BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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UA2500越え…自分でも驚きです
本当にありがとうございます‼
励みになります。
たくさんの方に読んでいただいているのに文章力が…頑張ります
今回も楽しんでいただけると幸いです

アルフレット


第十話

昼食を食べ終えて一護さんと二人で家を出た

まずは私の荷物を取りに行くため私の家へと歩く

 

「お前のうちってどこだ?」

「兄さんと住んでた家はもう出たからない」

「家を出たって普通の家に兄貴と二人で住んでたのか⁉」

「うん」

「じゃあ、着替えの荷物とかはどこにとりに行くんだ?」

「念のために造っておいた隠れ家みたいなところ」

 

兄さんが死んでからすぐに家は引き払った

敵に場所を知られたかもしれないから

兄さんがそんなへまをするとは思えなかったけど

現世の、それも戦う術を知らない人たちを

巻き込むことだけは絶対避けなければならなかったから

 

一護さんは相変わらず黙ってついてきている

ようやく隠れ家の入り口についた

 

「着いた」

「おい…ここって…」

「ここが隠れ家の入り口

 一護さんはどうする?」

「ここが入り口って山だぞ」

「隠れ家は山の中にある」

 

そう言って勝手に歩き出す

入口に立って、間違って誰かが入ることがないようにかけている術を解除する

解除し終わってから振り返って一護さんを見る

 

「どうする?」

「俺も一緒に行っていいか?」

「うん…じゃあ、ついてきて」

 

一護さんが完全に入ったことを確認してからまた術をかける

かけたのを確認してから再び歩き出す

道という道はなくただ、山を登っていく

一護さんは後ろから黙ってついてきていた

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

(こんな山の中に家があんのか?)

 

ただの山の斜面を天は迷うことなく歩いていく

半信半疑のまま登り続けて十分ぐらいが経ったころ、小さな小屋のような建物が見えてきた

 

(ここが天の隠れ家か…)

 

「ここか?思ったより小さいな」

「うん…ここ

 見た目は小さいけど中は意外と広い

 それじゃ、すぐに荷物をまとめてくる」

「あぁ、急がなくてもいいぞ、まだ時間はあるしな

 ここで待ってるから行ってこい」

 

天は頷いてドアノブに手をあてるとドアが淡い光を放って少し開いた

そのまま中に入っていった

俺は小屋にもたれかかってあたりを見回す

本当に山の中で周りのは人気がなく、木々が生い茂っていた

街中とはまた違った空気が流れていた

目を閉じると聞こえてくるのは風によって揺れ、こすれる木々の音だけだった

 

(隠れ家があるならここでもよかったんじゃないか?

 わざわざ俺の家に泊めなくても)

 

嫌というわけではないが、あんなに縮こまっている姿を見るとそう思ってしまう

そんなことを考えていると扉の開く音が聞こえた

どうやら荷物をまとめ終わったらしい

扉の前に行くと小さめのボストンバッグを持った天がいた

 

「終わった」

「おう、少なそうだけど足りるのか?」

「大丈夫」

 

天はそう言うとカバンを地面においてドアノブに手をかざす

すると淡い光を放って、完全に閉まった

 

「これで終わり

 浦原さんのところに行こ」

「あぁ、荷物貸せ俺が持つから」

「重いからいい」

「だから俺が持つんだろ

 いいから貸せ」

 

歩き始める前に半ば強引に天のカバンを持つ

それは思っていたよりも重く、細いくせに軽々こんな重いものを持っていたのに驚いた

山を下り始めて、再び入ってきたところから出る

出たところで気になっていたことを天に聞く

 

「なぁ…普通の家に兄貴と二人で住んでたんだよな?」

「どこにでもあるようなアパートに住んでた

 それが何?」

「どうしたんだよ?お前の兄貴がその…」

「死んだとき?荷物を隠れ家に移して出た」

「出たって…大家とかいただろ

 何て説明したんだよ」

「何も説明してない」

 

人が死んだのだからいくら何でも説明なしでは出れないだろ

 

「いくらなんでも不審に思うだろ

 部屋に血のあとだってあったろ」

「血の跡は普通の人には見えない

 見えたとしても私たちの一族は死んだら何も残らないから大丈夫」

 

天の言ったことの意味がわからない

天は寂しそうな顔をしてうつむいた

それから消え入りそうな声で言った

 

