インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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第九十三話

大統領が小型機に乗り込もうとしたその瞬間。一発の銃声が鳴り響いた。

 

『な…なにが………』

 

大統領はそう言うと、その場に倒れ込んだ。

 

「明日菜ちゃん‼」

 

キラは直ぐに機体を貨物室に入れ込み、明日菜を保護する。

 

「パパ‼ パパ‼」

 

「ごめん、ごめんね………怖かったね。もう大丈夫だよ」

 

キラは貨物室に入り込むと同時に、機体を量子変換し明日菜を抱きしめ。謝った。

 

「感動の再会の所悪いが………君らにやってもらいたい事がある」

 

「貴方は誰ですか? 僕達の敵ですか」

 

キラは貨物室の入り口に立つ男に目を向けると、量子変換してある銃を取り出し構える。

 

「そう構えないでくれ。私は君たちの敵じゃない……味方だ」

 

「どこに証拠があるのですか?」

 

「………これだ」

 

男が見せたのは手帳であった。だが、普通の手帳では無い。そこには“CIA”と表記されていたからである。

 

「なぜ、CIAの職員がここにいるのですか………貴方達も明日菜ちゃんを………」

 

キラはそう言うと敵意を剥き出しにして男に威嚇する。だが、男は両手を挙げ交戦の意志が無い事を示した。

 

「我々は某国の大統領の拘束或いは殺害をアメリカ大統領から受けている者だ………アメリカは無意味な事はしない。特に君たちに対してね」

 

「キラ君‼ 明日菜ちゃん‼」

 

「楯無さん‼」

 

「ママ‼」

 

男の後ろから楯無が現れ、キラ達の名を呼ぶ。キラ達が無事なのを確認すると、安堵したのかその場にへたり込んでしまう。

 

「やぁ、更識家当主様。ご無沙汰ですね」

 

「え、ええ。まさかあなたが乗っているなんて気付かなかったわ……それで、元凶は?」

 

「勝手ながら、殺させて頂きました」

 

「そう………」

 

CIAの職員と楯無は面識があるのか、ごく普通に会話をする。

 

「楯無さん、彼は本当に………」

 

「ええ、アメリカ諜報部CIA職員のマイケル・クラウドよ」

 

「お初にお目に掛かります。キラ様。そして、明日菜様………この度は我々の不徳が招いた事。お詫びは何でも致します」

 

「え、あっはい……え?」

 

「………」

 

キラの頭は混乱の渦である。一方の明日菜はキラの手に抱かれ安心したのか、静かに寝息を立てて寝ていた。

 

「丁度、明日菜様も眠られた様子……お手数ですが、アメリカに来て頂けませんか? もちろん、三部隊の皆様もいご一緒で構いません」

 

「「…………」」

 

キラと楯無はこのまま明日菜を連れて脱出しようと考えていた。だが、マイケルは三人と三部隊をアメリカに招こうとしている。IS学園はどの国家にも属さない中立である。それは、三部隊も同様の事が言える。

キラの持つ権限であれば、アメリカに行く事は可能である。だが、果たしてそれが正解なのか判らなかった。

すると、マイケルもそれを感じ取ったのか、どこかへと連絡する。

 

「私です……はい、無事に任務完了しました。ええ、彼らも無事です……それなのですが…………判りました。伝えます」

 

マイケルは通信が終わったのか、通信機を懐へしまった。

 

「お待たせ致しました。アメリカ大統領直々にIS学園に連絡して頂きました。もう少しで、その返答を貰えると思いますが……」

 

マイケルが言い終わると同時に、ストライク・フリーダムに通信を知らせるアラームが鳴る。

 

「こちら、キラです」

 

『私だ………本来であれば中立である我が学園はどの国家にも属さず、どの国家からの介入を禁じていたが………今回ばかりは致し方が無い。キラ・ヤマトを始め、アークエンジェル隊、ドミニオン隊、ミネルバ隊の三部隊はアメリカへ向かえ。また、更識楯無、更識明日菜も同行せよ。安心しろ。向こうも貴様らと戦争する気はない、そうだ』

 

千冬の一方的な通信であったが、最後の一言でキラは決心する。

 

「解りました。アメリカへ行きましょう………ですが、妙な真似をすれば………」

 

「ああ、安心した前。我々も命を散らせたくない」

 

マイケルはお道化るかのように肩を上げた。

 

そして、一行はアークエンジェルが戻るとそれに乗り込み、アメリカへと向かうのであった。もちろん、飛行機に乗っていた武装集団と将軍ら、そして大統領の亡骸も一緒であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際IS学園所属、特殊武装隊“アークエンジェル隊”の三隻はアメリカへ入港する。非公式では無く公式な者として、大統領直々から招かれている為、三隻はアメリカ最大のドックに入港しようとするのだが、前例のない大きさである三隻の為、仕方が無く海上に停泊せざるを得なかったのであった。

 

「アメリカ政府も大胆な事するわね…………」

 

「確かに、そうだな。俺達は正式に学園の部隊として認められてるけど、こうして特定の国から招かれるなんて初めてな事だからな」

 

「ええ、そうね………」

 

アークエンジェルの艦橋では、マリューとムウがアメリカのの象徴である“自由の女神”を見つめながら話をしていた。

二人を始め、前の世界ではアークエンジェルは諸外国への訪問は、メサイヤ攻防戦後にエターナルと共にプラントへ赴いた時である。それ以外では、今までは無かったのである。

 

「さて、蛇が出るか鬼が出るか………」

 

「それこそ、俺達の敵になるかもな」

 

「止めて、相手に出来ない訳じゃ無いけど、面倒だわ」

 

「確かにな………」

 

ムウとマリューはこれから、何が起きるのか判らなかったのであった。

 

 

 

 

それから暫らくしてアークエンジェルからマリュー、ムウ。ドミニオンからアズラエルとジブリール。ミネルバからタリアがタッカーに乗り込み、アメリカへ上陸した。キラ達は先に上陸しており、明日菜を病院へ連れて行っている。

そして、艦長組はリムジンへ乗るとアメリカのホワイトハウスへ招かれたのである。

 

「初めまして、アメリカ大統領のコープランドです」

 

『は? なんで、いるの』

 

マリュー達の前にいるのは大西洋連邦大統領であったコープランドであった。

 

「私には連邦の大統領よりも一国の大統領の方が身に合っているようです」

 

『いや、誰も聞いてないから』

 

ある意味でコントが始まったのであった。




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