知世の野望 ~The Magic of Happiness~   作:(略して)将軍

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新章の前半部分が、本格的に動き出しました

……それに伴い、話もとんでもない方向に吹っ飛んで行ってしまった

元々は、なのは無印にさくらが介入しましたで行こうとしたのに
どうしてこうなったのやら……


デザート・フロンティア

 

 

私の知れない異世界で発掘された、所有者の願いをかなえてくれるという魔法の宝石・ジュエルシード。

 

 

ユーノは、元々この宝石を回収するために、別の世界から地球へとやって来ていたそうで、最近海鳴市で起こっていた不可解な事件は、だいたいこの宝石が起こしていたのだという。

 

 

コイツには、なのはに関する事で色々と言いたいことがあったのだけれど、悪いヤツではなさそうだし、ジュエルシード回収の為に、一人でやってきた勇気に免じて、とりあえずその件に関して保留する事にしてあげた。

 

 

しっかし、コイツも結構謎の多い奴よね……

 

私達と同い年なのに、発掘を生業にしている一族の責任者だとか言うけど、能力に秀でているとしても、こんな子供に責任者をやらせるとか、スクライア族っていったいどんな連中なのかしら……?

 

 

他にも色々と謎はあるけど、そこはひとまず置いといて……

 

 

今、私達はジュエルシードの手掛かりを得るために、丸ボーズ達が話してくれた、ロッドマイスターの集まるという場所へと向かっている。

 

 

話によれば、山茶花町につながっている入り口とは逆方向に向かった先にあるそうだけど……

 

 

私達は、そこで予想だにしなかった光景を目の当たりにし……

そして、現在進行形で、その過酷な環境を身をもって味わっていた……

 

 

「……なんで、こんな所に砂漠があるのよーっ!?」

 

 

目の前に広がる、砂だらけの地面と、所々に生えているサボテン……

そして、汗だくになりかねないレベルの熱気。

 

 

夏はもうちょっと先だというのに、苦手な日本の夏よりもさらに厳しい暑さ……

この不可解で理不尽な環境に対する不満は、思わず大声をあげたくなるレベルのモノだった。

 

 

「やかましいなぁ……

 そんなにこの暑さが不満なら、さっさと帰ったらええやろ?」

 

 

すると、さくらさんのポシェットから顔を出したぬいぐるみサイズのケルベロスが、うんざりとした顔でそう言ってきた。

 

 

「なによ、そんなに私の事を仲間外れにしたいわけ?」

 

 

「だって、アリサは居っても役に立たへんやろ、

 ……むしろ、余計なトラブル起こしそうな気もするわ。」

 

 

「なんですってぇ!?」

 

 

このぬいぐるみの、あんまりと言えばあんまりな言葉に私は思わずカッとなってしまった。

 

「ケロちゃん!

 ……ごめんねアリサちゃん」

 

「あ……いえ、あんまり気にしないでください……」

 

すぐさま、さくらさんがぬいぐるみにしかりつける様に言った後、ぬいぐるみの代わりに謝ってきたけど、別にさくらさんが誤る事じゃないと思いながら、思わず恐縮してしまう……

 

 

……こんなことで頭に血が上ったのは、この暑さのせいだと思いたい……

 

 

『あ、ここからあそこに行くんだったら帽子と水筒は必須っすよ、

 あと、出来れば水着も持ってった方がいいかな?』

 

 

あいつらの言っていた説明の意図が水着以外、よーく理解できた……

 

 

この暑さでは大した効果はないと思いつつも、渇きと火照りを癒すたに

私は手にした水筒を開け、水を口にしながら……

 

あいつらや、そこに集まっているというロッドマイスターは、みんなこんな過酷な道を平気な顔で行き来しているのかと考えていた。

 

「……あまり辛いのでしたら、アリサちゃんもあちらで待機していてもかまいませんわ、何かあれば、私の方で呼び出すことが出来ますし……」

 

「いえ、お気遣いなく……」

 

あんまり私が辛く見えたのか、知世さんが気を使ってくれたけれど、どうにもその提案に乗る気にはなれなかった。

 

 

……ちなみに、奈緒子さんとすずかは、なにかあった時の連絡の為に今回は拠点で留守番をしている。

 

 

特に奈緒子さんは、知世さんと相談をして、向こうでなにかをやるつもりみたいだけど、その時の二人の顔はとてつもなく悪そうな感じだったので、何をするつもりなのか、正直不安だ……

