やはり俺の青春ラブコメは間違っていたのだろう   作:未果南

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遅くなりました。本当に遅くなりました
すいません



昔から慣れている~一色side~

んん…

 

先輩の家の前で1人悩む

 

どうすべきだろうかと何度も自分に問いかけた

しかし、答えは見えている。

私自身も分かっているし普通に嬉しいことではあるのだ。

ただ…今の状況が許さないと言うだけで

 

「ただお金を借りるだけ、ただお金を借りるだけ…」

 

1人でブツブツ呟いている私は傍から見たらただの変な人だ。

春先だし変な人が多いわねーみたいな反応される人だ

インターフォンに伸びる指先はぷるぷると震えていた。

 

怖い、何が怖いって先輩の顔見て自分が抑えきれる自信がなくて怖い

「えいっ」

 

勇気をだして指を前進させると、ピンポーンという間抜けな音が聞こえてくる

 

「すみません先輩財布落としたのでお金貸してくれませんか」

 

これだけ言ってお礼を言って帰るのだ

速きこと風の如しなのだ

 

「…」

 

しかし、決意に反して先輩の声も歩く音も聞こえはしない。

寝てるのかな?

時計を見ると7時前だった

ご飯を食べに行っているのかもしれない

 

『すいません先輩、財布を無くしてしまったのでお金を貸して貰いたいのですが…』っと

 

先輩にメールをして先輩のドアの前でぼーっと突っ立っていると今日1日の疲労がこみ上げてきた。

途中で先輩に会えて励まして貰ったとはいえ今日は本当にキツかった…。明日からも先輩に頼れるわけでは無いけど、教育係の先輩が入ればあのうるさい男どももすこしは静かになるだろう。

 

そんなことを考えながら携帯をポチポチ弄る

暇だしケータイ小説でも読もうかな

 

⭐⭐⭐

 

ふと、携帯に表示されている時間を見ると、もう日付が変わっていた。

 

えぇ…

 

これは先輩晩御飯じゃないですねー

 

何故か冷静な私が何してるんだろう…とか考えていると

息をハァハァ言わせて先輩が走ってきた

 

「先輩、この時間帯に息ハァハァさせて女性に迫る成人男性って相当アレですよ…?」

 

「うるさい黙れ自覚はある。ハァ…、お前財布ないなら昼の時に言えよ、金くらい貸してやるから」

 

「いえ、あの時は先輩に奢ってもらったので気づかなかったと言いますか…」

 

「ああ、そう…。交番とかは行ったのか?」

 

「一応行ってみたんですけど届いてなかったですねー、幸いなことに免許は持ってないしクレカとかの類も入ってないんですが」

 

「そうか、それは不幸中の幸いだな。家に忘れたって可能性はないのか?」

 

「どうでしょう…、わかりません」

 

「はぁ、開けるから少し待ってろ」

 

そう言って先輩は鍵を開けた。このままここで待っていようと思っていたのだが、

 

「とりあえずあがっとけ。見つからなくても最悪金貸してやるから」

 

まぁ、そうなりますよね

 

その後先輩はソファの下だとかいろいろ探してくれた。結果的に私が寝てた布団の中にくるまっていた。

なんでそんな所に…

 

その後、終電の時間も過ぎていて帰れない私にとりあえず入浴しろと言った数分後に吐いた先輩を介護しつつ、先輩がお風呂の間、私はどうやって帰るか、どこに泊まるか考えていた。

 

「おう、上がったから風呂入っていいぞ」

 

「あ、はい」

 

考えるのをやめてお風呂をいただくことにした。

朝にシャワーを浴びたのでお風呂の場所もタオルとかの場所も知っている。

…ていうか私朝先輩の家を出て、夜先輩の家にいるとかまるで同s…

やめようこれ以上はイケナイ

 

⭐⭐⭐

 

お風呂上がって先輩と泊まる泊まらないの談義を繰り返しちょっとばかり赤面した後。

私は先輩の布団で寝ていた

朝はバタバタしててそんな余裕なかったけど先輩のにおいに包まれて…これヤバイよ〜

 

「先輩寝ましたかー?」

 

返事はない

 

「私はいつも面倒見がよくて優しい先輩が大好きですよ」

 

…何言ってんだろ私

きっと今の私は顔真っ赤だ

 

