知世の野望 ~The Magic of Happiness~   作:(略して)将軍

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イメージCV:檜山修之でお楽しみください


ふんわりお姉さまとメイド少女

 

 

 

ある日の夕方、いつもの帰り道を歩いてた俺は

気が付いたら知らない裏路地を歩いていた。

 

道を間違えた覚えはないし、そもそもこの町に

こんな路地があったか? と思っていた所……

 

 

「そこのキミ……魔法の杖、いかがかしら?」

 

いつの間にか目の前に立っていた。

後に、黄昏の魔法使いと呼ばれることになるあの女は

そう言って、俺に魔法の杖……マギロッドを差し出してきた。

 

 

とりあえず貰えるものは貰っとく主義なので、

そのまま杖を受け取ることにしたが、

受け取ったのは、魔法の杖と言うよりはなんかメカメカっぽい代物だったし、

そもそも魔法の杖なんて言われて、信じる方がどうかしてる。

 

 

……何のつもりでこんなことをするのか、

そもそも、ここはどこなのか聞こうとして、顔を上げると

女はいつの間にか消えており、周囲の風景も、普段歩いている道に戻っていた。

 

 

あれは夢だったのかと思ったが、手には貰ったマギロッドがあったし

なんかわからないけど、この杖からは言葉に言い表せない不思議な感覚を感じたので、

とりあえず試しに、道行くオヤジに杖を向けて念じた所、

その瞬間、強い風が吹いてカツラが飛んで行ってしまった。

 

それだけなら、単なる偶然だろうと思っていただろうが、

他にもいろいろ試してみた結果、同じようにいろんな事が起こったので

なにがなんだかよくわからないが、この杖は本物だと確信してから……

 

……俺の日常が変わったのだ、もちろんいい方へと。

 

 

ただ、マギロッドを貰ったのは俺一人だけじゃなかったらしく

周囲ではマギロッドを使ったらしい騒ぎが起こり始めており

さらにあちこちで、マギロッドの持ち主、ロッドマイスターの小競り合いが発生しはじめたのだが……

 

 

周囲でやり合ってる奴等の雰囲気を見ると、あんま大した風には見えなかったので

他のマギロッドを持った奴等に勝負を挑んだ所、あっさりと勝つことが出来た。

 

そこから同じ要領で勝ち星を重ねていき、

倒した奴を片っ端から配下にしてたら、気が付いたら山茶花町で

俺にかなう奴はいなくなり、兵隊の数もかなりのものになっていたのだ。

 

 

もうこの街に俺様にかなうやつは居ねぇ!

 

そう思って浮かれていた俺はある日の事、

いつの間にか、あの裏路地にたどり着き

再び、マギロッドをくれた女と再び出会ったのだった。

 

「久しぶり、上手く力を扱えているみたいね……」

 

あの女は、俺のやった事を知っていたらしく

よくやったとほめてくれ、さらに褒美として、

これまでより強いマギロッドをプレゼントしてくれた。

 

 

新しいマギロッドは、これまでよりも一段強い性能だったので、

このプレゼントは、確かにうれしいものだったが……

 

 

……この時は、俺の興味はマギロッドではなく、

女の横にいる金髪美少女の方の方に向いていた。

 

 

……うん、いいなぁ

目がぱっちりしてかわいいし

髪もサラサラだし、はかなげな感じがなんともグッド……

 

 

それになんていうか……いいのか?

こんな露出度高い恰好なんかして……

メイドさんもいいけど、こういうのもなんか……

 

 

そう思って彼女を眺めていると、彼女は俺の視線に気づいたのか

女の陰に身を隠してしまった。

しまった、あんまりじろじろ見すぎたか……

 

惜しいと思いながら、がっつきすぎたことを反省していると……

 

「……実は、アナタにはこの子の手伝いをしてほしいの」

 

 

女はいきなりこんなことを言い始めてきた。

 

 

なんでも、彼女はジュエルシードとかいう青い魔法の宝石を探しているそうだけど

一人だけじゃ手が足りないとかで、俺に力を貸してほしいのだという。

 

そんなの、考えるまでもない。

 

 

「こんなかわいい子の為なら、いくらでも手伝うぜ!!」

 

 

俺は即答すると、女はさらに助っ人の紹介を約束してくれた上、

余所の町に通じてるという次元の異なる抜け道、

『クラスター』に出入りする方法を教えてくれた。

 

 

助っ人に関しては、最初は金髪のかわいこちゃんこと、

フェイトちゃんが来てくれるのかと思っていたのだが、

彼女は別の仕事があるそうで、後日別の奴がやって来る事になった。

 

 

……で、当日やって来たのは、またもかわいい女の子……じゃなく

飴を舐めてる坊ちゃんカットの、身長180cmはあるデカブツヤロー……

見た目迫力があって強そうだけどだけど、あの子を見た後だとガッカリ感が半端じゃねぇ……

 