 

 

「……ところでなのは、アンタ魔法少女になったんだから、魔法で涼しい風を起こすとかできないの?」

 

 

「き、急にそんな事言われても……

 ユーノ君から、そんな魔法は教わってないし……」

 

 

私の、ほんのりとしたあったらいいなという質問に対して、なのはは、ひどくうろたえてそう言うと、ユーノの方に視線を移したので、私もなのはにならってそちらの方を向く。

 

 

「いや、僕も特にそう言った種類の魔法は……

 そもそも、周囲の気温の調整とかは、バリアジャケットを展開すれば出来るから……」

 

 

「……へー、つまり私は今度も仲間外れってわけ?」

 

 

「あ、アリサちゃん……」

 

 

またも魔法がらみで疎外感を感じて、思わず二人に対して嫌味を言ってしまった。

……二人が、そんな事をこれっぽっちも考えてない事くらい、汗びっしょりの姿を見れば分かるのに……

 

 

「あ……! だったら、私が何とかするよ!!

 ケロちゃん、いいよね?」

 

「まぁ、子供にはこの暑さは辛そうやからな。」

 

「え!? べ、別に私そんなつもりじゃ……」

 

 

すると、さくらさんは雰囲気を変えようとしてくれたのか、そう言ってカードの用意を始めてくれていた。

 

……なんだか、自分が悪い子になってしまった感じで、妙に居心地が悪い……。

 

 

「暑さを何とかするカードって言うと……

 『雨』、『雪』、『凍』……こんな所かな?」

 

 

「うーん、この場で『凍』は、効果薄いから、『雨』か『雪』がええと思うねんけど……」

 

 

さくらさんとケルベロスはそう言ってカードを選んでおり、そんな相談をしている姿を見ると、私の心の中には、ある疑問が浮かんでいた。

 

 

私、なんでこんな自然に仲良くこの人と話せているのだろうと……

 

 

さくらさんと出会ったのはつい最近、コクエンの事件の時。

 

知世さんから初めて話を聞いた時は、なんとなく親友(なのは)を取られてしまった風に感じて、少し気に入らない感じがしていたけれど……

 

 

それからこの人と一緒に行動するうちに、そんな考えはどこかへ行ってしまった。

あんまり詳しく言葉にできないけれど、この人とと一緒だとすごく心が安らぐのだ。

 

 

……多分、なのはもどこかでそれを感じているのだろう。

 

特訓の後で、なのはの髪が乱れてしまった時に、さくらさんがなのはの髪をとかしながら直していてくれてたけれど……

 

 

覚えている限り、なのははこれを他人にやってもらった事はない、私がやってあげると声をかけても、常に自分でやるといって譲らなかったはずだ。

 

ましてや、髪をとかしてもらいながらウトウトと眠るなんて……

 

……あの時、初めてなのはが年相応の姿に見えた気がした。

普通に過ごす分には、やや天然な少し年上のお姉さんだけど……

 

なんと言うか、この辺の感覚は上手く説明できない感じだ。

 

「……アリサちゃん、待たせてごめん!!

 すぐこの辺りを冷やすから、もうちょっとだけ待ってて!」

 

 

「え!? あ、すいません! ついぼーっとしちゃって……」

 

 

そう思っていると、使うカードが決まったらしく、私は慌ててさくらさんへと返事をかえした。

 

……それにしても、天候を変えられるって、あのカードもとんでもない力を持ってるわよねぇ。

 

 

「それじゃあ……」

 

そして、いよいよさくらさんがカードの力を使おうと、手に持ったカードを掲げようとした……その時

 

 

「あ、待ってください、

 あそこに看板が立っていますわ。」

 

 

知世さんが、そう言って少し先の方を指をさしたので、その先を見てみると、その先には板をつなぎ合わせたような西部劇に出てくるような感じの看板があった。

 

なんで、こんな所にこんな看板が……?

