やはり俺の青春ラブコメは間違っていたのだろう   作:未果南

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やはり比企谷八幡は間違っていた。

俺は雪ノ下が好きだった。

その生き方に物事への取り組み方に憧れたこともある。

俺が憧れていたのはただの上面だけではあったが、その後あいつのことをしっかり知ったあとでも、アイツの弱い面負けず嫌いな面

 

 

そして醜い面。

 

 

全て含めて好きだった。

由比ヶ浜が俺に好意を抱いてくれていることは分かっている。ただ、俺は誰も傷つけたくないなんて思って逃げていた。

 

その考えが何より2人を傷つけるのに。

自分を犠牲にしてこの3人の仲を守っている気分になっていた。

そんなことで壊れるような仲ではなかったのに。

守られていたのは俺なのに。

 

唾棄すべき停滞と卑怯。

 

それは俺が嫌ったものであったはずなのに。

 

⭐⭐⭐

〇〇教会に由比ヶ浜と訪れて、雪ノ下に会いに行った。

 

「…姉さんに聞いたの?」

「ああ」

 

嘘だ。葉山から少し前に聞いていた。

 

「ゆきのん!なんで黙ってたの!?」

「由比ヶ浜さん…。ごめんなさいね、私にはどうにもできなくて」

「そんな…、今からどこかに逃げよう?どこか…どこでもいいから!」

 

無理だ俺たちにそんな力はない。

 

「雪ノ下…。」

俺は…1番間違ったと分かりきっている選択肢を選んだ。

「お前も、俺を裏切ったのか」

 

言った。心臓が砕け散りそうだ。

 

「…あまり馬鹿にしないでくれるかしら?あなたがそんな風に言うことで私の心が楽になるとでも?自惚れないで。そして、そんなやり方もう二度としないでと言ったはずよ」

 

俺はどこまでも愚かだった。この期に及んでまだ自分がどうこうできると、どうにかするなどと…

 

「さよなら比k…八幡。もう会うことも無いでしょう。」

 

「ゆ、ゆきのん?ヒッキー?」

 

「ごめんなさい由比ヶ浜さん。今回のことは私が何も言わなかったことが全て悪いわ。2人は何も悪くない。」

 

「そんな…、こと」

 

「あなたと友達で良かったわ。さよなら結衣さん」

 

「ゆきの「はいはーい。二人とも〜?結婚前の新婦の所に他人があまり長居するものじゃないよ〜?」」

 

「陽乃さん…」

「そこで固まってる男を連れて出て行って?」

「でも…。いえ、お邪魔しました。行くよヒッキー」

 

由比ヶ浜に手を引かれ部屋を出る。

「ごめんね由比ヶ浜ちゃん。今回1番の被害者はあなたかもね。」

 

「いえ、私も同罪ですので。」

 

⭐⭐⭐

「比企谷…。」

外に出ると葉山がすぐそこにいた。

 

「葉山か」

「ちょっと話がある。こっちに来い。」

 

言われるがままについて行くとちょっとした空き部屋に連れていかれた。

 

「歯を食いしばれ比企谷。」

 

言われるが早いが顔に衝撃が走った。

 

「俺はお前に教えたはずだ。何故答えを出さなかった。いや、答えは出ていただろう君なら。何故雪乃ちゃんを選ばなかった」

 

声を荒らげるでもなく淡々と言ってくる。

 

「そんなに言うんだったら。お前が雪ノ下を攫えでもすればいいだろ。」

 

「君だってわかっているだろう。俺じゃダメなんだよ、彼女が好いているのは君なんだから。比企谷、俺は君が嫌いだった。だが今は嫌いを通り越して憎んですらいる。」

 

「別に構わねーよ。俺だってお前が嫌いだし自分も嫌いだ。」

 

「そうか、じゃあなヒキタニ」

 

⭐⭐⭐

「由比ヶ浜悪い待たせたな。」

「ううん、別にいいよ」

 

由比ヶ浜は俺の顔を見ても何か言うことは無かった。顔は多分腫れていたのだけれど

 

「ゆきのん、結婚しちゃったね。私1人になっちゃったけど、ヒッキーはどうするの?」

「なっ…」

 

俺が唖然とすると由比ヶ浜はニッコリ笑った

 

「なんてね…。狡い質問だったよね。ヒッキーは1人がダメだからもう1人なんてしないよね。」

 

そこで1度言葉を区切った。

ふと由比ヶ浜の体が震えていることに気づいた。

 

「でもさ、ヒッキー…。ゆきのんいても私のこと選ぶつもりなかったでしょ?」

 

その声は震えていたし、目尻からは涙が零れていたけど、笑顔だった。

 

「なんで、ゆきのんのこと選ばなかったの?そしたら…、私はこんな思いしなくても、こんな惨めな目にならなかったのにぃ。ゆきのんも結婚なんてしなくてさ、3人でたまに集まって笑いあって。」

 

由比ヶ浜の言葉ひとつひとつが俺の胸に突き刺さる。

 

由比ヶ浜はそこで何か言いかけて、止めた。

 

「バイバイ、ヒッキー。」

 

そう言って由比ヶ浜は振り返ることなく去っていった。

由比ヶ浜の姿が見えなくなってもその嗚咽は俺の耳に残っていた。

 

俺たちは、いや、俺はどこで間違えてしまったのだろうか。

葉山から電話がかかってきたのにその内容を完全に無視した時か。

3人で仲良くやっていた時のどこかか。

卒業式のあの日2人に誠実に答えなかった時か。

本物が欲しいなどとほざいた時か。

 

そもそも奉仕部に入った時か。

 

何にせよ俺の本物はどこかに無くなってしまった。

 

本物なんて少しの間訪れる幻想だったようだ。

こんな風になるなんて。

 

 

 

やはり俺の青春ラブコメは間違っていたのだろう。




書いてて思ったけど今回の八幡いろいろ酷いな…

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