朝背中が痛くて目が覚めた。
…ああ、2日連続ソファーで寝ればそんなことにもなるか
俺もまだまだ若いとはいえ腰とか気にした方がいいのかしらんと思いながら身を起こす。隣の布団には一色が寝ていた。
…泊めた俺が言うのもなんだけど男の部屋で熟睡するのはどうかと思う。昨日今日共に綺麗に寝入りやがって…
「まあ、気持ち良さそうな顔しちゃって…」
しかし、改めて見るとコイツ美人になったよなぁ。
昔から顔は良かったけど、今のコイツはなんというか大人の色香?というのだろうか、そんなものが感じられる。
まぁ、口開いたらそんなものはどこかに飛んでいくんですけどね
しかし、本当に美人だよなぁ…
具体的にどれだけ美人かって言うと隣で寝顔見てたらドキドキするのと共になんかイケナイ気分になってきちゃって襲った挙句通報されるレベル
通報されちゃうのかよ。
当たり前だったわ
実際に襲ったりするつもりなんて毛頭ないが女の寝顔をずっと見てるのも悪い気がしたのでコンビニにでも行くことにした。
やましいところなんて何もないんだからねっ!
★★★
コンビニでパンを買って帰ってきても、まだ一色は寝ていた。
まぁ、俺が早く起きすぎたんだけども。
しかし、そろそろ起こさないと不味い
「おい、起きろ」
「ふぇ?」
うわ、なんか可愛らしい声聞こえたぞ
「お前は寝起きまであざといのか…?寝た振りしてないでさっさと起きろ」
「ふわぁ、おはようございます先輩。」
そう言った一色は自分の体をさわったり見たりしている。
「何してんの?」
「いえ、先輩が先に起きてイタズラしてたらどうしようかと…」
「するかバカ。アホな事言ってないで飯食え」
今その手の冗談は本当にやめてもらいたい
頭の隅でチラリとだけでも襲うとかそんなことを考えたので少し慌ててしまった。
バカとかアホとか使いすぎぃ!
こんな下らないことを考えていたから一色の言葉を聞き逃してしまった。
「何もされてないってのもそれは何だかなぁ」
「あ?なんだって?」
「いえ、何でもないです」
その後、朝食のパンについて突っ込まれたが疚しいところなんてない。ないったらない。
⭐⭐⭐
流石に一緒に出社するのは不味いだろうと一色が言い張ったので一色を先に送り出すことにした。
昨日も言ったが気にしすぎだと思うんだよなぁ。
実際社内恋愛なんてしてる人見たことないがいい大人(一部若干名除く)なんだし。
…いや、別に俺が一色とどうこうなりたいとかじゃなきてな。
実際そんなことはない。あってはならない。あるはずがないのだ。
まるで成長していない自分に腹が立つ…ことも無い。最早ただ、ただ呆れるだけである。
そんな風に精一杯大人になった振りをしてる俺をどこかで笑っているもう一人の俺がいたような気がしたがきっと気のせいだろう。
俺別に千年パズル解いたわけじゃないしな
布団でも干すかと手をかけるがそこで思い出してしまった。
…この布団2日連続で一色が使ってんだよな。
いくらそういう感情がないと言っても、俺も24である。
そういう劣情を持っていない訳では無い。
少しだけならという思いが頭をよぎる。
いやいやいやいやいやいや。
何考えてんだよ。流石に不味いよ
頭を振って煩悩を遠ざける。
色即是空戸塚小町空即是色っと
布団を畳み適当に片付ける。
そろそろいい時間になったかな。俺も出勤と行きますかぁ…。
マジ社畜になってんな俺
⭐⭐⭐
出社して部屋に入るとすぐ一色が俺の方に向かってきた
やけに晴れ晴れとした顔をしているなと思っていたら、後ろに凄い形相のEさんがいた。
えぇ…昨日はビクビクしてたのに急にどうしたの。なんてことは思わない。まぁ、昨日よりは らしい 気がした。
「おはようございます先輩」
「おう、おはよう」
「それで、ちょっとばかりお話が…」
?
手招きされるので着いて外に出るといきなり頭を下げられた。
えっ何どういうことなの?
なんだろう仕事の失敗でもしたのだろうか
「すいません、先輩の昇進潰しちゃったかも知れません」
「はい?俺の昇進?」
急にどうしたの
俺はその後一色から事情を聞いた。…え、俺狙われてたの?そしてなんのリアクションを取るまもなくフられたの?