 

ただこのデカブツは、普段は図体に似合わず飴ばっかり舐めていても、

腕は確かで、うちの幹部クラスがまとめてかかっても相手にならない強さだった。

 

 

部下の中では、俺とあいつのどっちが強いかっていう噂もたっているようだが……

 

そりゃ、当然俺に決まってんだろ。

 

直接証明してやってもよかったんだが、大事な作戦をやる前だったから

ぶつかり合って消耗するのも馬鹿らしいので、

コイツの事は適当な部屋を与えて、用心棒をやってもらう事にした。

 

 

そして、クラスターに関しては……

フェイトちゃんの為ならばという事で、部下を総動員して

中ををよく調べてみたのだけれど、

これが、本当にあっちこっちにつながっていて……

 

 

最初の方は、頼まれたとおりに

抜け道周辺にあったあの宝石を集めて

受け取り役としてやってくるフェイトちゃんに渡していたのだが……

 

 

抜け道一つの近くに、前に雑誌で見た事のある友枝小学校があるという

うれしい誤算があってから、ある計画が思い浮かんだ。

 

 

ここら辺の女子は、大半が不良じみた連中ばっかりだから

かわい子ちゃんをはべらせるという目的を果たすには

どうしたものかとずっと考えていたんだが……

 

これなら、簡単に達成できる!

その事に気付いた日は一日中笑いが止まらなかった。

 

 

あの小学校の女子は、ほんとカワイ子ちゃんばっかりだからなぁ……

 

 

そして、カワイ子ちゃんを連れてこさせるために

まずは下準備に他の学区を襲撃して

適当な子達を連れてこさせた上で……

 

 

ついに今日、本命の友枝小学校周辺に仕掛けたんだが……

 

 

帰ってきた連中はボロボロになっていた上

連れてこれた子は、たった二人だけ……

 

 

どういう事だと怒鳴ったら、帰ってきた連中は、

羽のライオンを連れた魔法少女達にやられたとぬかしやがった。

 

 

最初はふざけているのかと思ったが、

後から帰ってくた奴等も同じことを言っており、

必死の形相から嘘は言ってなさそうだったので、詳しい話を聞いてみると……

 

 

あるヤツは、足元に魔法のひもを張られてすっころばせられ、

またあるヤツは、光が見えたと思ったらいつのまにか気絶させられており、

……そして、一番多かったのが周囲にキラキラしてる何かがバラまかれたと思ったら

いつのまにかグースカ寝てたという話だった。

 

 

ふっざけんな! この計画に部下の7割は動員してんだぞ!

いったい、どんな化け物にやられたんだと聞いてみると……

 

 

……全員、何かを思い浮かべた様子を見せると

直後に一瞬で顔がにやけ、鼻の下を伸ばしたのだった。

 

 

……美少女だったんだな!! その魔法少女!!

 

 

あれだけの兵隊よりも強くて、しかも美少女……!

くそーっ! 俺もみてみたかった!!

 

そんな子を連れてこれれば最高だったのに……

まったくもって惜しい!!

 

……とりあえず、成果無しの連中には

適当な制裁を考えておくとして……

 

 

とりあえず、いまは何とか連れてきた女の子の

顔を拝んで見たかったので、恰好を整えてから貴賓室へと向かったところ……

 

 

今回連れてきた二人を見て、驚いた……

 

 

うわ、これは大当たりだわ……

成果はたった2人だけど、侵攻したかいあったかも……

 

 

連れてきた二人のこのうち、お嬢様な雰囲気の髪の長い子の方は

こちらを警戒する風に、怯えた風な視線を向けてきた。

 

 

制服が違うから、友枝小の子じゃないみたいだが……

でもそんなこと関係ない、かわいいから許す!

 

 

ただ、このままじゃお話しするのは難しそうだなぁ……

このままじゃ名前を聞く事も出来そうにないので、

とりあえず、落ち着くまで様子を見る事にする事にする。

 

 

そしてもう一人……本命の友枝小学校の子は

怯えるどころか、何故か嬉々とした様子をしており

 

 

「これって、とっても不思議体験だよね」

 

 

目を輝かせながら、そんな事を言っていた。

 

 

話を聞くと、この眼鏡の女の子……

6年生の奈緒子お姉さんは、オカルト話が大好きで

俺達の事を、最初は宇宙人と思ってたとか……

 

 

俺達は宇宙人じゃなく人間で、使ってるのは魔法だと言ったら、

奈緒子お姉さんも、どこからかうわさ話を聞いたらしく

黄昏の魔法使いの話を聞いた事があるようで、

実在してたのかと、感心したかのように驚いていた。

 

 

……ならば、友枝町にいた魔法少女について

何か知っているんじゃないかと思い話を聞いてみたのだが……

 

「魔法少女? 友枝町に……?

