知世の野望 ~The Magic of Happiness~ 作:(略して)将軍
ユーノ、弾幕に続いて再び性能やらがここから大きく変化いたします
さくらちゃんが、コクエン君に向かって放った『風』がコクエン君の事を、しっかりと捕まえた後……
魔力を使い切ったはずのコクエン君が力を放出しながら大きな声で叫ぶと、『風』の鎖は解かれてしまい……
それと一緒に、地面から膨大な量の魔力が、その声に反応するように、あっちこっちから噴き出してきて……
気が付くと、コクエン君達の姿は消えており、更に、先ほどまで学校の校庭だった目の前の光景が
目の前には底が赤く輝いている大きな穴と、あちらこちらに、大きな石の塊が浮いている不思議で異様な光景へと変わっていました……
「なによ……なんなのよこれ……!?」
「この光景は……」
この光景に驚いて声を上げたアリサちゃんと、すずかちゃん、その他のみんなの驚いた声が聞こえてきました……
ただ、さくらちゃんとケロちゃんは、この光景に驚くよりも先に、なにか思い当たる事があったようで、互いに顔を見合わせながら話し合っていました。
「ケロちゃん……これって……?」
「まさか、こないな所にこれほどの力が溜まっとったとはな
……みんな、無事か!?」
とりあえず、みんなの安全を確認するため、ケロちゃんがみんなに声をかけると……
「とりあえず、ウチは大丈夫や……
しっかし、なんやこれ……聖霊力の高まりによう似とるけど……」
「私も大丈夫……
でも、これっていったい……?」
奈緒子ちゃんや、キャサリンさんの声が聞こえてきました。
とりあえず、私達の位置より後ろに居たみんなは全員無事の模様です。
あとは、なのはちゃんとユーノ君ですが……
そう思ってあたりを見回すと、私の所から少し離れた場所で、なのはちゃんが焦りながらあちらこちらを見回していました。
「なのはちゃん……? どうしたの?」
そんな様子を心配してさくらちゃんが話しかけると、なのはちゃんは切羽詰まったような表情をして……
「ユーノ君……ユーノ君がいないんです!!」
「えっ!?」
それを聞いて、私達も改めて周囲を見回してみると、確かに周辺にユーノ君の姿がありませんでした。
「アイツ……いったいどこに……!?
まさか、穴の底の方じゃ……!」
アリサちゃんがそう言ってすぐに、なのはちゃん、そして一緒に居たみんなが穴の底の方を注意深くみつめると……
「いましたわ!! あの岩盤の淵……!!」
赤い輝きが強く、見つけにくい状況でしたが、ようやく、波に浮かんでいる岩の上に、ユーノ君が倒れているのを発見することができました。
「ユーノ君!?」
「アイツ! 落っこちたんか!?」
ここからでは詳しい状況は確認できませんが、もし落ちて動けないのならばすぐに手当てしなくては……!
「待ってて! 今行くから……」
なのはちゃんはそう言うと、すぐさま飛び立とうとしましたが……
「待った! なんやおかしい気配がしてきよるで……!
……!? みんな! 注意せい!」
なにかを察したキャシーさんに制止された次の瞬間……!
―――ギギギ……
目の前で、奇妙な音と共に光が集中していくと……
「な……なにこれ!?」
そこには、ボロボロの金属製の細長い侍と言う表現がぴったりな、
見た事もない何かの集団が立っていたのでした。
「これは……アヤカシ……? 蟲……?
いや、そのどっちともちゃう!」
「機械人形の残骸……?
聖霊力とは違うみたいやけど……なんや、これ……!?」
ケロちゃんとキャシーさんは、目の前のこれらを見て、それぞれが知るなにか近いものを思い浮かべた様子ですが……
どうやら、いずれも目の前のアレとは異なるようでした。
「自動人形……?」
同時に、すずかちゃんも小さな声でぽつりと何かをつぶやいていましたが……
―――ギギギ
そうこうしている間に、あの人形はこちらに気付いたらしく、
武器を構えながら、こちら側へと迫ってきました。
「……どうやら、ここら辺に充満している強い力がこいつらを呼び寄せたみたいやな……!
なにもんかわからんけど、敵なのはまちがいなさそうや!」
「ど、どうすればいいのよ!?」
なぜこうなったのかはわかりませんが、この状況を作り出した原因が彼らを呼び出した力の元になっているならば……
「奴等を動かしとる力の大元、コクエンの力を押さえればええねん、
下の方に、大きな力を感じるさかいアイツは、底の方に居るはずや。」
私の考えを肯定してくれるように、キャシーさんが事態を解決する方法を教えてくれました。
ですが、下の方に居るという事は……
「下の方って……! ユーノ君がいるほうだよ!!