⭐⭐⭐

「おい、起きろ」

 

「ふぇ?」

 

「お前は寝起きまであざといのか…?寝た振りしてないでさっさと起きろ」

 

「ふわぁ、おはようございます先輩。」

 

そういった後私は自分の身体をさわる。

先輩から借りたジャージは特に乱れていたりはしなかった。

 

「何してんの?」

 

「いえ、先輩が先に起きてイタズラしてたらどうしようかと…」

 

「するかバカ。アホな事言ってないで飯食え」

 

布団からゴソゴソ這い出て起き上がる。

 

んー…、本当に何もされてないなー。いや、先輩はそんなことする人じゃないけどさ。

 

「何もされてないってのもそれは何だかなぁ」

 

「あ?なんだって?」

 

「いえ、何でもないです」

 

先輩が用意してくれたという朝ごはんはコンビニパンだった。

 

「朝食用に買いだめしてるんですか?」

 

「いや、うん、いや、そうなんだ」

 

何か言いかけたようだったんだけど…

なんだろう

 

⭐⭐⭐

朝ごはんを食べ終わったあと、私は出社にはまだ早いが先に先輩のお宅をおいとました。

 

「一緒に出社するのは流石になあ…」

 

即バレるだろうし

少し早い時間とはいえ、会社には既に何人かいた。

…社畜、じゃなかった。社会人って大変だなぁ

そんなことを思っていたらEさんに給湯室に呼ばれた

 

「一色さんさー、私ら言ったよね」

 

今日は囲いこまれたりはしないようだ

それにしても、この言い方だと私が昨日どこに泊まっていたのか知ってるんじゃ

 

「私もこんなことしたくなんてないけどさー、部長に報告するね」

 

「でも、そんなことしたら比企谷先輩からの印象悪くなるんじゃ…」

 

この人先輩を狙ってたんじゃ

 

「は?あんなの本気で狙うわけないじゃん。顔は悪くないけどボソボソしてるし、目キモイし」

 

あー…

 

「ハッ」

 

「な!?」

 

なんだこんなのを私は怖がっていたのか。

高校の時に私が置いてきたものが残ってるようなかこんな女のどこが怖かったんだろう

 

三浦先輩の方が女王としては上だった

怒った雪ノ下先輩の方が威圧感があった

人に流されるのをやめていた結衣先輩の方が芯があった

 

…やはりというかなんというか私ってば高校生の時いい経験してたんだなぁ

あの時先輩と会ってなかったら私今でもこんなショボい女だったのかな

 

「なに?馬鹿にしてんのアンタ」

 

必死に自分を大きく見せようとしてホント

 

「バッカみたい」

 

「はぁ!?本当になんなのアンタ」

 

「あなた名前何だったか忘れましたけど、本当にくだらないですね」

 

にっこり笑って給湯室を出る

後ろから私の肩に手を伸ばす気配がする。

それがどうした

どうせアナタはこの小さな給湯室の中で女性社員の上に立っているだけ

そこが王国。そこから出てしまえば人目を気にして何も出来ない

私は知っている。

昔いくらでも相手にしてきた。

 

女の輪の中から外されるのなんて慣れている。

先輩には悪いけど、先輩ならきっとすぐに昇進できるはず…。

まだ昇進出来ないって決まったわけじゃないし。

 

そう思っていたら狙いすましたかのようなタイミングで先輩が出社して来た。

 

遠目に見ても腐ってる目

必要最低限整えただけの髪

そこそこ整っていてかっこいい顔

背中は面倒くさげに曲がっている。

 

私が好きな人はお世辞にもイケメンとは言い難い。

ボッチだし。

でも、私は飛び切りのいい男だと思う

優しいとかそんな言葉に出来るものだけじゃなくて暖かい何か

 

「おはよう一色」

 

いや、私みたいな可愛い娘に惚れられているんだからいい男に決まっていましたね。

なんて

 

「おはようございます先輩」

 

…取り敢えず昇進の件謝っておこう

 

 

 

 

 




もう少しで1章が終わります。今のままではタイトルの意味が謎過ぎますが後々タイトル関係してくる予定です。
これから受験終わるまでこんな遅いペースですが最後まで書きたいと思ってますのでお付き合い頂ければ幸いです

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