やはり俺の青春ラブコメは間違っていたのだろう   作:未果南

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小町視点
初めて名前のついたオリキャラが出ます。



久方ぶりの実家は波乱に満ちて(小町編)

「今日はありがとねー」

 

「ううん、全然気にしないでいいよー、小町もあんな人の事なんて気にしちゃダメだよ!」

 

「あはは…」

 

もう随分と暗くなってきた外に出ながら後ろからかけられる励ましに曖昧な笑みを返す。

応援してくれるのは嬉しいし、頼もしい。

私が友人からのエールに微妙な笑いを返すしか出来ないのはその応援に応えられない可能性があるからだ。

 

「もう…、そんな弱気でどうすんの」

 

そんな私を見て私の無二の親友は発破をかけるように背中を軽くはたいてくる。

軽い衝撃にちょっとだけよろける。

 

「でもさぁ…」

 

「気にしなくていいのよ、中学の時から一緒なんだから寧ろ私が先に好きになったんだ!横入りしてきたのはそっちだって言ってやんなよー」

 

「す、好きになったと決まったわけでは…」

 

「はぁ?まだそんなこと言ってんの?」

 

「だ、だって…」

 

「もう最近の小町はウジウジばっかりしてー。あの快晴のような小町は一体どこへ?」

 

そうは言われてもどうしょうもない。

女子社会にとって惚れた張ったの争いごとは今後の生活に露骨に関わってくるのだから油断ならない。

 

「どうにかなったって私は離れないからさっ、気にせずやっちゃえって」

 

「友紀ー」

 

「おうおう、しっかりしなさい乙女さん」

 

快活で人情に厚いこの親友が私は大好きだ。

竹を割ったような性格というのはきっとこういう人のことを言うのだろう。

 

「ありがと、私頑張る!」

 

「うんうん、その意気だっ!ところでもう暗いけど本当に送っていかなくて大丈夫?」

 

「うんうん大丈夫。そんなに遠い訳でもないし、自転車だしねー。」

 

「本当に気をつけてよー?」

 

「分かってるって、それじゃおやすみー」

 

「おやすみー」

 

自転車に跨り夜の道を走っていく。

今が夏だからといって、ちょっと油断し過ぎちゃったかな。

辺りが本当に真っ暗なのを見て、少しそんな思いが浮かんできたが今日はしょうがなかった。

女子の中のボス、猿山の大将に狙われることなんて今までの人生で経験したことがなかった。

大体先に牽制しておくか、そもそも私がそっち側な事が多かった。

 

今回は大志くんのせいで最初から敵視されてたもんなぁ…。

こっちに気があるかないかなんて関係なしだもんね…。

いや、今となってはそこも怪しいところであるので寧ろ慧眼だったのかもしれないけれど。

 

そんな風に今日友紀に愚痴った内容と同じような内容を思い返しながら自転車を走らせているとポケットに僅かながら振動を感じた。

電話のようだけどこんな時間に一体誰が…?

 

友紀の家に忘れ物でもしたんだろうかと思いながら自転車を止め道の端に寄せる。

 

ながら運転ダメ絶対!

 

友紀かと思っていた私だが画面を見るとそこには予想外の名前が。

 

『あ、小町ちゃん?いろはだけど。今どこにいるー?』

 

 

「今ですかー?友達と遊びに行ってて帰ってるところです」

 

 

『あ、帰ってきてるの?なら良かった。今先輩と先輩の家、千葉の方にいるんだけど』

 

 

「え!?」

 

突然告げられた内容に驚きが隠せない。

お兄ちゃんが帰ってきてる!?

しかもいろは先輩と家にいる!?

 

 

『ごめんねお邪魔しちゃって。先輩と里帰りして来たんだけど、ちょっと問題が…。早く帰ってきてくれると嬉しいんだけど…』

 

 

「わ、分かりました!もうすぐ着くので待っててください!」

 

『うん、よろしくねー。』

 

ええ…、私ちょっとついてけないよ。

どうなってるのか全く分からないのでとりあえず家に帰って現状を把握しないといけない。

あと、連絡なしで帰省してきた愚兄には文句を垂れてやらなければ。

そんな風に思いながらも、久しぶりに帰ってきたお兄ちゃんに私の心は期待に弾まずにはいられなかった。

 

いい加減にウジウジするのやめたのではという期待と、何か大事になって帰ってきたとかだったらどうしようという不安。

それらがごちゃ混ぜになりながら、急いで家にたどり着き、鍵を開けて中に入った私が見たものは…!