急がないと……!!」
「……おちつけ、一人で突破できる数やないで!
おまけに、このまま放っておくわけにも……」
慌てるなのはちゃんに対して、少し諫めるように声をかけるケロちゃん。
消耗したなのはちゃんだけでは、突破は難しいですし、万が一、彼らに外に出られては無関係な人を巻き込みかねません。
ですが、ユーノ君を放っておくわけにもいかず、どうにか、この状況を変える方法を考えていると……
「アイシクルフォール!!」
背後から、規則的な動きをする圧倒的な数の氷の弾が飛んできて、次々と人形を打ち貫いて行きました。
「この弾幕は……」
「チルノちゃん!!」
私達が後ろを振り返ると、そこには陽動に回っていたチルノちゃんの姿が……
さらに、一緒にウサオちゃん喫茶で出会ったみんなの姿も……!
「へへへ……やっぱあたいってサイキョーね!!」
「あの子……羽が生えてる……
もしかして、妖精さん……?」
自慢気な顔をしているチルノちゃんに、奈緒子ちゃんが、興味深そうな視線を向けています。
「どうやら、いいタイミングだったみたいだな……
……けど、この状況は一体……?」
駆けつけてくれた子達は、この状況を把握出来ていなかったので、先頭の子が代表して状況を確認しに来た際、ここまでの状況を簡単に説明いたしました。
そうして、底に落ちたユーノ君の救助と、この状況の原因となっているコクエン君を止める為、底の方に行きたい旨を伝えると、彼らは自分の胸を強くたたき……
「……だったら、俺達が何とかするよ!
足止めくらいだったら、なんとかなるはずだ!」
「こっちも、色々助けてもらったからね、今度は、私達が助ける番よ!!」
私達を、先に行かせる為に、この場での足止めをかってくれたのです。
「みんな……!」
「急いで! いつまで持つかわからないから!!」
お礼を伝えようとするなのはちゃんに、一人が先を急ぐように促すと……
「さくら! なのは! ワイはこの場でみんなの事を守っとる!
お前ら二人で、ユーノのとこへ行ってくるんや!!」
「ケロちゃん!」
「さくら、なのはの事をちゃんと守っとったれや!」
私達を守る為か、ケロちゃんはさくらちゃんとなのはちゃんの二人に下へと向かうよう指示してくれました。
「わかったよ、ケロちゃん! みんなの事をお願い!!
いこう、なのはちゃん!!」
「はい!!」
そうして、さくらちゃんとなのはちゃんは、チルノちゃんの弾幕で、手薄になった場所を抜けて、穴の底の方へと向かっていきました……。
―――
「はぁぁぁぁぁッ!!」
「うおっ!?」
ガッチリと両手でつかんだコクエンの身体を、力で持ち上げて遠くへ投げ飛ばす。
だけど、コクエンは地面に衝突する瞬間、うまい具合に受け身を取ってダメージを軽減させてしまった……
「へ……やるじゃねぇか、お前みたいな優男にそんな力があるとは思わなかったぜ」
そのまま立ち上がったコクエンは、感心するようにそう言う……
受け身を取られた分、大したダメージは与えられなかったみたいだ。
「……伊達に、一人でジュエルシードを回収しに来たわけじゃない。
それに、発掘に関しての技術は一通り叩き込まれてる……
力仕事だって、それなりに経験はあるんだ。」
まさか、こんな争い事で使う事になるとは思わなかったけれど……
コクエンの最初の突進を防ぐ際、なぜか右腕でシールドを張ることが出来ず、それに気づいた直後、とっさに避けようとしたものの、コクエンの拳が頬をかすめ、そのままコクエンは息をつかせぬラッシュ攻撃を仕掛けてきた。
幸い、左腕からはシールドを張る事が出来たので、それらや、チェーンバインド、そして弾幕を駆使し、なんとかコクエンの猛攻を防ぎつつ、隙を見て先ほどの様な反撃をしていくが……
コクエンの格闘術は意外としっかりしたものの上、バインドは先ほど同様に効果が薄くシールドも、左手だけでは右側の守りが甘くなってしまい、逆にこちらが押し切られそうになってしまう事も何度もあった。
弾幕だけは、右手で放つ事が出来たけれど、一発一発の攻撃力は高くないので制止力が足らず、ダメージ覚悟で突っ込まれてくると、こちらの方が痛手を負ってしまう……
……ここまでを分析してみると、正直コクエンの使ってくる魔法は、魔法とは言い難い魔力を暴発させているだけの荒っぽい代物だ。
だけど、現在コクエンの放っている魔力は相当なもので、それだけで十分な破壊力を発揮しており
このまま受け続ければ、いずれシールドを破られかねないだろう。
その前に、何とかして決着をつけたいけれど、元より攻撃魔法が不得手な上、バインドが通用しにくく、右手で碌な魔法が使えないとあれば、ジリ貧になるのは目に見えている……
身体には、魔力が充実しているのになぜ……?
