BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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世間ではクリスマス…皆さんはいかがお過ごしでしょうか(過ごされたでしょうか)
恋人いない歴=年齢の私はバイトで寂しさを紛らわすつもりです
皆さまがよい一日を過ごされることをお祈りしております

それでは今回も最後までお読みいただけると幸いです

アルフレット

*クリスマスはとうに過ぎていましたね…
もともとこの話をクリスマスに投稿する予定だったのです
スイマセン…


第三十六話

「ふぅ…」

 

義骸を纏った私は一息をつく

周りを見回せば止水がいたところを呆然と眺めている一護さんたちがいた

 

「えーと…皆サン?そろそろ上に上がりましょうか」

「上がる」

 

浦原さんが声をかけてようやく戻ってきたようだ

それを確認すると私は上がるべく梯子のもとまで歩き出す

 

「あ、おい‼待てよ‼」

「天ちゃん!待ってよ~」

 

後ろから声をかけられるが、そんなことを気にせずに歩く

すると急にフワッとしたかと思えば、斜め上に夜一さんの顔が見えた

 

「夜一さん…どうして担ぐの?もう歩ける」

「お主のその姿では上がるのに時間がかかるだろうと思ってな

 そのままじっとしておれ」

「いい。自分で歩く」

「いいからじっとしておれ」

 

夜一さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべて、私に有無を言わせず、そのまま歩き始める

助けを求めて浦原さんを見るが、大人しくしていろと目で言われただけだった

一護さんたちにも助けを求めるが、一護さんはまた小太刀を見ていて私の視線に気づかず、織姫さんと茶渡さんは微笑ましそうに、石田さんは我関せずといった感じだった

仕方なく諦めて大人しくする

その様子に夜一さんは満足したのか頷いていた

そして勉強部屋を出て、いつもの部屋でちゃぶだいを皆で囲む

 

「さて、今日はこれで解散にしましょう」

「ム…もうこんな時間か…」

 

時計を見るともう六時をゆうにまわっていた

 

「天はどうするんじゃ?一護の家に帰るのか?」

「このまま浦原さんの家(こ こ)にいるなら俺から言っておくぞ」

「今日は一護さんの家に行く

 ちゃんとお礼言いたいから

 明日からはここにいる」

 

私がそう言うと浦原さんと夜一さんは何故か嬉しそうに少し笑う

 

「わかりました

 黒崎サン、天サンのことお願いします」

「あぁ、帰るぞ、天」

 

一護さんが立ち上がったので、私も立ち上がりあとに続く

顔だけ振り返りながら二人を見た

 

「ん…また明日、浦原さん、夜一さん」

「気をつけてな」

「うん、二人も今日の夜、忘れないで」

「わかっていますよ」

「ならいい…さよなら」

 

最後に二人に小太刀を枕元に置くように念を押す

そして一護さんたちと浦原商店をあとにした

 

「あ~あ…今日が天ちゃんと一緒に帰れる最後の日か…」

「一緒に帰れなくても会える」

「そうだけどさ~」

 

織姫さんは浦原商店を出てからずっと同じことばかり言っている

残念がってくれるのは嬉しいが そろそろめんどくさくなってきたから、話題を変える

 

「一護さん、何て言ったの?」

「何がだ?」

「私が帰らない理由」

 

他に思いつかなくてとりあえず訊く

ようやく私の聞きたいことがわかったようであぁと声を上げていた

 

「遊子たちには『天は親戚の家に泊まる』って言ったぞ」

「ふーん…」

「何だよ?その反応は!」

「別に何もない」

 

一護さんはまだ横でぶつぶつ言っているけど、こういうときは無視するのが一番、と学んだ

いつの間にか分かれ道に来ていたらしい

 

「じゃあ、また明日‼」

「うん、また明日」

「気をつけてな」

「ム…」

「あぁ」

 

今日、ここでまた明日と言うのが最後だ

織姫さんが寂しがっていたのが少しわかった気がする

そんなことを思いながら三人の背中を見送った

三人の背中が見えなくなってから私たちは黒崎家へと歩を進めた

久しぶりに見る《クロサキ医院》の文字

ここに来てからそんなに日は経っていないのに、浦原さんのところに泊まっていたのはほんの少しの間だったのに何だか懐かしい

 

「ただいま」

「…ただいま」

 

久しぶりに黒崎家の玄関をくぐる

皆の明るい声が迎えてくれる

 

「お兄ちゃん、天さん‼おかえりなさい‼」

「おかえり」

「うぉー!!天ちゃん、おっかえり~!!」

 

いきなり一心さんが私めがけて飛んできた

思わず身構えるけど、私に抱きつく前に一護さんを顔を一発殴って止めてくれた

 

「ふん‼何してんだ‼このエロ親父‼」

「何するんだ‼一護‼天ちゃんだって寂しかったよ…」

 

顔をさすりながら私に同意を求めてくるけど、それを首を傾げることでスルーする

するとかなり傷ついたようだった

それに一護さんが勝ち誇ったように追い討ちをかける

 

「残念だったな‼そんなことないってよ」

「そ、そんな…」

 

ガクッと肩を落とす姿を見ると罪悪感が出てきた

困って横を見ると気にすんなと一護さんが小さく笑ってくれた

いつの間にかキッチンから出てきた遊子ちゃんが腰に手をあてて二人の間に立っていた

 

