インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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第八十五話

亡国機業が元々、所有していた島には数隻の艦船が停泊していた。

その中に異彩を放つ戦艦が存在していた。その戦艦は、戦艦であり、戦艦と呼べるものでは無かった。

後部甲板には航空機を離発着させる為のカタパルトが設置されており、主砲の数は三連装型主砲四基を持ち、対空火器はミサイルポッドやガトリング砲等、対空火器にも力を入れられていたのである。

 

「漸く、完成したのですね………」

 

「はい、お母さま。我々の旗艦が………」

 

サラ・コナーとリオ・コナーの二人が、就役した航空戦艦を見つめていたのである。

 

「ですが、お母さま………ガーティ・ルーはどうするおつもりなのですか?」

 

「あの艦に関しては、現在は改装をしています」

 

「改装……ですか? 改造では無く?」

 

「ええ、潜水能力を持っていても、海中ではミラージュコロイドを展開できませんからね………ですから、今暫らくはミラージュコロイドを海中でも使用する事が出来る様に、改装しているのです」

 

「では?」

 

「ミラージュコロイドの改良型が出来次第、ガーティ・ルーはもう一度、旗艦に戻って来て貰います」

 

ガーティ・ルーは現在、島の地下ドックに収容されており、ミラージュコロイドの改良型を試験しているのである。もし、これが完成すればアークエンジェルでも見付ける事は叶わないのである。

 

「漸くですね……我々の悲願を叶えるのも…………」

 

二人はそう言って、航空戦艦を見つめ、IS学園に宣戦布告しようと考えていたのであった。

 

ロゴスが所有する艦船は、戦艦10隻、航空戦艦1隻、航空母艦10隻、潜水艦20隻、重巡洋艦15隻、軽巡洋艦25隻、駆逐艦40隻と合計121隻もの艦船を所有している。しかしこれは現在、海上に出ている者だけの数である。島の地下ドックに収容されている艦船も合わせると、とんでもない数の艦船を所有している事になっている。

これだけも、戦力としては申し分ないが、ISを持ってるのと持っていないでは、戦力的には違うのである。

そして、ロゴスは機密に亡国機業が開発していたISの設計図を奪取する事に成功し、現在はISの生産をしているのである。だが、ISには一基のコアが必要なのだが、それはロゴスである。腐っても死の商人として君臨しているだけの事はある。

幼子を世界各国から誘拐しては、人体実験を繰り返し、漸くISコアに代わる物を作り出したのである。

 

「生体コンピューター………これさえあれば…………」

 

「ええ、これさえあれば誰でもISを扱う事が出来るわ………その代わりに、肉体を失うけどね」

 

脳髄をISに埋め込み、一つのISとする。これがロゴスが作り上げたISなのである。ISと言えてISでは無い何かと言ってしまえば、解りやすいであろう。

 

「さぁ、世界よ‼ 我々のやる事を刮目して見るのだ‼」

 

リオ・コナーは両手を広げ、高々と宣言をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロゴスが企んでいる頃、キラ達はIS学園へと戻っており、簪達も同じ様にIS学園へと戻って来ていた。

 

「お姉ちゃん‼」

 

「あら、簪ちゃん。遊園地は楽しかった?」

 

「うん‼」

 

簪は遊園地のチケットとホテルの予約をしてくれた、楯無に感謝していたのである。しかし、簪の歩き方に違和感を覚えた楯無は、簪の耳元で囁く。

 

「もしかして……ヤッちゃった?」

 

「………うん」

 

顔を赤らめながら、簪は頷いた。

 

「そう………もしかしたら、私は叔母さんって呼ばれちゃうのかな?」

 

「ま、まだ、早いよ⁉」

 

楯無は簪で遊び出した。

 

「アスラン…………」

 

「………流れでヤッてしまった」

 

「……………」

 

「……………」

 

キラがアスランを非難するかのように見つめると、アスランは白状する。そして、二人の間で不穏な空気が流れるのだが………それを払拭させたのは明日菜であった。

 

「もう、パパ‼ ママ‼ 簪お姉ちゃんとアスランお兄ちゃんをイジメちゃ、メー‼ なの‼」

 

「「あっはい。すみません」」

 

明日菜に怒られた二人は、その場で明日菜に頭を下げた。

第三者から見れば、子供に怒られる大人と言う、カオスな空間が出来上がっていたのである。

 

 

 

