インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
その頃、キラ達はアークエンジェルにて日本領海内に侵入した、女性権利団体所属艦五隻の対処に向かっていた。
攻撃を受けた自衛隊機は、既に収容された後だと言う事は、千冬から先ほど通信で言われていたので、戦闘に支障が無い事に安心していた。
「間も無く、本艦は女性権利団体所属艦隊と接触します。各自はカタパルトにて待機してください」
ミリアリアの放送でアークエンジェル隊は気持ちを切り替えた。それもその筈。先程までは先頭に出ると言う事を忘れるのではないかと言う程、リラックスしていたからである。
だが、戦闘の準備に入ると言う放送で全員が切り替えを行ったのである。
「さて、時間も無い様子だから簡潔に説明するね。僕達はアークエンジェルから出撃後、女性権利団体所属艦隊に通告する。既に領海侵犯をしているから、撃沈させても良いんだけど形として残しておかなくてはいけないから、三回、同じ放送をする。返答が無い、もしくは、反撃があった場合は通告を無視したと言う事で、攻撃開始となる。簡潔でしょ?」
『……………』
キラの簡潔な説明に全員が絶句する。本当に簡潔だったからである。本来であれば、威嚇射撃など有っても良さそうなのだが、キラは既に女性権利団体所属艦隊は日本領海侵犯をしていると言う事もあってか、辛辣な対応であった。
「それと、敵艦が五隻と言う数もおかしいと思っている。もしかしたら、潜水艦等も潜んでいる可能性が極めて高いと思ってくれ。その場合は、艦隊は俺達で対処する事になるが、潜水艦の対処はアークエンジェルで行う事となる。その後、俺達は銀の福音撃墜作戦へ加わる事になる。連戦になる可能性が高い事を覚えていてくれ」
≪了解‼≫
アスランの補足にキラを除く、全員が返事をする。因みにだが、アークエンジェル隊は表面上は三つある事になっているが、本当は四つある。最後の一つが、ストライク・アストレイとムラサメ、ドム隊が一つの部隊として存在している。だが、これ以上の過剰戦力を世界に見せる必要が無いと判断した千冬は、完全な秘匿部隊として設立させているのだ。
「なら、みんな‼ 本作戦を終わらせて、海でまた遊ぼう‼」
≪オー‼≫
キラの言葉で全員の気持ちが一つとなる。
『これより、出撃シークエンスを開始します。隊長機から順にカタパルトに機体を接続してください』
ミリアリアの放送にキラ達は機体を展開させ、キラとアスランがカタパルトに機体を接続する。
『機体の接続を確認。キラの機体から射出します。カタパルトオンライン。射出推力、正常。進路クリアー‼ ストライク・グリ―ダム・フェニックス、発進どうぞ‼』
「キラ・ヤマト。フェニックス、行きます‼」
『続いて、インフィニット・ジャスティス・セイバー、発進どうぞ‼』
「アスラン・ザラ。セイバー、出る‼」
キラ達に託された新たな剣で二人は出撃する。その姿は、現世に現れた不死鳥と聖騎士のようであった。
『シャルロットちゃん。ラウラちゃん。緊張するかもだけど、気を付けてね』
「は、はい‼ ありがとうございます‼」
「わ、判った」
ミリアリアはシャルロットとラウラに安心させるように声を掛けると、二人は緊張しながらも返事をする。その姿を見て、ミリアリアは微笑ましかった。だが、刻一刻と変わっていく戦況に、ミリアリアは気を引き締め、二人をカタパルトに接続させる。
『カタパルトに機体の接続を確認。これより発進シークエンスを開始します。カタパルトオンライン。射出推力、正常。進路クリアー‼ ワイバーン・ドラグーン、発進どうぞ‼』
「シャルロット・デュノア。ワイバーン・ドラグーン、行きます‼」
『続いて、ストライク・アストレイ・フォースブレイク、発進どうぞ‼』
「ラウラ・ボーデヴィッヒ。フォースブレイク、出るぞ‼」
シャルロットとラウラが出撃すると、既に出撃していたキラ達が待っていた。それは、二人を護る為と言う事もあるのだが、フォローをすると言う役割も持っているからである。
「それじゃ、行くよ。二人とも」
「俺達はお前達に合わせて、飛ぶから安心して飛べ」
「「了解」」
キラ達の後押しもあり、シャルロットとラウラは安心するのであった。
その頃、女性権利団体所属艦五隻による艦隊は、日本に向けて進行しつつあった。
その艦隊は全て、第二次世界大戦で使われていた戦艦を近代化改装し、イージス戦艦と呼べるものであった。
旗艦はドイツ海軍が建造したビスマルク級戦艦一番艦“ビスマルク”随伴艦にレナウン級巡洋戦艦一番艦“レナウン”同二番艦“レパルス”コロラド級戦艦一番艦“コロラド”ネバダ級戦艦一番艦“ネバダ”の五隻である。
ビスマルクの艦橋では、一人の女性が日本に向けて鋭い視線を浴びせていた。
「漸くね………漸く、復讐が出来るるんだわ………主砲用意」
「主砲用意‼」
女性の指示ですべての戦艦の主砲が動き出したが、国際救難チャンネルが通信をキャッチした。
「艦長、国際救難チャンネルに通信です」
「………主砲はそのまま。開きなさい」
「はっ‼」
「こちらは女性権利団体所属第一艦隊、旗艦ビスマルク艦長の彩菜芽衣です」
『こちらは国際IS学園所属部隊、アークエンジェル隊所属のキラ・ヤマトです。通告します。すぐに艦隊を下げてください。警告は一回のみしか行いません』
キラの言葉にビスマルクの艦橋内は笑いで埋め尽くされる。
「何を言っているのかしら? 坊や………貴方達は我々が何をしようとしているのか判っているのでしょう?」
『………ええ、判っています。ですが、一応は警告をしておかないと卑怯者扱いされてしまいますからね』
「それもそうね………でも、止める気はないわ」
『………そうですか………では、こちらとしても武力行使をします』
これを最後にキラは通信を閉じた。
「対IS戦闘用意‼ 主砲は国会議事堂を照準しておきなさい」
「ハッ‼」
芽衣の指示ですべての戦艦の副砲、機銃、ミサイルが起動する。
「対空戦闘、開始‼」
キラ達と女性権利団体所属艦隊との火蓋が切って落とされるのであった。
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