BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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今回は浦原視点はありませんが、一護視点があります
浦原視点よりは完成度が高いと思います
というよりも今までに何回か書いているのでもう遅いと思いますが
今回の一護視点は飛ばすと少し問題がありますので、我慢して読んでください
それでは今回も最後までお読みいただけると幸いです

アルフレット


第十八話

俺たちは学校が終わると井上に急かされて浦原商店に向かった

「こんにちは~」

「浦原さん、来たぜ」

 

俺と井上が呼ぶと奥から浦原さんが姿を見せた

 

「いらっしゃい

 お待ちしていましたよ」

「?」

 

浦原さんはなぜか小声で話す

俺たちの頭にハテナが浮かぶ

 

「どうしたんだよ?」

「シーッ

 大きな声を出さないでください

 とりあえずどうぞあがってください」

 

とりあえず浦原さんに続く

浦原さんがふすまを開けて中に入る

するとそこには丸くなって寝ている天の姿があった

 

「ということなんで、お静かにお願いします」

「あぁ…」

「ぐっすりだね…」

 

なるほど

天が寝ているから

天の寝顔は幼く無防備だった

 

(見た目は俺たちよりも年下に見えるけど

 実際はかなり年上なんだよな…)

 

こうやって無防備に寝る姿を見ていると幼く見えるのに年上だと言うことが不思議だった

ぐっすり寝ているようで起こすのも気が引ける

 

「だけどこれだと連れて帰れねぇな」

「その心配いりません」

「どういうことですか?」

「これから皆さんには勉強部屋で特訓してもらいます」

「特訓?」

 

勉強部屋というとあの地下室か…

 

「そうっス

 特に黒崎さんには強くなってもらわなければなりません

 これから、天サンを護ろうと思うのならば」

 

なんとなく浦原さんがしたいことがわかった

井上が首をかしげながら訊く

 

「でもどうして急に?」

「一護…この間仮面集団と戦ったときどうじゃった?

 もしあのまま続けていたら勝てそうじゃったか?」

「それは…」

 

無理だっただろう

あいつはどんどん早くなっていた

それに比べて俺は卍解すらできなかった

でも卍解していればとも思う

 

「正直に言います

 今のあなたでは天サンを護れません」

「っ‼︎」

「今のあなたでは弱い

 たとえ卍解したとしても勝てる確率はそんなに高くないでしょう

 そのこともあって天サンはあなたを血盟者にできないのでしょう」

 

あっさり俺が考えていたことをきられた

それに誰を血盟者とするかは天次第

天が俺に任せてもいいと思えなければ俺は血盟者になれない

あいつを護るためにも強くならなければならない

 

「どうしますか?」

 

そんなの決まってる…‼

 

「強くなるに決まってんだろ…‼」

「それでは移動しましょう」

 

天を部屋に残して勉強部屋に移動し、特訓について説明を受ける

 

「黒崎サンには攻撃を避けながら反撃し、相手に隙を作る特訓をしてもらいます

 茶渡サンには素早い敵に攻撃を当てる特訓を

 石田サンにはアタシと実戦練習をしてもらいます」

「どうして石田くんは浦原さんと実戦練習なんですか?」

「速い攻撃にも対処出来ますし、

 攻撃に関しても手数があるんで先にアタシとの実戦にしました」

 

何か悔しい

でも、それが今の俺に足りないことだ

自分がするべきことをするべきだと自分に言い聞かせる

 

「どうやってするんだ?」

 

浦原さんが突然人形のようなものを取り出した

どこかで見たことのあるやつだな

 

「これを使います

 新しく開発したその名も『転神体・改』っス‼」

「どうやって使うんだ?」

 

転神体というと俺が卍解を習得するときに使ったものだったはず

深く訊くとめんどくさいことになりそうだったから適当にながして使い方を訊く

浦原さんは少し残念そうな顔をしたがすぐに説明してくれた

 

「簡単っス

 もう設定はしてあるんでこれに霊圧をこめれば…

 ほらこれで使えますよ

 もうこめちゃったんで、来ますよ…」

「は?っ‼先に言えよ‼」

 

浦原さんが霊圧をこめた途端人形が俺に向かってきた

それをギリギリで避けながら文句を言う

浦原さんは悪びれる様子もなくいつものような口調で言う

 

「余所見していたらやられますよ~」

「くそっ‼」

 

視線を戻すと目の前に人形がいた

余裕が全くない

この間の仮面男との戦いと同じように

いや、それ以上に

 

