BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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前回の予告通り浦原視点あります
浦原視点は難しい…それなら書くなという話ですが…
今回も飛ばしていただいてもあまり問題はありません

しばらく確認していなかった間にUA4000越え…
ありがとうございます!!

それでは今回も最後までお読みいただけると幸いです

アルフレット


第十七話

皆で静かにお茶を飲んでいるとお茶がなくなるころに

鉄裁さんがお代わりを持ってきてくれた

この人には透視能力もしくは心を読む能力でもあるのではと

思ったことは秘密だ

お代わりを飲み、しばらくすると

浦原さんがまた真面目な顔で切り出した

 

「まだ訊きたいことがあるんスけどいいっスか」

「何?」

「まずはアナタが実際にどこまでその力を制御できているか教えてもらえますか」

 

力の制御…しばらく修行をしていないから正確にはわからない

最後にしたのはたしか空座町に引っ越してくる少し前だったはず

 

「とりあえず普通の戦闘は可能…

 完全に力を解放した時、暴走はしないとは言い切れない

 しばらく修行していないからはっきりとは言えない」

「もし、アナタが界人サンと戦ったとして勝てると思いますか?」

「力を使わなければたぶん負ける」

「力を使えば?」

「…たぶん勝てる」

 

純粋に能力では界人さんは一族の中でもトップクラス

それに薫さんも伊織さんも兄さんと同レベル

兄さんに勝ったことが数えるほどしかない私には到底勝てない相手だろう

 

「仮面集団相手に力を使ったことは?」

「ない…」

「一族の皆サンは天サンの力について知っていますか?」

「知っているはず

 詳しく知っているかどうかは知らない」

 

実際に集会で私のことが話題に上がっていたのは知っている

その場で父さんがどの程度私の力について話したのかは知らない

浦原さんがさらに真剣な顔で口を開いた

 

「次の質問です

 正直におっしゃってください

 本当はこれからどうするつもりだったんですか」

「どうするか…」

 

本当のことを言えば怒られる気がする

しようと思っていたことはひとつ

 

「はい…

 龍サンも亡くなって誰も護ってくれる人がいなくなったあとどうするつもりだったんスか?」

 

夜一さんも真剣な顔で私を見る

適当に誤魔化そうと思ったけどそう言うわけにはいかないような気がして

気づけば本当のことを話していた

 

「消えようと思った

 今まで護ってきてくれた兄さんには悪いけど、私のせいで関係のない人たちが巻き込まれるのだけは絶対に嫌だから」

「そうなる前に消えようとしたのか…お主は」

「私一人がいなくなれば全てが終わると思った

 それに私が消えても気づく人はいない」

 

怒られると思ってうつむいた

私がしようとしていたことは父さんたちを、兄さんを裏切る行為だから

でもそうすることが一番確実で他人を巻き込まない方法だと思った

きっともっと早くこの手段を取っていたら兄さんは…

少なくとも一護さんたちを巻き込むことはなかった

怒られると思って構えていてもそんな声が聞こえる気配はない

そっと顔を上げ、二人の顔を見ると悲しい顔をしているように見えた

口を開いた浦原さんの声もどこか悲しそうに聞こえた

 

「記憶を消していたからですか?」

「記憶を消してもいたし、二人の小太刀の中には私の霊圧は込めていない

 私の生存を知る術はなくなる」

 

私は誰にも知られずに消えることができればこの戦いは終わる

私が消えればこの世界の私に関するすべての記憶は…

暗くなった雰囲気を浦原さんが変えるようにいつものように飄々とした声を上げた

 

「さて、もうお昼っスね

 昼ごはんにしましょう

 鉄裁サン、昼食にしましょう!」

「もうそんな時間か

 そうじゃの」

 

それからすぐに鉄裁さんがお昼ご飯を運んで来てくれて食べた

その時にはこれまでの重苦しい空気ではなく

いつものような軽いものになっていた

 

「昼からは何するの?」

「何しますか?