「残らない

 本当に何も…

 だから部屋は兄さんが死ぬとそこにあった兄さんの血のあとも消えてなくなる」

「そうだとしてもいきなりいたやつがいなくなったら不審がるだろ」

「記憶を消してしまえばいい」

「はぁ⁉」

「私たちに関する記憶だけ消してしまえばそれですむ」

 

そう言う天の顔は悲しそうな寂しそうだった

記憶を消すのはルキアたちが似たようなことやっているから可能なのはわかる

ただルキアたちがやるそれとは訳が違うのだろう

 

「記憶を消すって死神がするようなやつか?」

「死神がどうするのかは知らない

 私たちは自分たちに関する記憶の一切を完全に消す術がある

 それを使えばすむ」

「一切の記憶を消す術って…」

「言葉の通り…その人の記憶の中から

 私と兄さんの記憶を消すことで、

 その人の中には天っていう人も龍っていう人がいなくなる」

 

驚いた

ルキアたちは記換神機という道具を使って記憶置換をする

それをこいつは自分の力でするってことか…

そんな力、使い方を間違えれば大変なことになるだろう

でもその力を使えば楽しかった記憶とかの

忘れたくないような記憶を相手からは消えて、

自分だけが覚えてるということになる

 

(それって辛くないか)

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

一護さんは黙りこくってしまった

そのまましばらく何も話さずに歩く

一護さんがポツリと呟く

 

「そうやって今まで逃げて来たのか…お前は…」

「え?」

 

あまりにも小さな声で何て言ったのかいまいち聞き取れなかった

聞き返すと一護さんは立ち止まってしっかりと私の目を見てはっきりと

 

「今までそうやって逃げて来たのか」

「っ‼」

 

はっきりと真剣な顔で…

今まで私が一番嫌だったことを…

その地を離れるごとに関わった人の記憶を消す

そんなことを繰り返してきた

私は覚えていても相手は憶えていない

それが一番寂しくて辛かった

 

「そう」

「俺たち相手にもそうするのか?」

「それはわからない

 そうするかもしれない」

 

私も一護さんの目をしっかりと見て答える

嘘やごまかしはきっと通じないと思ったから

でも、出来るとこならそんなことしたくない

一護さんはそんな私の答えにイラッとしたのか眉間のシワをさらに深めた

そのままずかずかと私に近づいてきて肩を掴んだ

 

「するな

 俺がお前を護る

 だから何があってももう二度とその術を使うな」

 

肩を掴む力が強くなる

そんな姿に顔を反らすこともできず、小さく頷く

そんな私の姿に満足したのか肩から手を離し、いつもの一護さんに戻った

 

「約束だからな」

 

そう言って一護さんは何事もなかったかのように歩きだした

それから浦原商店に着くまで言葉を交わすことはなかった

 

「来たぜ、浦原さん」

「こんにちは…」

 

店の奥から浦原さんたちが姿を見せる

夜一さんは猫姿ではなく、人の姿で出迎えてくれた

 

「早かったですね

 まだ皆サン来てませんからお茶でも飲みながら待ってましょ」

 

そう言って鉄裁さんにお茶を頼んで部屋に案内してくれた

部屋に入るとちゃぶ台があり、そのまわりを囲むように座る

 

「黒崎サンの家はどうでした?」

「そうじゃの楽しかったか?」

 

二人が私の顔を覗きこんでくる

思ったことを率直に言う

 

「温かかった」

 

二人は満足そうに笑ってそうかそうかと言っていた

 

「じゃが、目の下にクマができておるぞ

 眠れんかったか?」

「大丈夫」

 

夜一さんが心配そうに頭をなでてくれる

気持ちよくて撫でられていると玄関の方から明るい声が聞こえてきた

 

「浦原さ~ん

 お邪魔しま~す」

「おや、来たみたいですね」

 

浦原さんは玄関の方へ行った

 

「いらっしゃい

 三人ご一緒だったんスね」

「来る途中であったんです」

「一護たちは…?」

「もう黒崎サンと天サンは来てますよ」

 

織姫さんたちも来たみたいだ

足音が聞こえて襖が開く

 

「黒崎くん、天ちゃん

 こんにちは~」

「おう!」

「…こんにちは」

 

三人は部屋に入って同じようにちゃぶ台を囲むように座った

三人が座ったのを確認してから浦原さんが口を開いた

 

「さて、皆さんが揃ったことですし始めますか

 天サンに訊きたいことがまだありますから」

「…わかった

 答えられることは全部答える」

 

和んでいた雰囲気はどこかに消え去り、緊張感が漂い始めた

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の26日を予定しております。

アルフレット

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