インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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なんだか九十話に迫りました………五年の月日で九十話………のんびりし過ぎたかな?

と言うか、いつになったらこの作品は完結するのだろうか?(最近の悩み

それと、この更新で今年の更新は終了します。詳しくは自分の活動報告をご覧ください。
もしかしたら、更新するかも知れませんが、いつの更新になるのか不明です。

では、今後もこの作品をよろしくお願いします‼


第九十話

こうも早く、キラ達が動けたのには理由があった。

それは、学園祭当日の朝の事である。

 

「明日菜ちゃん。ズボンのポケットの中にこれを入れておいてくれるかな?」

 

「パパ、これ何?」

 

キラから手渡されたのは、小さな機械であった。それは更識家が総力を挙げて開発した発信機である。この開発には更識家前当主である時政が関わっているのである。

 

「これは明日菜ちゃんがどこにいるのかパパやママが判る様にするものなんだ………パパやママはね、明日菜ちゃんの事を大切に思っているからこそこれを渡すんだ……それに、もし何があってもパパとママは必ず、明日菜ちゃんを助けるからね」

 

「うん‼」

 

キラに言われ、明日菜は発信機をズボンのポケットの中に入れた。

 

「なら、今日の学園祭は一緒に回ろっか」

 

「わーい‼ がっくえんさい‼ がっくえんさい‼」

 

明日菜はキラと回れると聞き、小躍りする。

 

「さぁ、そろそろ行こうか」

 

キラに連れられて明日菜は学園祭に向かうのであるが、ここで問題が発生した。

学園から支給されている通信機から学園長である千冬から通信が入ったのである。

 

『こちら、織斑千冬だ。ヤマト、聞こえているか?』

 

「はい、キラです。織斑先生、どうかされたのですか?」

 

『すまないが、至急正門の方に来てほしい』

 

「人手の問題ですか?」

 

『………ああ』

 

キラの言葉に千冬は申し訳無さそうに返事する。

 

「解りました。すぐに向かいます……明日菜ちゃん。ママを呼ぶから待っててくれる?」

 

「…………うん」

 

キラと一緒に回れなくなると知った明日菜はシュンとしてしまい、落ち込み始めた。

 

「大丈夫、待っていればママが必ず来てくれるから………ここで大人しく待っててね?」

 

キラはそう言うと通信機を取り出し、楯無へと連絡し自身は正門の方へと向かうのであった。

 

「………パパ行っちゃった………グスッ」

 

明日菜はキラの背中を見ながら涙ぐむ。折角、楽しみにしていた学園祭を義理であっても父親と慕う人と一緒に回れなくなってしまうのは悲しい物である。

明日菜はキラに言われた通り、その場で待っていたが1分が1時間の様に感じた明日菜は、キラとの約束を破りそのままキラの元へと行こうとした………しかし、明日菜はまだ子供でまだ学園の事を詳しく知らない身であったと言う事もあり、迷子になってしまったのである。

 

「パパ~どこ~」

 

明日菜はキラを探して彷徨っていた。そして、悪い事に周辺には誰一人学生の姿を見受けられなかったのである。学園祭と言う事もあり、学生たちは各々のクラスの担当で忙しく、歩いている訳が無いのである。

そして、某国の大統領と護衛の隊長と出会ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラの持っている通信機の親機が緊急を知らせるアラートが鳴り響き始めた。

 

「ッ⁉ 明日菜ちゃん‼」

 

キラはアラートが鳴った理由を知ると、直ぐに明日菜と別れた場所へと向かうとそこには地に膝を付けた楯無の姿があった。そして、キラの姿を見付けた楯無はキラに縋りついた。

 

「キラ君‼ ごめんなさい………ごめんなさい………私がもっと早く来ていれば………」

 

「楯無さん…………」

 

涙を流す楯無を見て、キラは何も言えなくなる。

すると、千冬が速足で向かって来た。

 

「ヤマト‼ 更識‼ これはどう言う事だ‼」

 

「明日菜ちゃんが誘拐されました………」

 

「なに⁉ ヤマト、貴様は何をしていたのだ………いや、ヤマトに当たるのは間違いだな………ヤマトは仕方が無いが更識………お前は何をしていたのだ‼」

 

千冬は剣幕を凄め楯無に迫る。

 

「……キラ君からの通信が来て、向かおうとしたのですが………道に迷った人を案内をして遅くなってしまいました…………」

 

千冬に楯無は説明する。

しがし、千冬は楯無に対して怒る事も無く、淡々とキラに指示を出す。

 

「ヤマト、三部隊の出撃を認める。すぐに明日菜ちゃんを助け出せ‼ そして、更識………お前も行け‼」

 

「………え?」

 

千冬に言われた楯無は呆ける。まさか、自分も明日菜救出に出されるとは思っていなかったからである。

 

「お前は明日菜ちゃんのなんだ? ただの母親代わりか? 今の貴様は義理であってもあの子の母親では無いのか‼ だったら父親と一緒に迎えに行くのが母親の使命だろうが‼ 判ったのならさっさと行け‼」

 

「は、はい‼」

 

楯無は千冬の叱咤にすぐに動きだした。

 

「織斑先生………ありがとうございます」

 

キラは自分が言えなかったことを代わりに言ってくれた千冬にお礼を述べる。

 

「私や一夏は両親の顔を知らない………それに明日菜ちゃんも本当の母親と父親を亡くしているんだ………お前たちがしっかりと護ってやらなければいけない。違うか?」

 

「はい‼」

 

「だったら、さっさと行け………お父さん」

 

「揶揄わないで下さい‼ ………行ってきます‼ 明日菜ちゃんと共に戻ってきます‼」

 

キラもすぐに動き出すのであった。

その頃、既に海上にはアークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻が係留され、いつでも出撃が出来る状態になっていた。

そして、各部隊も乗り込みが終わっておりキラと楯無を迎えるだけであった。

 

「お待たせしました」

 

「すみません‼」

 

キラと楯無がアークエンジェルに入ると、入り口にはアスランを始め各部隊の隊長が待っていた。

 

「キラ………大丈夫か?」

 

「僕は大丈夫だよ。だから、明日菜ちゃんを迎えに行こう‼」

 

「ああ‼」

 

「キラ君も父親らしい顔つきになっているな………」

 

「そうですね」

 

キラとアスランが拳を合わせているのを見たラウとトールはキラの変わりように驚きながらも納得していた。

 

「さぁ、私達は私達の仕事をしよう」

 

「そうですね」

 

二人はそう言うと、アークエンジェルのブリーフィングルームへと向かうのであった。

 

 

その後、三隻は出港し明日菜のズボンのポケットに仕舞われている発信機を頼りに向かうのであった。


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