す

 

「起爆剤になる者は…新しい世界を創るための唯一の犠牲になる」

「っ‼それじゃあ…天は…」

「もし、あいつらの手に渡ってしまえば天だけがいない新しい世界ができるだろうね」

 

たった一つの犠牲

世界を創りかえるのには少ないだろう

それでも(あいつ)の兄であるオレはそんなこと許せるわけがない

他の何においても一番に(あいつ)の幸せを祈っているのだから

 

「なるほど…しかし世界を創りかえるための犠牲がたった一人というのは少ないですね」

「じゃが、それを無視できるわけがなかろう」

「あぁ、絶対に天を渡さねぇ」

 

その様子に安心する

日番谷は何も言わないけど、心の中では三人と同じことを思っているのだろう

なんだかんだ言ってそういうことを無視できない奴だから

 

「ありがとう

 改めて、(そら)のことを頼むよ」

「あぁ、任せろ」

 

一護くんの顔はとても頼もしかった

一護くんが天の血盟者になってくれたことを心強く思う

 

「ありがとう

 まだ話すべきことがあるから次の話に移ろうか」




最後までお読みいただきありがとうございます。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
それではこの辺で失礼します。

次回の更新は一週間後の4月9日です。
9日には絶対に投稿します‼

アルフレット

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