BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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投稿日は元日ということで今回はお正月特別編です
大急ぎで仕上げたため文がおかしいところがあるかもしれませんが、後々直していくつもりです
今話も前回同様本編には関係ありません
ですが、クリスマス編の続きなのでその二話は続いているのでその辺りはご注意下さい

それでは今回も最後まで読んでいただけると幸いです

アルフレット


外伝~お正月~

今日は十二月三十一日…つまり今年最後の一日、大晦日

浦原商店ではゆったりとした時間が流れていた

昨日までは大掃除でバタバタしていたがそれも無事に終わり、私は今日鉄裁さんの手伝いをしていた

 

「これでいい?」

「はい」

 

それももう終わり

最後の一品をお重に詰めておせちも完成

色とりどりでいくつか味見をさせてもらったけどどれもとても美味しかった

 

「天殿が手伝ってくださったおかげで早く終わりましたな」

「役に立てたならよかった」

 

手伝いを終え、エプロンをとる

お重を丁寧に積み、満足そうに頷く鉄裁さんの様子を見ると手伝ってよかったと思う

明日、みんなで食べるときが楽しみだ

手伝うことははもうないそうなので自室に戻ることにした

外はもう暗く、時計を見ればもういつもなら夜ごはんを食べている時間を過ぎていた

鉄裁さんがいろいろ味見させてくれたから夜ごはんを食べようにもお腹いっぱいで何もする気にならない

年越しそばを楽しみにしていたが今年は諦めよう

今日というか明日は一護さんたちが初日の出を見に連れていってくれるらしい

それまで特にすることはない

手持ち無沙汰になり、なんとなく横になる

寝転び、窓の外に見えた晴れ渡っており夜空は晴れ渡っており、満月が明るく照らし出していた

満月で明るい中、少ないながらも星々が瞬いていた

兄さんがいなくなってからの、独りだけの初めての年越し

そんなことを思ったが、こんなことを言えば一護さんにまた怒られるのだろう

実際には私のそばに兄さんがいなくなったけど一護さんたちが今は私のそばにいてくれる

さみしくはないと言えば嘘になるがそれでもさみしさに押しつぶされることはない

それも全てみんなが私のそばにいてくれるからだ

明日はそんなみんなと初詣に行って、浦原商店(ここ)で今日作ったおせちをみんなで食べる

久しぶりに『楽しみ』という感情が顔を出したような気がする

そんなことを思いながら目を閉じるといつの間にか心地よい微睡みに包まれ、それに抗うことなくそのまま身を委ねた

 

目を開けるとまだ暗い天井が見えた

何時かと思い時計を見ればもう時計の針は午前五時を少し過ぎたころを指していた

集合時間は六時、集合場所は浦原商店前

まだ一時間ある

みんなで初日の出を見たあとは初詣に行って、浦原商店に戻っておせちを食べる

みんなが当たり前のことのように約束してくれた

 

のんびりと用意をしていると気づけばもういい時間になっていた

忘れ物がないか確認して部屋を出る

その前に机の上に置いておいた一護さんからクリスマスにもらった手袋を着けて準備万端

意気揚々と部屋を出る

一応居間に書き置きを残しておく

靴を履き、外に出るとそこにはもう一護さんが来ていた

 

「おはよ」

「おう」

 

私が来たことに気づきこちらを見る一護さんの首もとにはクリスマスにプレゼントしたマフラーが巻かれていた

あれから何度か会って、使っていると聞いていたが実際に巻いている姿は一度も見たことがなかった

あげた自分が言うのも何だがよく似合っていると思う

 

「マフラー、着けてくれてる」

「ん?これか?

