インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
申し訳ありません。
話が飛んでしまっている場面がありますが、そこは原作と同じと考えてください。
漆黒の闇に一隻の白亜の戦艦が航行をしていた。
「艦長。間も無くキラ達が通信が途絶した宙域に着きます」
「そう。なら各MS部隊は出撃を開始して、キラ君達の捜索を始めてちょうだい」
「判りました」
白亜の戦艦の艦橋では、女性が指示を出していた。白亜の戦艦。オーブ宇宙軍第一艦隊旗艦『アークエンジェル』は、キラ達がMIAになった宙域に再度来ていたのだ。
一度、ザフト、オーブ両国が大規模な捜索を行ったが、なんの手掛りが無く、一度は中止された事もあったが、アークエンジェルだけは諦めなかった。
そこで、オーブ軍は、アークエンジェルのみを捜索に出させる事にした。これにはザフトも賛成し、元エターナル所属であった三機のMSをアークエンジェルに乗艦させた。
三機はザフトで量産される事は無くなった機体で、ラクスが運営するファクトリーで開発された機体である。ザフトによるオーブが攻撃を受けた際に、馳せ参じた機体でもある。
『ZGMF-XX09T ドム』
この機体は、三位一体で攻撃を仕掛ける事が得意とする機体である。単独での攻撃も強いが、連携攻撃であれば尚強しの機体だ。
ドムは、ザフトでは既に量産される事は無かった。なぜならば、維持コストが高いからでもあるが、現状では戦争も無いので、製造をしていないのだ。
オーブ軍からも与えられた機体がアークエンジェルに乗艦していた。
キラが乗機していたストライクとオーブ軍が量産していたアストレイを融合させた機体
『MBF-M1S ストライク・アストレイ』
この機体はストライカーパックが装備可能であり、旧式のアストレイの装備であったシュライクも取り付ける事も可能とした。そして、最大の特徴として、バッテリー型ではあるが、パワーエクステンダーを搭載している事によりPS装甲を付けられているのだ。
ストライク・アストレイとドムは、宙域の捜索を開始した。しかし、それでも何も成果が無かったのだ。
そこで、アークエンジェルの艦長であるマリュー・ラミアスは決断をした。
「この宙域での捜索を終了し、アマノミハシラに帰投します」
「了k…艦長、未確認の重力反応‼ これは……」
マリューの指示でアークエンジェルはアマノミハシラに帰投しようとした時、後方で重力が発生したのであった。
「MS部隊を全機帰投させて‼ 何としてでも機体だけは無事にしなくては‼
「了解‼」
マリューの指示でアークエンジェルのCICに座るミリアリア・ハウは、全機に通達をしアークエンジェルに帰投させる。
「艦長、全機の帰投を確認しました」
ミリアリアの報告にマリューは頷き、指示を出した。
「これよりアークエンジェルはこの宙域から速やかに離脱します」
「了解‼」
マリューの指示でアークエンジェルは機関を最大にして離脱を試みた。しかし、全く持って、前進しず、重力の方に戻っていた。
「どういう事‼」
「判りません、ですが、機関最大にしていますが、全く効きません‼」
マリューはここで焦る。ここでアークエンジェルが離れることが出来ないからである。現在のオーブはアークエンジェルがあってこそ、宇宙軍としての活躍をしていた。クサナギやスサノヲ等、他にも宇宙軍としての一角はいるが、メサイヤ攻防戦で活躍した不沈のアークエンジェルがここで消える訳には行かないのだ。
「ダメです‼ 艦長、このままでは重力に巻き込まれます‼」
「オーブに連絡をして、いや、カガリさんに直接連絡をして」
「……はい」
マリューは何かを諦めたかのように、オーブの代表であるカガリに通信を取る事にした。
『ラミアス艦長‼ どうしたんですか‼』
「カガリさん、申し訳ありませんが、我々はここでお終いの様です」
『どういうことだ‼』
マリューの言葉にカガリは怒鳴る。
「我々は重力に引かれている最中です。後の事はよろしくお願いします」
『オイ、待て‼ ラミアス艦長‼』
マリューはそう言うと、通信を遮断した。
「みな、ここまでありがとうね。私達は結局キラ君達を見つける事は出来なかった………本当に申し訳ありません」
そう言うとマリューは艦長席から立ち上がり、艦橋にいる者達に頭を下げた。
艦橋を問わず、格納庫でも全員がマリューに対して最高礼の敬礼を行った。
「さぁ、最後の仕事よ‼ 重力に向かいます‼」
「了解‼」