「お前達、戻っていたか」

 

すると、五人に声を掛ける一人の女性が居た。

この学園の理事長に就任した、織斑千冬であった。

 

「織斑先生……ただいま、戻りました」

 

「五人共、ケガはありません」

 

「そうか………それで、ヤマト。お前は、更識家に認められたのか?」

 

「はい」

 

千冬はキラと楯内、明日菜の三人が更識家に挨拶に行っている事は知っていたのだ。そして、キラは正式に楯無の婚約者として認められたのである。

 

「これからが大変だろうが………ガンバレ」

 

「はい‼」

 

千冬の激励の言葉に、キラは強く頷くのであった。

 

「それでだ、更識………明日菜ちゃんの事で伝える事がある」

 

「はい………そろそろ、私も考えていました。これはキラ君も同意の上です」

 

「?」

 

千冬とキラ、楯無は明日菜の事で一つの事で話し合っていたのである。

 

「正式に認めさせた。この学園で狭い生活も、今日でお終いだ。正式に、ヤマト。お前が明日菜ちゃんと一緒に登校しろ。まだ、年齢的には幼稚園児だろう?」

 

「はい。明日菜ちゃんはまだ5歳です。幼稚園に預ける事も考えましたが………」

 

「判っている。私もそれについては危惧していた。そこで、IS委員会に正式に伝え、保護責任者として更識とヤマトの二名にして、監督責任者として私が名指しされた。また、アークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊の皆も同意の上で、明日菜ちゃんはこの学園で生活する事となる」

 

明日菜はまだ5歳である。幼稚園児であるが、幼稚園に預けていなかった。これには理由があり、保護責任者として楯無とキラがしていたが、まだそれは正式なものでは無かった。

だが、千冬はIS委員会にこの事を伝え、もし明日菜に手を出したら、IS学園特殊武装隊が黙っていないと言うと、IS委員会も最凶の部隊を敵に回したくないと言う考えで、頷いたのである。

 

「では、今日はもう部屋に戻れ………明日から大変になるぞ」

 

そう言うと千冬は校舎の方へと歩いて行くのであった。

 

「パパ、なんのお話をしていたの?」

 

「うん? 明日菜ちゃんがこの学園で、部屋の中で過ごさなくて済むお話だよ」

 

「? お部屋で過ごしているのも楽しいよ」

 

「それだと、明日菜ちゃんがかわいそうだから、明日からパパと一緒に学校に行くよ」

 

「? 明日菜、よくわからない」

 

キラの説明に明日菜の頭では、処理しきれなかった。だから、キラは簡潔に明日菜に教えた。

 

「明日から、パパと一緒にいる時間が増えると言う事だよ」

 

「………ホント?」

 

「うん」

 

「ママも一緒じゃ無いの?」

 

明日菜は楯無も一緒にいる時間が増えると思っていたが、キラと楯無は学年が違う為、会う時間が取れるのは昼食時だけなのである。

 

「ごめんね。明日菜ちゃん。ママは一緒にいる事は出来ないの」

 

「ママも一緒じゃ無かったら、イヤ‼」

 

楯無が説明すると、明日菜は楯無も一緒でないと嫌だと愚図り始めたのである。

 

「ごめんね、明日菜ちゃん。でも、お昼になれば、一緒にご飯食べよ」

 

「グスッ………でもぉ~」

 

楯無は明日菜と顔が同じ位置に来るように膝をつき、説得を試みる」

 

「大丈夫よ。明日菜ちゃん。絶対にお昼ご飯は一緒に食べよ」

 

「明日菜ちゃん。私も一緒だよ」

 

「俺もだ」

 

援護射撃と言わんばかりに簪とアスランも明日菜を説得する。

 

「………うん。解った」

 

明日菜はようやく納得した様子であった。

 

「今日は一緒のベッドで寝ようか」

 

「あら、私も一緒かしら?」

 

「ちょっと⁉」

 

「ワーイ‼」

 

キラが明日菜と一緒にベッドで寝る事を提案すると、楯無も入る気満々で、キラは驚くが、明日菜は嬉しそうであった。

 

「仕方が無いか………」

 

「キラ、諦めろ」

 

キラは諦めた様子であり、アスランはそんなキラの肩にそっと手を置くのであった。

 

「アスラン。私達も一緒にね?」

 

「あっハイ」

 

こうして仲良く二組のカップルが、ベッドインするのであった。


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