インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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とうとう、七十話を突破いたしました。
今年でこの作品も5年と言う月日が経ちます。
ここまで長く待って下さった皆様。心よりお礼と感謝を申し上げます。
今後とも、この作品と武御雷参型をよろしくお願いします。

と言う事で、今回も時間さで連続投稿いたします。

今回の話を読んで、絶対に「コイツ誰だ?」と思われると思いますww


第七十一話

一夏を助けた(?)の後、キラと楯無、明日菜は海と戯れていた。

 

「ママ‼ 冷たい‼」

 

「明日菜ちゃん。気を付けてね」

 

「はーい!」

 

キラは二人が海と戯れているのを見ながら、浜辺で見つめていた。その表情は過去の事を思い出している様子であった。

 

「キラ、ここにいたのか」

 

「あ、アスラン。簪さんは?」

 

「もう少しで来るはずだ……来たぞ」

 

浜辺にいたキラの横にアスランが座ると、薄水色のビキニに身を包む簪が恥ずかしそうに二人の元へと来る。

 

「変……じゃないかな?」

 

「大丈夫だよ」

 

「ああ、やっぱり簪は薄水色が似合うな」

 

「はう」

 

アスランに褒められた簪は顔を真っ赤にさせる。

 

「お姉ちゃんは……明日菜ちゃんと一緒に遊んでるんだね」

 

「うん。簪さんも混じったら?」

 

「でも……」

 

簪は楯無と明日菜が遊んでいる風景を見て、邪魔をするのはいけないと感じてしまう。

 

「大丈夫だよ。楯無さんも一緒に簪さんと遊びたいと思うし、明日菜ちゃんだってそう思ってるよ」

 

「………」

 

キラの言葉に簪は考える素振りを見せたが、楯無がそんな簪を見付け声を掛ける。

 

「簪ちゃーん‼ 一緒に遊びましょ‼」

 

「簪お姉ちゃん‼ 一緒にあそぼ‼」

 

「う、うん‼」

 

二人に誘われて簪も楯無と明日菜に混じって海と戯れ始める。

 

「キラ、俺達はこの世界に飛ばされた時は、どうしようもなく感じていた………」

 

「うん。そうだね。この世界に来た当初は、ラクスやカガリの事を考えてた。それにシンやルナマリア達の事だって………」

 

「俺達があの世界に残してきたものは多い………だけど、この世界に来て護りたい者を見付けた。それは、どの世界に行ったって変わりはしない事なんだと思う」

 

「僕もそう思うよ……もし、ラクスとの間に子供が生まれたら、こんな風にオーブの海で遊んでいたかも知れない……それは、君だって思っている事でしょ?」

 

キラに尋ねられたアスランは、カガリとの間に生まれたかも知れない子供と一緒にオーブの海で遊んでいる風景を思い浮かばせた。

 

「…そうだな。もしかしたら、俺達は然るべき役割があってこの世界に来たのかも知れないな………なぁ、キラ。お前はあの世界に戻りたいと今でも思っているのか?」

 

「………正直、今の所は何とも言えない。でも、これだけは言える。僕がこの世界で護らなくちゃいけないのは、楯無さんと明日菜ちゃんだけ」

 

「それは、俺も同じだ。この世界で簪、ただ一人を護りたいと思っている」

 

「ほう…言う様になったな。二人とも」

 

「ムウさん‼」

 

「フラガ少佐」

 

二人の会話に入って来たのはムウであった。

 

「俺は、この世界に飛ばされてお前達と再会出来た事を心から嬉しく思っている。だけどな、あの世界に戻れると言われたら、俺は戻る気はない」

 

「どう言う意味ですか?」

 

ムウの言葉にキラは尋ねる。戻れるかもしれないときに戻らないと言う選択肢を取る理由を知りたいからである。

 

「俺が護りたいのはマリューだ。だけどな、あの世界に戻ったとしても軍人として戻る事になる。今の俺達はIS学園に雇われた傭兵の様な扱いだ………だけど、軍人と傭兵の違いと言えば、時間があるか無いかの差だ。判るか?」

 

「まぁ」

 

ムウの質問にキラ達は頷く。確かに言われていればその通りである。キラはザフト軍のFAITHの最高司令官である為、ラクスと共にする時間が無かった。だが、今はIS学園の生徒として、そして、IS学園の部隊長として鑑みても、今の生活の方が楯無や明日菜と一緒に過ごす時間がある事は確かな事である。

それは、アスランも言える事である。オーブの参謀長官としている時はカガリとは上司と部下の関係であった。二人の時間が取れるとすれば、自宅に戻った時だけである。

今の生活は、二人にとってはある意味で求めていた世界なのかも知れないのである。

 

「そう言うこった………難しく考えるな。二人とも。先は長いんだ……今この瞬間に躓いていても、何も始まらないぞ?」

 

そう言うとムウはマリューの元へとはいかずに、他のクラスの女子生徒に声を掛けようとした。だが、寸での所でマリューからのライダーキックに、海へと飛ばされるのであった。

 

「なんか、俺達が考えていた事が小さく感じるな……」

 

「うん………ムウさんもさっきまでは良い事言っていたのに、行動の所為でそれが台無しだよ………」

 

二人はマリューとケンカしているムウを見て溜息を吐くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、セシリアはキラの事を探していた。

 

「キラさんはどちらへ行かれたのでしょうか………」

 

セシリアの想い人であるキラの事を探していたのだが、自分の恋が実る事は無いと言う事は薄々、感じ取っていた。それは、楯無と明日菜と一緒にいるキラの表情を見れば一目瞭然の事である。

 

「わたくしの初恋は、実らないのでしょう………でも、後悔をし無い為にもキラさんにこの思いを告げないと思っていても…………」

 

セシリアの両目には涙が堪り始める。それは、初恋が実らないと知ったからでは無い。ただ単純にあの三人の中に自分が入る事は無いと判っているからである。

 

「わたくしは……諦めなくてはいけないのでしょう………」

 

「何を諦めるってんだ?」

 

「え? キャァァァァ‼」

 

「うわっ⁉ いきなり大声を出すなよ………びっくりするじゃねぇか」

 

「あ、貴方は……」

 

セシリアの後ろから声を掛けたのはオルガであった。因みにだが、ドミニオン隊とミネルバ隊は本来であれば、IS学園で防衛を担当する手はずになっていたのだが、束の一言でそれは覆された。

 

「IS学園の事はこの天才の束様にお任せあれ‼ 何があってもIS学園には手を出させないよ‼」

 

この言葉に千冬は心配をするのだがミネルバの艦長であるタリアと副長であるギルバートが監視をすると言う申し出があった為、二人に束の事をお願いしていたのである。

それにより、ミネルバ隊のIS組とドミニオン隊のIS組がこの臨海学校に来ていたのである。もう一つ付け加えるなら、ドミニオンの艦長であるアズラエルと副長のジブリールもIS学園でお留守番をしているのである。

これにより、束が開発した無人機による防衛戦と戦艦二隻による防衛戦が構築され、難攻不落の要塞と化したIS学園であった。


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