「お父さん‼何してるの⁉」

「俺だけか⁉一護は‼」

「お腹へった…一兄、天さん、早く食べよ」

 

遊子ちゃんの言葉にさらに傷ついたようだけどそれを気に止める人は誰もいない

今までのやり取りを止めることなく見ていた夏梨ちゃんがもう我慢出来なかったのか、イスの背もたれに顎を乗せて言った

それに応じるように一護さんはイスに座る

まだ固まっている私にイスを叩きながら言ってくれた

 

「あぁ、そうだな。天も座れ」

「うん」

 

私が席につくのを待ってましたと言わんばかりに遊子ちゃんがご飯を持ってきてくれた

 

「はい、どうぞ」

「ん…ありがと」

「食うか」

 

私の前にご飯が置かれたのを確認してから一護さんが言う

 

「「「「いただきます」」」」

 

一心さんはまだ席についてないけど先に皆で手を合わせる

一心さんが何か言っているけど皆が無視するので、私も聞こえないフリをする

今日も遊子ちゃんの作ってくれた料理は美味しかった

それが今日で最後になると思うと少し残念だ

そのことを言わないといけないと思うが、何と話し出したらいいかわからない

このままだと余計にわからなくなるような気がしたから考えるのをやめてそのまま話すことにする

 

「急で悪いけど、明日からまた親戚の家に泊まる」

「え?いつまで?」

「これからたぶんずっと…」

 

私がそう言うと、一護さん以外食べる手を止めて私の方を見る

 

「じゃあ…今日が最後?」

「そうなる」

「本当に急だね」

 

遊子ちゃんは寂しそうに、夏梨ちゃんは口では素っ気なかったけど、寂しく思ってくれているのがわかった

それが嬉しいのと同時に寂しく申し訳なかった

 

「ごめんなさい…」

「仕方ねぇよ

 もともと、家に来るのはその親戚が準備出来てなかったからだしな

 …言ってなかったか?」

 

一護さんがしれっと嘘をつく

遊子ちゃんも夏梨ちゃんもそれが嘘だとはわからなかったみたいで、一護さんに文句を言っていた

一心さんは無言を貫いている

 

「天ちゃん」

「何?一心さん」

 

今まで何も話さなかった一心さんが不意に私の名前を呼ぶ

一心さんの方を向くと真剣な顔をしていた

何を言われるのかと構えていると

 

「またいつでも泊まりに来るといい」

 

ニカッと笑って言ってくれた

その姿に思わず父さんの姿を重ねてしまった

私にこうやって笑いかけてくれる数少ない人たちを護るためにも戦おうと改めて心に決めた

 

「…ありがと」

 

そのあとは今までよりたくさん話しながらご飯を食べた

食べ終えると遊子ちゃんと一緒にお皿を洗う

そしてお風呂に入ってまた遊子ちゃんと夏梨ちゃんとおしゃべりをした

これまでで一番楽しい時間となった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

晩飯を食べ終えて、風呂に入って俺は自分の部屋に戻った

 

「ふぅ…」

「おい!一護‼」

 

(今日は楽しそうだったな)

 

今日の天はいつもよりも表情が柔らかく見えた

あまり表情に変化はなかったが、ここ数日の間で一番穏やかだったように見えた

 

(それにしても…何だよ、枕元に小太刀を置いて寝ろって…)

「てめえはいつまで無視すんだ‼」

「グッ!!何すんだ⁉コン‼」

 

いきなり汚ないぬいぐるみがベッドに横になっていた俺の腹に蹴りをいれてきやがった

 

「てめえが無視するからだろ⁉それより離せ‼」

「お前、何か言ってたのか?」

 

初耳だ

コンが暴れるが背中を掴んでいるから問題はないが、うるさい

仕方なく落とす

 

「で、何だよ?」

「天ちゃんが帰ってきてるんだろ?あ…」

「断る」

 

コンが言いたいことはすぐにわかった

予想通り、天に会いたいらしい

 

「何だと⁉天ちゃんもきっとラブリーコン様にあ…」

「思ってねぇよ」

「お前に訊いてねぇ‼天ちゃんを連れてきやがれ‼

 直接訊いてやる‼」

 

再び、俺に突っ込んでくるが、見えていれば問題はない

また、取っ組み合いをしているとドアが開く音がした

ドアの方を見ると天が立っていた

 

「何を訊くの?」

「天、どうした?」

 

廊下まで聞こえていたのだろう

天は首を傾げながら入ってきた

 

「一応念を押しに…」

「わかってるよ」

「ならいい、おやすみなさい」

 

小太刀を枕元に置くように念を押しに来たらしい

天は俺が忘れていないのを確認するとクルリと背を向けた

それに焦ったようにコンが呼び止める

 

「ま、待て‼天ちゃん、ここに俺様がいるんだぜ?」

「うん…だから何?」

「な…そ、天ちゃんは寂しかっただろ⁉」

 

困ったように俺を見る

その目は正直に答えていいのかと訊いていた

コンが傷つかないように配慮する必要はない

 

「正直に答えてやれ」

「別に…そんなことなかったけど」

「だとよ、残念だったな」

 

コンは頭を抱えて何か叫んでいるが、そんなことは知らない

天は少し気まずそうだった




今回もお読みいただきありがとうございます
今年の更新は今回で最後となります

次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の1月1日を予定しております。

アルフレット

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