インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
キラ達の自己紹介に、またクラスが揺れた。
「キャァァァァァっ‼ 男よ! 一人は優しそうな男」
「もう一人は、厳しそうに見えて、実は女性思いの男」
「ウホっ、良い男………ジュルリ、おっと、涎が」
二つ目はま、まぁ普通の反応だが、最後の生徒は色々とやばい感じがするのは気のせいだろうか?とキラ達は思ってしまう。
「静かにしろっ‼」
『シ~ン』
またもや、千冬の鶴の一声で、静かになるクラス。流石、世界最強である。
「ヤマト、ザラ。お前たちの席は織斑の後ろだ」
「「了解」」
キラとアスランはそういうと、一夏の後ろの席に着席をする。
「では、これでホームルームを終了する。各自、次の授業の準備を行う様に‼」
千冬はそう言って、麻耶と一緒に教室から出ていく。その瞬間、女子達が一斉にキラ達に駆け寄る。
『ヤマト君達は、いつISを動かす事が判ったのっ‼』
クラス中の女子達が一斉にキラとアスランに質問をする。
「そ、それはね~」
「俺達は極秘に行われた試験で、俺達だけが動かすことが出来たんだ」
『へぇ~』
アスランの言葉に納得して、女子達は蜘蛛の子を散らすかのように、自分達の席に戻った。その瞬間、チャイムが鳴るのだった。そして、なり終わる頃に、千冬と麻耶が教室に入ってくる。
「では、これより一時限目の授業を開始する。織斑、号令をしろ」
「は、はいっ‼ 起立、気を付け、礼」
一夏の号令で、全員がそれに従う。
「では、参考書をそれぞれ出せ。出したなら、アラスカ条約を………ヤマト。読め」
千冬の言葉で一部を除き、参考書を取り出し、言われたページを開く。
「はい。『アラスカ条約について』この『アラスカ条約』は篠ノ乃束博士が開発した『IS』を運用するにあたっての条約を書かれている。
条約は十個に分けられており、それぞれの国家がそれを順守しなければいけない条約が記されている。
条約一、各国家に与えられているISコアは、20個である。
条約二、各国家が開発されたISは、試験を行い、安全が確認された場合、すぐに公表しなければいけない。
条約三、各国家は研究用として使えるISコアは5個までである。
条約四、違法開発、操縦者の安全を無視した機体の開発、運用は禁ずる。
条約五、軍用として配備する事を禁ずる。
条約六、緊急時以外での専用機の使用を禁ずる。
条約七、合同開発をする場合、国際IS委員会の許可を得る事。
条約八、ISコアの交換、譲渡を一切認めない。
条約九、専用機を与えられた者は、一定の年齢に来した時、国際IS学園の入学をしなければいけない。
条約十、上記の条約を順守しなかった場合、如何なる事があってもその国家での開発を禁ずる。(武装も含む)
これで良いですか?」
キラは参考書を見ずにスラスラと条約すべてを言う。それを見たクラス中(アスラン、一夏以外)は皆、口を開けて固まってしまうのであった。
「あ、ああ。では、ザラ。ISコアの特性について述べろ」
「はい。ISコアの特性には多くの物があります。一つは、量子変換が可能であり、それを収納する空間もISコアの中に存在します。二つ目は、機体の待機状態についてです。基本的にはISの待機状態はアクセサリーに属されます。また、外部で購入したアクセサリーなんかもISの待機状態にすることもできます。そして、三つ目は、武装についてです。各国家で製造されている武装は、基本的に実弾が主流です。現在、イギリスで開発中のBT兵器はレーザー兵器を試行運用中です。また、どの国家もレーザー兵器からビーム兵器の開発に取り組んでいますが、どの国も開発が出来ていません。それには理由があります。レーザー兵器を使用するにはγ線を使います。ですが、ビーム兵器には粒子が必要です。では、それを補うか…これが最大の問題点です。現状での開発状況では、バッテリー型のビーム兵器を開発していますが、すべて失敗に終わっています。では、一番効率がよく、開発し易いビーム兵器を造る為には………核が必要となってきます。しかし、現状では小型核融合炉の開発はされていません。よって、現状でのビーム兵器の開発は出来ないのが、全国家の暗黙のルールとなっています。少しずれましたが、これで良いでしょうか?」
アスランの難しい話に千冬を始め誰もがチンプンカンプンになっていた。なお、キラとアスランの機体には、核融合炉が装備されている。これは極秘にされている事なので、知っているのはこのIS学園の学園長、千冬、真耶、束しか知りえていなかった。
もし、ビーム兵器を運用する機体があると知った国家は、戦争を始めるのが目に見えている為、IS学園はこれを隠すのであった。
先の襲撃で、キラ達は本来の機体を使用したが、問題はないのかと問われれば、束が独自で情報をすべてコントロールしていた為、漏洩する事は無かったのだ。
これを知っているのは、束と憶測だけであれば、千冬も加えられる。
「ああ、それで良い。さて、私から言わせてみれば、お前たちはまだ殻を破っていない雛共だ。殻を破る手伝いをするのが、私達、教師の役目だ。そこで、だ。織斑? お前はなぜ参考書を出していない」
千冬は、一夏に目をやった。すると、一夏は顔全体から汗が滝の様に流れ出していた。
「そ……それは、参考書を電話帳と間違えてs」
一夏は、そこまでしか言えなかった。なぜならば、千冬による鉄槌が下されたからである。
「参考書の表紙には『必読』と書いてあったな? 電話帳にも『必読』と言う文字が記載されているのか?」
千冬はそういうと、手に持つ武器『出席簿』を持ち上げる。
「すみませんでした」
「謝って済んでしまうとでも思っているのか? 貴様……お前は望んでここにいないと思っているかも知れんが、ザラとヤマトの方が不順だ。お前と違ってな」
そう言って、千冬は出席簿を振り落とすのであった。
「では、これにて一時限目の授業を終了する。休憩時間は僅かしかない。有効に使う様に。以上」
そう言って千冬は教室を出ていくのであった。
「ちょっとよろしくて?」
「何かな?」
「なんだ?」
「………」
一人の女子の声にキラとアスランは反応するが、一夏だけは頭から白い煙を出して机に突っ伏していた。
「なんですか、そのお返事は‼ わたくしを誰と心得ているのですか⁉」
その女子は高飛車にキラ達に食って掛かる。しかし、キラ達は、どこ吹く風である。
「んあ? あれ、キラ。千冬姉は?」
「一夏、起きたんだ。さっき教室から出て行ったよ」
「そうなんだ……あれ、この人誰?」
一夏は目の前にいる女子を見てキラ達に尋ねる。
「あら? あなたは織斑先生の弟様ですわね? そこまで強そうには見えませんけど…」
「俺に、期待しても何も出来ないぞ」
女子の言葉に一夏は少しムスッとして答える。
「まぁ‼ 何とも生意気な言葉ですわね……良いですわ。わたくしセシリア・オルコットがこのクラスで一番の実力を持っているのですから~」
セシリアはそう言って自分の席に戻って行くのであった。
「なんだ、あれ?」
「「さぁ~」」
一夏達は、頭を傾げるのであった。しかし、それが後の大災害になるとは、この時、誰も知る由も無かったのであった。
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