インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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気付けば五十話まで来たんですね………時間の流れって早い物ですね………
さて、今回はあの人達が登場します。まあ、名前を言っている時点で判るんですけどね……
では、本編をお楽しみに‼


第五十話

とある島に四人の男女が住んでいた。

 

「ところでさ、ギル君。君たちの本当の正体を教えてくれないかな?」

 

「何を言っているのかさっぱりだね。篠ノ之束博士」

 

束に呼ばれたギルと言う男は、嘗てキラとアスランと最後に対峙したギルバート・デュランダルであった。

 

「君たちの持っている技術はこの天災の私を超えてるよ………でもね……君たちが持っている技術をそう簡単に私に渡しちゃっても良いの?」

 

「君に渡した技術は、氷山の一角に過ぎない物だ。それに……私はこの世界に来て間もないが、この世は腐っている。いや、私が提唱したデスティニープランが実行された時、もしかしたらこういう事が起きてしまっていたのではないかと考えてみると、怖い物だな」

 

ギルバートが言う様に、C.Eの世界でキラ達がギルバートを止める事が出来なかったとき、もしかしたら不要な争いが避けられたかもしれないが、必然として人間の劣等感が拭い去れる事は無いのである。

では、どうなっていたかと言うとキラ達が今いる世界の様になっていた可能性があったと言う事である。

 

「私はこの世の流れを元の流れに戻したいと思っている。否、しなければならないのだ。君が愛したISを不要な争いに使うのは間違っているとな………」

 

「ギル君………」

 

「だから、私は君に我々が持つ技術を与えたのだ。だが、これだけは約束してほしい。不要な争いの為に技術を悪用しないと」

 

「………君の気持ちが強く分かったよ。判った。私はISもそうだけど、今の世の中の流れを戻そう‼」

 

「ああ、期待している」

 

束の言葉にギルバートは強く頷くのであった。

 

「ところでさ、ギル君とターちゃん、レー君はどう言う関係なの?」

 

「私とタリアは昔、愛し合っていた仲だ。レイに関しては…………そうだな。息子と言うべきなのだろう」

 

ギルバートは未だにタリアの事を諦めきれずにいた。だが、メサイア内部で愛する者達と一緒に死ねた事に喜びを持っていた。だが、死んだと思った矢先、いつの間にか一隻の戦艦とレイの専用機と共にこの世界に来てしまった。

では、どう言う事なのか。それは、タリアともう一度やり直す気持ちであり、レイを息子として迎えるつもりであったと言う事である。

 

「じゃぁ、そろそろ動き出さないといけないね」

 

「そうだな」

 

二人は眼下にある格納庫に係留されている一隻の戦艦を見つめた。

 

「惑星強襲揚陸艦ミネルバ級一番艦ミネルバ」

 

ギルバートと束、キラ達とあった時、世界は変貌する事をこの時、誰も想像をしていなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、千冬とラウラは対峙して生徒指導室内にいた。

 

「ボーデヴィッヒ。落ち着いて聞け」

 

「はい」

 

ラウラは昨日に起こした事件の事で千冬に怒られると感じていたが、そうでは無かった。千冬から説明を聞いたラウラは地下へ落ちて行く感覚を始めて感じた。

 

「ドイツ政府は昨日の事件で貴様を軍属から除隊され代表候補生からも除外された。それにより貴様の専用機はドイツへ返される事になった」

 

「えっ?」

 

ラウラはこれからどうすればいいのか判らなくなった。軍属でもなければ代表候補生としても無くなってしまえば自分はどうすればいいのか判らなくなってしまった。

 

「そこでだ」

 

千冬はラウラに一つの提案を出した。

 

「このIS学園には秘匿武装隊がある事を知っているな?」

 

「はい……昨日の戦闘にも介入した二人の事ですよね………」

 

ラウラの言葉に千冬は頷いた。

 

「そうだ、そこで貴様にはその部隊へ入ってもらおうと思っている」

 

「どうしてですか? 今更、軍人としてでも代表候補生でもない私には入っても無駄では無いのですか?」

 

ラウラはVTシステムに身を委ねてしまった事により、専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンを取られ、今更秘匿部隊へ配属されても自分は昔の落ちこぼれに戻ってしまうと思っていたのである。

 

「いや、専用機は剥奪されてしまったが貴様の力は剥奪されてしまった訳では無いのだろう? だったら秘匿部隊でも訓練機を使って力を発揮すればいい」

 

「………」

 

千冬の説得にもラウラは何も答えられなかった。

 

「今すぐにでもと言う訳では無い。考えてから結果を伝えろ。それだけだ」

 

そう言うと席を立ち生徒指導室から出ようとした。しかし、出る一歩手前で千冬は足を止めた。

 

「そう言えば、忘れていたな。ラウラ。お前は護りたい者はあるのか?」

 

「………無いです」

 

「そうか………なら、大きい物になるがこの学園を護ってみてはどうだ? それでもお前は何も出来ない落ちこぼれと思っているのであれば、私は止めるつもりは無い。だが、これだけは忘れるな。お前の力を待っている者達が居ると言う事をな」

 

そう言うと千冬は生徒指導室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。キラ達は千冬に呼ばれて生徒指導室へ来ていた。

 

「キラ・ヤマトです。アスラン・ザラ、シャルロット・デュノアの二名をお連れしました」

 

『入れ』

 

「はい、失礼します」

 

部屋の中で待っていたのは理事長と千冬の二人であった。

 

「忙しい時に呼んでしまって悪いな」

 

「いえ、緊急の用であると聞いたので来ましたが………何かあったのですか?」

 

キラは理事長と千冬に尋ねると二人は顔を見合わせ、口を開いた。

 

「すまない。私の独断で秘匿部隊に一人、入れたい奴がいるのだ」

 

「………ボーデヴィッヒの事ですか?」

 

「……そうだ」

 

アスランの言葉に千冬は頷いた。

 

「しかし、彼女はドイツの代表候補生では? 秘匿部隊に配属されるには代表候補生は入れない筈では………まさか‼」

 

「ああ、アイツは昨日の事件によりドイツから切り離された。それにラウラは身寄りがいない。このままでは昔の自分に戻ってしまうと思っているんだ………私自身、あいつをどうにかしてやりたいと思っていたのだが、力が無い所為でどうしようも無いのだ。無茶な願いだと言う事は判っているが、どうかあいつを助けてくれないだろうか?」

 

「「「…………」」」

 

三人は千冬が頭を下げる程、ラウラの事を思っているのが判ったが決定権は理事長である。だが、どうして自分達にお願いするのか判らなかったが、理事長の言葉で理解する事が出来たのである。

 

「本来は私に決定権があるのですが、今回は君たちの意見を聞きたくて呼びました。ラミアス先生やフラガ先生もこの事は知っています。最終判断は君たちに委ねると言っていましたので、私もそれに従うつもりです」

 

「………キラ。お前が決めろ」

 

「………三日ほど時間を下さい。彼女と話してそれから判断しようと思っています」

 

「判りました。良いですね、織斑先生?」

 

「……はい」

 

ラウラの配属に関してはキラと話した時に決めると言う方向で決まったのであった。




ラウラはドイツの代表候補生としての地位を剥奪され専用機までもを剥奪されてしまった。
千冬の計らいによりIS学園の秘匿部隊に配属の話を持ちかけたが、ラウラは余り聞いていない様子であった。
だが、キラと話す事により…………

次回、第五十一話。
ラウラの決意

迷いを捨てさせよ、ストライク‼


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