 

なにやらイチャイチャしてる兄と高校の時の先輩という非常に反応しづらいものだった。

 

しかも何やら結局ウジウジしてるみたいだし…、でも帰ってきたということはやっぱり順調に立ち直ってるのかなとも思う。

とりあえず私の心配を返せと思うあまり久しぶりのお兄ちゃんなのに少しきつく当たってしまった。

でも帰ってくる時に連絡くらいよこせとは思うよね。

 

私が帰ってきたことでいろは先輩は帰ろうとする。

今しがた外から1人で帰ってきた私が言うのもなんですが、暗いから気をつけた方がいいのでは?

なーんて思っていたところ、高校でモテ期を経験し、大学で手酷い失恋(であってる?)を経験し、社会人になったお兄ちゃんはなんとここで送って行くことを自ら提案!

 

うんうん、お兄ちゃんの成長が見れたようで嬉しいっちゃ嬉しいけど、まだまだだね!

そんなボロボロの状態で送っていくとか言われても遠慮するに決まってるでしょうに。

それに、どうやら帰ってきた時に聞こえた会話の内容からしていろは先輩がお兄ちゃんを連れ帰ったご様子。

色々聞かなくちゃいけませんからね、逃しませんよ?

 

「いろは先輩が泊まっていけばいんじゃないですかね?」

 

「え」

 

 「それは…、ダメだろう。俺らももう社会人だし、そんな簡単に、泊まっ、て…」

 

「どしたの歯切れの悪い言い方して」

 

「いや、何でもない。」

 

「お兄ちゃん、まさか」

 

「ち、違うぞ。俺は何もしてないぞ!」

 

「何?」

 

「え」

 

「何もしてないって、何をしてないの」

 

こんな風に私がお兄ちゃんを問い詰めているとこっそりいろは先輩が抜け出そうとしているのが目の端に止まる。

 

…ふふふ?逃がしませんよ

 

声をかけようとしたところ、何やら電話がかかってきた模様。

様子からしてただならぬ感じなので仕方なく放置することにする。

 

いろはさんは廊下に出てるし、丁度いい。

 

「お兄ちゃん?」

 

「い、いや小町。俺は本当にそんな」

 

何事か見苦しく言い訳しようとするお兄ちゃんですが、お兄ちゃんにそんな度胸がないことなんて小町は100も承知なのです。

 

「いや、それより。いろは先輩とどういう関係?」

 

「どうってそりゃ、会社の後輩だよ」

 

「本当にそれだけ?」

 

「他に…?」

 

そう言うと考え込み出すお兄ちゃん。

…こりゃまだまだ先は長いね。

 

「飲み仲間?」

 

「それ本人には言わないように。」

 

「アッハイ」

 

まぁ、どうせいろは先輩はそんなんでも喜ぶんだろうけどさ。

ここまでは想定の範囲内だし、ちょっとした好奇心で聞いただけ。

 

「じゃあ、なんで帰ってきたの?」

 

「え…、俺実家に帰ってきちゃいけないの?」

 

「そういうの今いいから。」

 

心配かけないように冗談で誤魔化す。

お兄ちゃんの悪いくせだ。

 

「そんな風に誤魔化されても、親しい人には伝わっちゃうし、それで余計心配しちゃうんだよ。」

 

「…そうなのか?」

 

「そうなの。対人経験少ないお兄ちゃんはわかんないかもしれないけどね。心配…してるんだよ?」

 

「…何となくだ。本場のマッ缶でも飲もうと思ったってのもある。」

 

今度の答えも普通に聞いたらふざけてるようにしか聞こえないような内容だったけれど、お兄ちゃんの顔は真剣そのもので。

わかってないってのは本心だろう。

 

その後のマッ缶が〜っていうのは恐らく自分を納得させるための方便かな。

本当にごみぃちゃんだなぁと不器用なお兄ちゃんを見やる。

 

