BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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12月に入り今年も残すところあと一ヶ月弱となりましたね
一年たつのが早い…

さて、今回も最後までお読みいただけると幸いです
アルフレット


第三十三話

昼食を食べ終えると浦原さんが口を開いた

 

「明日のことっスけど、天サンわかっていると思いますがもう話さないわけにはいきませんよ」

「わかってる…

 明日、みんなが来た時に全部話す」

 

それならいいんスけど、と浦原さんが小さくため息をついていた

 

「俺はもう帰るけどちゃんと休んどけよ」

「帰るの?」

「あぁ、さすがにコンに任せておくのも心配だしな

 それに今から行けば午後からの授業には間に合うだろうからな」

 

一護さんが帰ってしまうのは少し残念だけど

コンに一護さんの身体を預けておくのも心配だ

 

「それじゃあな

 浦原さん、夜一さん、天のこと頼むな」

「私は帰らなくていいの?」

「ん?その体で動くのきついだろ

 遊子たちには言ってあるから大丈夫だ」

「…わかった

 気をつけて」

 

私がそう言うと一護さんは軽く手を上げて窓から出て行った

その背中を見送る

 

「どうですか?」

「何が?」

 

主語がないと何のことだか全くわからない

何故かため息まじりに浦原さんは言う

 

「一護さんのことっスよ」

「一護さんが何?」

 

夜一さんまでもため息まじりに言う

 

「血盟者に、ということじゃ」

「そうさせたかったんでしょ?」

 

やっと何のことかわかり、なるほどと頷く

 

「まぁ…そうじゃな」

「でも、なってほしいって思う」

「そうっスか」

 

浦原さんはニヤニヤしていた

二人の思惑通りになるのは少し悔しかったが一護さんを血盟者にしたいと、今は心から思う

浦原さんは立ち上がり、言った

 

「まだ、身体が痛むでしょうし、休んでください」

 

そう言うと二人は部屋を出ていった

その背を見送り、ふとんに横になる

お腹がふくれたせいかあれだけ寝ていたのに眠くなってきた

 

(明日、一護さんに血盟者になってくれないか訊いてみよう)

 

そう心に決めると何だかいい夢が見れるような気がした

 

目を開けるともう夕方に近い時間だった

少し視線を横に動かすとそこには浦原さんと夜一さんがいた

 

「また、ぐっすりでしたね

 気分はどうっスか」

「また?」

 

外は日が少し傾いてきている程度でどう考えても数時間しか経ってない

 

「もうすぐ黒崎サンたちがいらっしゃるでしょうから

 起きれますか」

「一護さんたちが来るのは明日…」

「今日がその明日ですよ」

 

どうやら私は丸一日寝てしまっていたようだ

あれだけ寝ていたのにまだこんなに寝れるのかと

この三日間で起きていたのはほんの数時間程度だろう

それからすぐ、玄関の方から賑やかな声がした

 

「こんにちは~」

「皆さん来たようですね」

 

そう言うと浦原さんは皆を出迎えに玄関へ向かった

皆が来る前に身体を起こす

ふすまが開いたと思ったのと同時に織姫さんが目の前にいた

 

「天ちゃ~ん‼無事でよかった~‼」

「織姫さん…痛い」

 

織姫さんは私の姿を見た途端抱きついてきた

まだケガが痛むのに織姫さんに抱きしめられてさらに痛む

そんな私の様子に気がついたのか一護さんが止めに入ってくれる

 

「井上、天から離れろ

 天が痛がってんぞ」

「あっ!ごめんね」

「大丈夫…」

「そろそろいいっスか」

 

苦笑しながら浦原さんがもういいかと言う

 

「さぁ…それでは天サン」

 

浦原さんに急に名前を呼ばれ少し姿勢を正す

先に話せと言うことだろうと思い、口を開くが

 

「えーと…ごめんなさい」

 

何と言えばいいかわからずとりあえず謝る

どうやら浦原さんが期待していたこととは違ったみたいで頭を押さえている

そんな姿に私が首を傾げると周りからは苦笑が漏れた

 

「違いますよ…」

「何が違うの?」

 

次は周りからため息が聞こえてきた

 

「他に言うことがあるじゃろ?」

「他にいうこと…」

 

ついに夜一さんに頭を叩かれた

 

「えーと…色々ごめんなさい」

「お前なァ…‼」

 

今度は一護さんが怒り始めた

もう一度やれば次は誰が怒るのか気になったがそれを言えばまずいことになるような気がして言葉を飲み込む

 

「何が違うの?

