インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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令和に入っての初の更新です。
これからも、この作品を宜しくお願いします。


第百七話

「ん? ママ、パパ。なんかこっちに来てるよ」

 

「「え?」」

 

二人が明日菜の指す方向を目をやると、そこには黒いISがバックパックに装備されている二門の砲門を向けていたのである。

 

「スローターダガー⁉ 拙い‼ 楯無さん‼」

 

「二人とも、こっちに来なさい‼」

 

キラの指示で刀奈は明日菜とアリスを抱きしめた。キラは観覧車から飛び出すと同時に、ストライク・フリーダム・フェニックスを展開させ、スローターダガーの前に躍り出ると、シールドを展開させると同時に、キラは勧告を行う。

 

「こちら国際IS学園特殊武装隊アークエンジェル隊だ‼ すぐに武装を解除せよ‼ 繰り返す、すぐに武装を解除せよ‼ さもなくば防衛手段として攻撃を行う‼」

 

キラの勧告に対して、スローターダガーは沈黙を貫きドッペルホルン連装無反動砲を放ったのである。

 

「警告は行った‼ これより貴機を攻撃する‼」

 

キラはシールドで無反動砲の攻撃を防ぐと、ビームライフルを掲げ引き金を引く。放たれたビームは、スローターダガーのコックピット部分を貫いた。だが、スローターダガーは爆発する事無く地上へと落ちていく。

キラはスローターダガーの腕を掴むと、そのまま誰もいない場所へ降り立つ。キラはゆっくりとスローターダガーに近づいていく。

 

「無人機………誰が………」

 

「キラくん‼」

 

キラはスローターダガーが爆発しない事を確認すると、機体を量子変換させ待機状態に戻した。すると、楯無が明日奈とアリスを連れてキラの近くへと寄ってきた。

 

「楯無さん……学園には?」

 

「さっきしたわ。もう少しで一夏君が来るはずよ」

 

楯無がそう言うと同時に一夏が上空から降りて来たのである。

 

「キラ、大丈夫か?」

 

「うん、僕は大丈夫だよ………それよりも、一夏。他の皆は?」

 

「もう少しで到着する頃だけど………」

 

一夏がそう言うと、アークエンジェルを始め、ドミニオン、ミネルバの三隻が海上に着水する。それと同時にアスラン達もキラ達の許へと向かってきたのである。

 

「キラ‼」

 

「アスラン、すぐにこの機体をアークエンジェルに‼」

 

キラは爆発を免れた、スローターダガーをアークエンジェルに運ぶ様にアスランに言う。だが、アスランは今更、スローターダガーを回収した所で、成果が無いと考えたのである。

だが、キラの考えは違っていた。

 

「アスラン、この機体には今までと同じモノを搭載していない可能性があるんだ。だから、一度学園に持ち帰って篠ノ之束博士に見てもらいたいんだ」

 

「そう言う事か。判った‼」

 

アスランは機体を展開したままあという事もあり、そのままスローターダガーをアークエンジェルへと持ち帰ったのであった。

 

「坊主、これはどこからの攻撃だと思う?」

 

「………第三の介入の可能性もあります………ですが、第三の介入するにしても、ロゴスの幹部であるロード・ジブリール、ムルタ・アズラエルはこちらの陣営にいますし、デュランダル氏もこちらにいます。現状、僕たちと戦える陣営は、女権でしかないと考えられます」

 

「それだと、キラの言っている事と矛盾しているが?」

 

ムウの言葉にキラは頷いた。

 

「なので、スローターダガーを回収したのです。あの機体を研究すれば、どこで製造されたのかも解りますからね………」

 

キラはそう言うと楯無たちに振り返った。その表情は申し訳なさそうである。

 

「すみません、楯無さん。僕はこれから学園に戻らなくてはなりません。ですので、今日の事は後日、改めて出かけましょう。明日奈、アリス。ごめんね」

 

キラの言葉に楯無は微笑みを浮かべる。

 

「大丈夫よ、キラくん。でも、私の方でも調べるわ」

 

「お願いします」

 

楯無は更識家の持つ全てのコネを使って、調べようとしていた。明日奈は少し寂し応な表情をしていた。一方のアリスは特に表情を変える様子はなかった。

 

「パパ……絶対にみんなで出かけられる?」

 

「勿論だよ。約束しよう」

 

キラはそう言うと小指を立てた。明日奈も見習って小指を立てると、キラの小指と絡み合わせた。

 

「「指切りげんまん、嘘ついたらハイマット・フルバーストを喰らわす。指切った」」

 

この指切りを聞いた皆は心を一つにして思った。

 

〈物騒な事を娘に教えんな⁉〉

 

同じことを考えていた事を作者は作者は言ってみたり………冗談はさておき、キラと明日奈の指切りも終わると、キラはアリスへと近づく。

 

「お父さん、もしかしたら今回のテロ………私が狙われた可能性はありますか?」

 

アリスの言葉にキラは絶句した。アリスは元々はキラのクローンとして生み出された存在である。その存在を消すのは組織としては当たり前のことである。

 

「可能性としか言えないかな」

 

「キラ君⁉」

 

キラの言葉に楯無は驚く。

 

「だけど、僕たちはアリスを引き取ったんだから、最後まで見届けなくちゃいけない………こんな事件に巻き込まれて死ぬなんて事、僕は絶対にさせないから」

 

「………そうね。キラくんの言う通りだわ。私もキラくんと同じ気持ちよ。だから、安心して」

 

「はい、お父さん、お母さん」

 

アリスはそこで漸く笑顔を見せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある組織の地下室では、作戦が失敗したことが報告されていた。

 

「遊園地にて被検体K-1973の殺害に失敗。機体が鹵獲されてしまいました………誠に申し訳ありません」

 

一人の研究者が頭を下げた。地下室には色々な部署の関係者が集まっていたのである。

 

「………作戦が失敗した要因は何かね?」

 

「はい。要因と致しましては、国際IS学園特殊武装隊アークエンジェル隊の隊長であるキラ・ヤマトによる妨害です」

 

研究者の発表にそれぞれの部署の関係者らはあざ笑うかのように小声で話していた。

 

「それだけが要因じゃないだろうに………」

 

「データを見たが………機体が欠陥だらけだ………しかも命令通りに動いていなかったらしいぞ」

 

「やっぱり、落ちこぼれ研究者には荷が重かったのかもな………」

 

小声でありながら、研究者の耳には入っていた。研究者は悔しさのあまり拳から血が出ていた。

 

「皆の者、静粛に………」

 

一人の男性がその場を静めさせた。

 

「君には後程、処分を言い渡す………それまでは自室謹慎だ」

 

「…………はい……」

 

研究者には自分の末路を理解していた。研究者が所属している組織は実力主義者たちが集まっている。実力が無いものは抹消される運命なのである。

研究者は一旦の処分を聞くとそのまま自室へと戻っていった。

 

「さて、これからの事を考えなくてはならないな………何かいい案はあるかね?」

 

『……………』

 

男性の言葉に誰も言葉を発しようとしなかった。

 

「やれやれ………では、様子見と言うk「ちょっと待って頂きたい」………君か………なにかね?」

 

男性の言葉を遮ったのは、先ほどの研究者よりも若い青年であった。

 

「私にいい考えがあります」

 

青年の考えにその場にいた全員が納得させるものであった。

果たして、それがキラ達にどう影響していくのか………それは神のみぞ知る事、だけである。


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