インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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なんとか週一更新を続けてるけど、大丈夫かな?


第十五話

セシリアがアリーナに出ると、そこには既に出ていた一夏が白式を纏って待っていた。

 

「遅かったじゃないか?」

 

「五月蝿いですわね。わたくしにも用意と言う物があるのですわ。それに、あなたみたいな弩素人に負ける筈はないですわ‼」

 

一夏の冷やかしにセシリアは少し怒りながら返す。

 

「まぁ、俺にもキラみたいな戦闘技術は無いけど、それでも負けない様にはするぜ」

 

「そうですか………では、ここでお終いですわ‼」

 

セシリアの言葉が終わると同時に試合開始の合図が鳴る。

 

「お行きなさい、ブルーティアーズ‼」

 

「いきなりビット攻撃かよ⁉」

 

一夏はブルーティアーズによる攻撃を躱していくが、それでも被弾はしていた。

 

「くそっ、これじゃ負ける……武器は……はぁ⁉」

 

一夏はインストールされている武器を展開しようとすると、リストには『雪片弐型』のみしか書かれていなかった。

 

「武器はこれだけかよ~でも、武器が無いよりかはマシか………行くぞ‼」

 

一夏は、雪片弐型を展開してセシリアに向かって行く。

 

「あなたも近距離でわたくしに対峙するのですわね……良いでしょう‼ 近距離ではわたくしには勝てない事を教えましょう‼」

 

「さっきの試合でキラに倒された奴の言葉じゃないな」

 

「五月蝿いですわ‼」

 

「うわっ‼‼」

 

一夏の言葉にキレたセシリアは、攻撃の手を強めた。その結果、一夏の被弾率は増える一方であった。

 

「これで最後ですわ‼」

 

セシリアは一気に加速してミサイルを一夏に向けて放った。一夏はそれを避ける暇もなく、当たってしまうのであった。

 

『試合終了。勝者、セシリア・オルコット‼』

 

セシリアの勝ちで、試合が終了したのであった。しかし、その瞬間アリーナの上空が爆発で包まれた。

 

「な、なんですの⁉」

 

セシリアはそこから侵入してくる機体を見つけるのであった。

 

 

 

 

その時、ピットではキラとアスランが侵入してくる敵を見て、驚きを隠せなかった。キラ達は千冬の傍に行くと、耳元で言う。

 

「織斑先生‼ ここは僕達に任せてください‼」

 

キラは冷静に千冬に進言した。

 

「よかろう。だが、展開は外でするように。また、誰にもバレるなよ?」

 

キラとアスランは静かに頷くと外へと繋がる通路に行く。その際に箒がキラ達を見たが、それよりも一夏の事が心配なのでキラ達は無視した。そして、キラ達は外に出ると首元に掛けてあるネックレスを取り出すと、自分達の本来の機体の名前を叫んだ。

 

「ストライク・フリーダム‼」

 

「インフィニット・ジャスティス‼」

 

キラとアスランが叫ぶと、機体が装着される。

 

「キラ、行くぞ‼」

 

「うん、アスラン‼」

 

キラ達は本来の機体を装着すると、そこから機体を急上昇させ、アリーナに入って行く。

 

 

 

 

アリーナでは、セシリアと一夏が奮闘をしていた。しかし、既にエネルギー切れを起こしている一夏を守りながらでの戦闘は経験していない、セシリアにとっては苦痛でしかなかった。

 

「織斑さん‼ 早くピットにお戻りください‼」

 

「そう言ったって、オルコットを置いて行ける程、俺も男を捨ててねぇよ‼」

 

「ですが……あなたでは足手纏いですわ‼」

 

「うぐっ………判った」

 

セシリアの言葉に一夏は遂に折れ、大人しくピットに戻ろうとしていた。しかし、それを問屋は降ろさなかった。ダガーLが一夏に接近したかと思いきや、背中から一振りの大剣を一夏に振りかぶった。

それを一夏とセシリアはスローモーションに見えた。しかし、ダガーLの手が上空から来た攻撃により撃ち抜かれ、爆散した。

 

「あれは……」

 

「天使……騎士……蒼き天使と紅き騎士……」

 

アリーナの上空から来たのは、キラが駆るストライク・フリーダムとアスランのインフィニットジャスティスであった。

 

「あなた方は誰ですか⁉」

 

「「………」」

 

セシリアの質問にキラ達は答えない。それは当然の事である。この機体は、秘匿されている機体だからである。また、先のデパート襲撃事件での目撃情報等から、キラ達が答えてしまうと判明してしまう可能性があるからである。

キラとアスランは一度、顔を見合わせ頷くと二手に分かれる。アスランは、一夏に向かっていたダガーL部隊をビームライフルやビームサーベルを使い、ダガーLを破壊していく。