「…そっか。ま、ぼちぼちやれば?」

 

「おう」

 

前後に脈絡なんてないし、遠慮もない。

他人が聞いても意味なんて分からないだろう。

だけどこればっかりは兄妹じゃないと分からないものがある。

 

きっといろは先輩がお兄ちゃんに影響を与えてる。

それが原因でこんな風にボロボロになったりもするだろうし、その事でいろは先輩は自分のことを責めるだろう。

 

だけど、決してそれは悪いことじゃないはず。

ついさっき親友に言われたばかりの言葉を思い出す。

 

「どんな風になろうと、私はお兄ちゃんの妹だからね。」

 

「まぁ、俺みたいなのと長くいられるのはお前くらいだろうしな。」

 

「さぁ?それはわかんないよ?」

 

いろは先輩とかいるし。

いろは先輩はずっと後輩とは言えないだろうけど。

今や一人となってしまったお義姉ちゃん候補が部屋に戻ってくるのを見て思った。

 

───────☆───────

「いや、だからですねそんな大した距離でもないので1人で帰れますって」

 

「いやいや、そういう訳にもいきませんよ。ねぇ、お兄ちゃん」

 

「そうだぞ俺が送ってくから」

 

「いや、ですからね…」

 

何度繰り返したか分からない議論を繰り返していると外から車の音が。

どうやら延々と議論している間に両親が帰ってきたようだ。

 

まぁ私は議論長引かせていろは先輩が帰れないようにするの狙ってたんで目論見通りですけどね。

 

そんな風に少しばかり黒いことを考えつつ両親が家に入ってくるのを待つ。

 

「「ただいまー」」

 

両親が揃って帰宅の声をあげる。

なんだかんだ仲がいい両親である。

 

「おかえりー、ほらお兄ちゃんも」

 

挨拶を促すも渋って返さないお兄ちゃん。

柄にもなく照れてるのかなとも思ったけどお兄ちゃんだし、そんなわけもない。

どうせめんどくさいからとかそんな理由だろう。

 

「お、小町今日はおs」

 

お父さんが何か言いながらリビングに入ってくるもお兄ちゃんの姿を見て絶句している。

 

「は、八幡?」

 

「おう、おかえり」

 

「…金ならやらんぞ」

 

「久しぶりに帰ってきた息子に対する第一声がそれかクソ親父」

 

なんてひどい親子だろうか

 

余りにも酷い会話にいろは先輩がヒいている。

まぁ、この2人はこんなもんですよと思いながら本命のお母さんを待つ。

どうやらお母さんは靴を見て誰か来てると判断したらしい。

 

おずおずとドアから顔を覗かせている。

そしているのがお兄ちゃんだとわかった瞬間、驚きの表情を浮かべて引っ込んだ。

お父さんはどうか知らないけど、お母さんいっつも心配してたもんね…。

本人が嫌がるだろうからって関与しないようにって、私からならお兄ちゃんも嫌な気はしないだろうって、電話させたり。

 

そりゃあ私だってお兄ちゃんは好きだし、連絡とるのも問題ないけれど、普通20過ぎた兄妹があんなに頻繁に連絡取らないと思うのだ。

全部とまでは言わないが半分くらいはお母さんからのお願いによる連絡だったりする。

お兄ちゃんは気づいてないみたいだけど、愛されてるんだよねぇ…。

 

「えっと、御両親も帰ってこられたみたいですし、私はお暇させてもらいますね…?」

 

「おっと、いろは先輩逃がしませんよ。折角だから挨拶してってください。」

 

外堀から埋めるって結構大事なので。

 

いろは先輩が発言したことでやっとお父さんもいろは先輩の存在に気づいたようでギョッとしていた。

まぁ、私あんまり友達連れてこないからね。

家の中に私やお母さん以外の女の人っていう状況がのみ込めないらしく混乱しているようだ。

そこへ、お母さんもリビングに入ってくる。

 

「あら八幡帰ってたの、久しぶり」

 

「軽すぎやしませんかね…、いやあんま大げさにされても面倒だからいいんだけどよ」

 