 したいことはありませんか?」

 

したいこと…思いつかない

でも…知りたいことは、聞いてみたいことは、ある

 

「ねぇ…昔の父さんと母さんのこと教えて」

「あぁ…‼構わんぞ」

「では、お昼ご飯を食べ終わったら

 勇サンと皐月サンのことをお話ししましょう」

 

二人は驚いたような顔をしたがすぐにうれしそうな顔になって

父さんたちの話をしようと言ってくれた

 

「いいの?」

「えぇ構いませんよ」

「気にするな、お主の初めてのわがままじゃ

 聞きたいことを訊けばよい」

 

お昼ご飯を食べ終わり、鉄裁さんが食器を下げるのを手伝い、お皿洗いも手伝った

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

天サンが鉄裁サンとお皿を下げてくれたあとアタシは夜一サンとお茶を飲んでいました

 

「しかし…驚きましたね

 また『ない』と答えられるのかと思っていましたが」

「そうじゃの

 じゃが、嬉しいの

 初めて天が儂らにわがままを言うてくれたの」

「そうっスね…」

 

たしかに初めて、天サンがわがままですね

 

「ですが、まだ昔のように笑ってはくれませんね…」

「仕方ないのかもしれんが、少し寂しいのぅ」

 

前に会ったのは一度だけですが皐月サンにベッタリで

あの子が笑うと周りも明るくなるような笑顔だったんですがね…

 

「皐月も言っておったしのぅ

 『この子には笑顔が一番似合う』と

 もう一度見たいものじゃな」

「そうっすね」

 

天サンが昔と同じように笑ってくれたときが

本当に心を開いてくれたという事でしょう

 

「じゃが、最後の質問はどうにかならんのか?」

「あ、ハハ…

ボクもそう思いました」

 

正直、龍サンが亡くなった後どうするつもりだったのか聞いたときはやはり聞かない方がよかったと思いましたが

その時、正直に答えてもらえると思っていませんでしたね

少しずつではありますが心を開いてきてくれているということですかね

 

「じゃが…あいつに自分が『消える』という選択肢を渡してはいかんな」

「そうっすね…自分の命を軽く見ている節がありますね

 これからも何かあればそちらの方に行ってしまいかねません」

 

本人も今まで護ってきてもらってその命を簡単に投げ出すのは

間違っていることだとわかっるてるみたいっスけど

おそらく虚に襲われたのは自分を消すためにどこかへ向かっていたところでしょうか

自分を消す方法が見当つきませんが

 

「その方向に行かないように気をつけなければなりませんね

 彼女は今、ボクたちも知らない逃げ道が用意されている状態ですからね」

「そうじゃの…

 おそらく一番注意すべきは一護たちじゃろうがの」

「たしかにそうっすね

 今現在、天サンの近くにいるのは黒崎サンですし、他の皆サンは敵認定されているかどうかも怪しいですし

 石田サンはまだ何とか戦えるかもしれませんが、あとのお二人は厳しいでしょうね」

 

あの時来た薫サンと伊織サンであればボクと夜一さんは問題ないでしょうが井上サンと茶渡サンは厳しいでしょうね

井上サンは戦闘には向いていませんし、茶渡サンは一撃重視ですから素早い相手に当てるのは至難の技

相性が悪すぎますね

そんなことを話しているとふすまが開き、天サンが戻ってきました

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

お皿洗いが終わり部屋に戻ると二人はお茶を飲みながら待ってくれていた

そのあと私の知らない父さんたちの話たくさんを聞かせてくれた

父さんと母さんの馴れ初めや出会ったときのこと、血盟者になったときのこと…

二人は楽しそうに話してくれた

もう父さんたちのことを知ることはできないと思っていたのにこうやって知れたことが嬉しかった

その話がひと段落し、お茶を飲んでいるとだんだん眠気が襲ってきた

つい船を漕いでしまう

すると夜一さんがそんな私の様子に気づいたのか

 

「ん?眠いのか?」

「大丈夫…」

 

目をこすりながら答えると二人は苦笑していた

 

「眠いなら寝てもらって構いませんよ

 まだ、黒崎サンたちが来るまで時間もありますし」

 

浦原さんの言葉に甘えて横になるとすぐに私の意識は沈んでいった

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の14日を予定しております。

アルフレット

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