先ほどの投げも、コクエンに警戒されている以上、2度目は通用しないだろう……
「……うおおおおおっ!!」
決定的な解決策が浮かばないまま、コクエンは次の攻撃を仕掛けてきた。
初撃はかわして距離を取ったけれど、すぐに距離を詰めてくる……
もう僕にはどうしようもないのか……?
だけど、もう僕に使える魔法は……
……いや、ある!
この方法ならもしかして……!
思い浮かんだ手段を実行するため、僕は再び距離をとると、僕はコクエンに向かって攻撃の構えをとる。
「……!? 何のつもりだ、そりゃ……?」
だが、僕の構えを見ると、コクエンは不機嫌そうな顔をした。
コクエンの反応に対し、僕は当然だと思った。
……なにしろ、僕のとった構えはコクエンのとよく似た……
いや、意図して同じ構えをとったのだから。
思い浮かんだアイデアは、すごくシンプルなものだった。
すなわち、コクエンと同じことをやり返す事……
コクエンの今の力が、この輝く液体にあるのならば、恐らく同じように浸っていた僕の右腕にもおなじ力があるはずだ。
「……なるほど、俺様の真似をしようってわけか、
だが、そんな即席の構えでどうにかなると思ってんのか?」
正直、同じことをやり返すだけでは、僕の方が不利だろう。
あの赤い液体に、全身が浸かっていたコクエンと、右腕だけの僕とでは、力の差は大きいだろうし、
格闘術の腕もコクエンの方が上だ、だけど……
「……どうにかなるじゃない、なんとかするつもりだよ」
僕は、コクエンに対し宣言するようにそう言い放つ。
……今のコクエンをこのままにしておくわけにはいかない、ここで止めなければ……
僕はそう思ってから、構えを持ったまま力を集中しはじめた。
右腕から感じる、これまでと違う力の感覚……
それを実感している中、僕はいつもフェレットに戻る時お世話になっている、さくらさんの『盾』の中での感覚を思い出していた。
攻撃だけでない、あらゆる物から護る意思の込められた魔法……
僕がそれまで学んできた魔法と、全く異なるその力の中での感覚と、右手に集まっている力に、どこか同じものを感じたからだ。
そして、その力が十分に高まったのと同時に、胸の奥底から、熱い何かがこみ上げられ……
「舐めんなよ……このヤロォっ!!」
「そっちこそ……いい加減にしろぉッ!!」
怒鳴り声と共に仕掛けてきたコクエンの突撃にやり返す様に、溜まり溜まった思いをぶちまけて、コクエンへと突撃していく……
正直、こんな熱い感情が出て来たのは初めてだ。
……思えば、こいつには色んな意味で苦労させられっぱなしだった。
コイツのせいでアリサに正体がバレるわ、すずかがさらわれるわ、女装させられて潜入させられるわ、なれなれしく話してくるわ、勝手な事をいってくるわと、今夜だけで思い出に残したくないイヤな記憶ばかりが出来てしまった……
少し勝手かもしれないけれど、その辺の仕返しも兼ねて、僕は自分の拳を更に強く握り込んだ……
「うおおおおおおおっ!!」
だけど、コクエンの方が、先にモーションに入り、拳をたたきつけようとして接近してくる。
先にモーションに入られたのでは、僕の方がやられてしまう……が、
「貰った!!」
「ッ!?」
コクエンが振りかぶる直前、用意しておいたチェーンバインドでコクエンを拘束した。
右手への集中の為、かなり弱いバインドではあったけれど……
「バカがッ! この程度足止めに……」
「それで……十分だ!!」
すぐに、コクエンはバインドを解除しようとそちらに集中しが、その一瞬の間に、僕はコクエンの懐に潜り込み……
「なっ!?」
「はああぁぁぁぁぁぁっ!!」
―――ガッ……
懐に潜り込んだことで驚愕の表情を見せたコクエンへと、右手をため込んだ力ごと、拳をコクエンへとたたきつけた……
それを喰らい、コクエンは一瞬ふらついたが、再び姿勢を直し……
「ぐっ……だが、まだ……」
改めて、攻撃のモーションを取ろうとしたけれど、僕の攻撃はまだ終わっていない……
「コクエン……これで決める!!」
更なる魔力を暴発させる為に、僕は左手で右手の手首をつかんで安定させ、そこからさらに高まった右手の疼きを叫び声と共に解き放った……!