前に着けてるって言っただろ?」

「言ってたけど見たことなかった

思った通り似合ってる」

 

私がそういうと一護さんは何故かそっぽを向く

どうしたのかと顔を覗き込むと、少し頬を赤く染めていた

何だか嬉しくなって顔を近づけると一護さんに頭を押さえ込まれた

そして、ポンポンと優しく撫でられる

 

「新年早々、何をしているんだ、黒崎?」

「天ちゃんだけずるーい!!」

「…」

 

いつの間にか来ていたのであろう三人にようやく気づく

 

「何だよ、石田!?お前は黙ってろ」

「何!?」

「井上も天と同じことしてほしかったらこっちに…」

「う、ううん!!いいの!!」

 

織姫さんは顔を真っ赤にしながら手と首をブンブンと横に振る

その様子に一護さんは首を傾げながらそうかと言っている

石田さんはもう相手にされないとわかっているのか自分は冷静だとでもいうように眼鏡を直していた

茶渡さんはそんな三人の様子を無言で静かに見守っていた

いいと言っても見つめてくる一護さんに織姫さんは顔を真っ赤にしたまま逃げるように私の方を向く

 

「天ちゃん!!」

「なに?」

「あけましておめでとう!!」

「お、おめでとう」

 

突然で驚いたせいでぎこちない挨拶になってしまった

それでも織姫さんは気にすることなく私の手をとって、今年もよろしくねとブンブン振る

されるがままになっている私に一護さんは少し笑う

正直助けてほしいのだが助けてくれる気配は全くない

 

「全員揃ったし行くか」

 

一護さんの号令で初日の出を見に浦原商店をあとにする

まだ人気のない道を五人で歩いていく

歩いていくうちにどんどん空が明るくなってきた

それからしばらく歩いて、空座町の外れにある小高い山の頂上に着いた

 

「着いた…」

「疲れたか?」

「…少し」

 

頂上の少し見開けた場所の入り口で立ち止まっていると一護さんが顔を覗き込んできた

顔をあげれば織姫さんたちはもう先に進み、もうすぐ顔を出す太陽を待っていた

 

「黒崎くん!天ちゃん!早く!!

もうすぐだよ!!」

「おう」

「わかった」

 

織姫さんに呼ばれ、みんなところへと向かう

そこへ行けば織姫さんは満面の笑みで迎えてくれる

織姫さんが指を指す方を見ると地平線の向こうから空座町を照らし出す太陽が姿を現し始めていた

それの美しさに誰一人言葉を発することなくただただ魅入っていた

それから太陽が完全に昇りきってもしばらく口を開けずにいた

ようやくみんなが我にかえり、一斉にため息を吐く

 

「きれいだったね~」

「きれいだった」

「…そうだな」

「たまにはこういうのもいいな」

「そうだね、黒崎と同じ考えなのは認めたくないが」

 

またケンカが始まるかと思えば一護さんは言い返すつもりはないのか太陽を眺めていた

その横顔を見ているとそれに気づいた一護さんは私を見下ろしてきた

 

「なんだ?」

「何でもない

言い返さないんだと思っただけ」

「この景色を見ているとそんなことどうでもよくなってな」

「ふーん」

 

一護さんは隣で何だよと言っているがそれを無視して日の出に目を戻す

そんな私の姿にため息を吐きながらも一護さんも太陽に視線を戻す

それからしばらくして時計を見ればもう一時間半過ぎていた

 

「そろそろ初詣に行くか」

「うん…行って帰ったらお雑煮とおせちが待ってる」

「まるでお正月だね!!」

「?今、お正月」

 

織姫さんの意味不明な言葉に首を傾げるがみんなは特に何か反応することはなく普通にしている

それから太陽に背を向けて神社に向けて歩き出す

神社に着けばそこは出店が並び、たくさんの人で溢れ帰っていた

 

「すごい人…」

「思っていたより多いね」

 

少し気を抜けばすぐにはぐれてしまいそうだ

少し歩くだけで誰かにぶつかってしまう

 

「大丈夫か?」

「…大丈夫じゃない

早くお詣りして帰る」

 

一護さんはそんな私の言葉に苦笑いを溢す

また私が誰かとぶつかり、流されかけると一護さんはすかさず手をとってくれた

 

「大丈夫か?…大丈夫じゃなさそうだな」

「もう疲れた」

「天ちゃん、ちっちゃいから大変だね」

「…ちっちゃくない」

 

それから何故かみんなに囲まれながら進み、ようやくお賽銭箱の前に出ることができた

みんな一列に並び、お賽銭を投げ入れる

心の中で願い事を呟く

 

『これからもみんなと一緒に過ごせますように』




最後までお読みいただきありがとうございます
次回の投稿は8日を予定しております
次回も読んでいただけると嬉しいです
それではこの辺で失礼します

アルフレット

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