インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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今回は連続投稿です‼ やっと休みがもらえたので、執筆が出来ます‼
時間をずらしていますので、お間違いの無く。

では、本編へどうぞ‼


第七十三話

キラとアスランが楯無、簪と遊ぶ明日菜を見ていると、そこに千冬がやって来る。

 

「お前達、ここにいたのか」

 

「織斑先生」

 

「どうかしたのですか?」

 

キラ達は千冬が来る理由が思い浮かばなかった。

 

「いや、なに。家族の団欒ってやつを見てみたかったのだ。だが、元気に遊んでいるな」

 

「そう…ですね………」

 

千冬の言葉にキラは歯切れの悪い返事をする。

 

「何かあったのか?」

 

「………明日菜ちゃんのお母さんの話は知っていますよね?」

 

「ああ、あのショッピングモールでのテロ事件の件の事か………それがどうかしたのか?」

 

「まだ、明日菜ちゃんにはお母さんの事を話していないのです」

 

「だが、明日菜はお前と楯無の事を親と思っているのだろう?」

 

キラの言葉に千冬は今までの明日菜とキラ達の接し方が、本当の親子の様に見えていた。なぜ、キラがそれを気にするのか判らなかった。

 

「もしかしたらの話になるのですが………明日菜ちゃんはお母さんの死を真直で見ていた可能性があります」

 

「………PTSDの可能性と言う事か?」

 

「はい」

 

PTSD…心的外傷後ストレス障害と呼ばれる物で、突然、不幸な出来事によって命を脅かされたり、天災や事故、犯罪、虐待等により、強い精神的衝撃を受ける事により心身に支障をきたし、社会生活にも影響を及ぼす様々なストレス障害を引き起こす精神的な後遺症、疾患のことである。

 

「もしかしたら、明日菜ちゃんはあの事件によって、記憶が改ざんされている可能性があります………それをいつ話してあげるべきなのか、迷っているのです」

 

「……それは、楯無も知っているのか?」

 

「知っています」

 

キラは明日菜がいない所で楯無と話し合っていた。明日菜に本当の事を話すべき時期の事を………

 

「だが、今はそう言う時期では無い事はお前も知っているのだろう?」

 

「ええ、知っているからこそです。もし、僕達が本当の事を明日菜ちゃんに話さないまま大人になって、いつ同じ事が起きた時、彼女は自分を見失わないか不安なんです」

 

「………本当の親の様だな?」

 

「僕は至って一人の人間です。確かにいきなり出来た娘ですが、それでも一人の自分の娘として接しているつもりです」

 

キラの言葉に嘘偽りは無かった。現に楯無とキラと一緒にいるとき、明日菜は笑顔を絶やさなかったのである。

 

「僕らに出来る事は、本当の親が出来なかったことを変わりにしてあげる事です………だからこそ、僕は迷っているのです」

 

キラは顔を俯かせながら千冬に言う。千冬もキラに対してなんて言えば判らなかったので、黙ってしまっていた。だが、その空気を壊す人物がいた。

 

「キラ君、私はあなたと一緒に明日菜ちゃんを育てたいの」

 

楯無である。楯無は明日菜を簪に任せてキラ達の元へ来たのである。因みにアスランは空気を読んで簪達の元へと向かっていた。

 

「私はね、キラ君。一人の女として幸せと感じているのよ? 自分から産んだ子供じゃなくても、託された子供だとしても私達の子供に変わりはないわ。だから、そんなに悩む必要は無いのよ?」

 

「でも……僕は怖いんです。この平和な時間がいつか必ず、崩れてしまうと考えています。以前に、IS学園を襲撃したサラ・コナー、リオ・コナーの二人が女性だけの世界を作り上げようとしている………それに巻き込まれるのではないかと考えると、不安で一杯なのです」

 

幾ら英雄として祭り上げられても、キラは一人の人間である。不安もあれば心配も抱えるのである。

 

「バカね………私が付いてあげるわ。二人で力を合わせれば、どんなことでも乗り越えられる自信はあるわ‼」

 

「楯無さん………」

 

「そうだな、だからこそ、私達、大人がお前達を導いてやらんといけんのだ」

 

「織斑先生」

 

楯無と千冬の言葉にキラの心の迷いは少し晴れたような感じがしたのである。

 

「そう……ですね。いつかその時期が来た時に、僕が不安になっていたら明日菜ちゃんも不安になってしまいますね………ありがとうございます」

 

キラは二人に頭を下げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。旅館の大広間にはIS学園の生徒で埋め尽くされ、夕食を摂っていた。

その一角にはキラと楯無、明日菜の家族もあり、その姿を見た生徒達はキラを狙う事を諦めたのである。アスランもアスランで、簪と一緒に食事を楽しんでいた為、アスランを狙う生徒もいなくなって、簪としてはアスランを独り占めに出来ると喜んでいたらしい。

 

「明日菜ちゃん、美味しい?」

 

「うん‼ 美味しい‼ お魚さんってこんなにも美味しい物なんだね‼」

 

「まぁ、学園には刺身を提供する事はまず無いからね……所で、キラ君? ニンジンを私の器に入れるのを止めてくれないかしら?」

 

「ギクッ⁉ い、いや……あの………僕、ニンジンが苦手なんでs「パパが好き嫌いをしてどうするのかしら?」ハイ、ゴメンナサイ」

 

楯無の黒い笑みに当てられた、キラは苦手であるニンジンを渋々ながらに食べていた。

 

「パパ‼ ニンジンさん、美味しいよ‼」

 

「うん……そうだね」(涙

 

キラは苦手なニンジンを涙を流しながら食べている風景に楯無と明日菜は笑うのであった。


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