―――ドォォォォン!!
これまで使ってきた魔力光とは違う、強い輝き……
それが直撃した所からあふれだし……
「……へっ」
「!?」
直後、コクエンのニヤリとした表情に驚いたが、コクエンはそこから構えをとる事をなく、数歩後ろに下がっていき……
そのまま膝をついたかと思うと、コクエンの足元が崩れ……
「!? コクエン!!」
その光景を目にした瞬間、僕は前へと駆け出していた。
……この時、僕は何を考えていたのだろう?
こんな奴でも、見捨てるわけにもいかないと思っていたのか、それとも別の事を考えていたのか……?
ただ、コクエンに向かって、手を伸ばそうとしたのは間違いなかった。
だけど、結局その手はコクエンに届く事はなく、コクエンの足元が、完全に崩れる直前になって……
「コクエン!!」
「………………」
僕のではない、コクエンを呼ぶ声が響いたが、コクエンの返事はなかった。
「フェイト!?」
突如として現れたフェイトが、落下中のコクエンの手を握りしめていたのだ。
てっきり、彼女上でなのは達と戦い続けているかと思ったけれど……
「……この場は引かせてもらう。」
「ま、待て……!?」
コクエンを抱え直しながら、そのまま去ろうとするフェイトを追おうと、今度は彼女に向かって手を伸ばしたけれど、力を使いすぎた影響か、全身に力が入らず、僕はそのまま倒れてしまった
「こ、こんな時に……」
なんとかして、この場から抜け出さなければならないのに、身体がいう事を聞かず……意識も朦朧としていってしまった……
そう、いつかと同じように……
―――
「勝ったの、アイツの方だったな。」
「ああ、正直驚いたぜ、
まさか、アイツがあれだけの力を見せるとはな……」
コクエンと、ユーノの戦いを少し離れていた場所で見ていた俺達は、この意外な結果に、お互い驚きを隠せなかった。
「俺の攻撃を防ぐだけあって、防御は大したもんだったけど、攻撃は他の二人がやってたからなぁ……
アイツのアレも、例のシステムの影響なのか?」
「さぁな……
アレの性質を考えると、十分にありうるが……」
アイツが最後に見せた力は、あのシステムの影響だけじゃない気がする……
確信は持てないが、俺の直感がそう告げていた。
「……んで? これからどうするんだ?
フェイトの奴は、アイツを引き上げてどっか行っちまったけど?」
「コクエンが敗れた以上、俺達もここに居る意味はない、十分なデータは取れたし、いったん引き上げるぞ、ゲン。」
「おう……でもいいのか、アイツら放っておいて?」
ゲンが心配そうな顔をして、下の方を見続けていた……
「ユーノ君! ユーノ君! しっかりして!!」
そのさきでは、フェイトに少し遅れて駆けつけた高町と木之本が、気を失ったユーノに声をかけながら脱出しようとしている。
助ける意味でならば、あの二人が居れば大丈夫だろうし……
「心配ないだろう、ロッドマイスターとは事情が違うようだが……
アレだけの力の持ち主だ、放っておいても関わりざるを得ないだろうさ。」
フェイトとも縁があるなら、なおの事……な
そうして俺達は、上の連中に気付かれないようなコースをたどりながら、亀山小学校を後にした。
今後の戦いを、楽しみにしながら……
前半の機械人形……これ元ネタ分かる人いるのかなぁ?
一応わかる人向けに書いておきますが、この辺りは完全にフレーバーです
ですので、原作の関係者はほぼ出てこないものと思ってください
……っていうか、そもそも時代合いませんからね
以降も、カオスにならない程度にはフレーバーで他の作品使うかも
ユーノの素手状態での力持ち設定は、発掘やってるなら、見た目は華奢でも
そこらへん一通りは叩き込まれてるだろうというイメージからです
恐らく、本来の魔法勝負では活躍せんだろうけれど……
あと、最後の攻撃はテリーのバスターウルフ意識しました
言うまでもなく本来ユーノには使えないのですが……
前回もそうですけど、その前のあるイベントの時点で
魔力そのものに変化が表れている状態です
コクエン編はこれで決着かな
後はエピローグ書けば新しい章に行けるぜ