数分余ったな・・・何しようみたいな空き時間にでも読んでいただければ光栄です。
窓の外の雲の流れを見ながら閉鎖された空間でひたすら我慢する。
この腐った時代を生きなければならないと思うと反吐が出るぜ。
平等が不平等なんて感じるのは贅沢だが本当にこの世界が平等なら盗みという言葉は生まれなかっただろう。
今日も誰かが気を使い媚びへつらう・・・まったく笑えるぜ。
自由の鐘が鳴り、俺はこの退屈な学校生活から解放される。
学校鞄を右手に肩にかけ、生徒に機嫌をとる担任に哀れみを感じさせるにはいられない。
友達なんていない・・・いやいたがすべて手放した・・・俺を利用しようとする親の手先だと分かったときにな。
「平等院くん!」
「平等院様!!」
と耳に黄色い声が届くがそんなものは幻だ。
廊下を歩く俺を皆が避ける・・・まるで将軍様や王様の道を開けるかのように。
そこに一人の女子生徒が立ちはだかる。
ブラウスは清潔感あふれ、ジャケットの着こなしも上品。
スカートの丈はスネまであるのか?
髪は長くて毛先がスカートにかかるぐらいまである、ストレートの綺麗な黒い長髪。
前髪は眉にかかるぐらいで、メガネをかけているが目はぱっちりした印象だ。
メガネは彼女の知性を引き出す代わりに顔の良さを封印している。
いわゆるお嬢様系美人だ。
メガネをかけていてかわいいやつは裸眼ではもっとかわいい、いやそう錯覚させるのだろう。
だが俺は知ってる・・・貴花義子。
俺を好きなのではなく、俺の財産に目が眩んでいるのが瞳の奥底に俺には見える。
そんな下心満載の上品なお嬢様は瞳の奥底のどす黒い水晶体を透明にしてこう言うんだ。
「平等院さん・・・今度一緒にパーティーしませんか?」
「ええ、貴花さん。あなたのお父様あっての平等院家ですから。」
貴花家は歴史に名を残す名家、同じく歴史に名前は残していないが平等院家はこの国で最大の傭兵勢力を持っている。
何を言いたいかと言うと、
貴花家は平等院家なしでは成り立たず、平等院家も貴花家なしでは繁栄などありえない。
名声って奴はやっかいで複雑なものだ。
一年後には貴花家が『貴花王家』となり十年後には俺も貴花王子として玉座の横に立っているだろう。
校門付近には気高き貴花家の衛兵たちが馬車を道のど真ん中に駐在さしている。
俺も数年後にはあの馬車の中にいるのだろう。
彼女の父・貴花義盛のことは尊敬しているが、俺は別に彼の息子になりたいほど尊敬しているわけじゃない。
まあ結婚すれば今より退屈な人生が待っている。
貴花義子の手を取り、馬車までリードする。
「ありがとう、平等院英雄さん。」
「こちらこそ、プリンセス義子。」
十人あまりの精鋭たちが貴花城に向かって帰路する。
俺はロードバイクに乗り、自分の屋敷に帰る途中。
それは公園で起こった。
いつもは農民の子ども達が滑り台や鉄棒で遊んでいて、猿だけの動物園のような光景が今日は見られない。
非日常的だ。
公園の奥の公衆トイレ前で剣士が三人いる。
1対3でトライアングルを描くように囲まれている。
いやよく見たら同じ学校の女子生徒だ。
周りには衛兵と思われる亡骸が数体横たわっている。
ロードバイクから降りて、公衆トイレに近づく。
恐怖心など感じず、むしろわくわくしている。
「女相手に男三人とは奴隷の反乱以下だな。」
挑発的な言葉で剣士の注意を引く。
剣士たちは刃をこちらに向け近づいてくる。
「その制服・・・さてはお前も貴族だな。」
「ああ、まさに平等院英樹の息子、平等院英雄だ。」
逃げろ、女・・・そう願うが一歩たりとも黒髪のショートカットの女は逃げない。
「平等院の男たちは味方の傭兵の反乱で全員斬殺されたと聞いたがお前が最後の1人か?」
「いかにも、平等院の正当な男たちは死に絶えた。」
「ならなぜ、まだお前は生きているんだ?」
なぜ逃げない女・・・畜生。
・・・まさか、俺にこいつらと戦わせるのか?
「それは落とし子だからだ。」
男たちは見下し俺を笑う。
「だったらちょうどいい、この女と同様お前も女にしてやる。」
と脅して剣を振る。
「俺を殺せばお前たちは全国から賞金をかけられるぞ?」
「もうかけられてるよ。」
男たちは丸腰の俺を相手に容赦なく剣を振り首を討ち取ろうとする。
だが俺はしぶとくかわし続けた。
「もういい。」
そう言うと男たちは剣を捨て、かわし疲れた俺を捕える。
「死ななければお前は身代金になる。一番大事な部分を取って・・・それをお前の親父に送りつけてやる。」
男は短剣を腰から抜いて、荒々しく俺のベルトを引き裂く。
ベルトを引き裂いた瞬間、俺は男の首を噛み千切った。
他の俺を押さえていた男たちは絶句して一瞬力が抜けた隙に、両手で男たちの腰の短剣を抜いて腹部に刺してやった。
ずっと立って見ていた同じ学校の生徒に話しかける。
「なんで逃げなかった?」
女は涙を流して俺を睨む。
「なんで泣いてんだ?」
すると雨粒のごとくナイフを俺に刺そうとしたが見抜いていた。
泣きじゃくる彼女からナイフを取り上げる。
「助けてやっただろ?」
「・・・許せないんだ。」
何を言っているんだこの女?
「家族はあなたの傭兵によって殺された。」
「俺を殺すために同じ学校に通ってたのか?」
女は質問に答えず、話し続ける。
「私の姉はあなたの兄に犯され殺された。」
俺は彼女のもとにより抱きしめささやく。
「そうか・・・それは悪かった。だが俺は違う。」
彼女も俺の大きな腰を掴み返す。
「謝罪の言葉が聞けてよかった。」
次の瞬間、腹にナイフを突き刺す。
彼女は口から血を流して、徐々に俺を掴む力がなくなっていくのが分かる。
「俺は違う・・・って意味は犯さずに殺すってことだ。」
彼女は目を開いたままこちらを恨むように死んだ。
俺は彼女の目を閉じることもなく、血まみれのナイフを彼女のブラウスで拭く。
「このナイフ、形がいいな。もらっておくよ。」
命を狙っている者は大きな脅威になる前に排除する。
俺以外の平等院の男兄弟たちが根絶やしにされたように、そしてそれを糧に今日も俺は生き延びた。
こんな感じかな。みたいな感じで書いてみました。
続編書けますが別に続編見たいなんて思う気持ちにはならないと思います((笑))