BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

3 / 46
なかなかうまくかけず、苦戦しております
今回も拙い文章ではありますが、楽しんでいただけると幸いです

アルフレット



第三話

皆が私が寝ていた布団の周りに腰を下ろす

皆が私を見る

昔のことを思い出してボーっしてしまう

 

「天サン、どうかしましたか?」

「…何でもない」

 

浦原さんの声にハッとすると目の前には

私の顔を覗きこんでいた浦原さんの心配そうな顔があった

周りを見れば心配そうな目が私を囲んでいた

そんな目を無視して私から話を切り出した

 

「それより訊きたいことって何?」

「そうですね…お名前はもうお聞きしましたし、

 ご家族のこと、訊かせてもらえますか」

「…わかった」

 

家族のことを話そうと口を開こうとしたとき

一護さんの声がそれを遮った

 

「ちょっと待て‼

 俺たちはまだ名前、聞いてねぇぞ⁉」

「そういえばまだ黒崎サンたちは彼女の名前を知りませんでしたね

 それでは、まず自己紹介からですね」

「…院殿天」

 

短く答える

一護さんたちが少し呆気にとられたようでポカンとしている

 

「どうしたの?」

「あ、いや…何でもねぇよ」

「う、うん。シンプルで少し驚いただけ」

 

ほかの二人も隣で頷いている

ほかにどのように答えればいいのか分からず首をかしげる

そんな私たちを見て浦原さんたちは苦笑していた

浦原さんは話を戻そうと咳払いをして、切り出した

 

「えぇ、では自己紹介も終わりましたし、

 改めてご家族のことを話していただけますか」

「…両親はだいぶ前に死んだ

 兄さんは…この間死んだ」

 

周りを見ると浦原さんと夜一さんはやはりという顔をしていたが、

一護さんたちは言葉を失っているようだった

 

「やはりそうでしたか…」

「浦原さん…?」

 

浦原さんたちがあまり驚かなかったことに

一護さんたちも驚いているようだった

浦原さんはそんな周りの反応を意に返さず考えて込んでいた

そんな姿に私も違和感を覚えていた

 

(父さんたちがだいぶ前に死んだことも兄さんが死んだことも知ってる?

 でもどうして?言った覚えはない…

 だとすれば他に考えられる可能性は…

 そう言えば浦原さんと夜一さんは父さんと母さんの血盟者と同じ名前…まさか)

 

と思いながら、考え込んでいる浦原さんと夜一さんを見つめる

そんな視線に気づいたのか俯いていた浦原さんと夜一さんが顔を上げた

 

「ん?どうしたんじゃ?」

「どうしました?アタシの顔に何かついてますか」

「思い出した…父さんと母さんの血盟者…」

 

二人は驚いたようで、目を見開いていた

周りは訳も分からずポカンとしていたが…

 

「よく覚えていましたね…その通りっス

 アタシたちはアナタのご両親の血盟者です」

「やっぱり」

「血盟者ってなんだ?」

「血盟者…その人が結んだ誓約みたいなものの相手のこと」

「分かったような分からないような…だな」

 

一護さんたちは完全に理解できないらしくまだポカンとしていた

浦原さんたちは苦笑しながらその様子を見ていた

 

「血盟者の話はまた後日でいいじゃろう」

「そうっスね

 先に進みましょうか

 ご両親とお兄さんが亡くなったときのことをお訊きしても?」

「わかった…」

「ではまずはご両親が亡くなったときのことをお願いします」

 

父さんたちが死んだときのことを思い出す

今でも鮮明に思い出せる…

 

「両親が死んだその日、私と兄さんは村のはずれの森で修行をしていた

 村の方から大きな音がしたから急いで戻った

 村に戻るといたるところで煙が燻っていて空に向かって

 いくつもの黒い線が上がっていた

 私たちは真っ先に自分たちの家に向かうと、

 そこには仮面をつけた男と交戦している父さんの姿があった

 父さんは満身創痍で立っているのも不思議なくらいだった

 母さんはもうすでに倒れていて、かろうじて息があるようだったけど動かなかった

 男は私たちの姿をとらえるとこちらに向かってきたけど

 それを父さんが阻んで言った

 

 『龍‼天を連れて早く逃げろ‼』

 

 龍っていうのは兄さんのこと

 兄さんはすぐに正気に戻って私を抱えて逃げた

 その後は現世に逃れて、いろいろなところを転々としながら過ごしてきた

 これが両親が死んだときの話」

 

