BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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またもや暗い展開が…
コンが再び登場します‼
コンの扱いが難しい…
今回も楽しんでいただけると幸いです

アルフレット


第十三話

帰り道、一護さんに明日の予定を聞くと

 

「明日はお前の好きなように過ごせってよ

 明後日からは俺たちが学校に行ってる間は浦原さんのところだ」

「わかった… 

 明日何するの?」

 

一護さんはやっぱりと言った風にため息をついた

 

「それはお前が決めんだよ

 何かしたいことはないのか?」

「…ない」

 

私が答えると周りからため息が聞こえてきた

周りを見回すと苦笑いばっかりだ

 

「行きたいところとか本当に何かないの?」

「行きたいところ…ない」

 

織姫さんが聞いてくれるけどないものはないから答えは同じだ

皆が困った顔をするが内心一番困っているのは私だろう

それならと織姫さんが声を上げる

 

「明日、どこかにピクニックに行こうよ‼」

「ピクニック?」

 

織姫さん我ながらナイスアイデアとうんうんと頷いている

一護さんと茶渡さん、石田さんまでもそれがいいと頷く

 

「どこに行くの?」

「電車で少し行ったところに大きな公園があったからそこに行こう‼」

「行って何するの?」

「体を思いっきり動かして遊ぶんだよ」

 

ということで織姫さんの提案で明日はピクニックとなった

その後集合場所など諸々決めて別れた

 

「なぁ聞いていいか?」

「何?」

 

皆と別れて少し経った頃、一護さんが足を止めて口を開いた

 

「俺たちはそんなに頼りないか?」

「えっ?」

 

一瞬一護さんがなんて言ったのか分からずに聞き返す

 

「だから俺たちは頼りないかって聞いてんだよ」

「どうして?」

「お前が話せないことが多いのはわかる

 それでも少しぐらい頼れよ」

 

返事に詰まってしまった

頼りないわけではない

いや、きっと一護さんが求めていることと私が求めていることはまるっきり違う

一護さんは私に《頼る》ことを求めているのに対して

私は《離れていく》ことを望んでいる

根本から食い違っているのだからどうしようもない

でも、それをはっきり言う勇気は私にはない

一方で話して少しでも楽になりたいという気持ちもある

でも、話す勇気さえ持っていない

 

「頼りないわけじゃない」

「じゃあ、何で苦しいことも全部ひとりで抱えようとするんだよ…‼

 浦原さんも夜一さんも井上、チャド、石田…みんな心配してんだよ

 少しくらいわけてくれてもいいだろ…‼」

 

一護さんは苦しそうな顔をしていた

 

「どうして一護さんたちに言わないといけないの?

 あなたたちには関係ない」

 

これでこの話は終わりと背を向けて私は歩き出した

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

天から話してくれるのを待つつもりだったけど

あいつの姿を見ていると無性に腹が立ってつい聞いてしまった

頑なに俺たちを頼ろうとしない

苦しみを一人で抱え込んでいる背を見ると

昔のおふくろを亡くした時の自分と重なる

 

『どうして一護さんたちに言わないといけないの?

 あなたたちには関係ない』

 

そんな言葉が本当は話して楽になりたいんじゃないかと思ってしまって

放っておくこともできない

あいつのためにしてやれることがわからなくなった

天はこの話はここまでと言うように背を向けて歩き出す

手を伸ばせば届くの距離のはずなのにやけに遠くに感じる

このまま立ち止まっていたらもう二度と届かなくなるような気がして

走って天の隣に並ぶ

そのまま俺たちは話すことなく家へと続く道を歩いた

その道のりはいつもより長く感じた

明日、こいつの気持ちに少しでも変化が起こることを願うしかなかった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

本当は話して楽になりたい

でもそれをこれ以上近づくべきではないという思いが押しとどめる

 

(遊子ちゃんたちの前ではいつも通り振舞わないと

 いつものこと…大丈夫)

 

父さんと母さんが死んでから自分の本当の感情を殺すことが多くなった

だからいつものことと自分を納得させる

いつもならすぐに切り替えられるのに今回は苦戦した

あれから一言も話すことなく、黒崎家に着いた

何とか切り替えも間に合い、一護さんの後に続いて玄関のドアをくぐる

 

「ただいま」

「…ただいま」

 

するとリビングからバタバタと足音が聞こえて

満面の笑みを浮かべた遊子ちゃんが出迎えてくれた

 

「おかえりなさい‼お兄ちゃん!天さん!