お兄ちゃんの捻くれや素直じゃないところは恐らくお母さんからなんだろう。

本心では絶対に嬉しいはずなのに微塵もそんなこと出さないで。

本当に、愛されてないとか言ったら引っぱたいてやるまであるよごみぃちゃん。

 

「あら、こちらは小町のお友達?ごめんなさいね、うるさい家で。」

 

「あ、その人はお兄ちゃんの後輩さんだよー。小町の高校の時の先輩でもある。」

 

「え?八幡の…後輩さん?これは息子がいつもお世話になっております。」

 

「いえいえ、私こそ先輩に助けてもらってばかりで。」

 

お兄ちゃんが女の人を連れて帰ってきたという事実に驚きを隠せていないようだ。

これでいろは先輩がお兄ちゃんに惚れてるとか伝えたらどうなるのかな…。

 

お父さんもお母さんも妙に緊張して、少しばかり戸惑っている。

まぁ、お兄ちゃんが家に誰か連れてきたことって1度もないもんね…。

初めてで、しかもそれが美人とか驚くのも無理はないでしょ。

因みにどれくらい驚いたかって言うとお兄ちゃんが国公立大学受けるって宣言した時くらい。

何それお兄ちゃん可哀想。

 

「本当ならもう少し歓迎したい所ですが、今日は夜も遅いですしお帰りになられた方が…」

 

「あ、いろは先輩今日泊まるってよー」

 

「「ちょっ!?」」

 

「「はっ!?」」

 

見事なまでのハモリが2つ。

仕掛けた私が言うのもなんだけど随分と驚くね。

 

「ちょっと小町?その話は消えたはずでは?」

 

「そうだよ小町ちゃん…、流石に迷惑かけちゃうし」

 

はい、2人のその反応は予想してました。

なのでこっちは人数の利と権力を味方につける。

 

「お母さんお父さんちょっとこっち来てねー」

 

「いや、小町それより」

 

「いいから」

 

「はい」

 

お父さんを封殺する。

残念ながら我が家のヒエラルキーはお母さん>私>お父さん=お兄ちゃんなのです。

お母さんは大人しく着いてきてくれるようなので、お兄ちゃんといろは先輩に少し待つように伝えてリビングに出る。

 

「小町、なんで八幡が?」

 

リビングを出て、ドアを閉めるやいなやお母さんが聞いてくる。

本当に愛されるよねぇ…。

 

「小町もわかんない。いろは先輩のおかげだと思うけど。」

 

「あの女の子か、美人さんだったな。」

 

「そうね、でもあんな美人さんがなんで家に?」

 

「はい、そこですよ」

 

「「?」」

 

2人して首を傾げる。

本当に似たもの夫婦だよこの2人は。

 

「いろは先輩は高校の時からお兄ちゃんの後輩で、現在もお兄ちゃんを好いています。」

 

「は?」

 

「えっ!?えっえ!?えっ!?!?」

 

有り得ないと言わんばかりのお父さんの顔と対称的な驚愕と喜びに満ち溢れたお母さんの顔。

というか声が大きすぎて向こうの2人にも聞こえたよ絶対。

 

「そうなの…、八幡にもやっと、やっと…!」

 

「アイツがあんな美人に…?詐欺とかじゃなくて?」

 

因みにお父さんとお母さんはお兄ちゃんの大学の時の事は詳しく知らない。

小町がやんわりと何かしらがあったってことだけ、伝えてる。

 

しかし、お父さん酷いね…。

 

「私変じゃなかったかしら?悪い印象取られてないわよね?」

 

「大丈夫だから落ち着いてお母さん。因みに高校の時からで、今年たまたま同じ会社になったから再燃したみたい。それでよ、お兄ちゃんはその事に気づいてません。鈍感だからね。」

 

「あの子は…本当に…」

 

「それでお母さん、いろは先輩とお話したくない?」

 

「したいわ」

 

早い…。お話の辺りで食い気味に返答が帰ってきた…。

しかしまぁ、それなら問題ない。

お母さんがこう言っている以上、比企谷家の最高権力が味方だ。

え?お父さん?お父さんは小町がお願いしたら逆らえないから最初から数にいれてるよ。

 

「なるほど、それで泊まっていくように…と」

 

「話が早くて助かるよ」

 

