やはり俺の青春ラブコメは間違っていたのだろう   作:未果南

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遅れてしまってすいません…
部活終わったら自由な時間増えると思ってたあの頃が懐かしい
ちょっと更新頻度は落ちますけどしっかり挙げていくつもりなので見捨てずに読んでくださると幸いです
あ、あとお気に入りが400を突破しました
ありがたやありがたや


社会って厳しいもの~一色side~

会社で女性社員達に囲まれたあと。

普通に仕事をしていたいのにAとかBとかが鬱陶しく構って来るもので仕事進まなかった…。まだ新人で仕事が少ないことがせめてもの救いだろうか。それにDさんがそれとなく庇ってくれたし…

 

「ふぅ…」

 

知れずため息が出た。

昨日までは先輩の所に行けばA達もよっては来なかった。

今日先輩が休んだことで先輩の所に行かなければどうなるか分かってしまった。

しかも明日からも先輩の所に逃げることは出来ない。

 

先輩の昇進を邪魔するわけにはいかない。

先輩は入社2年くらいらしいのでこのまま行けばエリート街道も夢ではないのではないだろうか。

実際色恋如きで昇進が無くなるとは思えないが堅物な上司に付き合ってもいない男女が1晩過ごしたなどと知られたら…。

先輩の邪魔になるかもしれないような事は控えたかった。

 

昼休みに入ってから急いで会社を出る。

昼休みくらいA達に邪魔されず1人でゆっくりしたい。

 

そう思って出てきたはいいもののこの辺のお店なんて全然知らない。昨日連れて行って貰ったお店では会社から近すぎて安心できない。

 

結果、全国チェーンの有名なハンバーガーショップに落ち着いた。

 

中はそこまで混んでなかったのでさっさと注文を済ませ席につく。しかし、すぐに周りの席がカップルで埋め尽くされる。

 

うぅ…肩身が狭い

 

そんな風に思っていると

 

「一色?」

 

それは今日最も聞きたかった声で。でも一番聞こえては来ないだろう声で。

でもその一言だけで今日の疲労が取れた気がした。

 

「え、先輩?」

 

後ろを振り向くと凄くこの場に合ってない人がいた。

でもその人が一番会いたかった。

 

「先輩がマックとか似合わないですね」

「お前もな」

 

そんな軽口がすごく嬉しくて

 

「どういう意味ですか私だってマックくらい来ます」

「それなら俺だっておかしくないだろ…」

 

心に思ってないことばかり言って

 

「先輩もお昼ですか?」

「まぁ、そうだな」

 

本当は凄く話したい。女性社員に囲まれたことやA達のせいでとてもキツかったこと。それでも仕事頑張ったこと沢山沢山話したい。褒めてもらいたい。

 

でも…。ダメだ。先輩の邪魔になるのはダメだ

こんな所に堅物だという部長さんがいるとはおもえないけど。壁に耳あり障子に目ありという。

どこで誰が聞いてるかわからない

 

「そうですか。おやすみ楽しんでください」

 

先輩には関わらない。

自分本位で先輩に迷惑を掛けたくはない。

先輩の事が好きだからこそ、ここは先輩から離れなければいけない。

 

 

…先輩

 

今の自分はきっと酷い顔をしているだろう。

でも泣かない。例え目が腫れあがっても、真っ赤になっても、涙だけは零さない。

下を向いていれば先輩からは顔はみえないはずなのだから。

今涙を零してしまったら先輩にバレてしまう。

心優しい先輩のことだ。きっと私に関わってくれる。

だからこそ、涙だけはダメだ。

 

「あー…、やっぱゴミ捨てるのめんどいからここで食べていくわ。相席いいか?」

 

先輩は突然そんなことを言った。

え…

 

ダメダメダメ。

 

「え…、あ、はい。別に構いませんけど…。」

 

体は正直だった

 

今日1日新人の私に掛けられた負担は予想以上に大きくて。

 

「そっか、なら遠慮なく」

「ぅして…」

 

どうして先輩はそんなに優しいんですか?

そんなに優しくされたら離れづらいじゃないですか…

 

「ん?どうかしたか?」

 

キョトンとした顔で先輩が聞いてくる。

 

本当にこの人は…

 

「なんでもありません。」

「そうか。…一色。これは社畜の先輩として俺からのアドバイスなんだがな」

「はい?」

「気にしすぎんなよ。何があっても」

 

気づかれていないと思えるほど私は馬鹿じゃないつもりだけど。

例えうまく隠してもこの先輩は目ざとく私の変化に気づいてくれるだろう。

 

本当に…

 

私なんかよりよっぽどあざとい

 

「…!はい。先輩は本当にあざといですよね」

「ばーか、お前ほどじゃねーよ。」

「先輩?」

「ん?」

「ありがとうございます」

 

とても簡素で私が抱いている想いを表すには頼りないけれど

 

でも正直な、私の気持ち

 

「うむ、苦しゅうない」

「…なんですか、それ」

 

思わずクスクス笑うと先輩は気恥しそうに目をそらした。

 

あ、照れた。

 

『捻デレ』という言葉を思い出した。

 

⭐⭐⭐

 

その後帰り道で女性社員達とあったものの昔のようにのらりくらりとかわしつつ仕事に戻り、A達のウザい絡みにも我慢した。

1度先輩と会うだけでこんな頑張れるなんて私ってなんて単純なんだろう…

 

この年で恋する乙女とかちょっとイタい。とは思うものの実際相手が先輩じゃあ仕方ないか

 

仕事を終えて会社を出る。

 

「お疲れ様でした」

 

おっと、一言を忘れずに

 

「おや」

「あ、失礼します」

 

会社を出る際に男の人と一緒になった

確かこの人が堅物だって言う部長さん…だったよね

 

「会社には慣れたかい?」

「はい、教育係の比企谷先輩が私の高校の先輩でして」

 

ここで先輩後輩の仲だと言っておけば少しは誤魔化せるかもしれないと予防線を貼っておく

 

こうやって話しているとただの優しいおじさんって感じなんだけどなぁ…

でも私はこの人が仕事をしている所を1度見ている

目が違った。なんか死ぬ気というか殺す気というか

見ていて圧倒される感じだった

 

「そうか比企谷と…。アイツは私と同じで派閥とかを無視して結果を追い求めるタイプだからな…。君のような可愛い後輩がいたとは驚きだ」

「あはは…、ありがとうございます」

 

本当に先輩高評価なんですねー

確かにこんな人なら昼間に先輩が言ってたみたいに気にしなさそうではある

 

「おっと人を待たせているのでね、お疲れ」

「お疲れ様でした」

 

時計を見ると6時だった。適当にご飯買って帰るかな…

カバンの中を見ると財布が無かった。

 

え?

 

なんで?

昼の時はお金…

そう言えば先輩が奢ってくれたから私財布出してない。

 

えぇ…

 

どうすればいいのでしょう。

 




八幡視点で奢ったことについて書かれていないのは八幡が気にしていないからということで。さり気なく奢ったんです、きっと。
八幡視点と一色視点で場面に違いがある時はどこが2人にとって重要だったかということです
一色にとって女性社員と遭遇したのは大きくはあったけど、その後頑張れたのでその結果や原因の八幡との会話の方が重要だったということです。

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