インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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書き上げる事が出来ましたので、投稿いたします。


第百九話

キラ達一家が、親睦を深めていると、扉がノックされる。

 

「はーい。って、織斑先生?」

 

楯無が扉を開けると、千冬が立っていたのである。

 

「ヤマトはいるか?」

 

「ええ、いますが………どうかされたのですか?」

 

千冬の言葉に楯無は頷いた。

 

「すまないが、ヤマトを借りたい。重要な案件でな」

 

「それは、例の機体の事で?」

 

楯無の言葉に千冬は静かに頷く。

 

「判りました。少しお待ちください」

 

楯無はそう言って扉を閉めた。

 

「キラ君、織斑先生が呼んでいるわよ。例の機体の事で話があるみたいなの」

 

「………判りました」

 

楯無から説明を受け、キラは腰を上げる。そんなキラを心配そうに見つめるアリスに、キラはアリスの頭をなでて安心させる。

 

「少し行ってきます」

 

「行ってらっしゃい」

 

キラと楯無は極自然体にキスをして、キラを見送った。

 

 

 

 

 

一方、簪とアスランの部屋では、アスランは女性権利団体の内部にハッキングを仕掛け、今回の無差別テロとの関係性を調べていた。だが、有力な情報は流石に載っていないらしく、悪戦苦闘を強いられていた。

 

「クソっ、女権は裏で何と繋がっていると言うんだ……」

 

アスランは頭を掻きむしり、もっと他に何かないかを調べていくが、結果は同じであった。

 

「アスラン。少しは休憩しよ?」

 

簪はアスランのデスクにコーヒーをそっと置く。

 

「すまない」

 

アスランは出されたコーヒーを飲んで一息を吐く。

 

「そう言えば、女権と裏で繋がっている可能性が高いのは、国際IS委員会じゃなかったかな?」

 

「なに?」

 

簪の言葉を受け、アスランは国際IS委員会にハッキングを行い、女権との関係を調べると、ヒットした。

 

「でかした、簪‼」

 

「う、うん」

 

アスランに褒められた簪は頬を赤く染める。

 

「この関連性で行くと………やはりか」

 

アスランが見つめる先には、国際IS委員会の裏帳簿であった。その内容は、女権やロゴス、亡国機業に関連すると思われる企業の名前が載せられていたのである。

 

「と言う事は、女権のバックには委員会とロゴス、亡国機業の三つがついている……と言う事か………これは厄介だな」

 

アスランはそう言うと、顎に手を置き考えに耽り始める。

 

「………これは、キラも交えて話し合いをしないといけないな」

 

アスランはそう言うと、携帯を取り出しマリューやアズラエル、ギルバートに一斉にメールを送った。

 

「後は返事を待つだけだが………早いな」

 

メールを送った後すぐに、三人から返事が来て了承の言葉が添えられていた。

 

「あとは、キラだけだな」

 

「その話し合いに、私も参加してもいい?」

 

「簪?」

 

アスランは簪が参加する事に訝し気に見る。

 

「どういうつもりなんだ?」

 

「私も見ているだけじゃ嫌なの。アスランの役に立ちたいの………ダメ、かな……?」

 

「…………」

 

簪の言葉を受け、アスランは考える。簪は確かに裏の家計の一人であるが、姉である楯無の話では、裏に関係する仕事は一切した事が無いとの事である。だが、そんな彼女を参加させてもよいのか、考えるが、良い答えが出なかった。

 

「すまないが、俺一人の判断ではどうもできない。他の人たちにも確認をしてから返事をしても良いか?」

 

「うん‼」

 

アスランの言葉に簪は嬉しそうに返事をする。

すると、部屋の扉がノックされる。

 

「私が出るね」

 

簪が対応する為に扉を開けると、千冬とキラが立っていた。

 

「すまないが、ザラを呼んではくれないか? 重要な話があるのだ」

 

「判りました」

 

簪はアスランを呼ぶために、一度扉を閉める。

 

「誰だったんだ?」

 

「織斑先生とキラ君だった」

 

「何で二人が?」

 

「判らない。でも、アスランを呼んでほしいって、織斑先生が」

 