「えぇ…お前入社して数日でどんだけ濃い体験してんの…?」
「あ、そっか私まだ数日しかたってないんですよね入社して、じゃなくて。昇進潰しちゃったかもしれないんですよ?怒らないんですか?」
「いや昨日も言ったが俺は責任のない職の方が性にあってんだよ」
これ何気に自分で下っ端のがお似合いって言ってんだよね死にたい
「でも…」
「気にすんなって。そもそも部長はそんくらい気にしないって。」
「はぁ…?」
「それは気にしないでいいから仕事すんぞ。俺達社畜だからな。」
そう言って部屋に戻る。
その後は会社を出るまで凄く平和だった。
⭐⭐⭐
そう、会社を出るまでは。
「比企谷さー?教育係とはいえ一色ちゃんと距離近すぎない?」
「はぁ…、そっすかね」
Aに絡まれた。距離近過ぎとかちゃん付けしてるお前にいわれたくねぇよと言いたい。
「なんか昇進の話出てたらしいしさチョーシ乗ってない?あ、昇進はなくなったんだっけぇ?女の子に熱上げてるからそんなことなるんだよ。一色ちゃんも見る目ないよねぇ。まぁちょっとお馬鹿なところもかわいいけどさ。あの顔だったら大抵のことは許しちゃうよね。顔がいいと色々優遇されそうで羨ましいわー」
うーん頭にブーメラン刺さってますねぇ。
もう、ブーメラン刺さり過ぎて後頭部血だらけだよ多分
あとなんで皆して部長がそんなにお堅い人だと思ってるんだ。あの人擬態完璧かよ。
「はぁ、でなんか用ですかね?俺あなたみたいに暇じゃないんで帰りたいんですけど」
言ったあとに自分の声がトゲトゲしいことに気づいた
というかコイツあれだな。昔の俺みたいで嫌だな。俺はこんなに意識高い系ではなかったが
「一つ言っとくと一色は顔だけで優遇されてるわけじゃないぞ。アイツなりに努力してるし、お馬鹿でもない。」
そう、こいつは見た目とキャラ性だけ判断していた俺と似ている
アイツがバカとかないわ。あんな計算高い奴他にしらないぞ俺。
「な、なんだよ。急に。マジになっちゃってさぁ」
「お前みたいにヘラヘラしてて大して努力もしてないような人間がアイツのことを馬鹿にするんじゃねぇよ」
人を煽るだけ煽っておいて何かあったらマジになるなよと言う。愚かしい。一色はこんなヤツがバカにしていい奴ではない
「お疲れ様です。もうちょっと勤務態度見直した方がいいと思いますよ」
その後は振り返ることなく去った。
…我ながら何をアツくなっているのだろうか。
寝る前に悶えるパターンだなこれは。
しかし、まぁ言ったことに間違いがあるとは思わない。
努力している人間は報われなければならないし報われるべきだ。なんて昔みたいに青臭いことを抜かすつもりもないがまだ20代なので報われてほしいくらいには思ってしまうのだ。
昔もそうだが今のアイツはとても努力している。新入社員として出来ることの少ない中何とか役に立とうとしている。あんなやつがバカにされてはダメだろう。
そんな風に思っていたらピロリンと間抜けな音が響いた。
携帯を開けてみるとそこには一色からのメールが。
『先輩飲みに行きましょう☆!』
…今日もなのん?
お知らせが四つ程あります。
一つ目 私の志望大学の判定がA判定になりました。それで油断する訳では無いですが更新速度も少しだけ上がると思います。
二つ目 原作新刊出ちゃった…。いや嬉しいんですけどね?読んだ感じこの後の話と矛盾する所出てきちゃうなと。その辺り書くまでに上手い擦り合わせが出来なかったら違う世界線の俺ガイルということで行かせてもらいたいと考えています。ご理解よろしくお願いします。
三つ目 各話にサブタイつけました。サブタイつけることの方が本編考えるより難しい気がします。センスはないです。
四つ目 お気に入り登録が700超えました。本当にありがとうございます。お気に入りが増えるのを見ては書かなきゃという気分になるのでエタることもなくなるでしょう。これからもご支援よろしくお願いします
長文失礼しました。