マリューの指示で、アークエンジェルは軌道変更し、重力の方に向かって行くのであった。そして、重力はアークエンジェルを飲み込むと、何も無かったかのように、反応を消したのであった。そして、CE,75年。アークエンジェルはこの世から消えたのであった。これにより、正式にキラ、アスラン、アークエンジェルのクルーは戦死扱いとなったのであった。
1週間が過ぎ、クラス代表決定戦が行われる日となった。
キラとアスランは機密アリーナで本来の機体を使い、訓練を1週間続けていた。一方の一夏は幼馴染の篠ノ乃箒による剣道をして1週間を過ごしていた。
そして、キラ、アスラン、一夏、箒、千冬は第一ピットに集まっていた。
「遅いな、俺達の機体」
「そうだね、アスラン。早く機体を駆ってオルコットさんを殺りたいよ」
アスランとキラは物騒な事を話していた。一夏はこの1週間何をしてたっけ?と思いつつ、機体が来る事を考えていた。
「織斑君、ヤマト君、ザラ君。機体が来ましたよ‼」
真耶が格納庫から走って来た。その後方からは三つのコンテナが並んでおり、すべて白兎のマークが印されていた。これを見た千冬は頭を抱えだすのであった。
「織斑先生ッ⁉ 大丈夫ですか‼」
真耶は千冬が頭を抱えた事に驚き、駆け寄るが千冬は手で大丈夫だと言う合図をした。真耶はそれを見て一安心すると、キラ達に体を向けた。
「お待たせしました。右からヤマト君、ザラ君、織斑君の機体です」
真耶の言葉が終わると同時にコンテナが勝手に開いた。キラの機体はどう見ても嘗ての愛機であった『GAT-X105ストライク』であった。アスランも同様で嘗ての愛機『GAT-X303 イージス』であった。一夏の機体は原作のまんまなのでカットします。はい。
「ねぇ、アスラン」
「言うな。判っている。俺も突っ込みたいんだ」
キラとアスランは懐かし気にストライクとイージスを見つめた。
「時間が勿体無い。織斑は先にフィッティングを済ませる。ヤマトかザラのどちらかが先にやれ」
千冬の言葉にキラとアスランは顔を見合わせると頷いた。
「では、僕から行きます」
キラはそう言うとストライクの装甲に手を置いた。その瞬間、キラとストライクを光が包み込んだ。アスランは、そのままでキラの機体が装着される所を見ていたが、千冬達は手で目を覆った。
光が止むと、そこには灰色のストライクが立っていた。
「キラ、行けるな?」
「うん、大丈夫だよアスラン」
キラがそう言うと、アスランは静かに頷いた。
キラは、ストライクを自分の体の一部かの様にカタパルトに向かって行く。それを見た、千冬達は驚くしかなかった。
『カタパルトに機体の接続を確認しました。いつでも行けますよ』
真耶が管制室からキラに言う。
「判りました。キラ・ヤマト、ストライク行きます‼」
キラはそう言うと膝を曲げた。その瞬間、カタパルトからストライクが射出されるのであった。
アリーナでは、既にセシリアが機体を装着して待っていた。
「(遅いですわ‼ レディーをこんなにも待たせるなんて、紳士のする事ではないですわよ‼)」
セシリアはキラやアスランが来ても勝てる気持ちで一杯だった。なぜならば、操縦をした事の無い弩素人に負ける筈がないと思っていたからである。しかし、それはただの思い上がりであった事は、後で知る事になる。
そして、第一カタパルトからキラが駆るストライクが出てきた。
「遅いですわ‼ って、なんですのその機体は‼」
キラが駆るストライクを見たセシリアは驚いていた。本来のISは、腕、足、背部に装甲がある物である。しかし、キラのストライクは違った。全部が装甲で守られているのだ。
「待たせた事には謝罪をするよ。でもね、ここからは僕も真剣になるから」
そう言うとキラが纏うオーラが切り替わる。ほのぼのしていたオーラがいきなり歴戦の戦士のオーラに変わったのだ。それが判るのはアスランを除き、千冬だけである。
「ハンデを差し上げますわ。今すぐに機体を解除してわたくしに土下座をすれば、許してあげますわ」
セシリアはキラの纏うオーラには気付かずにそのまま、キラにハンデの事を言い始めた。
「そう、僕にはそんなのは要らないし、土下座なんてしないよ。でもね、これだけは言っておくよ……君はこのままでは、何も出来ずに死んでしまうとね」
キラの言葉が終わると同時に、開始の合図が鳴る。
「先手必勝‼」
セシリアはそう言うと、手に持つレーザーライフルでキラに攻撃を仕掛けたのだった。
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