「それでは茶渡サンも始めますか」

「…お願いします」

 

どうやらチャドの方も始まったようだ

そのあとすぐ石田たちも始めたようだ

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

とても心地いい

体がちょうどいい温かさで包まれている

ゆっくりと目を開け、寝惚けた頭のまま体を起こす

何かが擦れて落ちる音がした

その音の方を見ると毛布が落ちていた

誰かがかけてくれたようだ

それをしばらくボーっと眺め、そのあと周りを見回す

人の気配が全くない

浦原さんも夜一さんの気配もしない

一気に頭が覚醒し、立ち上がる

 

「浦原さん?夜一さん?いないの?」

 

呼んでも返事がない

一気に不安になってくる

今までが長い夢で本当は一人のままだったのではないか

 

「浦原さん⁉夜一さん⁉︎どこ⁉︎」

 

もう一度名前を呼んでみる

やはり返事は返ってこない

体から力が抜けて座り込む

震えてきた体を両腕で抱く

 

(私のせい…?今までのことが夢?

 いやだ…そんなの)

 

鼓動が早くなるのがわかった

呼吸も早くなる

 

「天?どうしたんじゃ?」

 

声が聞こえた方をゆっくりと見るとそこには驚いた顔をした夜一さんが立っていた

 

「夜一さん…?」

「どうしたんじゃ?

 怖い夢でも見たか?」

 

私と目線を合わせながら優しく声をかけてくれる

安心して緊張の糸が切れたのか涙が溢れてきた

そんな私を見て夜一さんは慌てた様子で背中をさすってくれたくれた

 

「どうしたんじゃ?」

「何でもない…」

 

言ったら本当のことになってしまいそうで怖かった

それでも言って大丈夫だとそばにいると言って欲しかった

 

「何でもないわけなかろう

 話してみろ」

「…皆がいなくなったと思った

 今までのは長い夢だったんじゃないかって」

「儂らがいなくなって怖かったのか?

 大丈夫じゃ…儂はここにおるぞ

 一護たちもおる

 大丈夫じゃ…」

 

そのまま私が落ち着くまで大丈夫だと背中をさすってくれた

やがて落ち着き、涙がとまると今度はしっかりと私の目を見て言ってくれた

 

「大丈夫じゃ

 儂らはお主を置いてどこにも行ったりせん」

「うん…ありがと」

 

私がお礼を言うと夜一さんは笑ってくれた

でもすぐに、真剣な顔になって言った

 

「じゃが、儂らも天がいなくなると悲しい

 さっき、お主が泣いていたようにな

 じゃから、天、お前もどこにも行くな」

「…努力する」

 

夜一さんは私にどこにも行くなという

いなくなったら悲しいとも

そう言ってくれることが嬉しかったと同時に申し訳なかった

話題を変えるように気になっていたことを訊く

 

「皆はどこ?」

「あぁ…一護たちは下じゃ」

「下?」

 

下ということは地下のことか?

この家には地下があるのか?

初めて知った

 

「下で何してるの?」

「特訓じゃ」

「特訓?」

 

特訓…何のために?

まさか…

 

「お主を護れるようにな」

「私を護る?」

「そうじゃ

 別に儂らが強制したわけではないぞ

 まぁ喜助が提案したがの

 最終的には一護たちが自分で決めたことじゃ」

 

私を護れるように特訓を始めた?

たしかに今のままでは一護さんたちが仮面集団と戦うことはおろか自分自身を護ることも難しいかもしれない

それでも私が離れればそれで済む

 

「何を考えているんじゃ?

 さっきまで夢だったのかと泣いていた奴が」

「それは忘れて」

「嫌じゃの

 なかなか可愛かったぞ泣いているお主は」

 

今更になって夜一さんの前で泣いたことが恥ずかしくなってきた

心の中も読まれていたようだ

夜一さんは意地悪な表情を浮かべて私の頬をつついてきた

一人になったことで泣くなんて皆と一緒にいることで心が弱くなったようだ

兄さんがいなくなったときも泣かなかったのに…

それに自分から進んで消えようとしているのに泣いてしまうなんて

本当にこのままで大丈夫なのか自分でも心配になってくる

そうしていると夜一さんが立ち上がりながら訊いてきた

 

「下に行くか?」

「…行く」

 

夜一さんが私の手を引いて立ち上がらせてくれた




今回もお読みいただきありがとうございます
様々なご意見があると思いますが、特訓の描写とそれに至るまでに関することは大目に見てください

次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の21日を予定しております。

アルフレット

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