 兄さんは悪いことしたと思ったら謝れって言ってたのに…」

「謝る必要はねぇよ」

 

一護さんの言葉に周りを見ると皆は頷いてくれた

謝罪の言葉はいらないから本題に入れと言うことだと理解する

 

「わかった…

 ねぇ、一護さん…」

「何だよ?」

 

血盟者になって

簡単なことなのになかなか口に出せない

今になって…虫のいい話だ

なかなか言い出さない私を一護さんは急かすことなく待ってくれている

ようやく口にする

 

「一護さん…私の…血盟者になってください…」

 

消え入りそうな声で言った私に力強い笑みでうなずいてくれる

 

「あぁ、当たり前だ」

「ありがとう…」

 

一護さんの答えに安堵する

止水の声が聞こえてきた

 

———よかったな、天

 

本当に…止水も安心した?

 

———当たり前だ

さて、これから血盟を結ぶ儀式に入らねばならないが出来そうか

 

大丈夫…やって見せるから

 

———はぁ…血盟者になってすぐに無理する必要はないんだがな

 

問題ない…やっぱりここでするわけには…

 

———ダメだろう

もう少し外部と遮断された空間がいい

それに解放直後に力を制御出来るとも限らない

地下の勉強部屋だったか

あそこであればここよりいいだろう

 

わかった

そうする

 

「天?」

 

一護さんの声にゆっくりと視線を上げる

 

「どうかしたのか?」

「何でもない…浦原さん、地下室貸して」

 

浦原さんに向き合い言う

 

「そんな身体で大丈夫っスか?」

「大丈夫」

 

しっかり目を見て答えると軽くため息をつかれたが貸してくれるようだ

私は無言で浦原さんのあとに続こうとするが足に上手く力が入らずふらついてしまう

すると夜一さんは私を抱えて歩き出す

 

「自分で歩ける」

「何を言うておるんじゃそんな身体で

 大人しくしとれ」

 

そのまま仕方なく夜一さんに抱えられていることにした

一護さんたちは状況がよくわからないのかその場を動いていなかった

そんな四人に声をかける

 

「何してるの?一護さんは来なきゃダメ

 他の皆はどっちでもいいけど」

 

私がそう言うと四人は顔を見合わせてあとについてきた

 

「おい、天これから何すんだよ」

「儀式」

 

四人は目をパチクリしている

 

「儀式って何のだい?」

「もちろん血盟の儀」

 

何わかりきっていることを訊くのかわからずに首を傾げる

すると前を歩いていた浦原さんが振り返り、苦笑まじりに言う

 

「黒崎サンたちは知らなくて当然っスよ

 天サン、何も話さなかったんですから」

「でも、前に儀式的なことをするって言った」

「それだけで察しろと言うのはちと難しいぞ」

 

夜一さんにも苦笑された

 

「一護さん、一つだけ私に対する約束考えといて」

「はぁ?何でだよ」

「儀式で必要だから

 ないならなくてもいいけど」

 

そんなことを話しているとどうやら地下室への入り口に着いたようだ

そのまま夜一さんに抱えられたまま中に入る

無事に着地する

 

「ここで降ろして、夜一さん」

「うむ、降ろすぞ」

 

おろしてもらってすぐはやっぱりふらつき、夜一さんが支えてくれる

足にしっかりと力をいれて立つ

 

「一護さん、死神になって」

 

私がそう言うや否や浦原さんが持っていた杖で一護さんを死神にしてしまった

浦原さんの杖が気になったが今はそんなことをしている場合ではない

 

「私も脱ぐから待って」

「脱ぐって何を⁉」

 

両手を合わせ、身体の表面に力を集める

そのまま外に向かって力をかけていく

すると徐々にとれていくのがわかった

その数秒後には完全に脱げた

 

「終わった

 義骸脱げた」

「義骸のことかよ」

「ん?他に何がある?」

 

一護さんと石田さんが真っ赤な顔をしてため息をついていた

それを横から夜一さんが小突いていた

自分の身体を見ると包帯もはずれているせいで血がついていた

 

「さっきのでキズが開いてしまいましたか」

「大丈夫…すぐ治す」

 

私は自分自身に治癒結界をかける

するとものの数秒で身体からキズが消えてなくなった

ポカンとしているのを無視して一護さんに言う

 

「一護さんはこっち

 皆はそこにいて」

 

一護さんの腕を引き、皆から少し離れる

障害物がないところに二人で向かい合って立つ

 

「始める

 準備はいい?」

 

一護さんが頷くのを確認したあと懐から小太刀を取りだし、互いに腕が届く距離で地面に刺す

そして、儀式を始めるため集中した




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の11日を予定しております。

アルフレット

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