BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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開いていただき、ありがとうございます
拙い文章ではありますがですが、楽しんでいただけると幸いです

アルフレット



第二話

目を覚ますともうすでに昼を回っているようだ

体を起こし、あたりを見回すと枕元に黒猫がいた

じっと見つめていると、黒猫は立ち上がり

ふすまを器用に開けて出ていった

その後ろ姿を見つめ、次に窓の外に目を向ける

空は晴れ渡っていた

眩しさに目を細めていると、誰かが入ってくる気配を感じた

そっちを見ると浦原さんと長身でおさげの男が入ってくるのが見えた

 

「おはようございます

 気分はどうですか?」

「おはよう…浦原さん…?」

「もう名前、憶えてくれたんスね」

「うん…そっちの人は誰?」

「私は握菱鉄裁と申します

 鉄裁とお呼びください

 食事を持ってきましたのでどうぞ食べてください」

「ありがとう

 …いただきます」

 

手を合わせて早速食べる

鉄裁さんが持って来てくれた食事はとても美味しかった

久しぶりに誰かが作った料理を食べた

 

私が食べているのを見て、浦原さんはニコニコしていた

鉄裁さんはどこか安心したように私を見ていた

浦原さんが思い出したように口を開く

 

「ちなみにアナタのケガを治したのは鉄裁サンなんですよ」

「そうなんだ。ありがとう」

「いえ。礼にはおよびません

 元気になったようで何よりです」

 

正直、こんなごつい人が私を治してくれたことに驚いた

人は見かけによらないんだなと思ったことは内緒だ

 

「ごちそうさまでした」

「完食ですね。」

「…おいしかった」

「お口にあったようでよかったです」

 

私が完食したことが二人ともうれしいようだった

そして、鉄裁さんは食べ終えた食器類をさげるために

ふすまを開けると黒猫が入って来た

黒猫が入るのを待ってから鉄裁さんは食器類を持って出て行った

部屋に浦原さんと枕元に座っている黒猫と私だけになると

浦原さんが聞いてきた

 

「そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね

 お伺いしても?」

「…院殿(いんでん)(そら)

「院殿天サンですか…」

 

浦原さんは驚いているようだった

目を大きく開き、信じられないというような表情をしている

心なしか黒猫も驚いている気がする

 

「浦原さん…?どうしたの?」

「あ、いえ。なんでもありませんよ

 夕方には昨日いた人たちが来ると思うんで

 それまでゆっくり休んでいてください

 そのときにまた話を聞かせてください」

 

そう言うと浦原さんと黒猫は部屋を出て行った

その背中を見送りながら思う

 

(そういえば浦原喜助ってどこかで聞いたことがある気がする)

 

おなかが膨れたからかあんなに寝ていたのにまた眠気が襲ってきた

横になるとすぐに心地よい微睡に包まれていった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

天サンの部屋を後にしたアタシたちはまだ驚いていた

 

「まさか院殿サンの娘サンだとは思いませんでしたね」

「そうじゃの

 儂もさすがに驚いた」

 

部屋に入り、夜一サンと腰を落ち着けて話す

 

「道理で見たことがあったんスね

 分からなかったのは、

 会ったのがまだ彼女が幼い時の一回きりだったからですかね」

「そうじゃったな

 あんなに幼かったのにおおきくなったのぅ」

「しかし、あまりお二人には似ていませんね」

 

鉄裁サンが入れてくれたお茶を飲みながら一人と一匹でそんな話をする

 

「さて、黒崎サンたちが来るまでもう少しありますね」

「そうじゃの。じゃが、一護たちにはどう説明するんじゃ?」

「彼女自身のこと、家のこと、一族のことは彼女自身から話すべきでしょうから

 アタシから話すつもりはありません」

「そうか

 まぁ、そうじゃの」

 

夜一サンはそういうと立ち上がり、ふすまに向かって歩き出した

アタシはそんな夜一サンを見て、またかと思いましたが一応聞いてみますか

だいたい予想がついていますが

 

