インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
こんな優しい人だっけ? と思われる方もいると思います。
夕食も終わり、各々が各自の部屋で過ごしている時、千冬の部屋では一夏が千冬をマッサージする事になった。
「千冬姉、久々にマッサージしようか?」
「ほう? 愚弟がそんな事を言いだすなんて………明日は槍の雨でも降るのか?」
「なに縁起でも無い事を言ってるんだよ………迷惑を掛けた事が多かったから、そのお返しと言う訳じゃ無いけど……」
「なに、冗談だ。では、頼む」
千冬はそう言って布団に俯せに横になると、一夏が背中に手を置くのであった。
千冬と一夏の部屋の前では鈴、箒の二人が聞き耳を立てていた。
「ねぇ、もしかして………」
「嘘だ……嘘だと言ってくれ‼ 一夏………」
二人は部屋の中から聞こえる会話から、違う意味を察したのか絶望的な表情になっていた。
「あら? どうかされましたのですか?」
「あっ……セシリア………中から………」
「?」
鈴の切なさそうな声にセシリアは顔を傾げる。すると、鈴はセシリアの手を引き扉の前に来させた。
「聞きなさい‼」
「…………」
『千冬姉、緊張してる?』
『そんな訳あるか‼ んっ⁉ 少しは加減をしろ』
『はいはい……なら、ここかな?』
『ンフッ‼ そこ……は‼』
『ここだな‼ ホレホレ‼』
『ン⁉ ツ~~~~~~~』
「………」///
一夏と千冬の声でセシリアも変な察しをして顔を赤くさせた。
『じゃぁ、次は――――』
『一夏……ちょっと待て』
一夏が次に移ろうとした時、千冬はそれを止めさせ、扉の前に立つと一気に扉を開け放った。
「グフッ‼」
「ザクッ‼」
「ドムッ‼」
鈴、箒、セシリアの順に部屋の中になだれ込んだ。
「貴様等………何をしている」
「こ、これは………」
「そろそろ寝ますので………」
「失礼します‼」
鈴達は逃げる様に千冬から遠ざかろうとしたが、そう問屋が卸さなかった。
鈴と箒の着物の襟を掴み、セシリアの裾を踏み三人の動きを止めたのである。
「まぁ、そうは言わずに………中に入れ」
「「「はい」」」
千冬の一言で鈴達は部屋の中へと入る。
「そうだ、一夏。風呂に浸かって来い」
「……そうだな。汗も掻いたし………風呂に行って来る」
「長風呂してきて良いぞ」
「ありがとう‼ 千冬姉‼」
そう言うと一夏は風呂へと向かって行く。
「鈴、楯無と簪を連れて来い」
「わ、解りました…」
千冬の指示で鈴は、楯無達を呼びに向かって行った。
「箒、シャルロットとラウラを呼んで来てくれ」
「あっはい」
箒はラウラ達を呼びに部屋を出た。そして、残されたのは千冬とセシリアだけである。
「……何を緊張している?」
「い、いえ‼ 織斑先生とこうしてお話をする機会が無いので、どう話せばよいのか判らなかったのですわ」
「そうか………そう言えばオルコット。お前はヤマトの事を好きなんだよな?」
「なっ⁉」
千冬言われ、セシリアの顔は真っ赤に変わる。
「そう簡単に顔に出しては、これから生きてはいけないぞ?」
「………」
千冬に言われセシリアは黙る。そして、それと同時に楯無達とラウラ達が合流するのであった。
「さて、それでは女子会を始めるか」
「女子会ですか?」
「ですが………」
「なんだ? 私が女子とでも言えないのか?」
鈴と箒の言葉に気を触ったのか、千冬が二人を睨みつける。そして、冷蔵庫の中に入っている飲み物を徐に取り出すと、全員の前に置いた。
「まぁ、なんだ。飲み物一つ無いでは話も盛り上がらないだろう。好きな物を選んで飲め」
千冬に言われ一部を除き訝しみながら飲み物に手をだした。
「さて、楯無。お前達の娘持連れて来て良いのだぞ?」
「そう言う事でしたら……連れて来ます」
千冬に言われ楯無は明日菜を呼びに部屋に戻った。
「呑んだな?」
「………毒でも入れましたか?」
「バカ者‼ そんな事する必要が無いだろう………これで、私も飲めると言う事だ」
そう言うと千冬は冷蔵庫からビールを取り出し、プルタブを開けると一気に喉をうるわせた。
「今は勤務中じゃ………」
「貴様らの手に持っているのは何だ?」
『あっ‼』
鈴達に配られた飲み物は口封じの為であった。
「失礼します」
「あっ‼ 千冬お姉ちゃん、お酒飲んでる‼ いけないんだー‼」
楯無に手を引かれた明日菜が、ビールを飲んでいた千冬を見て指摘した。
「まぁ、なんだ………私にとってはこれがジュースなんだ。勘弁してくれ」
「明日菜にもジュース、頂戴‼」
「何が飲みたい?」
「オレンジジュース‼」
「そうか」
明日菜に言われ、千冬は冷蔵庫の中からオレンジジュースを取り出すと、明日菜が呑み易い様にコップまで用意し、注ぐと明日菜に手渡した。
「ありがとう‼」
「すみません。織斑先生」
「気にするな……子供は元気が一番なんだ。だが、お前も母親らしくなったのではないのか?」
「そうでしょうか?」
千冬に言われ楯無は顔を傾げる。
その一連を見ていた鈴達は、「誰? この人」と言う表情をしていた。
「さて、これで全員が集まったな………女子会の始まりだ」
千冬の言葉で女子会が執り行われるのであった。
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