インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

82 / 115
連続です‼

一部のキャラが「誰だコイツ?」になってます。


第七十六話

翌日、IS学園の生徒達は丸一日を使い、ISの各種装備試験運用とデータ取りを行う事になっていた。

 

「これより各班で振り分けられたISの装備試験を行う。専用機持ちは専用パーツのテストだ。迅速に行え‼」

 

『はい‼』

 

「それと、篠ノ之。こっちへ来てくれ」

 

「はい」

 

千冬に呼ばれた箒はそちらへと向かう。箒は千冬に呼ばれた理由が判らなかった。

 

「今日からお前も専用機持ちとなる事になった。だが、これは忘れるな? お前は専用機を持ったからと言って力を得たと言う事にならない。努力を怠るなよ?」

 

「ッ⁉ はい‼」

 

千冬の言葉に箒は驚きながらも返事をする。まさか、自分に専用機が与えられるとは思っていなかったからである。姉である束に頼んだ記憶も無いのである。

 

「さて、開発者本人から話をして貰おうか」

 

「ハロハロー‼ 束様、登場‼」

 

突如として地面から出て来た束にその場にいた者達が驚く。

 

「束……もう少し普通には出てこれんのか?」

 

「何言ってるのかな、ちーちゃんは………私がそんな普通に登場する気があるとでも?」

 

「………スマン。私が間違っていた」

 

千冬がそう言うと手で顔を覆った。確かに束は普通と言う概念を持ち合わせていない。だから、普通を求めても束が答える気が無い事は昔からであったと言う事を思いだしたのである。

 

「さて、本題に移ろうか………箒ちゃん」

 

「………はい。姉さん」

 

束は箒に対して開放的に接するが、一方の箒は閉鎖的に接する。

白騎士事件によって、家族はバラバラになってしまった。その張本人は目の前にいる束なのである、一夏と別れてしまう結果になってしまった。本当であれば、中学も一緒に過ごしたかった。そう言う気持ちがあったこそ、箒は束を許す気になれなかったのである。

 

「やっぱりだね………箒ちゃん。後で話がしたいんだ………いいかな?」

 

「………私は姉さんと話すつもりはありません」

 

「そう言われちゃったら、どうしようもないね………気が向いたらでいいから、来てね。後でメールで知らせるから」

 

束はそう言うと、消沈している気持ちを奮い立たせ、箒の専用機となるISを呼び出した。

 

「さて、少し脱線しちゃったけど………これが天才である私の最高傑作機‼ その名も“紅椿”‼」

 

紅椿と呼ばれたISはコンテナに収容され、一機のMSに抱えられて登場した。

 

『なんで俺達がこんなことしなくちゃいけないんだよ‼』

 

『オルガ……うるさい』

 

『シャニ‼ てめぇ‼』

 

『なんでケンカしてるのですかね⁉』

 

カラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機がコンテナを護るかのように降り立った。だが、なぜか知らないが、シャニとクロトがケンカを始めようとしていたのである。

 

『三人共………大人しくできないのかね?』

 

『だってコイツが‼』

 

『僕は何もしてないよ』

 

その上空ではラウがプロヴィデンスを身に纏い三人を見守っていたのだが、クロトとシャニのケンカを仲裁しようとしていた。

 

『レイ………この場合はどうするべきかね?』

 

『撃てばいいのでは?』

 

『なるほど。名案だ』

 

『『『なんでやねん‼』』』

 

コントの様な掛け合いをしていたが、オルガ達は正確に束の前にコンテナを置く。

 

「ありがとねー‼」

 

『フン……感謝しろよ』

 

『素直じゃないね』

 

『うっせぇー‼』

 

束に感謝の言葉を掛けられたオルガは、憎たらしく返したが、それは照れ隠しの一つであるとシャニは感じ取り、弄るがオルガがそれに突っかかり、三人による三つ巴が始まろうとした瞬間………ラウのプロヴィデンスとレイのレジェンドのドラグーンが三人の周囲を囲んでいた。だが、それだけでは無かった。キラのドラグーンまでもが三人を囲んでいたのである。

 

「三人共………そろそろ大人しくしていようね?」

 

『『『………はい』』』

 

キラの一言で、三人は大人しくなるのであった。

夏だと言うのに、キラの周囲は冬なのではと錯覚するほど寒かったとアスランが言っていたのであった。

 

「さて、なんかまた話が脱線しちゃったけど………箒ちゃん。乗り込んで……すぐにフィッティング済ませちゃうから‼」

 

「ですが、姉さん。一つ聞きたい事があります」

 

「なにかな?」

 

「なぜ、今のタイミングで私に専用機を渡すのですか? もっとほかにも逸材はいるでしょう?」

 

「………」

 

箒の質問に束はすぐに返答が出来なかった。

 

「………箒ちゃん。今の世界の情勢は知っているよね?」

 

「え、ええ。IS学園が襲撃を受けて、それを起こしたのは女性管理団体の一部だとか……としか………」

 

「うん、それで合ってるよ。なら、今の箒ちゃんの立場はどう言う立場?」

 

逆に返された質問に箒は答えられなかった。否、答えたくは無かった。それは、篠ノ之束の妹である事は事実。だが、それを素直に認められない自分が居たからである。

 

「なら、答えてあげる。私、篠ノ之束のたった一人の妹。これが答えだよ。簡単でしょ? なら、ここまで言ったら………箒ちゃん、今の立場は?」

 

「…………篠ノ之束に対する交渉の一部」

 

「正解。判ってるじゃん‼ 今の箒ちゃんは守る力を持っていない。それは他人をじゃない。自分自身を護る手段を持っていない。だからこそ、私は危惧した。箒ちゃんが誘拐されてしまってはいけないとね………だからこそ、この力を箒ちゃんの自分を護る剣にして欲しいと思って開発したんだよ?」

 

「…………でも、素直に受ける気が出来ません」

 

「………判った。そこまで頑なに拒むほどであれば、私も無理強いはしないよ………でも、これだけは言わせて………後悔しない選択肢を選んで」

 

そう言うと、ラウに抱えられてIS学園へと戻ろうとした。だが、それを許す敵では無かった。

千冬が持っているタブレットが静かに振動する。

 

「なんだ、こんな時に……………ッ⁉ 総員に通達‼ これよりテストはすべて中止とする。各自は部屋に速やかに戻れ‼ これは訓練では無い‼ 専用機持ちは大広間に集合だ‼ 束、お前も来い‼」

 

「…………来ちゃったと言う事だね?」

 

束の質問に千冬は静かに頷く。

 

「ラウ君。君たちも来て」

 

「了解した。ドミニオン隊、ミネルバ隊は現時刻を持ってアークエンジェル隊との合同作戦を実施する。キラ君、君が指揮権を持ってくれ」

 

「………判りました」

 

ラウの言葉にキラは強く頷いた。

 

「各自、解散‼」

 

千冬の鶴に声で、浜辺にいた全員が動くのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送ってください‼

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。