リンドウの捜索にさらにブレンダンの捜索も加わり、第1部隊も捜索に加わることになった。
リンドウと違いブレンダンの腕輪は壊れていないと思われるリンドウよりもブレンダンの捜索を優先することになった。
そしてライはアネットとフェデリコと共にアラガミ討伐を兼ねた捜索に出ている。
「……動きが悪い。」
シユウ種の新種『セクメト』と対峙してる中ライはアネット達を後方から援護しつつ、戦況を見ていた。
その際、目に余ったのはアネットの動きだしの鈍さだった。
アネットの戦い方は神機を力の続く限り神機を振り回す。防御を蔑ろにした超攻撃スタイル。
だが今は動きが悪い。そのせいで本来の戦い方ができず、今はセクメトの攻撃を盾で防いでいる。皮肉のもそれが囮の役割を果たし、フェデリコの攻撃でセクメトにダメージを与えているが。
「まったく…グボロも倒さないといけないのに…」
深い溜息を吐きつつ、ライは神機を強く握る。
「とりあえず、アネットは外すか。」
そう呟き、ライはセクメト討伐に赴いた。
「フェデリコ。グボロは北東エリアに現れたみたいだからそっち行こうか。」
「は…はい!!」
「アネットはこのエリア中心にブレンダンさんの捜索を頼む。」
「え…?」
「小型アラガミがいるだろうけどアネットなら大丈夫だから。じゃあ頼んだよ。」
「あ…あの私も討伐に…」
指示を出すとライはフェデリコを連れて北東エリアに向かう。だがアネットも討伐参加を直訴するが…
「キツイこと言うが邪魔。」
「ッ……!!!」
「生死を賭けた戦いで集中できない奴がいたら周りはどうなると思う?」
「え…」
「その答えがわからないなら考えること。」
そう言うと今度こそライはフェデリコを連れて北東エリアに向かった。
「あの…先輩。」
「なに?」
「よかったんですか?あんな言い方して…」
しばらく歩いているとフェデリコが恐る恐るライに尋ねる。
「ツバキ教官に教わっただろ?生きるか死ぬかの戦いの心構えを。」
「そうですが…」
『そもそもアネットが本調子ならセクメトはフェデリコと2人で倒せたはずだ。もちろんアネットがブレンダンさんのことを気にしてるのは分かる。それでも討伐のときは討伐に集中すべきなんだ。」
アネットもフェデリコもライの指導と防衛班の活動によって並の神機使いよりも腕が立つ実力を身についていた。別の支部ならエース格と呼ばれるくらいだろう。
「それにグボロは噛み付いたり暴れるから今のアネットじゃ対処しきれないからね。」
「それに気がかりがあるならそっちに集中させた方がいい。」
「中途半端ではやっていけないからね。
ライとフェデリコがグボロ討伐に向かっているその頃…
アネットはライの指示通りブレンダンの捜索に出ていた。
「ブレンダンさん!!どこですか!!」
遠目に見えるアラガミに注意しつつブレンダンを探すアネット。
だが声を上げても返事が返ってくることはなく、廃墟の中を確認するも誰もいない。
「この辺りにはいないのかな…」
辺り一帯探し回ったものの見つからず諦めの表情になるアネット。
「とりあえず先輩と合流しようかな…でも邪魔って言われちゃったし…」
いつもより自分の手足が動かないことはアネット自身自覚していた。
体調が悪いわけではないのに身体が鉛のように重い。少し走っただけなのに息切れをする。
そして生死の間際にいるのに集中してない。
「私…本当にダメな奴だ。」
自分の未熟さに頭を抱えたくなるアネットだがとりあえずこのエリアにブレンダンがいなかったことを報告しないといけない。
アネットも北東エリアに向かうもやはりその足取りが重かった。
「先輩!!あれ…!!」
フェデリコが焦るようにライを呼ぶ。ライもその先にあるものを見た。
討伐対象であるグボロに追い詰められている“青い服”を着た神機使いの姿を…
「ブレンダンさん!!」
「近づいたらスタングレネードを投げる。フェデリコはその隙にブレンダンさんを安全な場所に移動してアナグラに連絡を‥」
「はい!!わかりました!!」
フェデリコに指示を出すと走り出す。そしてグボロとの距離が近くなったらライはスタングレネードを使った。
閃光によりグボロの動きが止まる。その隙にフェデリコがブレンダンに駆け寄った。
「ブレンダンさん!!」
「フェデリコ…それにアンタも…」
「話はあとです。フェデリコ。」
「はい!!ブレンダンさん。俺に捕まってください。」
「……すまない。」
フェデリコの肩を借りてブレンダンはフェデリコとともに安全圏に移動した。
残るはライと今回の任務の討伐対象であるグボロのみ。
グボロの咆哮を合図にライとグボロ・グボロの戦いが始まった。