インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
アークエンジェルとドミニオンから出撃したキラ達は布陣を引く。
「キラ君、もう少しで敵を目視できる距離だ」
「了解しました。クルーゼ隊長達ドミニオン隊の皆さんは各々の判断で攻撃してください」
「君たちはどうするつもりなのかね? もしかしてだが、高みの見物をするつもりでは無いだろうね?」
「大丈夫です。僕達も攻撃しますから」
ラウの懸念にキラは、自分達も攻撃すると宣言する。
「ですが、僕達の目的は一夏に戦場の雰囲気を感じてもらう事です。だからと言って、皆さな達を無下にするつもりはありません。ですから………一夏。君はその場から動かないでね?」
「あ、ああ」
キラの言葉を受け、一夏は頷く。キラ達だけでは一夏を護りながらの戦闘は不可能に近い。その為、一夏は動かない様にキラは指示を出したのである。
「では、各自散開‼」
キラの指示で全員が動きだした。
ラウはプロヴィデンスのドラグーンを全て展開させ、海中に向けて発射する。また、レイもレジェンドのドラグーンを全機射出させると、ラウ同様に海中に向けてビームを射出させた。
これにより、海中を進んでいた敵機体は破壊される。だが、それは序の口であった。
「敵の数は依然、侵攻変わりません‼」
敵を見張っているのはクロエで、クロエの専用機は攻撃型では無く索敵型の機体で、束がストライクをベースに組みあげた後方支援型ISである。ストライクを改良しただけの機体なので、ストライク改と安直な名前となっている。
「キラ隊長たちは、どうするつもりですか?」
「僕達も攻撃に加わるよ………一夏。見ていて。これが本当の戦場だから」
そう言うと、キラはハイパードラグーンを全機、射出するとラウやレイたちとは違う方角に向けて攻撃を行った。
すると、何かに当たったかのか、海水を巻き上げて爆発を起こしたのである。
「クロエ、見逃していた敵を発見したから攻撃したよ」
「えっ⁉ でもレーダーには何も写っていませんでしたけど…………」
「モニターだけを頼りにするのは、間違いかな。もっと視野を広く持たないと………そうじゃないと、護れる者も護れないよ」
「…………はい」
キラに注意を受け、クロエはシュンと落ち込む。
「でも、君の支援は頼りにしているよ。今後は後方支援の訓練をしよう。そうすれば、もっと君は伸びていくから」
「はいっ‼」
キラは落ち込むクロエにそう言う。クロエもキラの言葉を受け、訓練を頑張ろうと思うのであった。
「キラ、潜水艦はどうするんだ?」
「そっちに関しては、もう少しで終わるんじゃないかな?」
キラがそう言った瞬間、遠くで海水を巻き上げて爆発を起こしたのであった。
「ね?」
キラはこの爆発は、ドミニオン、ミネルバ、アークエンジェルの三隻による潜水艦撃沈を知らせるものと解っていたのであった。
時を巻き戻し、潜水艦撃沈前まで戻る。
「敵潜水艦、向きを変えて離脱しようとしています‼」
「ドミニオンとアークエンジェルはまだなの?」
「もう間も無く、到着するとの事です」
ミネルバの艦橋では、艦長席に座るタリアは報告を受け、爪を強くかみしめる。と言うのも、ミネルバは海中での戦闘行為をしようにも、タンホイザーやトリスタンしか攻撃手段が無いのである。魚雷も装備しているのだが、海中での使用は不可能なのである。
「敵を逃してはいけないわ‼ トリスタン起動‼」
「トリスタン起動させます‼」
タリアはミネルバの艦尾に設置されているビーム砲“トリスタン”を起動の指示を出す。
「撃てぇ‼」
艦尾から射出されたビームは潜水艦の周囲を抜き去る。
「ドミニオン、アークエンジェルから通信です‼ 陽電子砲の使用をするとの事です‼」
「………そう言えば、三隻とも環境に影響を与えない様に配慮した改良型の陽電子砲を積んでいたわね………でも海中でも使えるのかしら?」
「ですが、二隻とも使うと言っていますが…………」
「信じましょう。タンホイザー起動‼」
タリアはマリューとアズラエルの言葉を信じて、ミネルバの陽電子破城砲“タンホイザー”を起動させる。だが、モニターには一つもエラー表示が出されなかった。
「タイミングは合わせるとの事です‼」
「………チャージ開始‼」
タリアはタンホイザーのチャージを開始させる。すると、艦首に設置されている陽電子砲に海水を巻き込んでチャージを始め、直ぐに発射準備完了となった。
「………撃てぇ‼」
タリアがそう言うと、ミネルバ、ドミニオン、アークエンジェルの三隻からなる陽電子砲攻撃が潜水艦を貫き、爆発させた。
「三隻による陽電子攻撃がこんなにも呆気なく終わらせるのね………敵は哀れね」
タリアはそう言って背凭れに全体重を掛けるのであった。
潜水艦の撃沈はすぐにロゴスに報告がされた。
「やはり、潜水艦だけだと呆気ないわね………」
「お母様。やはりデストロイを大量投入するべきでは無いのですか?」
「………そうね。これが私達の最後の任務になるわね………」
ロゴスの執務室にはサラ・コナーとリオ・コナーに二人がいた。
「全艦隊に指示を………目標は国際IS学園よ………」
リオ・コナーはサラに指示を出す。
「艦隊を出すまでは無いですわ………わたくし自らが出向きます」
「ですが、貴女はまだ若輩………そんな貴女にはまだ艦隊を動かせないわよ?」
「解っていますわ………ですが、わたくしもこのまま指を咥えたまま負けを認めたくはないのです。ですから‼」
「…………」
サラの言葉を受け、リオは少し考えると決断を下した。
「解りました。良いでしょう。艦隊を貴女に託します。負けそうになれば帰って来なさい」
「ハッ‼」
サラは敬礼を持ってリオの指示を受け取ったのであった。