 もうご飯できてるよ」

「あぁ…荷物を置いて手ぇ洗ったらすぐに行くよ」

 

早くしてねというと遊子ちゃんはリビングに戻っていった

そして私と一護さんは荷物を置いたあと

洗面所に行って手を洗いリビングに向かった

テーブルの上には所狭しと料理が置いてあった

 

「おかえり、一兄、天さん」

「おう!やっと帰ってきたかおかえり!

 一護!天ちゃん!」

 

夏梨ちゃんと一心さんはもうすでにテーブルについて

私たちを待っていたようだ

私たちも席に着く

すぐに遊子ちゃんも席ついて夕食が始まった

 

「張り切って作ったからいっぱい食べてね、天さん‼」

「ほんと、今日の遊子はすごかった」

 

みんな楽しそうに食べている

昨日も賑やかだったけど今日の方が賑やかだった

 

(こんなに賑やかな食事はいつ以来だろう…)

 

遊子ちゃんが張り切って作ってくれた料理はどれもおいしかった

次から次へとお皿の上に料理を載せてくれるから

それを断るのが大変だったけど、とても楽しかった

 

そんな楽しい夕食も終わり、

洗い物の手伝いをしようとしたらしなくていいと言われ

することがなくなる

ソファでボーっとしていると一心さんが来て

 

「天ちゃん、お風呂が入ったから先に入ってきていいぞ」

 

と言われ、お言葉に甘えて先にいただくことにした

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

親父に促されてお風呂へと向かう天の後ろ姿を見送る

天がリビングを出て行ってしばらくしてから

俺は遊子に明日みんなでピクニックに行くことを伝えた

遊子は用事があっていけないのを残念がっていたが、

弁当を作ってくれることになった

それから自分の部屋に戻った

 

一人のなった途端に帰り道のことが頭によみがえる

晩飯は楽しそうに食べていたような気がする

まだ数日しか付き合いがないとしても

もう少しぐらいあいつのことが分かってもいいはずだ

それなのにいまだによくわからない

つい深いため息をついてしまう

 

「何だよ⁉そんなため息つきやがって」

 

何となく空を眺める

今日は昨日より雲が出ていて月を覆い隠していた

それがあいつの心と同じような気がしてまたため息が出てしまう

 

「おい‼聞いてんのか⁉

 湿っぽくなるだろ‼」

 

コンに思いっきり腹に蹴りを入れられる

 

「何すんだよ⁉」

「お前が無視するからだろうが‼」

 

さっきから何か騒いでいたらしい

全く気付かなかった

というか気付きたくもなかった

 

「また天ちゃん関係か?」

「うるせーよ連れてこないしな」

「なんでだよ⁉こんな時こそ俺様の出番だろ‼」

 

なぜか張り切っているコンを無視する

というよりも相手にするのがめんどくさい

もう関わりたくなかったから目を閉じて寝る

 

「おい!寝るな‼」

 

まだ何か騒いでいるが無視だ無視

目を閉じれば浮かんでくるのは天が静かに泣いている姿だった

そんな姿が見たいわけじゃない

笑ってほしいと思う

きっと井上たちも同じ気持ちなんだろう

 

(明日のピクニックで笑ってくれるといいんだけどな…)

 

ドアをノックする音が聞こえる

いつの間にか寝てしまっていたようだ

 

「一護さん…お風呂開いた」

「おう、わかった

 わざわざありがとな」

 

ドアを開くのが何となくためらわれてドア越しのやり取りになる

天の足音が遠ざかっていくのを確認して風呂へ向かった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一護さんにお風呂に入るように伝えて私はリビングの窓から外を見ていた

空には雲が浮かび、月を覆い隠していた

 

(夕方はあんなにきれいだったのに)

 

夕方は今日もきれいな月が見れるかなと少し期待していた分残念だ

明日は皆でピクニックに行く約束がある

そんな約束なんてしたことがなかったから楽しみ

明日は雨が降らないようにと祈りながらベットに入った

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の17日を予定しております。

アルフレット

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