「着いたな。」
「ここが極東の首都…」
「………」
KMF型のアラガミを倒してから数週間が経ち、ライとリンドウとサクヤは遂に極東のかつての首都“トウキョウ”に降り立った。
「それじゃ役割分担といくか。俺とサクヤは適当に見てまわるからお前も“記憶探し”してこい。」
「…え?」
「ちょっとリンドウ!?」
「あくまでも探索は俺とサクヤの仕事だからな。それに3人一緒だとこの街を見てまわるのに時間がかかるだろうしな。」
「理由は分からんが幸いこの街にはアラガミの数が少ない。危険は少ないだろうしお前なら単独でなんとかするだろ。」
「分かりました。」
「集合は2時間後くらいにするか。まぁそこら辺は適当にということで。」
「リンドウ!!」
「どうしたサクヤ?」
「どうしたじゃないわよ。ここは未知の場所なのよ。なのにわざわざ別れて行動するなんて…」
「確かにここは未知の場所だな。……俺たちにとってはな。」
「え…?」
「少なくともアイツにとってはここは知ってる場所なんだよ。現にアイツ、軽い足取りで行きやがった。」
「あれはどうみても思い出せないだけで土地勘があるな。それだけでもここに連れてきた甲斐があったな。」
「連れてきたって決めたのはサカキ博士でしょ。」
「細かいことはいいんだよ。それにうまくいけば記憶を取り戻すかもしれないしな。」
「それがアイツにとって良いことなのか悪いことなのかは分からないが。」
「さて、探索を始めるとするか。」
「ちょっとそれってどういう意味?」
「あん?」
「彼の記憶が戻ることは良いことのはずでしょ?」
「そうだな。でも奴にも嫌な思い出とかもあるだろ。それを思い出すのはいいことか?」
「それはそうだけど…」
「それにサカキ博士が言ってたが最悪の場合、記憶を取り戻すことで今までの記憶を失うこともあるらしい。」
「え?」
「可能性は低いがあり得ることだからな。記憶が戻ることは良いことだが素直に喜べることでもないんだよ。」
「……なんでこっちに来たんだろう。」
ライは迷いなく動く自らの身体に困惑していた。
リンドウ達と別れて行動するとなってからライは迷うことなく道を進むんでいた。
それはまるで久し振りに故郷に帰省したような足取りだった。
ライは記憶を失っている。故に肉体の記憶と不一致している。
だからライは困惑する。
「止まった。」
数分ほど時が経つとライの足取りは止まった。
「ここは…学校?」
辿り着いたのは広大な敷地の学校だった。
「……ッシュフォード…アッシュフォード…っ……!!!」
学校の門にはアラガミに傷つかれて擦れてはいるものの名前が書いてある。その名を口にするとライの頭に強い痛みが走り、堪らず手で押さえた。
「っ…!!はぁ…落ち着け。」
痛みは引いていき、押さえていた手を放す。
「はぁ…」
学校の敷地内に目を向けると既に壊れているし劣化もしている校舎と壊れている噴水があった。それに複数だがオウガテイルがいた。
「……ここは貴様等のような下種がいていい場所じゃない。」
オウガテイルを見つけた瞬間、ライは何故か激昂した。
自分でも驚いていたが身体はオウガテイルに向かって走り出し、叩き潰さんと神機を振り上げる。
「ここを…“彼等”の居場所を…踏み躙るな!!!」
ライの叫びに呼応するように神機はオウガテイルの一体を叩き潰した。