神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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実地演習

「本日より実地演習を開始する。」

 

「はぁ…実地演習ですか。」

 

訓練という名のシミュレーションに勤しむこと1週間。まだ実戦に出ていないライに教官を務めるツバキから実地演習の訓練の命を下された。

 

「そうだ。実地演習は実戦に出ているゴッドイーターに帯同して任務を遂行してもらう。シミュレーションとは違い演習とはいえ実戦になるから心して掛かれ。」

 

「了解。」

 

「まぁお前なら大丈夫だろうがな。今回、お前の実地演習に付き合うゴッドイーターは後にお前が配属される部隊の隊長だ。其奴の指示に従い、任務終えてまたここに帰ってくるまでが実地演習だ。気を抜くなよ?」

 

「はい。」

 

「そう硬くなるなよ。教官殿も余り新入りに緊張させないでくれませんかね?」

 

「来たか。」

 

ツバキがライに激励の言葉をかけているとリンドウが頭を掻きながらやってきた。どうやらリンドウが同行するゴッドイーターらしい。

 

「そんなつもりはないがな。では雨宮少尉。あとは任せるぞ。」

 

「了解です。」

 

リンドウの返事を聞き、ツバキはエレベーターの方へと向かう。

 

「さて、お前とは初めましてじゃないんだが一応自己紹介するか。俺は雨宮リンドウ。ここフェンリル極東支部の1番隊隊長を務めている。階級は少尉だ。っても堅苦しいのは苦手だからあんま気にしないでくれ。」

 

「はあ…」

 

今まで出会ってきたのがツバキやヨハネスみたいな堅い性格だったからか少しリンドウの性格にたじろくライ。慣れてないせいか少し苦手意識が芽生えている。

 

『しかしまさかお前さんが新型使い手とはな。偶然とは恐ろしいものだな本当に。」

 

『どういう意味ですか?」

 

『やっぱ覚えてないか。まぁ当然だな。実はお前さんを保護したのは俺だ。その保護した奴がまさか新型の適合者だったんだ。だから偶然とは怖いなぁ。」

 

「そうだったんですか。ありがとうございます。」

 

「御礼はいらんから早く背中を預けられるようになってくれよな。じゃあ早速実地演習に行くか。っとその前に3つ言っとくことがある。心して聞け。」

 

「死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。隙があったらブチ殺せ。これじゃ4つだな。まぁいいか。そんじゃ行くぞ。」

 

リンドウの先導の下、ライは実地演習の戦場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハ…すげえなアイツ。」

 

実地演習の地『贖罪の街』でリンドウは驚嘆の声を上げた。

 

実地演習の任務は『オウガテイル』3体と『ザイコード』2体の討伐。小型種とはいえ集まれば面倒な相手であり初実戦の相手にしてみれば難しい任務だとリンドウは思っていた。

 

しかし蓋を開けてみればなんとやら…

 

ライはいとも簡単にオウガテイルとザイコードをとして見せた。

 

新型特有の近接遠隔変換を使いこなし、銃撃でザイコードを討伐。残るオウガテイルもリンドウの助けあり10分も掛からずに討伐を完遂させた。

 

「さすが新型といえばいいのかねぇ。それでもお前さん腕がいいな。」

 

「どうも。」

 

討伐したアラガミのコアを神機で喰らいながらリンドウの賛辞の言葉に応えるライ。

 

「狙撃の腕も凄いな。スナイパーでオウガテイルの目玉をブチ抜いた時は驚いた。しかも相手の死角からの斬撃だろ?さらにはザイコードにはその鎌であの大きな目玉斬り裂いた時はアラガミに同情したくらいだ。」

 

そうライは相手の死角からの攻撃を重視していた。さらに相手の五感の1つである視覚を奪うという一見卑怯とも言えるが生き残るには的確な戦法だ。因みに今回のライの神機は鎌(ヴァリアントサイズ)とスナイパー、バックラーである。

 

のちにあらわれる自称騎士道精神の塊は卑劣というかもしれないが…

 

「本当にすげえな。記憶を失う前はお前は何やってたんだろうな。」

 

「…知ってたんですか。」

 

「まぁな。ある程度の神機使いの耳には入っているよ。」

 

『ま、この世界じゃ記憶を失うほどの恐怖を味わっても不思議じゃない。他の連中も気にしてないみたいだしお前だってそこまで気にしてる様子はないようだしな。」

 

「そうですね。そこまで気にしてません。」

 

「そうか。ならいいんだ。そんじゃ帰って飯にするか。」

 

リンドウがそう言うとちょうどフェンリルのヘリが到着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ、帰ってきた。」

 

アナグラに戻り、神機の保管室に来るとそこには灰の髪で左頬に油汚れが付いている少女の姿。

 

「リッカさん。」

 

「ようリッカ。出迎えか。」

 

「お疲れ様ですリンドウさん。」

 

ライとリンドウに労いの言葉をかける少女。彼女は『楠リッカ』。ここフェンリル極東支部で神機整備を行なうエンジニアである。フェンリルに所属する前からアナグラに入るため技術者歴は長い。

 

ライと面識があるのはシミュレーションの際、あらゆる神機の組み合わせを行なったライに興味を持ち、ちょくちょく訓練室に顔を出していた。そのことがありライとは話す真柄となった。

 

「神機はどんな感じだった?」

 

「特には何も。でも銃形態から鎌に変えるとき妙に変な音がしたかも。

 

「調整が甘かったかな?分かった。こっちで調整してみるね。」

 

そう言うとリッカは去って行く。

 

「リッカとはよく話すのか。」

 

「そうですね。新型神機の整備は初めてだからといろいろ聞かれる間柄です。」

 

「そうか。まぁあれだ。新型新型というがお前が全て背負う必要はない。旧型にも旧型の矜持があるからな。」

 

「わかりました。」

 

「そんじゃとっとと報告して飯を食うか。」

 

そう言い、リンドウとライは神機保管室からエントランスへと向かった。




リンドウと再会(?)とリッカ登場回でした。

さて、感想にて無印で血の力の解放もあり、という意見をもらいました。

血の力はブラッド(P66偏食因子適合者)が使える力でその正体は感応現象をより強化したものみたいです。

血の覚醒が無ければ常時発動はできませんが無意識もしくは単発ならありか?

イメージとしてはワンピースの覇王色の覇気ですかね。

それに血の力の名称も決めないと2以降も主人公枠なら『換気』
でいいのですが。

仮に出すにしても先の話なのですがね。

あともう1つ疑問。

リンドウはアラガミ化したらハンニバルになって他のゴッドイーターはスサノオになりました。

もしライがアラガミ化したら何になるだろう。

なんかライの半アラガミ化もありな気がしてきた。

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