 

 

 

「ほえ……英語で書いてある……

 これ、なんて読むんだろう……?」

 

 

看板の内容は、全部英語で書かれており、さくらさんには読めないようだったので……

 

「さくらには英語はまだ早いようやな、えーと、これは……」

 

「『砂漠のオアシス、デザートレイクタウン

  この丘を越えたすぐそこ』……って書いてあるわね。」

 

 

もったいぶったぬいぐるみよりも先に、私が看板の内容を読み上げた。

 

 

役目を取ってしまったせいか、ぬいぐるみは不貞腐れた顔をしていたけれど、そんな事は気にかけず、私の興味は看板の後ろにある少し小高い丘の方へと向いていた。

 

 

「……確かに、砂漠と言えばオアシスはつきものだけど、本当に、この先にそんなものがあるのかしら?」

 

 

「とにかく行ってみよう、タウンって町の事……だったよね?

 だったら、そこに人が集まってると思うし。」

 

 

さくらさんは、今一つタウンの意味に確信が持てていないようだったけれど、別に間違ってはいないので、彼女に対して軽く頷いてからみんなと一緒に目の前の丘を登り始めた。

 

 

その先で、私達が目にした光景は……

 

 

アメリカナイズな、レトロな感じのする木造建築の建物が集まっていて、そのはずれには、柵で囲った大きな広場や、その先にある鉱山の様な洞窟の入り口……

さらに中央には、芝生に見える地面で囲われた水場があり、その水場も、まるでプールの様に舗装されている……

 

 

どう見てもオアシスと言うのとはちょっと違う、なにかを間違えたリゾート地のような光景と、そこで遊んでいるたくさんの小学生の姿だった。

 

 

「なによ、この光景……」

 

 

「……なんだか違う西部劇の町……かな?」

 

 

私のつぶやきに、なのはが真面目に答えを返す。

 

確かに、入り口にある看板のあたりとか含めて、プール関連以外は、そんな感じがするけれど……

 

 

開拓時代アメリカの西部って、こんな感じだっただろうか?

 

なんか雰囲気的には、日本人が勘違いしてる西部劇って気もするし……

すなわち、マカロニウェスタンならぬ、テンプラウェスタン……

いや、これは流石にふざけ過ぎか。

 

 

「……これも、あの杖を使う子達が作った町なのかな?」

 

 

「亀山小学校跡も、マギロッドの力を使ってお城に建て替えたって言ってたから、多分そうだと思うけれど……」

 

 

さくらさんの疑問にユーノはそんな感じで肯定しているが、ちょっとカクカクしてるとは言え小学生が

こんな建物を作れるんだったら、大工や建築会社の立場が無くなってしまう。

 

 

これは、魔法がすごいのか、それともマギロッドがすごいのか……

……そもそも、あの建物のカクカク具合、どこかで見た事があるような……?

 

 

「まぁ、こうしていても始まりませんし、ジュエルシードの情報を集める為にも、

 注意しながら、あの町へ行ってみる事にしましょう。」

 

「そうだね、あっちの方が涼しそうだし。」

 

 

確かに、ここで町の様子を眺めているだけでは、暑さで熱中症になってしまいかねない。

 

 

西部劇には無法者がつきものだけど、町のみんなの楽しそうな姿を見る限り、コクエンの時のように、何者かに苦しめられている様子は見られないし、とりあえず危険は無さそうだ。

 

 

こうして、私達は情報集めの為、デザートレイクタウンと名付けられた不思議で奇妙な街へと、足を踏み入れた。

 

 

 

……そう言えば、水着が必要ってのも、この為だったのね。

 

 

 

事件の影響で、未だアイツらには悪い印象しかなかったけれど、今だけは、ほんの少しだけ感謝する気持ちになったかも……

 

 

 




砂漠関連は、メダロット4のあたりが元ネタです
シリーズ4つも続くと、いつもの街から少し行った先が
やれ裏山、やれ鍾乳洞、やれ砂漠というのはトンデモな展開ですが……
位相のずれた世界ならば、まぁありっちゃありですよね



ちなみに、今回の章……と言うか、次の話から
更に魔導師化した他所の作品のキャラが更に増えてしまう予定
これまでも対外でしたけどね……


なお、出てくるのは基本主役以外……どころか、結構脇役からチョイスする予定
名前付きで出てくるのは、大体どっか他の作品から出てると思っていただければ


出せない場合は、オリキャラの設定募集するかもですが
詳しくは、目次ページの解説欄の【キャラ投稿企画開催中】のリンクからどうぞ

現状、出すとは確約できませんが、キャラ自体は常時募集しておりますので

(ハーメルンじゃあんまり出せないかもだけど、SRPG側なら結構出せるかも)

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