話し終えるとあの時の最後に見た父さんの必死な顔、

母さんの生気がない顔が頭の中から消えず、

胸をつかまれているような痛みを感じた

あたりは重い空気で包まれていた

浦原さんたちが暗い表情をするのは理解できた

でも、どうして一護さんたちまでそんな顔をするのか分からず考え込んでいると

夜一さんが申し訳なさそうに言った

 

「つらいことを思い出させてしまって悪かったな」

「…大丈夫

 もうだいぶ昔のことだから」

 

私がそう言うと夜一さんは優しく頭を撫でてくれた

その手があまりにも優しくて母さんを思い出させた

頭を撫でられてると、石田さんが神妙な顔をして訊いてくる

 

「ちょっといいかい、一つ気になることがあったんだが」

「何?」

「『現世に逃れてきた』と言っていたが

 君は尸魂界の人間なのか?」

「うん…そう」

 

私の答えに少し驚いたようだが、石田さんはすぐに新たな疑問を口にした

 

「でもそれなら少しでも霊圧を感じるはずなんだが…?」

「たしかにそのはずだよね」

 

石田さんの発言にそういえばという感じでほかの三人が頷く

浦原さんを見ると浦原さんは心当たりがあるようだったが、

説明する気はないらしい

 

「それは特別な義骸に入っているから

 それとある術を使っているから」

「それで完全に霊圧を隠すことができるのかい?

 術ってどのようなものだい?」

「それは秘密」

 

石田さんは完全にとは言えないがとりあえず納得したようだった

 

「アタシからもひとつ、訊いてもいいっスか?」

「うん…何?」

「村の他の方々はどうなったんスか」

「正直、わからない」

「わからないってどういうことだよ?」

「私の一族は死ぬと何も残らない

 だから死んだのか逃げて霊圧を隠しているのかはわからない」

 

浦原さんはそう言えば…という顔をしていた

一護さんたちはそんなことあるわけがないといった感じだ

 

「何も残らないって死体くらい残るだろ?」

「本当に何も残らない…すべて消えて無くなる」

 

本当に他の皆のことはわからない

実を言うと父さんたちが死んだところも自分の目で見たわけではない

だから絶対死んだなんて言い切れない

本当は生きているかもしれない

でも、兄さんが死んだと言っていたから死んだことにしている

浦原さんが咳払いをして次の話に移る

 

「それでは、次は兄さんが死んだときの話をお願いします」

「わかった…

 兄さんが死んだのは本当につい最近

 私たちがこの空座町に引っ越してきたのはつい半年ほど前

 この町に来てから兄さんは毎日忙しそうにあちこちに行っていたみたい

 私ともこれまで以上によく話すようになっていたから

 今思えばもうすぐ死ぬってわかっているみたいだった

 そんなある日、兄さんはいつものようにどこかに出かけて行った

 私はいつものように家で一人留守番していた

 兄さんは夕方には帰ってくると言っていたけど帰って来たのは夜更けだった

 帰ってきた兄さんは普段義骸に入っているのに入っていなくて

 しかも血まみれだった

 そこら中に切り傷があって服もいたるところが切れていた

 どれだけ聞いても兄さんは何があったか答えてくれなかった

 私は必死に兄さんを助けようと治療したけどダメだった

 そして兄さんは息を引き取った

 これが兄さんが死んだ時のこと」

 

また、重苦しいほどの静寂に包まれた

それを破ったのは浦原さんだった

 

「お兄さんが誰と戦ったのか、心当たりはありませんか」

「…仮面集団」

「仮面集団というのはご両親と戦っていた人たちのことっスね

 その仮面集団に心当たりは?」

「…ない」

 

仮面集団に全く心当たりがなかったわけではない

確証がないからと自分に言い訳するけど、

本当は信じたくないからだと心のどこかではわかっていた

何かを隠していることを浦原さんはわかっているようだったが

何も聞かないでくれた

 

「わかりました」

「辛いことを話さしてすまなかったな」

 

浦原さんも夜一さんも申し訳なさそうな顔をしていた

一護さんまで黙ってしまい、また、静寂が訪れる

その静寂に居心地が悪くなって窓の外を見ると、

空は赤く染まっていた

その中に黒い点が三つ浮かんでいるのが見えた

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
では、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の8日を予定しております。

アルフレット

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。