「でも迷惑じゃないかしら…?」

 

少し不安そうにしているお母さん。

まぁ、初めて息子が連れてきた女の人、しかも好意大だもんね…。

 

「その辺は大丈夫。いろは先輩は遠慮してるだけだと思うから、こっちからお願いすればいいよ」

 

「それなら…」

 

と話が纏まったところでリビングに戻る。

ああ、お父さん?話してる間ボーッとしてたよ。

 

「いろは先輩、やっぱり今日は泊まっていってください」

 

「いや、だからね?」

 

そこでお母さんが、こっそりと近づいて耳打ちする。

途端いろは先輩が真っ赤になってこっちを見る。

 

私なーんにも知りませーん。

 

その後もボソボソと密談をするお母さんといろは先輩。

多分いろは先輩は落とせるので、あとはお兄ちゃんだけ。

 

「お兄ちゃん、いろは先輩1人で夜道帰らせるのと今日1晩泊まっていって貰うのどっちがいい?」

 

「いや、どっちもまずいだろ。」

 

「さっきの口ぶりからもう泊まったことあるんでしょ?そこについて触れられたくなかったり、お母さん達に言われたくなかったら…」

 

「はい、小町の言う通りにします。」

 

うん、素直なのはいいことだね。

お兄ちゃんの説得も済み、お母さんがいろは先輩を落としたことで、いろは先輩は家に泊まることになった。

 

え?お父さん?1人所在なさげにしてたよ。

 

───────☆───────

お父さんもなんだかんだ言って久しぶりのお兄ちゃんで安心したのか、それともお兄ちゃんに好意を持つ女性の登場で機嫌を良くしたのかは知らないけれど、男2人でジャンジャン飲んで、潰れてしまった。

 

「それで、いろはさんは家の息子のどこを気に入ってくれたんです?」

 

「え、その…。素の私と接してくれる所とか、なんだかんだ優しい所とか…。それから、それから…」

 

「どうしよう小町、お母さんちょっと泣きそう。」

 

「笑えばいいとおもうよ」

 

男2人が眠ってしまったのでガールズトーク。

若干一名ガールではない気がしないでも…

 

「小町?」

 

ガール3人の夜は長く、濃く続いていき、気づけば3時を過ぎていた。

 

「ごめんなさいね、こんな時間まで」

 

「いえ、私も楽しかったですから。」

 

「本当いろはちゃん家の娘にならない?」

 

「えっ!?」

 

「いやいや、気が早いでしょお母さん。」

 

どうやら相当にいろは先輩のことを気に入ったようだ。

 

「八幡は捻くれてるし、誤解されやすい子だから心配してたんだけれど…、こんないい人がいてくれて本当に嬉しいわ…。」

 

「いえ、そんな私なんか…」

 

「いろは先輩、うちの愚兄と付き合っていくってことは色々後悔することも多いと思います。でもいろは先輩絶対に間違ってないんで、頑張ってください。少し間違えたところでお兄ちゃんはどうもなりませんから!」

 

「小町ちゃん…」

 

「今日はもう寝ましょうかね」

 

お母さんが言ったのでお開きとなった。

しかし、問題となったのは寝場所である。

お父さんもお兄ちゃんも自分の部屋で既に寝てしまっている。

お父さんの隣はお母さんとしても(小町お父さんの隣で、寝るのはちょっと)、流石にいろは先輩をソファで寝かせるわけにもいかない。

折角なので私がお兄ちゃんの隣で寝ることにした。

昔はよく一緒に寝ていたし。

 

私は自分が割とブラコンだと思っている。

まぁ、流石にガチで恋するとかはないものの、少なくともこの年歳の世間一般の兄妹よりは仲がいい。

いくら電話やメールしたりしても会うのとはやはりまた違う。

久しぶりのお兄ちゃんに甘えたい…というと語弊があるが、隣で寝るくらいなら許されるだろう。

 

隣に寝るとドキドキする…なんてことはまったくなく、むしろ心地よい気分になっていく。

何となく懐かしい匂いがして気づけば私は眠りに落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 




私の書く小町は親愛4家族愛6の割合でブラコンです。
ちなみに小町の友人の友紀(ユキ)ちゃんの再登場は未定です。

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