「夜一サン、どこに行くんスか」

「なに、天のそばにいてやろうと思ってな

 おぬしと茶を飲んでも仕方ないしの」

「そうっスか…いってらっしゃい」

 

夜一サンはずっと天サンについていますね…

結局アタシは一人で寂しくお茶を飲むことになってしまいました

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

学校が終わり俺たちは浦原商店に向かっていた

昨日と違うのは眼鏡をかけたやつが一人増えているところだ

 

「おい、石田!何でお前がついてきてるんだよ」

「僕が一緒に行ってはいけないのか」

「来る必要はないだろ

 昨日も一昨日も来なかったのによ」

「仕方ないだろ

 昨日と一昨日は用事があったんだ

 僕は君みたいに暇じゃないんだよ」

「何だと!!俺だって暇じゃねぇよ」

 

俺と石田はいがみ合っていた

そんな様子を井上とチャドは呆れながら眺めていた

 

「でも、あの子に何かあるなら石田君にいてもらった方が心強いかな~」

「俺も井上に同感だ」

「二人はわかっているようだね

 黒崎、これが現実だ」

「お前ら…‼」

 

井上と茶渡が必要だといったことに気分を良くした石田は俺を馬鹿にしやがった

俺たちのいがみ合いはさらにヒートアップしそうになったところで

浦原商店に着いた

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

賑やかな声で目を覚ます

黒崎さんたちが来たのだろう

まだ眠気の残る眼をこすりながら体を起こすと枕元には黒猫がいた

見つめていると黒猫は部屋から出て行った

その姿を見送って窓の外を見ると少しオレンジがかった空が見えた

そうしているとふすまの向こうから声がした

 

「起きてますか~?」

「…起きてる」

「入りますね~?」

「…どうぞ」

 

答えるとふすまが開き、浦原さんたちが入ってくる

その中には見たことのない人が二人いた

黒猫がいなくて残念に思ってしまった

 

「よう」

「こんにちはー!具合はどう?」

「…こんにちは

 えっと…黒崎さんと井上さんと茶渡さん…?」

 

黒崎さんと井上さんが声をかけてくる

名前を呼ぶと井上さんは嬉しそうに顔を緩めた

 

「もう覚えてくれたんだね~」

「うん…」

「黒崎さんじゃなくて一護でいい」

「あっ私も織姫がいいな~」

「わかった…じゃあ、一護さんと織姫さん

 それでそっちの人たちは…?」

 

色黒の女性と眼鏡をかけた男を見る

すると女性は私と目線を合わせて笑顔で言った

 

「儂は四楓院夜一じゃ

 ずっとお主のそばにおったが気づかんかったか?」

「そばにいた?ずっとそばにいてくれたのは黒猫だけまさか…」

「そのまさかっスよ

その黒猫が夜一サンなんスよ」

 

驚いた

人が黒猫に化けることができるなんて

逆か?黒猫が人に化けているのか…

そんな私の表情を見て、

夜一さんはしてやったりといった顔をしている

 

「そうなんだ…そばにいてくれてありがとう」

「構わん、気にするな」

「あなたは…?」

「僕は石田雨竜だ」

「一護さんたちの友達…?」

「「こいつとは友達じゃねぇ(じゃない)‼」」

 

突然大きな声で否定された

息ピッタリ、なんだかんだ仲がいいんだろうなと思ったけど、

それを言うとさらにまずいことになりそうだったので

黙っていた

二人の睨み合いを眺めながら

織姫さんと茶渡さんはやれやれといった風だ

二人の睨み合いが一段落したところで

今までニコニコしていた浦原さんは表情を少し引き締めて

切り出した

 

「さて、自己紹介も済んだところで色々訊かせてもらえますか」

 

私は小さく頷き返した

そしてあたりには少し緊張感が漂った




今回もお読みいただきありがとうございます
次回もお読みいただけると嬉しいです
それではこの辺で失礼します
次の投稿は一週間後の5月1日を予定しています。

アルフレット

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