インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
プロローグ
一つの扉がスライドして開けられ、キラは内部に入るとそこにはプラント最高評議会議長でありザフト軍の全権を持った男ギルバート・デュランダルが待っていた。
「やぁ、君がキラ・ヤマト君だね。まさか、君が此処まで来るとは思ってもみなかったよ」
しかし、キラはそのギルバートの言葉に反応せずオーブで採用されている銃を構える。
「なるほど、だが、それでいいのかな? 君も、
その言葉の後、ギルバートも銃を構える。
「辞めた方がいいと思うがな。そうでなければ、逆戻りになってしまうぞ?」
ギルバートはキラに諭すように言う。
「そうなのかも知れません。でも、僕達にはまだ[明日]と言う希望が残されている。だから、明日が欲しいんだ‼ どんなに苦しくても、変わらない世界は嫌だっ‼」
キラはそう言うと銃に籠める手の力を強める
「傲慢だね。さすが、最高のコーディネイターだ」
「傲慢なのは貴方だ! 僕は只の人間だ。ラクスも」
ギルバートの言葉を真っ向から跳ね返していくキラ。ギルバートもキラの目を見ながらも視線は少し後ろに行っていた。キラは振り返って確認をしたかったが、ギルバートに撃たれる可能性があると考え、視線をギルバートへと集中させる。
「だが、君が示す世界と私が示す世界。世界中の人々がどちらを選ぶかは明瞭なはずだが? それでも君は私を打つというのかね?」
「……………覚悟はある」
ギルバートの言葉にキラは確信を持った声で答える。
「だから、僕達は何時までも戦わなくてはいけないんだ。自分自身と」
そして、キラとギルバートの持つ銃の引き金に力を籠めて行く。そして………………
ダァァァン‼
一発の銃声がした。倒れたのは、キラではなく、ギルバートの方であった。しかし、キラの銃からは硝煙が上がっていなかった。そこで、漸くキラは後ろを振り返ると、そこには壁に背を持たれて崩れ落ちている少年の姿があった。その横にはアスランと女性の姿もあった。
「ギルっ⁉」
女性はギルバートの下に走っていく。
「やぁ、君が撃ったのかい? タリア」
「いいえ、撃ったのはレイよ」
タリアの言葉にギルバートはレイと呼ばれた少年の方を向く。
「ごめん…………なさい……ギル。でも………彼の………明日がっ‼」
「………そうか……」
レイの言葉に、彼が自分が描く世界よりも、キラの描く世界を選んだ事を知り、諦めたのか目を瞑ってしまう。
「グラディス艦長………」
アスランとキラはタリアの元に行こうとした。だが、タリアはキラとアスランに銃を構えた。
「あなた達は行きなさい。この人たちの魂は私が連れて行くから。それと、ラミアス艦長に伝えて。子供がいるの、男の子よ。いつかあって頂戴って」
「判りました。行くぞ、キラ」
「う、うん」
アスランはそう言うとメサイヤから脱出する為に自身の愛機に戻って行った。
「こちらに着なさい、レイ」
レイはタリアに呼ばれたのでそちらに行く事にした。
「よく頑張ったわね。これからは、一緒よ」
タリアは生き別れた子供のようにレイに言う。レイはその言葉一つで救われたようになった。そして、背後にはラウが祝福しているような笑みを浮かばせながらこちらを見ていた。
「お……母さん」
その瞬間、メサイヤは爆発して崩壊が始まった。
一方、キラ達も愛機に乗り込み、何時でも出れるようになっていたが突如、機体が動かなくなった。
「キラ‼ ジャスティスが動かない⁉」
『アスランもっ⁉ フリーダムも動かなくなった‼ でも早く脱出しないと僕達も一緒に巻き込まれる。アスラン‼ なんとか早く脱出しよう‼』
「ああ‼」
しかし、アスランとキラ達二人はなんとか機体を動かそうとするが、愛機は全く反応を見せないまま、崩壊するメサイヤに取り残され、メサイヤは崩壊していった。
そして、メサイヤの崩壊と共にアスラン、キラの両名がMIA判定を受ける。
オーブ、ザフトの両軍は大規模な捜索で、二人を探したが、見つかる事は無かった。
誤字脱字、感想、指摘がありましたら教えて下さい‼
三点リーダーを変更しました。書き足しも行いました。
R4,8,11 修正を行いました。