 うーん、それらしい話は聞いた事ないけど……」

 

 

奈緒子お姉さんには、その魔法少女について思い当たる節は無い様子で、

 

 

「ただ、4年生の時から、友枝町では不思議な事が起こっていたから

 もしかしたら、それと関係あるかもね」

 

 

頬に指をあてながら、首をかしげてそう言ってたけれど……

 

 

くぅ~……そのしぐさが、ほんとかわいい

俺たち相手に物怖じすることなく、なんというか

こう……ふんわりとした雰囲気がたまらなぁい!!

 

 

そして、すっかり彼女に夢中になってしまい、

あれやこれやと長時間話していると

気が付いたら、のどがカラカラになっていた。

 

 

こういう時、何も出さないというのは男の礼儀にかけるので

お茶でも用意してこようかと、貴賓室を出て、給湯室まで行こうとしたら……

 

その途中、あのデカブツが居る部屋から

誰かと話している声が聞こえてきた。

 

 

戦闘か、特訓の時以外は、一人で飴舐めてばっかりの

アイツにしては珍しいなと思って部屋の中を覗いてみると……

 

 

「それで、ゲンさんはどこから……?」

 

 

「んー、悪いな

 それはしゃべっちゃダメって言われてるんだ」

 

 

どういう事だ、これは……

 

 

見えたのは、あの野郎が事もあろうに

俺の好みどストライクのメイド服を着た金髪少女と話している所だった。

 

正直、メイド少女は黒髪の方がいいかなと思っていたのだけれど……

金髪だって負けてない位に魅力的……って違う、そうじゃない!!

 

 

おまえ! いったいいつの間に!?

 

 

「おい、ゲン! なんだそのメイド少女は!?」

 

 

クッソうらやましい……! メイドなんて連れてきやがって

こいつおぼっちゃんなのは、髪形だけじゃなかったのか……!

 

 

……と、憤慨して怒鳴り込むと

ゲンはこっちを振り向いて……

 

 

「なんだよコクエン、こいつお前が

 連れてきたんじゃなかったのか?」

 

 

すっとぼけた顔で、そんな返事を返してきた。

 

 

俺が……この子を?

 

 

馬鹿言え、こんな子が居たらお前なんかに近づけるか!

 

 

「あの……コクエンさんって

 この周辺のロッドマイスターで一番強いっていう?」

 

 

「え? 俺のこと知ってるの?」

 

 

メイド少女は、俺の噂を知っていたらしく、

ちょっと驚いたような顔で、こちらに話しかけてきてくれた。

 

やばい……近くで見たら更にかわいい……!

 

 

「あ……はい、町で迷っていたら部下の人達が、

 あなたにあってみないかと、ここまで案内してくれたので……」

 

 

だれだ!? こんな最高にかわいい子を連れてきてくれたのは!?

 

後で思いっきりほめて……いや、先にこの子の案内と

奈緒子お姉さん達に、お茶の用意をするのが先だ!!

 

 

「そ、そーなんだ! わざわざ来てくれてどうもありがとう!!

 じゃあ改めて……俺の名前は宵闇コクエンだ、君の名は?」

 

 

「あ、アリサでぇす」

 

 

まぶしいばかりの笑顔と、かわいらしいポーズをとりながら

そう言って自己紹介をしてくれたアリサちゃん……

 

 

くーっ、しびれるぜ

 

 

その間、ゲンのヤツは興味なさそうに飴をしゃぶりながら

相変わらず飴をしゃぶり続けていた。

 

 

かわいそうだねぇ、この可愛さがわからない奴は……

まぁ、俺にとっては都合がいいんだけどな

 

 

そうだ、メイドという事はお茶の用意とかも得意のはず……

ちょうどいい、一緒に手伝ってもらおう!

 

 

「じゃあアリサちゃん、ちょっと頼みたい事があるんだけど

 今、貴賓室に他の女の子たちが居てさ。

 彼女達にお茶を入れてあげたいんだ、手伝ってくれないかな?」

 

 

「あ……はい、よろこんで」

 

そう言って、アリサちゃんはかわいらしく笑顔を返してくれた……

 

 

急なお願いにもすぐに対応してくれる……まさにメイドの鏡だぜ!

 

どっかのコスプレ好きなのかもしれないけど、

こんな子に、毎日お世話してもらったら最高だろうなぁ……

 

 

こうして俺は、廊下でうらやましそうな目をしている奴らを横目に

アリサちゃんと一緒に給湯室でお茶を入れて

彼女を連れて、貴賓室へと戻っていくのだった。

 

 

あ~、もう最高ぉ~……!

 

 


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