簪の言葉にアスランは顔を傾げる。そして、考えた末に、一つの答えを導き出した。

 

「なるほど、ダガーの事についてか」

 

「それって、無差別テロの?」

 

簪の言葉にアスランは頷いて返事をする。

 

「すまないが行って来る」

 

アスランはそう言うと、扉を開けようとした。

 

「アスラン‼」

 

簪に名前を呼ばれたアスランが振り返ると、簪からキスをしてきたのである。

 

「気を付けて」

 

「ああ」

 

アスランはそう言うと扉を開け、二人と合流する。

 

「お待たせしました」

 

「いや、大丈夫だ。すまないがここでは話をする事が出来ん。場所を移動する」

 

「「はい」」

 

千冬とキラ、アスランはIS学園の地下にある地下施設へと来ていた。

 

「束、入るぞ」

 

千冬がそう言って地下施設の扉を開けると、ハンガーに固定されたダガーを前に束が真剣な面持ちで、何かを調べていた。

そして、千冬が入って来る気配を感じ取った束が、千冬に飛びつこうとしたがその前にアイアンクローを千冬から受けてしまう。

 

「相変わらず愛が重たいね、ちーちゃん‼」

 

「二人を連れて来たぞ」

 

束の言葉を無視して、キラとアスランを連れて来た事を伝えると、千冬から受けているアイアンクローから抜け出し、二人の前に現れる。

 

「待ってきたよ、二人とも。ここを見てほしいんだけど」

 

「……ッ⁉」

 

「これは………」

 

束がタブレットを二人に見せると、二人は驚きを隠せない表情で束を見た。

 

「そうだよ。キラ君が鹵獲した機体の中にあったデータベースに入っていたんだけど………」

 

束が見せたタブレットには、機体の簡単なスペックと対応可能なストライカーパックが載せられていた。

 

「それで、これなんだけど」

 

そして、束は一つの項目をタップし、画像だけではあるが一つのストライカーパックを表示する。

 

「これって…………核だよね?」

 

束の確認するような質問に、キラとアスランは躊躇いながらも頷いて返事をする。

 

「やっぱりか………」

 

「ですが、ここまでの情報を良くかき集められましたね」

 

「まぁ、私って天才だし? 朝飯前だよ。今は何時か判らないけど」

 

束の言葉にアスランとキラは少し吹き出してしまう。

 

「さて、二人とも。この機体について説明してもらいたい」

 

千冬の言葉にキラとアスランは表情を引き締める。

 

「判りました。まず始めに、この機体は地球連合軍の独立機動部隊に配備されていた機体の一つです」

 

「他にも存在しているのか?」

 

「はい」

 

と冬の言葉にキラが頷いて返事をすると、ストライク・フリーダム・フェニックスの待機状態をモニターに接続し、データベースに載っている機体を表示する。

 

「この機体は僕の以前に搭乗していた機体の発展機である、GAT-X105Eストライク・ノワール。次にGAT-X1022ブル・デュエル。最後にGAT-X103APヴェルデ・バスターの三機です。量産機として配備されていたのは、GAT-01A2Rスローターダガー。今目の前にある機体がそれです」

 

「そして、スローターダガーにはストライカーパックが装着可能で、どの様な戦場でも対応できる機体となっています」

 

「そして、画像にあったストライカーパックは、マルチランチャーパックと呼ばれるストライカーパックです。このストライカーパックには、核ミサイルを搭載する事が可能です」

 

「だが、ISサイズまで小さくした核ミサイルなんて、非現実的ではないか?」

 

「いえ、可能です」

 

千冬の言葉を否定するキラ。

 

「威力は通常の核ミサイルには劣りますが………」

 

「………なるほど、威力を落としたものであれば可能。と言う事か?」

 

「はい」

 

キラの返事を聞き、千冬は困惑してしまう。なぜ、このマルチランチャーパックが存在するのか判らなかったのである。

 

「女権もしくはロゴスの狙いは、一夏の白式のコアや僕たちの機体のコアが欲しい。そして、このIS学園と言う土地が欲しいのではないかと考えられます」

 

キラの言葉に千冬は驚くのであった。

 




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