インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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今回は二話連続です‼


第六十二話

学園から出撃した千冬達は、海上に浮かぶアークエンジェルに向かっていた。

 

「織斑先生、指定された場所は何処なんですか?」

 

「間も無く見えて来る………見えたぞ‼」

 

千冬が指さしたところには海上に浮かぶ白亜の戦艦であった。

 

「どこの国に属している艦なのよ‼ と言うか、見た事も無い艦だわ」

 

「え、ええ………何でしょうか……あの艦には何かを成し遂げたようなオーラを纏っていますわね……」

 

「でけぇ~」

 

鈴とセシリアは初めて見る宇宙戦艦に畏怖を抱いていた。だが、一夏はと言うとアークエンジェルの大きさに驚いていただけであった。

 

「あれが………」

 

「キラ君とアスラン君が乗っていた艦ですか………」

 

「「「えっ?」」」

 

楯無と真耶の言葉に一夏達は驚く。

 

「待って下さい‼ キラ達が乗っていたと言うのはどう言う事ですか?」

 

「………そろそろ、ハッチが開くぞ」

 

一夏の言葉に千冬は無視をして口を開くと、アークエンジェルの船首に二つあるうちの一つがせり上がり、千冬達を受け入れる体制を整えていた。

 

「各自、格納庫に入った後、専用機を量子変換しろ。相手は並の軍人では無い。ここは大人しく私の言う事を聞け。良いな?」

 

千冬の言葉に一夏、鈴、セシリアは戸惑いながらも返事し、シャルロット、楯無、簪、ラウラは迷う事無く返事をするのであった。

そして、千冬達がハッチの中に入ると、そこには一夏達が知らない機体がずらりと並ばれていた。

 

「すげぇ」

 

「こんな機体見た事無いわ………」

 

「これだけの数があれば、優に一国は落とせそうですわ」

 

一夏、鈴、セシリアはそうコメントをするのだが、セシリアの言う通り、アークエンジェルの戦力だけで大国は落とせるだけの戦力を保有していた。但し、この世界限定となってしまうが………

 

「お待ちしていました。織斑先生」

 

「ラミアス先生………いや、ここはマリュー大佐と言った方が宜しいですか?」

 

千冬の言葉に一夏、鈴、セシリアは驚くが、一方の楯無達は驚く事は無かった。

 

「止めて下さい。今の私は国際IS学園所属部隊アークエンジェルの専属艦であるアークエンジェルの艦長です。階級で呼ばれる事に慣れていないのです」

 

「そうですか…失礼しました。では、マリュー艦長と」

 

「普通に名前を呼んでもらって構いません」

 

マリューは苦笑いをしながらそう言うと、千冬もつられて苦笑いをして承諾した。

 

「判りました。それで、ヤマト達ですが……」

 

「先ほど、キラ君達から連絡が来ました。もう間も無く、到着するとの事ですが………来たようですね」

 

マリューがそう言うと、ハッチが開いたままの格納庫にキラ達が駆るストライク・フリーダムとインフィニット・ジャスティスが入ってくる。しかし、ストライク・フリーダムの手には優しく包み込まれた少女の姿があった。

 

「マリューさん。戻りました。ストレッチャーを‼」

 

「判ったわ。救護班、用意して‼」

 

キラの言葉に切迫性があり、直ぐにマリューは救護班に指示を出してストレッチャーに少女を横たわらせた。そして、そのまま救護室へと運ばれるのであった。

それを見送ったキラ達は機体を量子変換し、敬礼をしながらマリューに報告を行う。

 

「キラ・ヤマト、アスラン・ザラ。只今戻りました。状況を報告します。デストロイの破壊に成功。パイロットであった少女を助け出しました。報告書は後に提出します」

 

「判りました。ご苦労様。休んで頂戴と言いたい所だけど………」

 

「判っています。織斑先生から話は聞いていましたので……」

 

「それなら、話は早い。すぐにブリーフィングルームに来てくれ。報告をする」

 

アスランの言葉にムウが全員をブリーフィングルームへ来るように伝えると、そのまま先にブリーフィングルームへと向かって行った。

そして、全員はその足でアークエンジェルのブリーフィングルームへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークエンジェルのブリーフィングルームには、椅子が並べられており司会席にはマリューとムウが立つ。他の者は椅子に座るのであった。

 

「では、状況を報告するわね。元IS委員会の空母群がアークエンジェルと同等の熱源を発見したとの事よ。それから考えられるのは………」

 

「ドミニオンではないかと思っている」

 

「「なっ⁉」」

 

「「「「「「「?」」」」」」」

 

マリューとムウの言葉にキラ達は驚き、他の面々は判らず顔を傾けていた。そして、千冬が手を上げた。

 

「なんですか? 織斑先生」

 

「ドミニオンとは何ですか?」

 

千冬の質問にマリュー達はしまったと言う表情を浮かべる。

 

「そこから説明しなくてはいけなかったわ。ドミニオンとはアークエンジェル級二番艦として建造された艦です」

 

「この艦以外にも同じ艦が存在するのですか⁉」

 

「いえ、“この世界”には本来は存在する事の無い艦よ」

 

「この世界? どう言う事でしょうか?」

 

鈴の言葉にマリューが答えると、セシリアが追加で質問してくる。

 

「私達………いえ、キラ君達も含め我々はこの世界の住人では無いわ」

 

「俺達はある戦争が切っ掛けでこの世界に飛ばされた」

 

「僕とアスランが先にこの世界に飛ばされ、続く形でアークエンジェルもこの世界にやって来たと言う事だよ」

 

マリューとアスラン、キラの説明だけでは一夏達は納得しなかった。

 

「なら、一つだけ君たちに言おう。僕達の機体はこの世界のISのどの世代にも属さない機体だ」

 

「ビーム兵器を搭載し、尚且つ、動力源は核だ」

 

「そんな機体をどこの国が作ってる?」

 

キラとアスランの言葉に誰も言葉を発しなかった。

 

「そう言う事だよ。一夏、特に君には言えなかった」

 

「な、なんでだよ‼」

 

キラの言葉に一夏が噛み付く。だが、他の面々は頷いていた。

 

「君は何でもかんでも首を突っ込む傾向がある。それに………」

 

「お前の護りたいと言う言葉は……本心からなのか?」

 

「え?」

 

一夏はアスランの言葉の意味を理解できなかった。

 

「お前の護りたい存在と言うのは何だ? 織斑先生か? 篠ノ之か? 鳳か? オルコットか? それとも、世界中のすべてとか言わないだろうな?」

 

「………」

 

アスランの言っている事の意味を理解した一夏であったが、何も返す言葉は無かった。

 

「所詮、お前の思っている護りたいと言う言葉には、重みが無いんだ」

 

「重み………」

 

「俺達には護りたい存在がいる。キラは楯無さんと明日菜ちゃん。俺には簪。そして、マリューさんはムウさん。逆も然りでムウさんはマリューさんを護りたいと思っている。楯無さんや簪もそう思っているのだろう?」

 

アスランの言葉に楯無、簪は強く頷く。

 

「まぁ、今はそんな事をしている余裕は無い。お前には宿題だ。お前が本当に護りたい奴を探せ。そして、答えを見つけ出したら、それを突き通せ。良いな?」

 

「………ああ」

 

一夏は元気なく頷くのであった。


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