一方の、キラはと言うと、殲滅に入ろうとしていた。ハイパーウィング兵装『スーパードラグーン』を全機パージすると、オールレンジ攻撃でダガーLの頭部、腕部、脚部、武装を撃ち抜いて行く。そして、トラップも交えた攻撃を行い、ダガーLを一纏めにすると、ドラグーンを自分の周りに配置する。配置した瞬間、キラの最も得意な攻撃を行う。

 

「ハイマット・フル・バースト‼」

 

ドラグーン、ビームライフル、ビーム砲、レールガンの合計十三もの攻撃がダガーLのコックピット部分以外を破壊する。

キラとアスランは最後まで見送らず、攻撃を終了した時点でアリーナを出るのであった。

 

「あのISは何だったんだ?」

 

一夏とセシリアはキラ達がアリーナから出るまで見送っていた。

 

「あの機体は何なんでしょう?」

 

「さぁな。だが、俺達はあの二機に助けられたと言う事だな」

 

一夏は静かに手に力を入れていた。それに気付く者はいなかったのであった。

 

 

 

 

アリーナを出たキラとアスランは、慎重に周囲を確認して機体を着陸させ、解除した。

 

「ふぅ、でもどうしてダガーLがこの世界にあるんだろう?」

 

「さぁな。だが、俺達だけがこの世界に来た訳ではないと言う事が判ったぞ。それに、あのダガーLの配色は……」

 

「そうだね……ロゴスの可能性も否定できないね」

 

「ああ、キラ」

 

「判ってるよ」

 

アスランとキラは頷くと、振り向いた。そこには楯無と簪の更識姉妹がキラ達を見つめていた。

 

「どうかしましたか、楯無さん?」

 

「どうかしたのか、簪?」

 

「「お帰りなさいっ‼」」

 

「「ッ⁉ ただいま」」

 

楯無と簪の声にキラ達は驚くが、ちゃんと返事をする。すると、楯無の足元から明日菜が顔を出してキラを見つめていた。

 

「パパ……お帰りなさい」

 

「明日菜ちゃん。ただいま」

 

キラは明日菜に笑顔で返事をする。すると、明日菜は堪え切れずに、キラに抱き、泣き始める。

 

「えっ⁉ どうしたの明日菜ちゃん‼ どこか怪我でもしたの⁉」

 

キラにはなぜ明日菜が泣いているのかが判らず、アタフタしてしまう。だが、明日菜は顔を横に振ると、キラの顔を見つめる。

 

「また、私の大切な人がいなくなるんじゃないかと思ったの……パパはどこに行かない?」

 

「ッ⁉ パパはどこにもいかないよ。明日菜ちゃんを一人にはしないよ」

 

「うんッ‼」

 

キラの言葉に安心した明日菜は元気いっぱいに頷くのだった。

 

「あら、私を置いて行かないでくれないかしら?」

 

楯無も、キラ達の中に入って行く。

 

「ザラ君……大丈夫?」

 

「大丈夫だ。だが、なぜ簪が此処にいるんだ?」

 

簪は、アスランの体を見るが、どこにも傷が無いが、一応として尋ねる。だが、アスランとしてはどうして簪が此処にいるのかが判らなかった。

 

「お姉ちゃんと明日菜ちゃんに呼ばれたから」

 

「そうか……」

 

此処で簪とアスランは会話を止めてしまう。キラ達はそれを見ると、微笑みながら離れていくのであった。

 

「ああ、簪。帰らないか?」

 

「っ‼ う、うん。そ、そうだね」

 

アスランの提案で簪とアスランは並んで帰って行くのであった。

 

 

 

国際IS学園の地下には秘匿されている箇所が幾つか存在する。

一つは、キラ達が使用していたアリーナである。二つ目は、格納庫。これは地上にあるものと殆ど一緒なのだが、地上のは応急処置道具やエネルギー補充装置などしか置いていない。だが、地下にある格納庫では機体の整備は勿論、改造等も出来る様になってる。

三つ目は、司令塔である。この司令塔の役割は、国際IS学園が脅威に陥れられた際に使用が許可されている場所である。また、ここには敵のISを調べる装置も配備されているのである。

そして、千冬と真耶はその司令塔に来ていた。

千冬達の前には厚いガラスがあり、先にはダガーLが何機か横たわっていた。どのダガーLを見ても本体は無事だが、四肢が捥がれていたり、武装が無くなっていたりとしている物ばかりであった。

これは、キラ達が破壊したダガーLを解析する為に、ここに持ってきたのだ。

 

「どうだ、真耶。何か判ったか?」

 

「はい、これを見てください」

 

麻耶はそういうと千冬に一つのデータを見せる。

 

「これは…………なにッ⁉」

 

千冬が見たデータはダガーLの内部の構造であったが、どこにも人間が入れる様にはなっていなかったのだ。

千冬はすぐに決断をした。

 

「ヤマトとザラを此処に呼べ」

 

「了解」

 

真耶はそう言うとキラ達を呼びに行くのであった。




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