インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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後一話で六十話になりますね。もうここまで書いてしまったのかと思うと、頑張ったなと思いますよ………多分。

では、本編へ行きます‼


第五十九話

その頃、IS学園では既に専用機持ちのほとんどが満身創痍に陥っていた。

一夏達の機体は軍用として開発された機体では無く、スポーツ専用に開発された機体であった為、ダガータイプの軍用機には歯が立たなかったのである。

 

「一夏君、一回離れて‼ セシリアちゃん、後退‼ 鈴ちゃんはセシリアちゃんの後退を手伝ってあげて‼ ダリル、フォルテは一夏君を下がらせて‼」

 

「なっ⁉ 楯無、おめぇはどうするんだ‼」

 

「私は殿として残るわ「そんな事させると思うの?」…簪ちゃん……」

 

「私も一緒に殿する」

 

楯無の言葉に簪も一緒に残ると言いだしたのである。

 

「………判ったわ。ダリル、急いで‼」

 

「死ぬんじゃねぇ―ぞ‼」

 

ダリルは楯無と簪にそう声を掛けると、一夏を抱えて後方へと下がって行った。

 

「ふふふ」

 

「どうしたの、お姉ちゃん?」

 

楯無は絶望的な展開でありながら、笑いを堪えている様子であった。簪はそんな姉に訝しみながら尋ねると、楯無は笑顔のまま答えた。

 

「なんだかね、絶望的なのに、そんな風には思えないのよ」

 

「それ、何と無くだけど判る」

 

二人はそう言うと小さく笑い始める。

一頻り、笑うと二人の表情は真剣そのものへと変わった。

 

「さぁ、行くわよ。簪ちゃん‼」

 

「うん、お姉ちゃん‼」

 

二人はそれぞれに武器を構え、ダガータイプを睨みつける。

 

「「私達を倒してから、この先へ進め‼」」

 

二人はそう言ってダガータイプが群れている方へと突っ込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、既にキラ達は学園近くまで来ており、ダガータイプを目視確認できるほどまでの距離まで近づいていたのである。

 

「キラ‼」

 

「判ってる……二人とも一夏達の所に向かって‼」

 

「キラ⁉」

 

「……判った」

 

キラの指示にシャルロットは異議を唱えようとしたが、ラウラが承諾の答えをしてしまい、シャルロットは驚いてラウラを見た。

 

「今はキラ達に任せるべきだ。私達には私達にしか出来ない事をするだけだ」

 

「………判ったよ………気を付けてね、二人とも」

 

「「ああ‼」」

 

シャルロットの言葉にキラとアスランは答えると、速度を上げるのであった。

 

「シャルロット、お前はオルコット達の方へ行け。私は先輩の方へ向かう」

 

「……判った。ラウラも気を付けてね? 初めての機体なんだから………」

 

「判っている。だがな、こいつは私に合わせられた様な機体なんだ………使い勝手ぐらい知っていて当然だ‼」

 

ラウラの言葉にシャルロットは微笑み、一つ頷くとセシリアと鈴の方へと向かって行った。

 

「さて、私も行くとしようか」

 

ラウラはそう言うと、一夏を抱えて飛んでいるダリルの方へと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楯無と簪はランスや荷電粒子砲を使ってダガータイプにダメージを与えて行くのだが、微々たるもので撃墜機は出ていなかった。

 

「そろそろ、やばいかも………簪ちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫……じゃない………でも、負けられない‼」

 

「その意気よ‼(でも、このままじゃジリ貧だわ……なにか打開策は無いかしら………)」

 

楯無はこのままでは自分達が撃墜されてしまう事が目に見えていた。だが、それを打開する方法を模索するも、良い案が出ず、八方塞であった。

その時であった。二人の想い人から通信が入って来たのは―――――

 

『こちら、秘匿武装部隊“アークエンジェル”隊隊長のキラ・ヤマト。二人とも、聞こえてる?』

 

「聞こえてるわ………遅いわよ?」

 

『すみません………三秒後、合図をしたらその場から離れて下さい。一気に殲滅します』

 

「判ったわ。聞こえたわね? 簪ちゃん‼」

 

「うん‼」

 

二人はキラの出される合図を待った。そして、キッカリ三秒後、キラから合図が出た為、二人はその場から離れた。その瞬間、二人が居た場所に四つのビームが迸り、ダガータイプを半分ほどが殲滅されたのである。

 

「凄い………」

 

「これが戦士の力………」

 

楯無と簪は、キラ達の力に驚いていた。これ程までの力を持っていながらも、驕らず護る為だけの力と専念させていた事に驚いていたのであった。

だが、それもその時だけであった。

ダガータイプの動きが一瞬、止まると方向転換させて母艦が居る方向へと戻って行った。

 

「なに? 何が起きたの?」

 

「判らない………アスラン。どう言う事なの?」

 

『アークエンジェルが勝ったと言う事だろう………だが、なんだ。この違和感は………』

 

『アスランも感じてる? 僕もなにか違和感を覚えてるんだ………まさか‼』

 

キラはそう言うと広域スキャンをIS学園周辺へ行った。すると、IS学園の領海外に一隻の潜水艦が居る事に気付いたのである。

 

『潜水艦だ‼ 数は1……いや、大きい何かが潜水艦から出た………ライブラリー照合………アスラン、まずいよ‼』

 

『キラ、行くぞ‼』

 

『うん‼』

 

キラ達は何かを察したのか、楯無達を置いてその場から立ち去って行った。

 

「ちょ⁉ どう言う事よ………」

 

『……ち……織…千冬だ‼ 二人とも聞こえるか?』

 

「「聞こえてます‼」」

 

千冬からの通信に二人は驚きながらも出ると、千冬からの報告に戦慄した。

 

『落ち着いて聞いてほしい。間も無く、大型の未確認物体がこちらに攻撃してくる事が判明した。二人はそのまま学園へ戻って来てほしい』

 

「ですが、キラ君達はどうなるんですか‼」

 

『………これは、ヤマトから言われた事なんだ………頼む。戻って来てくれ。以上だ』

 

千冬はそう言うと、通信を一方的に切ってしまう。

 

「お姉ちゃん………」

 

「戻るわよ。簪ちゃん」

 

「…………うん」

 

楯無に言われ、簪は渋々と学園の方へと戻って行くのであった。




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